言語の学び方とそれを忘れない方法とその考え方

恋人に愛を伝えるため、外国に移住するため、あるいはただ単に暇をつぶすためであろうと、新たな言語を学ぶのに遅すぎることも早すぎることもありません。

子供は言葉を覚えるのが大人よりも上手だという神話について

結論から言うと、数百時間新たな言語に曝された状況なら子供よりもある工夫によって大人のほうが早く言語を習得することができます。

しかし大人たちにとって言語の学習のイメージというのは、何年も授業を受け続けても教科書や単語帳に出てくる例文の日本語訳をかろうじて思い出せるようになっただけ。

このイメージが強いため、一定の年齢を過ぎた大人にとっては新しく言葉を覚えるのなんて不可能なんだ、子供にしかできないんだという信念を確固たるものにしてしまいます。

大人が子供よりも早く上手に言語を習得するには、工夫が必要なのです。

なぜ学校で習った英語を忘れてしまうのか

子供が言葉を覚えるときというのは、やはり実際の生活を通して身につけていきます。

家族との会話はもちろん、お気に入りのゲームをやるときや、お出かけ中に親の目を盗んで走り出した先に広がる世界からも学んでいるでしょう。

 

記憶というのは複雑な仕組みです。ある事象が脳の特定の場所に保存されているのではなく、実際には脳内の領域間のつながりに保存されることがわかっています。

脳というデバイスを使用する以上、物事を早く覚えたいなら我々はその仕組みに忠実に従う必要があるでしょう。

「A=B」というのは脳みそにとって一般的な形式ではないのです。多くの感覚的な連想によって構成されたものが記憶となります。

 

例えば、中華料理やインド料理には多くのスパイスが使われます。中華料理店のコックにでもならない限りそのすべてを記憶する必要などなく、自炊するとしてもどれがどれだか分からないからスーパーで買ってきた適当なチューブや味覇を入れて済ませる人がほとんどでしょう。

でも今これを書いている私にとって八角(あるいはスターアニス)だけは中華料理に欠かせません。ある日、中華料理屋で食べたラーメンに入っていたチャーシューがそれまで味わったことのない風味を伴っていたのです。

私にとってラーメンは日本式のほうが優れている料理でしたが、そのチャーシューが入ったラーメンは日本のほとんどのラーメンよりも美味しかった。この風味を伴ったチャーシューがあれば中華風の麺やスープも考え込まれた末に出された答えなのだろうと納得できました。(おそらくその辺の中華風ラーメンは八角を使っていないので平凡な味というか不味い

 

後日、私はスーパーのスパイスコーナーであのチャーシューの香りの正体を探していました。そしてついに私はそれが八角であると突き止め、Amazonで袋買いして料理に使うようになりました。

私にとって八角の記憶は味だけでなく、匂い、形、初めて食べた時の周囲の光景、それを食べる前までの自分の考えや食べた後に自分が取った行動など、多くの関連する記憶を伴っています。

 

長くなりましたが記憶とはこのように、ある対象に関する多くの物事と一緒に定着させるのが本来の形式です。これに忠実であればあるほど覚えやすく忘れにくいし、逆に遠ざかれば遠ざかるほど覚えにくく忘れやすいんですね。

 

その点、日英の対訳が並んだ単語帳や動詞の活用表を無策に眺めるというのは、記憶を行うのに最悪に近い手段だと言えるでしょう。(学習がかなり進んだ段階では別というか、むしろ有用だったりします)

やはり実生活の中で覚えているからこそ子供は言語の上達が早いのであって、大人も真似すべきでしょう。

 

しかし、先ほど「ある工夫によって」と書いた通り、例えばやみくもに海外留学するだけでは大人は言語をマスターできないでしょう。

なぜなら、実生活上での言語習得は子供が持つ2つの強みによって実現されているからです。

子供が持つ2つの強み

発音と言語構造への偏見がない

新たな言語を学ぶ際、発音と言語構造に偏見がある状態は致命的ですが子供にはそれがありません。

母親が発するあらゆる音を言葉として受け取り、あらゆる語順や単語の変化を受け入れる姿勢を持っています。

一方我々大人は、日本人なら母音はa,e,i,o,uだけであり語順は必ず主語-目的語-動詞(述語)であると思い込んでしまいます。主語が誰であるかに関わらず動詞が変化するなんてありえないし、そもそも必要ないことですよね。

子供はそうした偏見を一切持たないので、ただ遊んで暮らしているだけで知識をどんどん吸収して、言語をマスターしていくのです。

失敗することへの不安がない

子供とて何もせずに言葉をマスターしているわけではありません。

彼らも幾度となく発音や言葉遣い間違え、保護者に正しくはこうだよと教えてもらって完璧な発音と用法を身につけています。

子供が優れているのはそうした当然の流れに対して全く恐れを抱いていないことです。

我々大人にとって間違えることというのは恥ずかしかったり、自尊心に傷がついたりします。

言語を学ぶ際に大人は何をすべきか

要は、発音や言語構造への偏見も、失敗することへの不安も、克服するかそれが影響しない手段をとればよいのです。

逆に言えば、そうしなければ記憶において大きなハンディキャップを背負ったままとなり、いつまで経っても初中級レベルを抜けられないでしょう。

発音

発音の学習は多くの大人が最も注力して改善すべきポイントです。

まず、世界の言語にはどんな発音が存在するのか概観し、その中で自分の母語が占める音とそれに伴う自分の”癖”を把握する必要があります。

また、その時にはIPA(international phonetic alphabets=国際発音記号)を覚えることになります。

中学や高校で発音記号を覚えろと先生にうるさく言われた経験のある方もいるかもしれませんね。私も口酸っぱく言います。IPAを口の断面図と一緒に覚えてください。

その後、学習対象の言語の発音を把握し、どのくらいのギャップがあるか認識しましょう。

多くの発音は馴染みがなくても文章と図による説明を読めば綺麗に発音できるようになります。

難しい発音については見本を何度も聞き、矯正していきましょう。
(メジャーなものだと日本人はthや多くの母音、人によっては巻き舌やsi(スィ)も、マイナーなものだとアラビア語などの咽頭音あたりで少し練習が必要です)

最終的な確認はネイティブに聞いてもらうのが一番ですが、グーグルなどの音声入力で行うと手っ取り早いです。

単語

子供は実生活の中で身の回りの単語を身に着けるほかありませんが、ここは大人にアドバンテージがあります。

というのも、実生活の中で覚えていくことがなぜ効果的かと言えば、それは上述した”「多くの感覚的な連想」の中で記憶する”という脳みその構造に高い基準で寄り添った形であるためです。

つまり、言い換えれば「実生活の中で」というのは必須事項ではなく、””多少””基準が下がろうとも機械的な手段をとること、すなわち(きちんと狙いを持って)単語帳を使うことは、単語学習の効率を上げるでしょう。

ではどんな学習が適しているかというと、以下の施策が有効です。

  • 画像やイメージと共に単語を覚える
  • 語彙形成的な構造の中で覚える
  • コロケーションの中で覚える
  • 自分に必要な分野で集中して覚える

そして学習した単語は忘却曲線を想定した復習を行うことが効率的です。忘却曲線というとなにか難しいことを言っているようですが、要は何度もやったほうが頭に入るよという意味です。

フラッシュカードのアプリを使えば復習の頻度も自動で考慮して学習を進められるので頭の片隅に入れておくとよいでしょう。

また、覚える際は必ず正確な発音と共に覚えてください。

言語構造(文法)

文法学習を毛嫌いする人がいますが、文法を学ぶことは言語をマスターする(≒会話ができるようになる)のに近道するための有力なツールです。近道だからこそ誰もが推奨するのです。

が、あくまでツールなので必要になったら使うし必要ないときは使わないというのが正しい。

一方で、やはりそうは言っても最低限の会話ができるようになるのに百歩譲っても必要だろうという項目はあるわけでして、それが例えば英語なら中学3年生までに習う内容だったりします。もう少し「自分、会話できてるなあ」感を得るには英検2級レベルは必須ですね。

子供にとっても文法をもし事前に学ぶことができれば助けになったかもしれませんが、その説明を理解する語彙がないので、言語構造に偏見がないというアドバンテージを活かしながら実生活の中で吸収していくことになります。

大人は言語構造に偏見を持ってしまいましたが、違う構造の説明を理解できるのは大人の強みであり、文法学習はそれを活かす施策です。

言語構造に偏見があることが文法学習を行う大きな要因なので、もし「言語構造が母国語(日本語)と似ている言語」があれば、文法学習の重要性はそこまで高くないと解釈してもよいでしょう。

文法が似ている言語というのは、視点を変えれば「最初から半分くらいマスター済み」であるようなものだからです。

例えば日本人ならKPOPや韓流ドラマをひたすら楽しんで韓国語を話せるようになっている女子高生がよくいますよね。あれは推しへの愛が大前提ですが、やはり文法が似ていることは大きな助けになっています。

 

少し話が逸れましたが、「何のために文法をやっているのか」を意識して取り組めばそこまで苦にはならないはずです。

表現したい内容がいくつかあって、どうもそれを丸暗記では覚えきれそうもない、何か共通点を見つけ出してラクにマスターする方法は無いのか?そこで使うのが文法の知識です。

これまでに分かりづらい文法書や先生に出会ってしまうこともあったかもしれませんが、当サイトではわかりやすい文法書やWeb・動画コンテンツをたくさん紹介しています。気楽にいきましょう!

オンラインで経験を積む

ある程度学習が済んだらいざ実践といきたいところですが、どうしても恥ずかしいという人はオンライン講師を利用しましょう。

オンライン講師といってもiTalkiのようにちゃんとお金を払って質の高いフィードバックを受けるのもありですし、hello talkやtinderのような玉石混交の環境で安く(というかタダで)教えてもらうのもありです(正直これは楽しい反面効率は悪いと思いますので素直にiTalkiなどがオススメ)。

それから英検で言えば準1級レベル以上に相当するようなよりフォーマルな文体を身に着けたい方は、オンラインの添削サービスを利用してみてください。

これも専業で受け付けているような質の高いサービスもありますし、極端な話Yahoo!知恵袋などに「これ書いてみたんですけどどうですか?合ってますか?もっとかっこいい表現ないですか?」と投げてもいいでしょう。HNまたは完全匿名で利用できるので、メジャー言語なら便利な手段になるはずです。

 

じゃあマイナーな言語はどうしたらいいのか?

という声が聞こえてきそうですが、マイナーな言語はそれを母語としている人からしたら少しでも話してくれるだけでとっても嬉しくて喜ばれるはずなので、普通にぶっつけで会話してしまうことをおすすめします。

テクニックとしては、最初日本語か英語で話しておきながら途中でそのマイナーな言語で話す、というのがあります。

マイナーといっても韓国語やドイツ語などでもかなりウケがいいですし、日本でアメリカ人に道を聞かれて最初日本語→途中から英語というのをやりましたが、それでもそんな笑顔になるか?というくらいのスマイルに変貌したので、ぜひイタズラがてらやってみてください。

大事なのは「話せると思ってなかった」のに「話せる」感情で、最初から話してしまうと容赦なくペラペラと話されてしまって心が折れるので注意!何事もモチベ命です。

まとめ

いろんな話を書きましたが、要は、「子供が言語を覚える過程を成功例として、それを大人用にアレンジする」というスタンスで考えましょう。

また、あくまで言語をマスターするということを目標として話を進めてきましたが、「外国人の思考回路や文化背景を知ることそのものも」刺激にあふれていて楽しいものです。

心理学の研究によれば、目標を達成した姿を頻繁に想像(多くの場合、空想)した人よりも、そこに到達するまでのプロセス(言語の場合、学習過程ですね)について考えていた人のほうが、努力を続けやすく目標も達成しやすいとされています。

プロセスそのものを楽しむようになるので、はたから見れば努力ですが本人はただ知りたいから学び続けている、といったニュアンスです。

語学に限ったことではありませんが、無闇に続けることを頑張るのではなくて、「どう工夫したら楽しめるのか?」という方向に頑張ると健全でしょう。

そのためにも、当サイトではみなさんの知的好奇心を刺激するような学習リソースをまとめていますので、「なんかいいのないかなあ?」と思ったら見に来てくださいね。

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