文字と発音の勉強は、言語を覚える際に一番最初にやることです。
文字と発音
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初級単語
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文法
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中級単語
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実践(会話やチャット、動画・音楽コンテンツの鑑賞など)
とつながっていきます。
本記事ではまず前半で文字と発音の覚え方について解説し、後半では文字と発音の勉強にこだわる意義についてお話しています。
ご自身に必要な個所を読んでいってください。
発音をマスターする
IPAを覚える
IPAとは
語学に特効薬があるとすれば、それはこのIPAをマスターすることです。
IPAとはつまるところ発音記号のことです。International Phonetical Alphabetの略ですね。英語の教科書や単語帳で単語の真下に書いてあったアレです。
IPAは世界中のほぼすべての音を表せるようにできています。
IPAを覚えると何が良いのか
ざっくり言えば、単語帳に載っている発音記号を読めるようになることがメインです。読めなかったら載せてもらっている意味がありませんからね。
また、各教材でされている発音の説明の理解度が上がることも大きなメリットです。
また、たいていの言語はその発音がIPAとともにウィキペディアに詳しく載っています。IPAをマスターしていればウィキペディアをサラッと見るだけで発音の概観を把握できるので、やはり覚えておくと便利というか、”怖いものなし”です。
何事も未知→恐怖→やる気減退とつながりますから、口の断面図と一緒に覚えてしまいましょう。
まずは日本語でIPA入門
「全部覚えるのは量が多そうでめんどくさいよ」という人は、とりあえず日本語のIPAを見ておくといいでしょう。
日本語ならいちいち音や図を確認せずに済むので、IPA入門編としてピッタリです。
全部の音が聞ける便利なサイト
アームストロング教授という人が作ったIPAチャートです。flashプレーヤーで動きます。好きな発音をポチポチ押して発音を聴くことができます。
世界中の子音、母音、抑揚などを聴けておもしろいのでぜひ遊んでみてほしいです。
動画がいい人はこれがオススメ
英語による英語の発音の解説ですが、口のリアルな図とともにゆっくり説明してくれているので現存の動画の中で一番わかりやすいです。
どうしても日本語の動画がいい人はこっち
英語苦手な人はとりあえずこちらでもOK。でも図を全く使ってくれないので、別のウィンドウか端末で図を見ながら使ってください。
その言語の発音を図と音声で把握する
まずはウィキペディア
さて、IPAを覚えていればある言語の発音の概要を把握するのはとっても簡単です。ウィキペディアで「○○語」と調べて発音の項目を見るだけ。
「はじめての○○語」みたいな本を買っちゃう前にウィキペディアに目を通しておきましょう。
たいてい、ウィキペディアには発音規則や例外などもあわせて説明が載っているので、「たしかに口の動き的にこう変化させたほうが発音がラクだな」というように納得しながら読み進められるとGoodです。
日本語に無い音は要マーク
ウィキペディアを見る中で、日本語に無い音があれば当然注目します。そのためにもまずは日本語のIPAはあらかじめ覚えておきたいところです。
また、日本語は母音が少し特殊かつ少ないので、どの言語をやる際にも母音の項目はよく読んでおきましょう。
ウィキなどで概要を把握したら音を聞いてみる
音の確認に便利なサイトが都合よく見つからないこともよくあります。
その際は上でも紹介したアームストロングのサイトを使うか、もしくはYoutubeで検索すると探しやすいです。当サイトでも発音フェーズの学習リソースとしてなるべくYoutube動画を紹介するようにしています。
聞き分けづらい音に耳を慣らす
馴染みのない音があれば、それをまず聴覚で認識することが第一歩になります。
自分でもIPAと図を参考に実際に発音して、「なるほど口のここの部位を使ってこの音を鳴らしているのか」と頭と体でインプットしていきましょう。
初めて聴いたときに似ていると思ってしまった発音に関しては特に、それらが個別の音であると丁寧に認識していく必要があります。
何度も言いますが日本人は母音にすこぶる弱いので要チェックです。
フラッシュカードなどでセルフチェック
より完璧を目指すなら最後はテストをすることになります。
Ankiというフラッシュカードアプリを使えば「オモテ面に音声(=問題)を・ウラ面にIPA(=答え)を」というようにカードを作成して、学習したりシャッフルしてテストをしたりすることができます。
忘却曲線に沿った復習も自動で組んでくれる優れもので、単語暗記にも便利なのでチェックしておくとよいです。
文字をマスターする
文字を実際の発音で覚える(※カタカナ厳禁)
当然、IPAをベースに口の断面図も使いながら実際の発音と文字をリンクさせていきます。
カタカナで覚えると今後単語を覚える際にも日本語的な発音でインプットされてしまうので、そうならないためにも必ず発音の概要をマスターしてから文字に取り組みましょう。
ここでもAnkiなどフラッシュカードアプリを使って暗記していくと効率が良いです。
スペリングのルールを覚える
スペリングのルールはこの段階で覚えておくのが無難です。
スペリングのルールは概して、
- 読みやすく(発音しやすく)するための基本ルールと
- 意味を類推しやすくするための例外ルール
に分かれますので、頭の中で分類しながら説明を読むといいです。
言語によってスペリングの複雑さはピンキリなので所要時間はそれぞれ大きく異なります。
スペリングが特に簡単な言語リスト
- 韓国語
- イタリア語
- スペイン語
- ドイツ語
- インドネシア語
- タガログ語
文字と発音の勉強にこだわる理由
語学のマスターには単語と文法、さらにそれのコンビネーションである頻出表現をあらかた覚えることが必須。言い換えれば、その状態こそが”○○語を話せる”ということを意味します。
つまり多くの感覚的な情報と絡めてインプットする必要があります。
具体的には文字情報だけではなくて実際の発音と言葉のイメージを一緒に覚えます。
したがって、これは文字と発音のマスターが前提になります。
正しい発音がわからなければ実際の会話で聞き取れませんし、関連する記憶が薄いので思い出すことも難しくなるでしょう。
日本人丸出しな発音で話せば、せっかく覚えた言語で話そうとしても英語にスイッチされてしまうかもしれません。一生懸命勉強して結局英語ではやるせないですよね。
間違った発音で練習し続けてしまうこと自体も時間がもったいないです。
また、言うまでもなく文字を覚えなければ、正確な発音を何度聞こうとあなたの頭の中にはカタカナが浮かんでくることでしょう。
アルファベットだとしてもドイツ語ならドイツ語の、スペイン語ならスペイン語独自のスペリングのルール、発音の考え方があります。
早く先に進みたくて適当に終わらせてしまいがちですが、単語が覚えづらくなって今後のすべての工程で手間取ることになるので、気を抜かず習得しましょう。
といってもそんなに難しい話ではなくて、多くの言語は書いてあるまんまに読めばOKです。
というか、そもそもそれが普通なんですが英語やフランス語がたまたまワケ有りなのです。(発音の移り変わりと印刷技術の普及のタイミングが悪いと英語みたいになります)
言語の中には
- スペイン語やベトナム語のように英語と同じアルファベットに見えて読み方がだいぶ違うもの
- ロシア語やモンゴル語のようにキリル文字を使うもの
- 韓国語やタイ語のように全く新たな文字を覚えるもの
がありますが、いずれの場合にも文字は最初期にマスターするようにしましょう。
発音に関しては、あまりに「正しい発音で!」と口酸っぱく言われると語学が嫌になってしまうかもしれません。
単語を1個1個発音記号見ながら覚えるのは正直面倒くさいですよね。
しかし、基本単語だけでも気合いを入れるといいでしょう。
どんな言語でも9割が基本単語で出来ているのですから、その基本単語を綺麗に発音できればめでたくしてあなたはもうほとんど「綺麗な発音ができる人」なのです。
逆に言うと基本単語を綺麗に発音できなければ、
どれだけ知的なボキャブラリーを持とうと、
どれだけ正確無比な文法を操ろうと、
もうずっと「流ちょうな人」にはなれません。
その証拠に、英語の基本的な単語をカタカナ発音で覚えた多くの日本人は、せっかく大学受験で満足な内容を学んでいるのに、やっぱりカタコトに聞こえるしそのせいで自信も持てない。
ちゃんと序盤で発音の基礎固めをやらないことの弊害です。
始めの2000語、いや1000語だけでも、綺麗な発音でマスターしようという気になりませんか?
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