語学に限らず何事においてもベストな方法というのは常に変わりうるものですが、一方絶対に避けるべき手段は不変なのです。絶対に避けるべきものを把握しておいて、あとは自分の好きなようにする、というのが失敗を避ける一番の秘訣です。
例えば、道を歩くときに別にどんな独特なフォームで歩こうが自由ですが、蛇行して他人に当たったり急に車道に飛び出すことだけはNGですよね。
喧嘩になったり車にはねられて死んだりするからです。
だからこそ親は急に走り出す子供をこっぴどく叱るし、一方で致命傷を避ける有力な解決策として「周りを見て歩く」という手段を勧めます。
こうした理念のもとで、単語学習において絶対に避けるべきメソッドと、最も効率的な手段になりうる候補のメソッドを学んでいきましょう。
分野別学習は絶対NG
見出しの通り絶対に避けるべきNGメソッドの正体は、みんな大好き「分野別学習」です。
中でも最悪なのは「分野別×品詞別」で覚える方法。
例えば、今日は果物のフランス語単語を覚えよう!と意気込んで
pomme(リンゴ)、poire(梨)、pêche(桃)…とみていくやり方のことですね。
なぜ分野別学習は非効率なのか?
簡潔に言えば、新しく覚えた単語がごちゃ混ぜになって区別がつかず結局思い出せないからです。
あなたにとってpommeもpoireもpêcheも昨日覚えた果物の名前でしかありません。しかも全部Pで始まる。それぞれの情報が悪い意味で干渉し合って、記憶が混乱していまうのです。
この場合、まだ全く無関係な単語を覚えるほうがマシだと言えます。例えばpomme(リンゴ)、chien(犬)、rouge(赤い)といった具合ですね。
もしくはpomme(リンゴ)、sucré(甘い)、manger(食べる)のように文章化しやすいグループのほうが混乱せずに済みます。この3語なら特にフランス語であれば名詞は冠詞と一緒に覚えますし、動詞の原形は形が決まってますから一層区別しやすいでしょう。
分野別学習は広く蔓延っているので注意しよう
様々な語学教室やWebサービス、アプリ、参考書・単語帳で、分野別に学習させようとするコンテンツが溢れています。しかもどれも「分野別だから覚えやすい!」などと謳っている。ひどい有様です。
勉強するほうとしても、「今日は果物を覚えたぞ!」「明日は動物を覚えよう!」という風に区切りやすくてついつい手を出してしまいがちですが、絶対に避けましょう。
分野別単語帳の使いどころ
実はそうした分野別単語帳が全く使えないわけではなく、用途をわきまえて使う分には便利でもあります。
他の、例えば頻度順単語帳などでひと通り単語を暗記したあとに、その整理として分野別にまとめられた単語リストを眺めることは記憶や復習の助けになるでしょう。
しばらく勉強を休んでしまって手っ取り早く思い出したいときにも分野別”復習”は多少使えます。
なぜなら「各単語に対して主にコロケーションなどの関連する記憶を十分に既に持っているから」です。十分な関連情報が、混乱を防いでくれるということですね。
単語の覚え方
単語学習において絶対に避けるべきメソッドを把握したところで、ここからは早速最も効率的な手段になりうる候補のメソッドを学んでいきましょう。
【基本理念】単語帳は浮気しよう
「いかに効率的であるか」と「いかに楽しめるか」の2点を念頭に置いて考えていきます。
どれだけ効率が良くても楽しめなかったら続けられないし、どれだけ楽しくてもあまりに効率が悪い手段はとりたくないからですね。
もちろんある程度効率が良ければそれ自体を楽しめたり、楽しければ脳が活性化して記憶の効率が良かったりしますので、そのあたりも考慮してあなたに合ったメソッドを見つけていきましょう。
記憶の効率化については言語の学び方とそれを忘れない方法とその考え方で紹介している通り、なるべく多くの関連情報を紐づけてインプットすることで脳みそが覚えやすいように・思い出しやすいように配慮していきます。
そして、これだけは絶対に覚えてほしいのですが、
単語帳はたくさん浮気しましょう。
理由は言うまでもなく「多くの関連情報を紐づけたいから」です。
よく「あれこれと手を出してはダメだ」「1冊をやりこもう」「これ1冊だけでOK」みたいな文言をあちこちで見かけますが、多くの関連情報を紐づけたほうが強い勝負の中で、それは”論理的に”あり得ません。
何冊もの単語帳やその他コンテンツという多様な環境下で単語と出会ったほうが、脳みそは多くの関連情報を吸収できるからですね。単語に限らずお勉強なら何でも当てはまります。勉強は浮気!浮気!浮気!です。中でも単語学習は暗記色が強いので特に浮気がモノを言います。
なので、これから紹介するメソッドをなるべく多く選択肢として自分の中に持っておいて、都度各メソッドに沿ったコンテンツを使用していけばよいのです。すべてを兼ね備えた教材なんてそう簡単に見つかりませんし、そもそも作ること自体がもっと難しいでしょう。
したがって我々がとるべき行動というのは、メソッドを軸に自分に必要な教材を適材適所で選んで使うこと。
そのために当サイトでは各メソッドとそれに合った教材を紹介するようにしています。
では前置きはこれくらいにして、ここからは単語学習のメソッドを見ていきましょう。入門編と中級編に分かれています。
入門フェーズ(文法習得前)
音声と画像とセットで覚える
文法習得前の段階では1000語を覚えるように推奨しています。このはじめの1000語については音声と画像とセットで覚えることを基本としましょう。
理由は全部で3つあります。
多くの関連情報を紐づけたい
大学受験用の英単語帳であれやこれやと凝った例文などがついたものが人気でしたが、入門フェーズでは文法が分からないので例文・文章・コロケーションは使えません。
その制限の中で多くの関連情報を紐づけるには、音声や画像といった情報に頼るほかないのです。
正確な発音で覚えたい
これも当然ですが、学習の序盤であるほど発音は気にかける必要があるので音声とセットで覚えたいです。
文字と発音の勉強方法と必要な理由でも説明したとおり、ほとんどの言語は基本の2000語程度が文章中の9割前後を占めます。よって基本単語を綺麗に発音できることはその言語を流ちょうに話せるのとほぼ同義なんですね。
逆に基本単語すら綺麗に発音できなければどれだけ語彙力・文法力が優れていようと流ちょうな人にはなれない、ということが論理的に言えます。
紙面だけではなく、音声も気軽に聴けるような環境づくりを心がけましょう。
言語によって出てくる画像は案外多様である
試しにある1つの単語をいろんな言語に翻訳して、画像検索してみてください。
考えれば分かることですが、例えば日本語で「女の子」と検索すれば黒髪の顔の平たいランドセルを背負った少女が出てくるはずですし、「Mädchen」と検索すれば金髪で堀が深くて瞳がカラフルな少女が出てくるはずです。ランドセルは背負ってないでしょう。
よってMädchen≠女の子であることが言えますよね。それくらい、同じような語義の単語でも各言語で指しているものが違う、世界観自体が異なるということを認識してもらえたらと思います。
そして、ある言語においてコミュニケーションをとるならば、そうした違いを理解まではいかなくとも少なくとも認知しておくことはコミュニケーションの第一歩ですよね。
そのために基本単語、つまりよく使う単語では画像やイメージによってインプットしていくことが大切です。1対1の翻訳ではなく、単語はあくまで物体や概念を表すものであるという本質に立ち返って解釈しましょう。
Google画像検索を利用しよう
さて、上でもちらっと書きましたがこのフェーズの肝はGoogle画像検索です。
あらゆる単語帳は学習者になるべく正確に覚えてもらおうと一生懸命にわかりやすい説明文を載せたり言い換えを載せたり例文を載せてみたりイラストを添えたりしていますが、やっぱりそれらは語義を正確に伝えるための努力です。
であればですよ、最初から画像で検索したほうが答えに近いと思いませんか?
もちろん1語1語検索するのは面倒ですし、訳語を全く見るなとも言いません。
訳語も見てもいいんですが、たまたま覚えにくかったりとか、訳や説明がピンとこなかったときはぜひGoogle画像検索を使ってみてください。正確にイメージをとらえられるし、記憶の補助にもなります。
中級フェーズ(文法習得後)
- 勉強をするようになったきっかけの説明できるようになる
- 自分の趣味のきっかけと魅力の説明できるようになる
- 自分の仕事を説明できるようになる
- 日本や日本人のことを説明できるようになる
- 相槌を網羅する
- ひたすら音楽を聴く
- ひたすらコメディー番組を観る
- ひたすら映画・ドラマを観る
- お気に入りで”””ストーリー・内容を把握している本”””の翻訳版を読む
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