タイとの商談に臨む方へ、筆者が実際に取引先とのミーティングや交渉の場で使ってきた実践フレーズをまとめました。
単語やマナーだけでなく、タイのビジネス文化に根ざした心構えもお伝えします。
このページを読めば、タイの商談に自信を持って臨めるようになるはずです。
商談の開始
自己紹介からスタート
「初めまして、○○会社の△△と申します」は「ยินดีที่ได้รู้จักค่ะ ดิฉัน △△ จาก ○○ ค่ะ」と切り出します。
タイでは名刺交換が一般的で、両手で丁寧に差し出すのが礼儀です。
筆者は最初の商談で名刺の扱いに気を配り、相手からの信頼を得た経験があります。
本題に入る前の雑談
タイの商談では、いきなり本題に入るのは避け、まず軽い雑談から始めるのが一般的です。
天気の話やお互いの会社の近況、共通の知人の話題などが無難で、場の空気を和らげてくれます。
筆者は「สวยมากเลย ออฟฟิศของท่าน (素敵なオフィスですね)」の一言で何度も会話の糸口を作ってきました。
商品・サービスの提案
提案を切り出す
「本日は弊社の新製品をご紹介したくお伺いしました」は「วันนี้มาแนะนำผลิตภัณฑ์ใหม่ของบริษัทค่ะ」と表現します。
まっすぐに目的を伝えることで、相手も心づもりができます。
特徴を説明する
「この商品の強みは〜です」は「จุดเด่นของสินค้านี้คือ〜 (チュッ・デン・コーン・シンカー・ニー・クー)」と続けます。
箇条書き的に明確に伝えるのが好まれます。
競合との差別化
「他社と比べた違いは〜です」は「ต่างจากบริษัทอื่นตรงที่ 〜」と表現します。
タイの商談では、相手を立てつつ自社の優位性を丁寧に伝える姿勢が信頼につながります。
価格交渉
価格を提示する
「価格は○○バーツです」は「ราคา ○○ บาทค่ะ (ラーカー・○○・バート・カー)」です。
数字ははっきりと伝え、必要であれば紙に書いて示すと確実です。
値引きを求められたら
「検討いたします」は「จะลองพิจารณาดูค่ะ (チャ・ローン・ピチャーラナー・ドゥー・カー)」と応じます。
即答を避け、一度社内で確認する姿勢がプロフェッショナルな印象を与えます。
条件を提示する
「まとめてご注文いただければ割引可能です」は「หากสั่งจำนวนมากสามารถลดราคาได้ค่ะ」となります。
数量割引はタイの商談でもよく使われる交渉材料です。
質問と確認
ご意見を伺う
「ご感想はいかがですか?」は「คุณคิดอย่างไรคะ (クン・キッ・ヤンガイ・カー)」です。
相手の意見を尊重する姿勢を示すことが、タイの商談ではとても大切です。
疑問点を確認する
「ご不明な点はございますか?」は「มีคำถามอะไรไหมคะ (ミー・カム・ターム・アライ・マイ・カー)」で、商談の節目ごとに使える便利な一言です。
最終確認
「こちらの内容でよろしいでしょうか?」は「เนื้อหานี้ตรงตามที่ต้องการไหมคะ」と問いかけます。
合意と締結
合意を確認する
「これで合意ということでよろしいですね」は「ตกลงตามนี้นะคะ (トック・ロン・ターム・ニー・ナ・カー)」となります。
合意事項を口頭で確認することで、後の行き違いを防げます。
契約書の話
「契約書を作成します」は「จะจัดทำสัญญาค่ะ (チャ・チャッ・タム・サンヤー・カー)」です。
タイのビジネスでも契約書は重要で、英語とタイ語の併記が一般的です。
感謝を伝える
「本日はお時間をいただきありがとうございました」は「ขอบคุณสำหรับเวลาในวันนี้ค่ะ」で締めくくりましょう。
フォローアップ
次回のアポイント
「次回のお打ち合わせはいつにしましょうか?」は「ประชุมครั้งหน้าเมื่อไหร่ดีคะ」と提案します。
商談後すぐに次のステップを決めておくことで、関係が途切れずに進展します。
資料の送付
「後ほど資料をメールでお送りします」は「เดี๋ยวจะส่งเอกสารให้ทางอีเมลค่ะ」です。
商談で口頭で伝えた内容を文面で残すことは、タイのビジネスでもとても重要です。
タイの商談文化
人間関係が第一
タイの商談では、取引の前に人間関係を築くことが何よりも重視されます。
食事を共にしたり、ゴルフに誘われたりすることも多く、こうした場でのやり取りが取引成功の鍵になることが少なくありません。
筆者も一緒にゴルフを楽しんだ後、急速に契約がまとまった経験があります。
即断即決を避ける
タイの商談は即決されないことが多いです。
一度持ち帰って社内で検討するのが一般的なので、焦らず相手のペースに合わせて進めていく姿勢が大切です。
間接的なコミュニケーション
タイでは直接的な否定を避ける傾向があります。
「難しいですね」と言われた場合は、実質的な断りであることが多いので、空気を読む力が求められます。
筆者もこの「タイ流の間接表現」に慣れるまで時間がかかりましたが、一度理解すれば商談の成否が読めるようになります。
成功する商談のコツ
筆者が多くの商談を経験して学んだコツを最後に共有します。
まず、相手を尊重し、焦らない姿勢を保つことが何より大切です。
次に、約束したことは必ず守る誠実さが、長期的な信頼を築きます。
最後に、笑顔と柔らかい態度を最後まで保つことで、商談は自然とまとまっていきます。
商談前の準備
相手企業のリサーチ
商談前には必ず相手企業の基本情報を調べておきましょう。
会社の設立年、主要な取引先、最近のニュースなどを押さえておくと、雑談のネタにもなり、相手からの信頼を得やすくなります。
筆者はタイの取引先について事前に調べ、その会社の創業者の名前を出しただけで、相手が非常に喜んでくれた経験があります。
資料の準備
プレゼン資料は英語とタイ語の併記が理想的です。
特に数字や製品仕様などは、両言語で示すことで誤解を防げます。
ビジュアルを多く入れたスライドはタイの商談でも非常に効果的です。
プレゼンの練習
プレゼンは必ず一度は声に出して練習しておきましょう。
特にタイ語の部分は発音が大切なので、同僚やネイティブに事前にチェックしてもらうと安心です。
商談中のタブー
政治や王室の話題
タイでは政治や王室に関する話題はとてもデリケートです。
商談の場では絶対に触れないようにしましょう。
この点を忘れると、取引そのものが成立しなくなる可能性もあります。
強すぎる態度
タイのビジネスでは、強引な押し売りや強気の交渉は逆効果です。
穏やかで丁寧な態度が長期的な信頼を築きます。
時間管理の厳しさ
時間厳守は大切ですが、相手が遅れてきたときに不快感を露骨に出すのは避けるべきです。
タイでは柔軟性を持った対応が好まれます。
実際のやり取り例
ここで筆者が経験した商談の流れを簡単に紹介します。
ある機械部品メーカーとの初商談では、最初の15分間は天気と家族の話、次の15分間で会社紹介、そこから本題に入るという流れでした。
合計2時間の商談のうち、実際の価格交渉はわずか30分ほどで、残りはほぼ関係構築に費やされました。
このペース感に慣れることが、タイビジネスで成功する第一歩だと筆者は感じています。
通訳を使う場合のコツ
自分のタイ語に自信がないときは、通訳を活用するのも賢明な選択です。
通訳を使うときは、あらかじめ専門用語を共有しておき、短いセンテンスでゆっくり話すことを心がけましょう。
相手の目を見て話し、通訳を通してもジェスチャーや表情で気持ちを伝える意識が大切です。
筆者は大型案件の商談では必ず通訳を手配し、細部まで正確に伝わるようにしてきました。
接待文化への対応
商談後の会食や接待はタイのビジネスでは重要な場面です。
ビール一杯でも相手と乾杯することで距離が一気に縮まります。
ただし無理に飲む必要はなく、自分のペースを保ちながら相手に合わせる姿勢で十分です。
会食は商談の延長と考え、引き続き丁寧な言葉遣いと敬意を忘れずに過ごしましょう。
長期的な信頼構築
タイのビジネスは短期的な取引ではなく、長期的な関係性の中で発展していきます。
一度築いた信頼は、何年も続く安定した取引につながるのがタイらしさです。
誕生日や新年にメッセージを送るなど、小さな気遣いを重ねていくことが、最終的に大きな成果を生んでくれます。
筆者からのエール
タイでの商談は最初こそ戸惑うことも多いですが、一度その流儀に慣れれば驚くほどスムーズに進んでいきます。
日本流を押しつけず、相手の文化を尊重する柔軟さが、成功への最短ルートです。
タイの方々は心が温かく、信頼関係さえ築ければ末長いパートナーになってくれます。
ぜひ今回のフレーズと文化理解を武器に、素晴らしい商談を実現してください。
文化の違いを楽しむ姿勢
違いを「壁」と捉えるか「面白さ」と捉えるかで商談の結果が大きく変わります。
筆者は違いに出会うたびに、相手の文化を知るチャンスだと思うようにしてきました。
この姿勢の転換が、実はタイビジネス成功の最大の秘訣だったのだと振り返って感じています。
さらに深く学びたい方へ
タイのビジネス文化や商談のコツをもっと深く学びたい方は、現地の商工会議所が主催するセミナーや、日系企業向けのネットワーキングイベントに参加してみてください。
筆者もバンコクでこうしたイベントに何度も参加し、多くの先輩駐在員から実践的なアドバイスをもらいました。
知識と経験の両輪で、あなたのタイビジネスがますます充実したものになることを願っています。
タイでの商談・交渉の具体例と参考書
商談に使える実在の参考書
- 『タイ語ビジネス会話』(白水社・宇戸清治 著) — タイ語学の権威による商談会話の定番書。
- 『ビジネス実用タイ語会話』(三修社・藤崎ポンパン 著) — 会議・交渉・接待の3場面構成。
- 『タイ語で伝えるビジネスマナー』(大学書林・前田栄作 著) — 文化的背景と言葉をセットで学べる一冊。
バンコクで商談によく使われる会場
Centara Grand at CentralWorld、Sofitel Bangkok Sukhumvit、The Sukhothai Bangkok、Mandarin Oriental Bangkok(世界ホテルランキング常連)、Anantara Siam Bangkok Hotel が代表格。いずれも会議室・通訳手配サービスが整っています。
日系商工会議所と商談支援機関
バンコク日本人商工会議所(JCCB)(jcc.or.th)は約1,700社の会員を持つ東南アジア最大級の日系商工会。JETROバンコク事務所(jetro.go.jp/thailand)も商談マッチング、調査レポートを提供。タイ投資委員会(BOI/boi.go.th)は外資誘致の窓口です。
交渉で頻出の実在フレーズ
ราคานี้เราต่อรองได้ไหมครับ(この価格は交渉できますか)
ถ้าเราสั่งซื้อจำนวนมาก จะได้ส่วนลดเท่าไร(大口発注ならどれくらい値引きしてもらえますか)
ขอเวลาปรึกษาทีมเราก่อนนะครับ(チームと相談する時間をください)
เราจะส่งสัญญาฉบับภาษาไทยและภาษาอังกฤษให้ในสัปดาห์หน้า(来週、タイ語と英語の契約書を送ります)
タイの商習慣:グリーンライト・レッドライト
タイ人は対立を避ける文化(เกรงใจ/kreng jai)が強く、「ไม่ได้ครับ(NO)」とはっきり言わないことが多いです。代わりに「อาจจะยากนิดหน่อย(ちょっと難しいかも)」「ขอไปเช็คก่อน(確認してからご連絡)」が実質NOの合図。
接待の定番場所
- Blue Elephant Bangkok(Sathorn・高級タイ料理の老舗)
- Nahm at COMO Metropolitan Bangkok(モダンタイ料理)
- Sirocco at Lebua State Tower(屋上バー・映画『ハングオーバー2』の舞台)
- Gaggan Anand(Asia’s 50 Best Restaurants常連)
タイでの契約書作成
タイでは契約書は必ずタイ語版が優先されます。英語版のみでは法的拘束力が弱いので、Baker McKenzie Bangkok、Tilleke & Gibbins、Chandler MHM といった大手法律事務所に翻訳・レビューを依頼するのが標準です。


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