タイ語の実力を客観的に示したいとき、検定試験は便利な目標になります。
この記事では、日本人学習者が受験できる3つの主要試験と、実践的な対策方法を具体的な教材名付きでご紹介します。
日本人が受験できる3つの試験
1. 実用タイ語検定試験(日本タイ語検定協会)
実用タイ語検定試験は、日本タイ語検定協会(thaigokentei.com)が年2回(春季・秋季)実施している日本人向けのタイ語試験です。
5級から1級までの6段階で、会場は東京、大阪、名古屋、バンコクの4会場です。
すべての級で100点満点中70点が合格ラインとなっています。
2005年に第1回が開催されて以来、日本国内で最も受験しやすい試験として定着しています。
2. Chulalongkorn University Thai as a Foreign Language(CU-TFL)
CU-TFLはチュラーロンコーン大学シリントンタイ語研究所(sti.chula.ac.th)が実施する試験で、聞く・読む・話す・書くの4技能を個別にレベル判定します。
結果は6段階(Novice Low〜Superior)で判定され、タイ政府認定の証明書が発行されるため、タイ国内での就職活動で有利になります。
日本では神田外語大学などで年1回受験可能です。
3. タイ語能力検定試験(ポーホック/ป.๖)
タイ教育省が外国人向けに実施する試験で、かつての「ポーホック(小学6年生レベル)」の後継として2008年にリニューアルされました。
バンコクでの受験が基本ですが、過去問が公開されていないため独学が難しく、日本在住者にはややハードルが高めです。
実用タイ語検定試験の級別目安
5級(入門)
タイ文字の読み書きができ、簡単な挨拶、数字、曜日、家族の呼び名などの基本語彙が身についているレベルです。
学習時間の目安は50〜100時間程度です。
4級(初級)
基本的な日常会話ができ、簡単な文を読み書きできるレベルです。
「ニューエクスプレスプラス タイ語(白水社・水野潔 著)」を終えた段階が目安となります。
3級(初中級)
日常生活のやり取りを問題なくこなせ、新聞の見出しが理解できるレベルです。
「表現を広げる 中級へのタイ語(三修社・スニサー ウィッタヤーパンヤーノン 著)」を終えた頃に狙えます。
準2級・2級(中級)
タイ社会の時事や文化に関する内容を理解し、自分の意見をタイ語で述べられるレベルです。
「中級タイ語総合読本(白水社・三上直光 著)」を2周した程度が一つの目安です。
1級(上級)
新聞の社説や小説を辞書を使いながら読みこなし、専門的な話題にも対応できるレベルです。
ほぼネイティブに近い運用能力が求められ、合格者は毎回わずかです。
対策教材と勉強法
公式過去問題集
日本タイ語検定協会が毎年刊行している「実用タイ語検定試験 過去問題と解答」は対策の必携書で、Amazon.co.jpや紀伊國屋書店で購入できます。
最新版は2022年秋季〜2023年春季の問題を収録しており、各級の傾向をそのまま体験できます。
基礎固めの教材
5級〜4級の対策には「CD付き 文法からマスター!はじめてのタイ語(ナツメ社・スニサー ウィッタヤーパンヤーノン 著)」が良い土台になります。
3級以上を目指す段階では、白水社の「中級タイ語総合読本」と「詳しくわかるタイ語(めこん・冨田竹二郎 編)」を併用しましょう。
リスニング対策
リスニング問題対策には、ThaiPod101(thaipod101.com)の「Intermediate Thai」シリーズと、THE STANDARD Podcastの「Morning Wealth」(thestandard.co)が定番です。
毎日15分を3ヶ月続けると、3級のリスニング問題が安定して取れるようになります。
語彙強化
語彙集としては、白水社の「中級タイ語総合読本」付属の語彙リストと、Longdo Dict(longdo.com)のお気に入り機能を組み合わせる方法がおすすめです。
知らない単語に出会うたびにLongdo Dictに登録しておけば、自分専用の単語帳が自然とできあがります。
受験当日のコツ
筆者が3級を受験したときの経験から、3つのコツをお伝えします。
ひとつ目は「タイ文字を手書きで練習しておく」ことで、筆記問題では意外とタイ文字を書く量が多く、普段タイピングだけで学習している方は本番で手が止まりがちです。
ふたつ目は「数字と時間表現を集中的に覚える」ことで、ほぼ毎回出題される「時刻の読み方」「日付の読み方」を確実に取ると合格ラインに届きやすくなります。
みっつ目は「長文読解は最初に設問を読む」ことで、先に何を問われるか把握してから本文に戻ると時間効率が大きく上がります。
検定取得のメリット
実用タイ語検定試験2級以上を持っていると、日タイ企業やタイ関連の翻訳・通訳の仕事で履歴書に書ける客観指標になります。
CU-TFLの上位レベルは、バンコクのタイ企業や外資系企業での就職活動で強力なアピール材料となります。
なにより「次の試験までに〇〇できるようになる」という明確な目標があると、学習のモチベーションを保ちやすくなります。
級別の学習プラン詳細
5級合格までの3ヶ月プラン
第1ヶ月目は「ニューエクスプレスプラス タイ語(白水社・水野潔 著)」の第1〜10課を音声付きで進めます。
タイ文字の読み書きは毎日15分の手書き練習を欠かさず行うのが大切です。
第2ヶ月目は第11〜20課まで進め、「CD付き 文法からマスター!はじめてのタイ語(ナツメ社)」の前半を並行します。
第3ヶ月目は過去問題集の5級部分を3回繰り返し、時間配分の感覚を掴みます。
3級合格までの6ヶ月プラン
前半3ヶ月は「表現を広げる 中級へのタイ語(三修社・スニサー)」を1周し、毎週末に過去問3級を1回分解きます。
後半3ヶ月は「中級タイ語総合読本(白水社・三上直光)」の前半10課を精読し、Thairath(thairath.co.th)の芸能欄リード文を毎日3本読む習慣を付けます。
リスニングはThaiPod101の「Intermediate Season 1」を1日1エピソード聴き、全話を2周すると本番でも聞き取りに余裕が出てきます。
2級・1級を目指す長期プラン
2級以上は1年単位の計画が必要です。
「中級タイ語総合読本」を2周した後、「คำพิพากษา(判決)」などの文学作品に挑戦しつつ、Matichon Weekly(matichonweekly.com)の社会面コラムを週3本読む習慣を組み込みます。
作文対策としては、italki(italki.com)やPreply(preply.com)でタイ人講師に週1回添削を頼むのが最も効率的です。
受験申込みの流れ
実用タイ語検定試験の申込みは、日本タイ語検定協会の公式サイト(thaigokentei.com)から、春季は5月頃、秋季は9月頃に受付開始されます。
受験料は級によって異なり、5級が5000円前後、1級で1万円前後が目安です。
会場は東京(神田・新宿)、大阪、名古屋、バンコクの4会場から選べます。
申込みから約1ヶ月後に試験が実施され、合否は概ね1ヶ月半後に郵送で届きます。
試験直前1週間の過ごし方
直前1週間は新しい教材に手を出さず、今まで使ってきた教材の総復習に集中するのが鉄則です。
筆者は過去問の見直し、間違えた問題のノートの読み返し、そしてタイ語で日記を5分書くだけ、という最低限のメニューに絞っていました。
試験前日は早めに就寝し、当日の朝はタイ語の音声を30分聴いて耳をタイ語モードに慣らすと、試験会場での集中が段違いになります。
受験後にすべきこと
試験が終わったら、自己採点をしてすぐに次の級の教材に取り掛かるのがおすすめです。
合格発表を待つ間にモチベーションが切れてしまうと、次のステップに進むまでに数ヶ月のロスが発生します。
合否に関わらず「学んだこと」は残るので、試験は通過点として気楽に捉えましょう。
検定対策に使えるオンライン講座
独学が難しい方には、オンライン講座も選択肢に入れておきましょう。
アイザック外国語スクール(isaac-gaikokugo-school.jp)はタイ語の検定対策コースを開講しており、講師のほとんどが実用タイ語検定試験の合格者です。
EF(Education First)やBerlitz系のタイ語コースでは検定対策のカスタムレッスンを依頼できます。
italki(italki.com)やPreply(preply.com)でタイ人講師に「実用タイ語検定試験 ○級対策」と伝えれば、過去問をベースにしたマンツーマンレッスンを組んでもらえます。
試験情報のチェック先
日本タイ語検定協会の公式サイトthaigokentei.comは、試験日程・会場・結果発表のすべてをここで確認できます。
チュラーロンコーン大学のsti.chula.ac.thはCU-TFLの最新スケジュールと過去問サンプルを公開しています。
神田外語大学のタイ語学科サイトでは、日本でのCU-TFL実施情報が案内されるので、受験希望者はブックマークしておきましょう。
受験仲間を見つける
Facebookの「タイ語勉強会」「日タイ交流会」グループ、Twitter(X)の「#実用タイ語検定」ハッシュタグを辿ると、同じ級を目指している仲間と情報交換ができます。
孤独になりがちな語学学習も、受験仲間がいると続けやすくなります。


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