フィリピンの若者が日常的に使うタガログ語スラングを、実際に流行した背景やKrista Ranillo、Maine Mendoza、Vice Ganda、Darren Espantoなど著名人の使用例とともに紹介します。スラングはMarikina、Quezon City、Makati、Taguigなどマニラ首都圏の若者コミュニティから生まれ、TikTok、Facebook、Instagramを通じて全国に広まります。
最新人気スラング10選
Lodi・Petmalu・Werpa
「Lodi(ロディ)」はidol(アイドル)を逆読みしたスラングで、「Lodi ko si Sarah Geronimo(サラ・ヘロニモが私の憧れです)」のように尊敬する人物を呼ぶときに使います。「Petmalu(ペトマル)」はmalupit(すごい)を音節を入れ替えて作られた言葉で、「Petmalu ng concert ni Ben&Ben kagabi(昨夜のベン・アンド・ベンのコンサートは最高だった)」と感嘆を表します。「Werpa(ウェルパ)」はpower(パワー)を並び替えたもので、応援の意味を込めて「Werpa sa inyo, team Gilas Pilipinas!(ヒラス・ピリピナス代表チーム、がんばれ)」と使われます。これら3つは2010年代後半にSNSで大流行した語族で、今でも若者の間で定着しています。
Sana All・Bet・Char
「Sana all(サナオール)」は「Sana all may ganito(みんなこういうのがあればいいのに)」の略で、他人の幸せを羨む表現として2020年前後に爆発的に広まりました。Kathryn Bernardoと Daniel PadillaのKathNielカップルが公開デートすると、ファンがSNSで「Sana all」とコメントする光景が日常化しました。「Bet(ベット)」は「好き」「気に入った」の意味で、「Bet ko yung new song ni SB19(SB19の新曲が好き)」のように使います。「Char(チャル)」は「冗談だよ」という意味で、文末につけて「Wala akong pera, char!(お金ないんだよ、冗談だけどね)」と軽口を叩きます。
感情表現スラング
Bes・Mumshie・Sis
「Bes(ベス)」はbest friendの略で、親しい友人の呼びかけに使われます。「Bes, tara kape?(ベス、コーヒー行こう)」のようにQuezon CityのTomas Morato通りやMakatiのSalcedo Villageのカフェで交わされる日常的な表現です。「Mumshie(マムシー)」はmum(お母さん)から派生した親しみを込めた呼びかけで、特にvlogger/TikToker界隈で多用されます。Alex Gonzaga、Toni Gonzaga、Kim Chiuのvlogでは「Mumshie, try mo ito!(マムシー、これ試してみて)」のフレーズが頻出します。「Sis」は姉妹同然の仲を表し、Gen Zの間で定番です。
Jowa・Chariz・Gigil
「Jowa(ジョワ)」は恋人を指すスラングで、「Sino ang jowa mo?(あなたの恋人は誰)」のように使われます。KathNiel、JaDine(James ReidとNadine Lustre)、LizQuen(Liza SoberanoとEnrique Gil)などの人気カップルの話題でよく登場します。「Chariz(チャリス)」はcharの派生形で、冗談のニュアンスをさらに強調します。「Gigil(ギギル)」はタガログ語固有の語彙で、「あまりに可愛くて抱きしめたくなる衝動」を意味し、英語にも翻訳不可能な感情語として知られています。
SNS発祥の新世代スラング
TikTokから広まった表現
TikTok Philippinesでは「Slay(スレイ)」「Iconic(アイコニック)」「Serving(サービング)」のような英語由来の言葉がタガログ語に混じって使われます。Niana Guerrero、Ranz Kyle、Andrea Brillantesのコンテンツでは「Ang slay ng OOTD ni ate!(お姉ちゃんの今日のコーデ最高)」のような表現が頻出します。「OA(オーエー)」はover-acting(大袈裟)の略で、「Wag ka OA!(大袈裟だって)」と友人同士のツッコミに使われます。SB19やBINI、4th Impact、Alamatなどのフィリピン発ボーイズ・ガールズグループのファンダム(ATIN、Blooms)でもスラングが独自進化しています。
ゲイ言葉(Swardspeak)の代表表現
Vice Ganda発のカラフルな語彙
フィリピンの代表的コメディアンVice Ganda(本名Jose Marie Viceral、ABS-CBN系「It’s Showtime」のホスト)は、ゲイコミュニティのスラング「Swardspeak」を広く世間に浸透させました。「Chika(チカ)」はゴシップや話題を意味し、「May chika ako sayo(話したいことがあるの)」と使います。「Kaloka(カロカ)」は「ありえない」「とんでもない」、「Eme(エメ)」は「冗談」「ふり」を意味します。「Churva(チュルバ)」は「そのうんぬんかんぬん」のように具体語を省略するつなぎ言葉で、「Nagpunta kami sa mall, bumili ng churva(モールに行って、あれこれ買った)」のように使います。「Bonggacious(ボンガシャス)」はbongga(華やか・豪華)に英語のgaciousを付けた派生語で、「Bonggacious ang pagdating mo!(登場が派手すぎる)」と褒めます。
日常会話で避けたい場面
Swardspeakは若者や芸能界では広く使われますが、ビジネス会議、学校の授業、教会の礼拝などフォーマルな場面では避けるのが無難です。特にINC(Iglesia ni Cristo)やCatholic Bishops’ Conference of the Philippinesの関連行事では慎重に。
地域別スラングの広がり
セブアノ語混じりのスラング
セブ市、マクタン、マンダウエを中心に話されるセブアノ語にもタガログ語スラングが浸透しており、SM Seaside City CebuやAyala Center Cebuの若者は「Unsa imong chika?(何か話ある?)」のようにビサヤ語とタガログ語スラングを混ぜて使います。セブ出身の歌手PilitaCorralesや、Binibining Pilipinasの優勝者Catriona Grayもインタビューで「Sana all petmalu ang girls」のような表現を使います。ダバオ市、カガヤン・デ・オロ、ザンボアンガなどミンダナオの都市部でも、マニラ発のスラングがTikTokを通じて若者文化に組み込まれています。
バギオ・ダバオ・ザンボアンガの独自表現
北部ルソンのバギオ市ではイロカノ語とタガログ語スラングが混在し、University of the Philippines Baguio、University of the Cordilleras、Saint Louis Universityの学生たちが独自の言い回しを作り出しています。「Lods, tara Session Road(ロッズ、セッションロード行こう)」のようにLodiを略してLodsと呼ぶのもバギオ発祥と言われます。ダバオ市ではRodrigo Duterte元大統領の発言スタイルも若者文化に影響を与え、一部のスラングは政治風刺として使われます。
流行歌詞・映画のセリフから生まれた表現
音楽・映画発のスラング
Silent Sanctuary、Callalily、6cyclemind、Sponge Cola、Itchyworms、Rivermayaなど有名バンドの楽曲やTitser、Heneral Luna、Kita Kita、Hello Love Goodbye(Kathryn Bernardo主演)、Four Sisters and a Wedding、One More Chanceなど話題作の名セリフがスラングに取り込まれることもあります。「Hugot(フゴット)」は直訳すると「引き出す」の意味ですが、過去の恋愛や失恋から感情を引き出す自己表現として使われ、「Ang hugot ng kanta ni Moira Dela Torre(モイラ・デラトーレの歌は感情に響く)」のように形容詞的にも使われます。ABS-CBNの朝ドラマ、GMA Network の「Eat Bulaga!」に登場するフレーズも広く定着しています。
K-POP人気に伴いBTS、BLACKPINK、TWICEのファンダム用語がタガログ語スラングと融合し、「Bias ko si Lisa(推しはリサ)」「Stan culture ng Gen Z」のようなハイブリッド表現も定着しています。SB19のA’TIN、BINIのBloom、Alamat のMagiliwなど国産グループのファンダム用語も日常会話に入り込んでいます。
他にも、Apple Music PhilippinesやSpotify Philippinesのチャート上位曲の歌詞から生まれた表現が日々流行しています。


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