ブラジル北東部 Nordeste はアフロ・ブラジル文化の中心で、ポルトガル語の響きもリズムも本国や南部とは別物に感じます。
本記事では Salvador を軸に Recife・Olinda・Fortaleza・Natal・São Luís までを3週間で回った筆者の記録を、語学旅行者向けにまとめます。
Salvador 概要
バイーア州の州都 Salvador は人口約260万人、1549年に Tomé de Sousa がブラジル初の首都として建設した街です。
1763年まで植民地首都だったため、旧市街 Pelourinho には17-18世紀の教会と彩色ファサードがそのまま残ります。
住民の8割がアフリカ系、カポエイラ・カンドンブレ・アカラジェ・アシェ音楽と、アフロ文化の濃度がブラジルで最も高い都市です。
Pelourinho を歩く
Igreja de São Francisco
1708-1723年建立の黄金教会、内部は800kgもの金箔で覆われています、入場料15BRL。
ポルトガル・バロックの最高傑作のひとつで、Largo do Cruzeiro de São Francisco にあります。
Terreiro de Jesus 広場
Catedral Basílica 1657年、Museu Afro-Brasileiro 1982年 入場料6BRLが並びます。
Museu Afro-Brasileiro には Carybé 1911-1997 が描いたカンドンブレの神々オリシャの巨大パネルがあり必見です。
Largo do Pelourinho
かつて奴隷の鞭打ち柱があった広場、現在は Fundação Casa de Jorge Amado 1986年創設がここにあります。
Jorge Amado 1912-2001 はバイーアを舞台にした『ガブリエラ』『砂の戦士たち』などで有名な20世紀ブラジル最大の作家のひとりです。
Salvador のグルメ
Acarajé
黒目豆を潰してデンデ油で揚げ、エビ入りバタパと混ぜた屋台料理です。
Acarajé da Dinha 1970年代から Largo de Santana で営業する老舗、1個15BRL、行列必至です。
Moqueca baiana
魚やエビをココナッツミルクとデンデ油で煮込む土鍋料理です。
Maria Mata Mouro 1995年 Rua Inácio Acioli 8 は洗練された Pelourinho の名店、2人前120BRLほどです。
Paraíso Tropical 1995年 Rua Edgar Loureiro 98-B Cabula は Beto Pimentel シェフが裏庭で野菜と香草を育てる郊外の名店、筆者はここの moqueca が人生最高でした。
Recife と Olinda
ペルナンブコ州都 Recife は人口約165万、運河が多く北東部のヴェネツィアと呼ばれます。
旧市街 Recife Antigo には Marco Zero 広場、週末にはフレーヴォの野外ライブが行われます。
Instituto Ricardo Brennand 2002年開館、ブラジル最大の中世武具コレクションと Frans Post の絵画、入場料30BRLで半日過ごせます。
隣町の Olinda は1982年世界遺産登録、坂道と教会の旧市街はサルバドールより静かで彩色家屋がかわいらしいです。
Alto da Sé 展望台から Recife の海岸線が一望、近くの土産物屋街でカーニバル用の巨大人形 Bonecos Gigantes が見られます。
Fortaleza と Jericoacoara
セアラー州都 Fortaleza は人口約270万、北東部第3の都市で Praia do Futuro のビーチが名物です。
Barraca Crocobeach や Itapariká などビーチのバラッカ(小屋)で海老のココナッツ煮 Camarão ao coco 80BRLが定番、筆者は日曜の昼に行って8時間居座りました。
Jericoacoara は Fortaleza から約300km、バギーで砂丘を越えてたどり着くユネスコ指定自然公園の漁村です。
Pousada Vila Kalango 1998年、Pousada Casa Naluna 2005年などブティックポウサダが並び、1泊500-900BRL、 Pôr do Sol のビーチで夕日を見るのが日課になります。
Natal と São Luís
Natal は Rio Grande do Norte 州都、人口約81万、Ponta Negra ビーチと Morro do Careca 砂丘が観光の核です。
Genipabu 砂丘ではバギーかラクダで往復1時間、80BRL前後です。
São Luís はマラニョン州都、1612年にフランス人が建設した唯一のブラジル都市で、旧市街は1997年世界遺産登録です。
街から3時間の Lençóis Maranhenses 国立公園は砂丘と雨季のラグーンで知られ、6-9月が訪問のベストシーズンです。
北東部ポルトガル語の特徴
Nordeste のポルトガル語は語尾の /s/ が「シュ」に近く、母音を強く伸ばす独特の抑揚です。
「oxe!」(驚き)、「vixe!」(呆れ)、「visse?」(わかった?)など北東部特有の間投詞が頻出します。
「菜っ葉」は南部で verdura、北東部では macaxeira・aipim などキャッサバ系の呼び方もバリエーション豊かです。
筆者はリオで1ヶ月、サルバドールで2週間過ごした後、北東部訛りの方が耳に馴染むと感じました。
Salvador の語学学校
Diálogo Brazilian Language School
1992年創業、Rua Dr. João Pondé 240 Barra の海沿いキャンパスで、北東部で最も歴史ある語学学校です。
1週間グループコース20時間で約650USD、ホームステイ込み2週間1500USDが相場、世界中から学習者が集まります。
Idioma Escola de Português
2000年創業、Pelourinho 中心部 Rua das Laranjeiras 2 にあり、旧市街の真ん中で学べるのが魅力です。
1対1レッスンが中心、1時間25-30USDで講師全員がバイーア出身のベテランです。
治安と滞在の実用情報
Pelourinho は昼は安全ですが夜22時以降は警察官の数も減るのでタクシーやUberで移動が無難です。
ビーチでは貴重品を砂に置かず、Recife 市街地では夜の1人歩きは避けるようにしましょう。
空港から Pelourinho まで Uber で70-90BRL、バス Salvador Vai 1 本5BRLですが所要1時間以上かかります。
北東部は年間を通じて暑いですが、6-8月は南半球の冬で湿度が下がり、体力のある筆者でも過ごしやすかったです。
カーニバルと音楽フェス
Salvador のカーニバルは Trio Elétrico と呼ばれる音響トラックがメインで、Rio の Sambódromo 型とは別物です。
1950年代に Dodô と Osmar が始めた Trio Elétrico は今や Ivete Sangalo 1972年生まれや Bell Marques などスター歌手の独壇場、Abadá と呼ばれるブロコ参加シャツは1日400-1200BRLします。
Recife の Galo da Madrugada は1978年創設、1995年からギネス認定の世界最大カーニバル・ブロコで毎年150万人を集めます。
São Luís の Bumba Meu Boi は6月祭の伝統芸能、2019年ユネスコ無形文化遺産登録、マラニョンの誇りです。
北東部の交通
州間移動は飛行機が基本で、Azul 2008年創業、GOL 2000年創業、LATAM 2012年成立の3社が主要都市を網羅します。
Salvador→Recife は片道40分 400-600BRL、Salvador→Fortaleza は1時間40分 500-800BRL、早めの予約なら半額です。
長距離バスは Expresso Guanabara 1958年フォルタレーザ創業、Itapemirim 1953年創業が北東部の主要路線を運行、Salvador→Recife は夜行バスで12時間 150-220BRLです。
筆者はバスで夜の海沿いを移動するのが好きで、Natal から Fortaleza へ Expresso Guanabara の leito コースを使いました。
筆者の北東部3週間
Salvador 1週間→Recife/Olinda 3日→Natal 2日→Jericoacoara 3日→São Luís 3日→Lençóis Maranhenses 2日の計20日ルートでした。
語学面の収穫は「Nordeste 訛りに慣れると他の地域が楽になる」ことで、以後サンパウロの早口がゆっくり聞こえました。
予算は宿・食事・国内線込みで1日120-180USD、ポウサダ中心なら120USDで十分でした。


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