インドネシアでの金銭トラブルは、円からルピアへの両替で始まることが多いものです。
筆者は過去に空港両替所でのぼったくり、ATMでのカード飲み込み、モールの両替商で偽札をつかまされた経験があり、そのたびにインドネシア語の金融用語の重要性を痛感してきました。
両替所(Money Changer)の選び方
ジャカルタならPT Ayu Masagung(1970年創業、Central Pasar Baru地区の老舗)、バリならPT Central Kuta Money Changer(1993年設立、Kuta中心部)が信頼できる定番店です。
レートは毎日変動し、Bank Indonesia公式中心レート(JISDORと呼ばれる指標、2013年導入)を基準に各店が決めます。
レートを確認する
「Hari ini kurs yen berapa?(今日の円レートはいくら)」と聞くのが最初の一言です。
kursはレート、yenは日本円、rupiahはインドネシアの通貨単位です。
「100 ribu yen dapat berapa rupiah?(10万円で何ルピアになりますか)」と具体的な金額で尋ねれば、計算機を見せてくれます。
手数料の確認
「Ada biaya komisi?(手数料ありますか)」、「Kursnya sudah termasuk biaya?(レートに手数料は含まれていますか)」と必ず確認します。
優良店は手数料ゼロ、悪質店は表示レートから2〜3パーセント差し引くので、事前に電卓で計算してから渡すのが鉄則です。
銀行(bank)での口座開設と取引
長期滞在するならBank Mandiri(1999年4行統合で設立、国内最大)、BCA(Bank Central Asia、1957年設立、Djarumグループ)、BNI(Bank Negara Indonesia、1946年設立、独立直後の国営銀行)の3大銀行が選択肢です。
口座開設の会話
「Saya mau buka rekening tabungan(普通預金口座を開設したいです)」が第一声です。
「KITAS ada?(滞在許可証ありますか)」と聞かれるので、外国人はKITAS(Kartu Izin Tinggal Terbatas、2011年以降のIDカード形式)が必須です。
窓口と番号札
「Ambil nomor antrian di mesin(機械で番号札を取ってください)」と案内されたら、画面でSetor tunai(現金入金)、Tarik tunai(現金出金)、Kiriman uang(送金)などを選びます。
antrianは「順番待ち」の意味で、銀行でもクリニックでも日常的に使う単語です。
ATMの使い方とトラブル
インドネシアのATMはATM Bersama(1990年設立、全国相互利用ネットワーク)、ATM Prima、ATM Linkの3大ネットワークで繋がっています。
一度に引き出せる上限は銀行によって異なり、BCAが最高300万ルピア、Mandiriが1000万ルピアと幅があります。
ATMトラブル時のフレーズ
「Kartu saya ditelan ATM(カードがATMに飲み込まれました)」、「Uangnya tidak keluar tapi saldo sudah terpotong(お金が出てこないのに残高が引かれています)」は、まさかの事態で使う表現です。
ditelanは「飲み込まれる」、saldoは残高、terpotongは「引かれる」の意味です。
コールセンターへの連絡
BCAは1500888、Mandiriは14000、BNIは1500046がコールセンター番号です。
「Ada masalah dengan ATM(ATMで問題があります)」、「Tolong blokir kartu saya(カードをブロックしてください)」で対応してもらえます。
送金と国際送金
日本からインドネシアへの送金は、Wise(旧TransferWise、2011年創業)、Remitly(2011年設立)、PayPal経由が一般的です。
逆にインドネシアから日本へ送るなら、銀行の国際送金(Telegraphic Transfer)が確実です。
送金の会話
「Saya mau kirim uang ke Jepang(日本にお金を送りたいです)」、「Biaya kirim berapa?(送金手数料はいくら)」と確認します。
「SWIFT code tujuan ini(宛先のSWIFTコードはこちら)」のように、受取銀行のSWIFTコードを紙に書いて渡します。
電子マネーとQRIS決済
QRIS(Quick Response Code Indonesian Standard)は2019年にBank Indonesiaが導入した統一QR決済規格です。
GoPay、OVO、DANA、ShopeePay、LinkAjaなど、どのアプリでも同じQRコードで支払えます。
チャージと支払い
「Top up GoPay 100 ribu(GoPayに10万チャージ)」、「Scan QRIS-nya di sini(ここのQRISを読み取って)」が日常フレーズです。
Indomaret、Alfamart、Family Martのレジでも現金でチャージでき、少額なら手数料無料です。
筆者の鉄板フレーズ10
Kurs hari ini berapa(今日のレート)/Ada komisi(手数料ある)/Hitung ulang(もう一度計算)/Uangnya kurang(金額足りない)/Minta struk(明細ください)/ATM rusak(ATM壊れている)/Kartu saya ditelan(カード飲み込まれた)/Tolong blokir(ブロックして)/Pakai QRIS(QRISで)/Terima kasih(ありがとう)。
この10フレーズで、インドネシアの金融シーンはほぼ安心です。
ルピア紙幣と硬貨の基礎知識
インドネシアの紙幣はBank Indonesia(1953年設立)が発行し、現行シリーズは2016年に刷新されました。
1000、2000、5000、10000、20000、50000、100000ルピアの7種類で、最高額の10万ルピアでも日本円で約1000円という感覚です。
紙幣の人物
10万ルピアはスカルノ初代大統領とハッタ副大統領、5万ルピアは独立運動家Djuanda Kartawidjaja、2万ルピアはGusti Ngurah Madeがデザインされています。
紙幣の人物を話題にできると、両替商との会話が一気に盛り上がります。
偽札の見分け方
「Dilihat, diraba, diterawang(見る、触る、透かす)」がBIの公式標語です。
2017年にBIが発表したこのスローガンは、ホログラム、凹凸印刷、透かしの3点チェックを促します。
税金と日常のお金の話
モールやレストランでは10パーセントのPPN(付加価値税)が自動加算されます。
「Harga sudah termasuk pajak?(値段は税込ですか)」と確認するのが賢明です。
チップのマナー
チップ文化はほぼなく、サービス料込みが基本です。
ホテルのベルボーイには1〜2万ルピア、タクシー運転手には端数切り上げ、マッサージには5〜10パーセントが目安です。
筆者の失敗談 空港両替所で2割損した話
2016年、初めてのジャカルタ訪問で筆者はSoekarno-Hatta空港Terminal 3の両替所を利用し、市街地よりも2割悪いレートで1万円を両替しました。
到着ロビーには「No commission」と大書きされていたのですが、レート自体が市街地より劣悪だったのです。
以来、空港では必要最小限だけ両替し、市街地のBlok MやGrand Indonesiaの両替商で大口を替えるのが筆者のルールになりました。
旅行者保険の請求手続き
帰国後に保険請求するなら、現地で取得すべき書類が決まっています。
領収書(kwitansi)、診断書(surat keterangan dokter)、警察調書(laporan polisi)の3点セットが基本です。
「Minta kwitansi asli(領収書の原本ください)」、「Tolong surat dokter dalam bahasa Inggris(医師の診断書を英語で)」と頼めば、大抵の病院で対応してくれます。
クレジットカード会社への連絡
VISAやMastercardの緊急連絡先は24時間体制で、日本語対応もあります。
JCBのグローバルサポート(2001年開設)はジャカルタにも窓口があり、カード紛失時の緊急キャッシュサービスも利用できます。
外貨両替のタイミング
ルピアは新興国通貨で変動が大きく、1998年のアジア通貨危機では1ドル2500ルピアから16000ルピアまで暴落した歴史があります。
近年は1ドル15000〜16000ルピア前後で安定していますが、大きな両替をする時は複数のアプリでレートを比較するのが賢明です。
複数アプリでの相場確認
XE Currency(1993年開始のレート比較サービス)、Wise、Google検索の為替機能の3つを組み合わせれば、不当レートを見抜けます。
筆者はこの3点セットを必ず出発前に開いて、当日の中心レートを頭に入れてから両替所に向かいます。


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