旅先での体調不良や事故は誰にでも起こりうる話で、筆者もジャカルタで食あたり、バリでバイク事故、スラバヤで熱中症と三度のお世話になりました。
今回はインドネシア語で緊急事態を切り抜けるためのフレーズを、症状別・シーン別にまとめます。
体調不良を伝える基本フレーズ
「Saya sakit(私は具合が悪い)」が第一声の鉄板です。
続けて部位を指差しながら「Perut saya sakit(お腹が痛い)」、「Kepala saya pusing(頭がぐらぐらする)」と具体化します。
症状の伝え方
Demam(熱)、batuk(咳)、pilek(鼻水)、diare(下痢)、mual(吐き気)、muntah(嘔吐)がよく使う6単語です。
「Saya demam tinggi(高熱があります)」、「Saya diare sejak kemarin(昨日から下痢が続いています)」のようにsejakで開始時点を示します。
アレルギーと持病
「Saya alergi obat antibiotik(抗生物質にアレルギーがあります)」、「Saya punya asma(喘息持ちです)」は命に関わる情報なので覚えておきたい表現です。
punyaは「持っている」、asmaは英語と同じで通じます。
薬局(apotek)で使うフレーズ
街中の薬局は青や緑のApotekの看板が目印で、Kimia Farma(1817年オランダ統治時代創業、インドネシア最古の製薬会社)やCentury Healthcare(1999年設立)が代表的なチェーンです。
処方箋なしで買える薬
「Ada obat sakit kepala?(頭痛薬ありますか)」、「Yang tidak bikin ngantuk(眠くならないやつで)」のようにbikinはmembuatの口語形です。
Paramex(頭痛薬、Konimex社1967年製造開始)、Diapet(下痢止め、Soho社)、Tolak Angin(風邪薬、Sido Muncul社1940年創業)はインドネシアの三大国民薬として知られています。
処方薬の受け取り
「Saya punya resep dokter(医者の処方箋があります)」と言って処方箋を渡します。
「Obatnya diminum sehari berapa kali?(薬は1日何回飲みますか)」で服用回数を確認します。
病院(rumah sakit)での会話
インドネシアの病院はクラス別に分かれており、Rumah Sakit Umum Pusat(国立中央病院)からRumah Sakit Swasta(私立病院)まで様々です。
ジャカルタの外国人御用達はRS Siloam(1996年設立)、RS Mitra Keluarga(1989年創業)、RS Pondok Indah(1986年開業)の3大私立病院です。
受付での会話
「Saya mau daftar berobat(診察の受付をしたいです)」、「Saya belum pernah ke sini(初診です)」で受付を始めます。
daftarは登録、berobatは診察を受けるの意味です。
診察室での会話
「Sudah berapa hari begini?(こうなってどのくらい経ちますか)」、「Apa yang Anda makan tadi?(何を食べましたか)」と医師に聞かれます。
「Saya makan nasi goreng kemarin malam(昨夜炒飯を食べました)」のように答えます。
事故と警察への通報
緊急通報は110が警察、118が救急車、113が消防です。
2016年に全国統一緊急番号112も導入され、携帯から無料で繋がります。
事故現場での会話
「Tolong panggil ambulans(救急車を呼んでください)」、「Ada kecelakaan di jalan Sudirman(スディルマン通りで事故です)」と場所を明確に伝えます。
kecelakaanは事故、ambulansは救急車です。
警察への説明
「Dompet saya dicuri(財布が盗まれました)」、「Saya kehilangan paspor(パスポートをなくしました)」は盗難・紛失の二大フレーズです。
警察署(kantor polisi)で被害届(laporan polisi)を出すと、保険請求に必要な書類がもらえます。
保険と支払い
「Saya punya asuransi perjalanan(旅行保険に入っています)」と伝え、「Bisa bayar langsung ke asuransi?(保険会社に直接請求できますか)」を確認します。
RS Siloamなどの私立病院はキャッシュレス対応の海外保険が多く、事前に保険会社の連絡先を携帯しておくと安心です。
筆者の失敗談 バリでバイク事故
2019年、バリ島のUluwatuで借りたスクーターで転倒し、膝を擦りむいた筆者は、近くのKlinik Prima Medika(1999年開院)に駆け込みました。
「Saya jatuh dari motor(バイクから落ちました)」と伝えると、看護師が「Dibersihkan dulu ya(まず消毒しますね)」と丁寧に処置してくれました。
その時、日本語で「大丈夫」と声をかけてくれた医師がおり、インドネシアの医療現場の優しさを実感しました。
緊急時の鉄板10フレーズ
Tolong(助けて)/Saya sakit(具合悪い)/Panggil ambulans(救急車呼んで)/Di mana rumah sakit terdekat(最寄りの病院はどこ)/Saya alergi(アレルギーあります)/Ini resep dokter(処方箋です)/Berapa biayanya(いくらかかりますか)/Bisa bayar pakai asuransi(保険で払えますか)/Tolong hubungi kedutaan(大使館に連絡して)/Terima kasih banyak(ありがとうございました)。
最後の大使館連絡は、日本大使館(Jalan M.H. Thamrin Kav.24、1962年開設)の番号+62-21-31924308を携帯に登録しておくとさらに安心です。
水と食事の衛生管理
筆者の経験則として、インドネシアの食あたりは大抵「氷」か「生野菜の洗い水」が原因です。
モール以外の店では「Tanpa es, ya(氷なしで)」と必ず注文するようにしています。
安全な水の選び方
ミネラルウォーターはAqua(1973年創業、Tirto Utomo氏設立、現Danoneグループ)が圧倒的シェアを持ち、「Minta Aqua dingin」と言えば冷えたボトルが出てきます。
Aquaは商品名ですが、ミネラルウォーター全般の代名詞として使われます。
下痢になったら
「Saya butuh oralit(経口補水液がほしい)」と薬局で伝えます。
Oralitは1970年代にWHOが広めた経口補水塩で、インドネシアでは1袋数百ルピアで手に入ります。
熱中症と脱水症状
赤道直下のインドネシアでは熱中症(heat stroke)も旅行者の大敵です。
「Saya dehidrasi(脱水しています)」、「Saya butuh istirahat di tempat sejuk(涼しい場所で休みたい)」と伝えます。
モールのエアコンフロアは無料の避暑地として重宝します。
歯痛と虫歯
「Gigi saya sakit(歯が痛い)」、「Gigi berlubang(虫歯)」も覚えておきたい表現です。
Dental Dharma Wanita(1973年開院)やGigi & Gusi Dental Clinic(2005年開業)など、英語対応の歯科も増えています。
防犯と盗難対策
観光地でのスリや置き引きは、どの国でも共通の注意事項です。
ジャカルタのTanah Abang市場(1735年開設、東南アジア最大級の繊維市場)や、バリのKuta Beach周辺は特に要注意エリアです。
助けを呼ぶフレーズ
「Maling!(泥棒)」、「Copet!(スリ)」と大きな声で叫べば、周囲の人が振り向いてくれます。
インドネシア人は連帯意識が強く、「maling!」の叫びに群衆が反応する文化があります。
警察と大使館への連絡
盗難にあったら、最寄りの警察署でLaporan Polisi(警察調書)を必ず作成します。
日本大使館はジャカルタ中心部のM.H. Thamrin通りにあり、邦人援護課が24時間対応してくれます。
地震・火山と自然災害
インドネシアは環太平洋火山帯に属し、地震や火山噴火が頻繁に起きます。
「Gempa bumi!(地震)」、「Gunung meletus(火山噴火)」の語を覚えておけば、ニュースの速報も理解できます。
BMKG(気象気候地球物理庁、1947年設立)の公式アプリInfo BMKGは、地震速報と津波警報を日本語と同じ体感速度で配信しています。
避難所での会話
「Di mana tempat evakuasi?(避難所はどこ)」、「Apakah air minum tersedia?(飲み水はありますか)」と確認します。
2018年のロンボク島地震、2022年のチアンジュール地震では、地元の学校や役場が避難所として機能しました。


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