インドネシアの買い物は、モダンなショッピングモールから熱気あふれる伝統市場まで、値札がある世界とない世界の両方を楽しめます。
筆者がジャカルタのGrand Indonesia(2007年開業)とバリのSukawati Art Market(1983年開設)の両極端を同じ週に訪れた経験から、シーン別に使えるフレーズをまとめます。
モールと百貨店で使うフレーズ
ジャカルタのPlaza Indonesia(1990年開業)やSenayan City(2006年開業)のようなモールでは、値段は固定で、日本のデパートと同じ感覚で買い物ができます。
入店時の一言
「Selamat datang(いらっしゃいませ)」と店員に迎えられたら、「Saya hanya lihat-lihat dulu(ちょっと見ているだけです)」と返すのが無難です。
lihat-lihatは「見て回る」の意味で、しつこく勧められるのを防げます。
サイズと在庫を聞く
「Ada ukuran M?(Mサイズありますか)」、「Ada warna hitam?(黒色ありますか)」のようにadaで在庫を尋ねます。
試着したい時は「Bisa dicoba?(試着できますか)」と言えば、店員が試着室(kamar pas)を案内してくれます。
値段の確認
「Berapa harganya?(いくらですか)」、「Ini lagi diskon?(これセール中ですか)」が二大質問です。
インドネシアのモールは年に数回セールがあり、特にJakarta Great Sale(毎年6〜7月、2001年開始)の時期は狙い目です。
伝統市場(pasar)で使うフレーズ
Pasarと呼ばれる伝統市場は、値札がなく交渉次第という世界です。
ジャカルタのPasar Baru(1820年オランダ統治時代に開設、東南アジア最古級)やバリのUbud Market(中心部のUbud Art Market)は、旅行者にも人気のスポットです。
値段交渉の基本
「Berapa?(いくら)」と聞いて値段を言われたら、即答で半額から提示するのが鉄則です。
「Terlalu mahal, bisa kurang?(高すぎます、もう少し安く)」、「Boleh seratus ribu saja?(10万ルピアでどう)」のように、自分の希望額を直接言います。
断り文句
決裂したら「Nanti saja, terima kasih(また今度にします)」と笑顔で去るのがコツです。
すると店主が「Ya sudah, ambil aja(わかった、持っていきな)」と折れることが半分くらいあります。
まとめ買いで値引き
「Kalau saya ambil dua, bisa lebih murah?(2つ買ったら安くなりますか)」のようにkalauで条件を示せば、バラ売りより良い価格を引き出せます。
スーパーマーケットで使うフレーズ
IndomaretとAlfamartはインドネシア全土にあるコンビニチェーンで、前者は1988年、後者は1989年創業です。
「Plastiknya, ya(袋ください)」または「Tidak perlu kantong(袋不要)」は毎日使うフレーズです。
2020年以降、ジャカルタではレジ袋が有料化され、マイバッグ持参が一般的になりました。
レジでの定型句
「Ada kartu member?(会員カードお持ちですか)」と聞かれたら「Tidak punya(持っていません)」で問題ありません。
端数の小銭がない時は「Tidak ada kembalian kecil?(小銭のおつりありますか)」と確認します。
支払い方法
「Bayar pakai apa?(支払いは何で)」と聞かれたら、tunai(現金)、debit(デビットカード)、kredit(クレジットカード)、QRIS(2019年導入の統一QR決済)のいずれかで答えます。
お土産選びで役立つフレーズ
バリの伝統工芸品ならBatik(2009年ユネスコ無形文化遺産登録)、Silver(Celuk村の銀細工)、Wood carving(Mas村の木彫り)が三大定番です。
「Ini buatan tangan?(これ手作りですか)」、「Ini asli Bali?(これバリ産ですか)」で真贋を確認します。
包装を頼む
「Tolong dibungkus kado(プレゼント包装お願いします)」と伝えれば、無料で包んでくれる店がほとんどです。
Kadoはプレゼントの意味で、オランダ語のcadeau由来です。
筆者の失敗談 値切りすぎて気まずくなった話
2017年、Ubud Art Marketで木彫りのガネーシャ像を見た筆者は、店主の言い値50万ルピアを5万ルピアまで値切ろうとしました。
店主の表情が曇り、周囲の視線が痛くなり、結局15万ルピアで妥協しました。
後日、地元のガイドに「2割から3割引きが適正ライン」と教わり、以来筆者は値切りの上限を決めて挑むようになりました。
値切りマナー3原則
一つ、笑顔を絶やさない。
二つ、半額スタートでも相手を侮辱しない言い方を心がける。
三つ、決裂した時は「Terima kasih, Bu」と礼を言って去る。
これを守れば、インドネシアの市場は最高の社交場に変わります。
筆者おすすめ市場3選
ジャカルタならPasar Santa(1971年開設、2014年以降若者の集まる市場として再生)、ジョグジャカルタならPasar Beringharjo(1758年開設、ジャワ王宮文化を感じられる老舗)、バリならKuta Art Market(クタビーチ近くのTシャツ聖地)が筆者の定番です。
どこも朝8時から午後5時くらいが活気ある時間帯です。
インターネット通販とShopee/Tokopedia
近年のインドネシアでは、Tokopedia(2009年設立、William Tanuwijaya創業)とShopee(2015年シンガポール発、インドネシア進出2015年)の2強がEC市場を席巻しています。
現地在住者と話すと、「Ada diskon 11.11 di Shopee(11月11日のShopeeセールがある)」など、月日と数字を組み合わせた会話が日常茶飯事です。
配達に関するフレーズ
「Paketnya sudah sampai belum?(荷物届きましたか)」、「Titip ke satpam, ya(警備員に預けておいてください)」は集合住宅でよく使います。
satpamは警備員の意味で、インドネシアでは団地やオフィスビルの入口に常駐しています。
返品と交換
「Barangnya rusak, bisa ditukar?(商品が壊れています、交換できますか)」、「Saya mau refund(返金希望です)」で意思表示します。
Tokopediaは2014年にソフトバンクグループから投資を受け、返品ポリシーも日本並みに整備されました。
筆者の鉄板フレーズまとめ
Berapa harganya(いくら)/Bisa kurang(もう少し安く)/Ada ukuran lain(他のサイズは)/Bisa dicoba(試着できますか)/Terlalu mahal(高すぎる)/Tolong dibungkus kado(プレゼント包装して)/Tidak perlu kantong(袋不要)/Pakai QRIS saja(QRIS決済で)/Nanti saja(また今度)/Terima kasih banyak(ありがとうございました)。
この10フレーズで、インドネシアの買い物はほぼ乗り切れます。
服と靴の細かい注文
仕立て屋(penjahit)も街のあちこちにあり、バティックのシャツをオーダーメイドで仕立てる旅行者も少なくありません。
「Saya mau jahit kemeja batik(バティックシャツを仕立てたい)」、「Panjang lengannya sampai sini(袖の長さはここまで)」と指さしながら伝えます。
サイズと素材
「Bahannya apa?(生地は何ですか)」、「Ini katun asli?(これ純綿ですか)」のようにbahan(素材)、katun(綿)、sutra(絹)、polyester(ポリエステル)を押さえておくと便利です。
バティックの中でも手描きの「batik tulis」は機械捺染の「batik cap」の数倍の値段がします。
直しと調整
「Tolong dikecilin(少し詰めてください)」、「Lengannya dipendekin(袖を短くして)」は日常会話でよく使います。
-inはジャカルタ方言の命令形語尾で、メニューに載らない生きた言い回しです。
金貨・宝石街で値段交渉
ジャカルタのPasar Baru裏手や、ジョグジャカルタのMalioboro通り(1755年にスルタン・ハメンクブウォノ1世の時代から商店街として発展)では、金や銀の装飾品の値段交渉が生き残っています。
金の相場は当日のLondon Fix(ロンドン市場の金値決め)を基準に、店頭の電子掲示板で常に更新されています。
「Hari ini berapa per gram?(今日の1グラムの値段は)」、「Bisa diukir nama?(名前を彫ってもらえますか)」が現地購入者の定番質問です。


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