中上級向けイタリア語文法書・参考書ガイド 本当に使える一冊

中上級段階に入ると、初心者向けの教材では物足りなくなってきます。文法書を一冊丁寧にやり込み、ネイティブが使う実用的な参考書に触れることが、B2からC1へのステップアップには欠かせません。今回は私が実際に使って効果を実感した中上級向けの文法書・参考書を紹介します。

本格派文法書の定番

Alma Edizioni社(本社Via dei Cimatori 16 Firenze、1994年創業)の「Nuova grammatica pratica della lingua italiana」はスザンナ・ノッキ著で2011年初版、文法説明と練習問題がバランスよく配置された定番書です。B1からB2レベルで、全270ページ、価格は約23ユーロです。別冊解答付きで独学にも使えます。

同じくAlma社の「Grammatica avanzata della lingua italiana」はスザンナ・ノッキとロベルタ・タルタリャ共著で、B2からC2まで対応する上級者向けです。接続法の複雑な用法、間接話法、条件文の3種類など、中級で曖昧にしていた項目を徹底的に整理できます。

Guerra Edizioni社(本社ペルージャVia Aldo Manna 25、1979年創業)の「Italian grammar in practice」はチロ・マッサーロ著で、簡潔な説明と豊富な例文が特徴です。

ネイティブ向け文法参考書

本気で上級を目指すなら、ネイティブ用の文法書にも挑戦してみましょう。ルーカ・セリアンニ(1949-2022年ローマ生まれ、ローマ・ラ・サピエンツァ大学名誉教授)の「Grammatica italiana」(UTET出版、1989年初版)はイタリア語文法の金字塔で、全900ページを超える大著です。セリアンニ教授はクルスカ学会員で、イタリア語学界の第一人者でした。

マウリツィオ・ダルデァーノ1933年ローマ生まれとピエトロ・トリフォーネ1951年生まれ共著の「Grammatica italiana con nozioni di linguistica」(Zanichelli出版)は大学のイタリア語文法のテキストとして広く使われています。言語学的な視点も含まれ、学問的な深さがあります。

もう一冊、ラファエーレ・シモーネ1944年レッチェ生まれの「Fondamenti di linguistica」(Laterza刊、1990年)は言語学の入門書ですが、イタリア語の構造を俯瞰的に理解するのに役立ちます。

実用的な作文練習帳

Bonacci Editore社(1932年ローマ創業、Via Paolo Mercuri 8)の「Scrivere in italiano」シリーズは作文練習に特化しています。B2レベルの「Scrivere in italiano 2」は手紙、論説、要約の3つを体系的に練習できます。

Loescher Editore社(1867年トリノ創業、Via Vittorio Amedeo II 18)の「Italiano al lavoro」は職場での文書作成を想定した実用書で、ビジネスメールや報告書の書き方を学べます。

動詞活用の完全マスター

イタリア語の最大の難関は動詞活用です。「Il Dizionario dei verbi italiani」(Zanichelli刊、2007年改訂)は約7500の動詞を完全活用表で掲載する定番書です。半過去、遠過去、接続法現在、接続法半過去のすべての活用が一目で確認でき、私も毎週開いています。

Hoepli社の「I verbi italiani」(ペッレグリーノ・パスクアーレ著)はポケットサイズの動詞活用集で、持ち運びに便利です。1冊15ユーロほどで、全400ページの圧縮ぶりが見事です。

オンライン無料ツールのConjuga-me.net、Verbix.com、Coniugazione.reverso.netも補助的に使えますが、紙の本を一冊手元に置くほうが、系統的に覚えやすいと感じています。

前置詞・接続詞の専門書

前置詞はイタリア語学習者が最後まで悩む項目です。Guerra Edizioni社の「Preposizioni italiane」はチェザレ・パテルノストロ著で、a、di、da、in、su、per、con、tra/fraの8つの前置詞を用法別に200ページ以上解説する専門書です。時間、場所、手段、目的など意味カテゴリー別に整理されていて、曖昧な記憶を一気に整理できます。

接続法を極める一冊

接続法(congiuntivo)はイタリア語の華であり、学習者の最大の壁です。Alma社の「Congiuntivo, che passione!」は接続法だけに焦点を当てた1冊で、200以上の用例と練習問題で徹底的に学べます。B2からC1レベル向けで、著者はカテリーナ・ケオーニです。

私はこの本を3ヶ月かけて毎日10分ずつ進めました。終わる頃には「credo che sia」「spero che tu possa」「vorrei che tu venissi」といった定型パターンが自然に口から出るようになり、会話が一気に上品になりました。

学習用辞書のすすめ

ZINGARELLI(Zanichelli刊、1922年初版)はイタリア最大の辞書で、毎年改訂版が出ています。145000語を収録し、ネイティブも使う定番です。紙版は約90ユーロ、アプリ版は月額3.99ユーロです。

DEVOTO-OLI(Le Monnier刊、1971年初版)も同格の権威書で、ジャーコモ・デヴォート1897-1974年とジャンカルロ・オリ1921-2007年の共編です。文学的な例文が豊富で、作家志望者に愛用されています。

Treccani辞典(1932年創刊、イタリア百科事典協会Via della Navicella 3 Roma発行)はオンライン版が無料で使え、私はスマホのブックマークに入れていつでも参照しています。

購入方法

イタリアの学習書は日本のAmazonでは品揃えが限られるため、Amazon.itまたはIBS.it(イタリア最大のオンライン書店、1998年開業)で直接注文するのが確実です。IBS.itは日本向け発送も対応しており、5冊まとめれば送料込みで1冊約3000円程度に抑えられます。

東京ではイタリア文化会館(東京都千代田区九段南2-1-30)内のイタリア書店で主要テキストが入手できます。品切れの場合は取り寄せも可能です。

電子書籍ならAlma EdizioniやHoepliの公式サイトでPDF版が販売されています。価格は紙版の70%程度で、ダウンロード後すぐ使えます。

私の中上級教材の使い方

私はノッキの「Grammatica avanzata」を半年かけて2回通し読みしました。1回目は練習問題を飛ばして一気に読み、文法の全体像を把握。2回目は各章の練習問題を解きながら定着を図りました。これで曖昧だった接続法と間接話法がスッキリ理解できました。

並行して「Il Dizionario dei verbi」を週2回開き、気になった動詞の全活用を確認する習慣もつけました。地味な作業ですが、確実に実力がつきます。

最後に

中上級段階では、あれこれ教材を増やすより、良書を一冊徹底的にやり込むほうが成果が出ます。まずノッキ「Grammatica avanzata」を軸に、疑問点を感じたらセリアンニ「Grammatica italiana」で深掘りする、という2冊体制が個人的には最強でした。

本は買ったままで満足しがちですが、実際に開いて毎日10分でも手を動かすことが何より大切です。地道な学習こそが上級への最短ルートだと私は実感しています。

慣用句とコロケーション専門書

中上級者が悩むのが慣用句(modi di dire)とコロケーション(単語の組み合わせ)です。Zanichelli出版の「Modi di dire italiani」(モニカ・ケシ、マリオ・カンネッラ編、2012年刊)は5000以上の慣用句を収録し、例文と使用場面を解説しています。「in bocca al lupo(頑張れ)」「rompere il ghiaccio(打ち解ける)」「avere le mani bucate(浪費家である)」といった定番表現が体系的に学べます。

Loescher社の「Dizionario delle combinazioni lessicali」(フランチェスカ・ウルジェーゼ著)はコロケーション辞典で、たとえば「prendere」という動詞がどんな名詞と組み合わさるかが一目で分かります。prendere una decisione(決定する)、prendere il raffreddore(風邪をひく)、prendere la parola(発言する)のように用例豊富です。

これら慣用句辞典を毎日5つずつ覚えるだけで、半年で900表現が身につきます。会話の豊かさが格段に増し、ネイティブから「よく知ってるね」と驚かれるようになります。

どんな良書も使わなければ意味がありません。ぜひ一冊を選んで、今日から机の上に置いてみてください。

毎日開くことが何より大切です。三日坊主にならないよう、まずは10分から始めましょう。

皆さんのイタリア語学習が実りあるものになることを心から願っています。

一緒に頑張りましょう。In bocca al lupo!

応援しています。

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