こんにちは。イタリア語の中上級でリスニング力を伸ばすには、ネイティブ向けの音声を毎日浴び続けるのが近道です。この記事では、私が実際に使っている音声教材やリスニング用の本を、具体的な出版社と発行年を添えてご紹介します。
ディクテーション用の書籍教材
Ascolto Medio と Ascolto Avanzato
Bonacci Editore(Roma、Via Paolo Mercuri 8)から出ている Ascolto Medio(1998年初版、Sabrina Galasso 編)と Ascolto Avanzato(2000年、Antonio Moni 編)は、B2 から C1 レベルの学習者向けに作られた定番のリスニング教材です。実生活で聞き取りにくい電話応対、空港アナウンス、ラジオ討論などをそのまま収録していて、ディクテーションの題材として毎回新しい発見があります。
Alma の Primo ascolto シリーズ
Alma Edizioni の Primo ascolto(A1 から B1)と Ascolto Medio(B2 から C1)は、CD 付きで音声がクリアなので、初めてディクテーションに挑む人に向いています。Alma は Firenze の Via dei Cimatori 16 に本社を置き、1995年に Ciro Massimo Naddeo ほかが創業しました。
ポッドキャストでニュースに慣れる
Il Mondo(Internazionale)
週刊誌 Internazionale(Roma、Via Volturno 58、1993年創刊)が配信する Il Mondo は、毎週金曜に更新される約20分のポッドキャストです。世界情勢と文化の話題を Giovanni De Mauro 編集長のチームが平易なイタリア語でまとめてくれるので、C1 を目指す人にとって理想的な教材です。
Morning(Il Post)
Il Post(Milano、Via G. B. Cassinis 33、2010年創刊)が配信する Morning は、編集長 Luca Sofri が毎朝8時に更新する15分のニュース要約ポッドキャストで、私は毎日の通勤時間にこれを聴いています。RSS から無料で取得でき、Spotify にも載っています。
RAI Radio 3 の良番組
RAI Radio 3(Roma、Viale Mazzini 14)の Fahrenheit は月曜から金曜の15時から17時に放送される文化番組で、作家インタビューや書評が中心です。Ad alta voce は名作文学の朗読枠で、Italo Calvino の Il barone rampante や Natalia Ginzburg の Lessico famigliare の朗読版が無料公開されています。
テレビドラマをシャドーイングに使う
L amica geniale
RAI Fiction と HBO が共同制作した L amica geniale(2018年放送開始、Saverio Costanzo 監督)は、Elena Ferrante の小説をもとにした人気ドラマです。ナポリ方言が多く使われるエピソードもありますが、DVD 版には標準イタリア語の字幕が付いているので、シャドーイング素材として重宝します。
Romanzo Criminale La serie
Sky Italia が2008年から放送した Romanzo Criminale La serie(Stefano Sollima 監督)は、1970年代から80年代の Roma を舞台にしたドラマで、会話のテンポが速く C1 レベルの腕試しに最適です。
映画の脚本本で読み・聴きを連動させる
Einaudi(Torino、Via Umberto Biancamano 2、1933年創業)から出ている映画脚本集、たとえば La dolce vita(Federico Fellini 1960年作品の脚本、2003年に Einaudi から書籍化)を読みながら DVD を観ると、耳で聞き取れなかった部分が活字で一気に補完されます。わたしは週末にこの方法で一本ずつ映画を潰していました。
発音矯正に使える書籍
Italiano in laboratorio
Guerra Edizioni(Perugia、Via Aldo Manna 25)の Italiano in laboratorio(1992年、Pierangela Diadori 著)は、母音と子音、アクセント位置、語調の上げ下げを徹底的に練習できる発音専門書です。鏡の前で口の形を確認しながら音読すると効果的です。
Pronunciare l italiano
Guerra の Pronunciare l italiano(2007年、Giuliana Fiorentino 編)は、南北方言の差にも触れつつ標準イタリア語の発音規則をまとめた一冊で、CD に収められた模範音声を真似しながら繰り返すだけで発音がぐっと安定します。
オーディオブックで耳を鍛える
Audible Italia
Amazon 傘下の Audible は2016年にイタリア版をローンチし、Milano の Viale Monte Grappa 3 にオフィスを構えています。Elena Ferrante の L amica geniale、Paolo Giordano の La solitudine dei numeri primi、Andrea Camilleri の Il cane di terracotta など、有名作品がプロの俳優の朗読で配信されています。
Storytel
スウェーデン発のオーディオブック配信サービス Storytel(2005年 Stockholm で創業)もイタリアで展開しており、月額プランで無制限に聴き放題です。わたしは Milena Agus の Mal di pietre のオーディオブックを三回繰り返し聴きました。
ニュース番組を録音して精聴する
RAI 1 の Tg1(20時からの全国ニュース、1976年から放送)や La7 の Tg La7(Enrico Mentana キャスター、2010年開始)を録画し、冒頭10分だけを精聴するのもおすすめの練習です。わたしは IPTV 経由で録画し、翌朝の通勤時間に通して聴いています。
まとめ
リスニング対策の王道は、教材と実地素材を両輪で使うことです。Alma や Bonacci の書籍教材で型を覚えつつ、RAI Radio 3 や Il Post の Morning で生のイタリア語に毎日触れる、この組み合わせが最も効率の良い上達ルートだと感じています。
シャドーイング実践のコツ
シャドーイングで一番大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。わたしは同じ音源を五段階に分けて使います。第一段階は字幕なしでただ聴く、第二段階は文字起こしを読む、第三段階はリピーティング、第四段階はオーバーラッピング、第五段階がシャドーイングです。一本の素材でこの五段階を回せば、どんな学習者でも耳が変わります。
音読の習慣化に役立つアプリ
iPhone アプリの Speechling は、ネイティブ音声を真似て録音すると専属のコーチが添削してくれる有料サービスです。Speechling Inc.(San Francisco、Market Street 575所在、2016年創業)が運営しており、月15ドル前後でイタリア語の添削が受けられます。わたしは半年契約で利用し、発音と抑揚が目に見えて改善しました。
中級者がつまずきやすい音の特徴
イタリア語で日本人学習者がつまずきやすいのは、二重子音(gemiante)と舌先の r、そして nostro のような三連子音です。Edilingua(Roma、Via Moroianni 65)の In italiano Corso multimediale(Angelo Chiuchiu 著、1990年初版)には、これらの音を区別する最小対語の練習が大量に入っていて、耳を訓練する助けになります。
週間スケジュールの組み方
わたしが推奨する一週間の配分は、月曜と水曜と金曜の朝15分にシャドーイング、火曜と木曜の夜30分にディクテーション、週末に90分ほどドラマや映画を字幕なしで観るという内容です。総計で週4時間前後になりますが、これを三か月続けるだけで B2 から C1 に近づいていく感覚があります。
一緒に使いたい文字起こしツール
ポッドキャストや YouTube 動画を書き起こしたいときは、OpenAI の Whisper(2022年公開)を手元のパソコンで動かすのが便利です。多言語対応で、イタリア語の精度も高く、90分の音声を10分ほどで文字起こしできます。書き起こしと音源を並べて読む習慣がつくと、リスニング力は飛躍的に伸びます。
有料講座のリスニング特訓コース
italki の講師の中には、リスニング特化のコースを組んでくれる先生がいます。わたしが受けたのは Roma 在住の Giulia Bertolini 先生(Universita La Sapienza 卒、指導歴8年)のコースで、毎週 Il Post の記事を事前配布し、授業で音読と内容確認を交互に行う形式でした。8回で130ユーロほどと手頃で、独学に行き詰まったときのブレイクスルーになりました。
リスニングは筋トレと似ていて、短時間でも毎日続けることが一番効きます。今日紹介した教材の中から二つだけ選んで、今週から始めてみてください。


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