オランダはヨーロッパ有数のビジネスハブで、多国籍企業の欧州本社が集中しています。社内公用語が英語の企業も多いですが、同僚とのランチや社内チャット、取引先との雑談ではオランダ語が飛び交います。この記事では、オランダのオフィスで即使えるビジネスオランダ語を場面別にまとめます。
面接と入社
sollicitatiegesprek
就職面接は sollicitatiegesprek と呼ばれ、sollicitatiebrief (志望動機書) と cv (履歴書) を送るのが第一歩です。面接では「Kunt u iets over uzelf vertellen?」(自己紹介をお願いします) が定番の冒頭質問です。「Ik heb vijf jaar ervaring in marketing」(マーケティングで5年の経験があります)、「Ik spreek vloeiend Engels en ik leer Nederlands」(英語は流暢で、オランダ語を勉強中です) のように答えます。UWV (Uitvoeringsinstituut Werknemersverzekeringen、2002年設立) のウェブサイト werk.nl には vacatures (求人) 検索機能があります。
arbeidsovereenkomst
内定が出たら arbeidsovereenkomst (雇用契約) を結びます。salaris (給与)、proeftijd (試用期間、通常1から2ヶ月)、vakantiedagen (有給休暇、法定最低20日)、vakantiegeld (休暇手当、年間給与の8パーセント、毎年5月支給) が主要条件です。「Wat is het bruto maandsalaris?」(月額総支給額はいくらですか)、「Hoeveel vakantiedagen krijg ik?」(有給は何日もらえますか) と確認しましょう。
会議と打合せ
vergadering の運営
「Zullen we beginnen?」(始めましょうか) で会議が始まり、「Laten we de agenda doornemen」(アジェンダを確認しましょう) と続けます。voorzitter (議長) が進行し、notulen (議事録) を notulist が記録します。「Heeft iemand nog vragen?」(質問はありますか)、「Laten we dit punt parkeren en volgende week bespreken」(この件は保留にして来週議論しましょう) が会議でよく聞くフレーズです。
overleg と polderen
オランダのビジネス文化は poldermodel (干拓モデル) に基づく合意形成を重視します。overleg (打合せ) は正式な vergadering より小規模で、2から4人で問題を話し合います。「Heb je even tijd voor een kort overleg?」(ちょっと打合せの時間ある?) と気軽に声をかけるのがオランダ流です。draagvlak (支持基盤) を得ることが重視され、上司が一方的に決めるのではなく、チーム全員の同意を取り付けてから動きます。
メールの書き方
formal メール
書き出しは「Geachte heer/mevrouw」(拝啓) または名前を知っている場合「Geachte mevrouw De Vries」、結びは「Met vriendelijke groet」(敬具)。本文では「Naar aanleiding van ons telefoongesprek」(先日のお電話の件で)、「Bijgevoegd vindt u de offerte」(見積書を添付いたします)、「Ik kijk uit naar uw reactie」(ご返信をお待ちしております) が頻出です。
social メール
社内向けのカジュアルなメールは「Hoi team」(やあチーム) で始め、「Groetjes」(よろしく) で結びます。bijlage (添付ファイル)、cc (同報)、onderwerp (件名) も押さえておきましょう。
プレゼンテーション
「Goedemiddag, ik ga het vandaag hebben over…」(こんにちは、今日は〜についてお話しします) でプレゼンを始めます。「Zoals u kunt zien op deze slide」(このスライドでご覧のとおり)、「Samengevat」(まとめると)、「Zijn er nog vragen?」(質問はありますか) が骨格です。グラフの説明には「De omzet is gestegen met tien procent」(売上は10パーセント上昇しました)、「De kosten zijn gedaald」(コストは下がりました) のように stijgen (上がる) と dalen (下がる) を使います。Philips (Eindhoven、1891年創業) や Unilever (Rotterdam/London、1930年合併設立) のようなオランダ発の多国籍企業では社内プレゼンにオランダ語が使われることも多いです。
オフィスの日常語彙
kantoor (オフィス)、bureau (デスク)、vergaderzaal (会議室)、printer (プリンター)、koffieautomaat (コーヒーマシン)、pauze (休憩)、lunchpauze (昼休み)、flexwerkplek (フリーアドレス席)、thuiswerken (在宅勤務) が日常語です。オランダでは thuiswerken が2020年以降広く定着し、「Ik werk vandaag thuis」(今日は在宅です) がチャットの朝の定番メッセージになっています。borrel (仕事後の飲み会) も重要な語で、金曜の午後に vrijdagmiddagborrel (金曜午後の飲み会) が社内で開かれるのがオランダ企業の伝統です。Heineken (Amsterdam、Tweede Weteringplantsoen 21、1864年創業) のビールが出てくることも多いです。
オランダ式ネットワーキングの実践
オランダのビジネス文化では、borrel(ボレル)と呼ばれる仕事後の飲み会が人脈形成の重要な場です。毎週金曜の午後にオフィスでborreltijd(ボレルタイド)を設ける企業も多く、Rabobank(1972年設立、ユトレヒト本社)やABN AMRO(1991年設立、アムステルダム)などの大手金融機関でもこの慣習が根付いています。
ビジネスメールでは、Beste(親愛なる)で始めてMet vriendelijke groet(敬具)で締めるのが標準的です。英語のDear/Sincerely yoursに相当しますが、オランダ語では相手との関係性に応じてGeachte(より正式)とBeste(やや親しみ)を使い分けます。社内メールではHoi(やあ)やHallo(こんにちは)から始めることも珍しくありません。
オランダ企業の採用プロセス
オランダの求人市場ではLinkedInの利用率が極めて高く、人口約1780万人に対してLinkedInユーザーは1000万人を超えます。求人サイトとしてはIndeed Nederland、Nationale Vacaturebank、Intermediairが主要で、とくにRandstad(1960年アムステルダム創業)やHays Netherlandsなどの人材紹介会社が大きな役割を果たしています。
面接ではmotivatie(モチベーション)を重視されることが多く、なぜその企業で働きたいのかを具体的に説明できることが求められます。オランダ特有の労働文化として、parttime werken(パートタイム勤務)が一般的で、週4日勤務のpapadag(パパの日)やmamadag(ママの日)を取る社員も多いです。Werkgeversvereniging AWVN(1919年設立)の調査によれば、オランダはEU加盟国の中で最もパートタイム労働者の比率が高い国です。
オランダのビジネス用語の落とし穴
オランダ語のビジネス用語には、英語と似ているようで意味が異なるものがあります。例えばeventueel(エフェンテュエール)は英語のeventuallyではなく「場合によっては」という意味です。同様にactueel(アクテュエール)はactualではなく「最新の」を意味します。会議でDat is niet actueel meerと言われたら「それはもう最新ではない」という意味であり、「それは実際ではない」ではありません。
給与交渉では、bruto salaris(総支給額)とnetto salaris(手取り)の区別が重要です。オランダの所得税は累進課税で、2025年時点で年収75518ユーロまでが36.97%、それ以上が49.50%の税率です。vakantiegeld(バカンティーヘルト=休暇手当)として年間給与の8%が5月に一括支給される制度はオランダ独自のもので、雇用契約書にはこの条件が明記されます。


コメント