東部インドネシア完全ガイド コモド・ラジャアンパット・バンダ諸島徹底攻略

東部インドネシア—最果ての楽園パプア・マルク・NTT

インドネシアの東の果て、パプア、マルク諸島、ヌサ・トゥンガラ東部(NTT)は、観光客がまだまだ少ない「秘境の中の秘境」です。

コモド・ドラゴンが生息するコモド国立公園、マンタが群れるラジャ・アンパット、香料戦争の舞台となったバンダ諸島、ピンク色のビーチが広がるコモド島など、世界自然遺産級の絶景が満載です。

この記事では、東部インドネシアの三地域をまとめて紹介し、旅人の「次のインドネシア」を指し示します。

東部インドネシアの概要

東部インドネシアはウォレス線(Alfred Russel Wallace 1823-1913が1859年に提唱)の東側にあたり、動植物相がアジアとオーストラリアの混合型という生物地理学的に特別な地域です。

パプア州とパプア・バラット州を合わせたNew Guinea島西半分、マルク州と北マルク州、NTT州の3つのエリアに分かれます。

コモド諸島とフローレス島

Komodo National Park

1980年に設立、1991年にユネスコ世界遺産、2011年に「新世界七不思議の自然」に選ばれたKomodo National Parkは、世界最大のトカゲ・コモドドラゴン(Varanus komodoensis、成体3m超)の唯一の生息地です。

Komodo島、Rinca島、Padar島、Gili Motang島の4島に野生個体約5700頭が生息しています。

Labuan Bajo(フローレス島西端、Komodo空港LBJ)を拠点に、2泊3日のリブアボードで4島巡りをするのが定番です。

Padar島の展望台から見る3色ビーチ(白・黒・ピンク)、Pink Beach、Manta Point、Kanawa島、Kelor島、Seraya島のシュノーケリングは一生忘れられない景色の連続です。

入場料は2024年から大幅値上げされ、外国人1名あたり150000-450000Rpと変動するので最新情報をツアー業者に確認してください。

Flores島内陸

フローレス島は東西に長く、Bajawa(伝統村Bena)、Kelimutu(3色に変わるクレーター湖、標高1639m)、Moni、Maumere、Larantukaなど内陸にも見どころが豊富です。

特にKelimutuは日の出ツアーで訪れる絶景スポットで、緑・青・黒・ターコイズと数年で変化する三つの湖を同時に見られます。

Ende(スカルノが1934-1938年に流刑され「パンチャシラ」を構想した地)はインドネシア共和国発祥の地の一つとしても歴史的意義があります。

ラジャ・アンパット—海洋生物多様性の世界首都

Raja Ampat

西パプア州の北西沖にあるRaja Ampat(「4人の王」の意、Waigeo、Batanta、Salawati、Misoolの4大島)は、2014年に海洋保護区、2012年にユネスコ生物圏保護区に指定された世界一の海洋生物多様性を誇る海です。

1320種の魚、75%の世界サンゴ種、15種のサメ、マンタ、ウミガメなど、生物種の密度は他のどこにも追随を許しません。

Sorong(SOQ空港)を玄関口に、Waisaiへフェリーで2時間、そこからホームステイかリゾートへ。

Piaynemo展望台のカルスト絶景、Misool島のラグーン、Wayag島の多島美は写真家の夢の舞台です。

乾季(10-4月)が潮の透明度が高くベストシーズンで、特にマンタのシーズンは11-4月、ジンベエザメ遭遇率はCenderawasih湾の3-10月が高いです。

1週間以上のダイビング特化旅行として計画するのが現実的で、費用は決して安くありませんが、海に潜る人なら一生に一度は体験する価値があります。

Jayapura と Baliem Valley

パプア州の州都Jayapura、そしてWamenaから入るBaliem Valley(標高1600mの高地、Dani族の故郷)は、石器時代的な生活が今も息づく稀有な場所です。

毎年8月に開催されるBaliem Valley Cultural Festival(1989年開始)では、Dani、Lani、Yali族の伝統的な戦い(コテカ姿で弓矢を交える儀礼)、豚祭り、豚焼きバケツ料理Bakar Batuが見られます。

現地訪問には特別許可証Surat Jalanが必要なので、信頼できる現地エージェント経由で手配してください。

マルク諸島—香料戦争の舞台

Ambon(アンボン)

マルク州の州都Ambonは、16-17世紀にポルトガル、オランダ、イギリスが香料(クローブ、ナツメグ)を巡って血みどろの戦いを繰り広げた歴史の舞台です。

Fort Amsterdam(1512年ポルトガル築、1609年オランダ再建)、Siwalima Museum(1973年開館)、Natsepa Beach、Pantai Ora Beachが観光スポットで、ゆったりしたカリブ海のような空気感が漂います。

Banda Islands(バンダ諸島)

アンボンから飛行機で30分または船で一晩、世界史を動かしたBanda Islands(10島)は、かつて世界唯一のナツメグ産地でした。

1667年の英蘭「ブレダ条約」で、オランダがイギリスからBanda諸島のRun島を獲得する代わりに、ニューヨーク(当時ニューアムステルダム)をイギリスに譲ったという世界史級の取引で有名です。

Fort Belgica(1611年オランダ築、1667年再建)、Gunung Api活火山(標高640m)、バンダ島の農園ツアーでナツメグとメースの歴史を学べます。

ヌサ・トゥンガラ東部(NTT)の他の島々

Sumba島

NTT州のSumba島は、Marapu(祖霊信仰)、伝統家屋Uma、巨石墓、そして毎年2-3月に行われるPasola(槍投げ騎馬合戦)で知られる文化濃密な島です。

西部のWaikabubak、東部のWaingapuを拠点に、Tarimbang、Watu Parunu、Nihiwatuといった人気ビーチを巡れます。

Nihi Sumbaリゾート(2000年開業、2016年Travel+LeisureのWorld Best Hotelに選出)はアンリ・バラン1968年生が所有する秘境の高級リゾートです。

Timor島とAtauro

Kupang(NTT州都)からTimor島を縦断し、独立国East Timor(2002年独立)との国境を越えるバックパッカー向けルートもあります。

Atauro島(東ティモール領)は世界一の魚種多様性を誇る海で、シュノーケリングでも楽園のような景色を見られます。

Lombok島のRinjani山

ロンボクはバリの東隣の島で、厳密には西ヌサ・トゥンガラ州ですが、東部への入口として訪れる人が多い島です。

標高3726mのRinjani山(インドネシア第2位)は2泊3日の本格的なトレッキングの舞台で、山頂からのご来光と火口湖Segara Anakの景色は、東南アジア屈指のアドベンチャー体験として知られています。

Gili Trawangan、Gili Meno、Gili Airの3つの小島はサンセットとダイビングで人気です。

東部インドネシア旅行の実務

東部の旅行は物流が細いため、天候、フライト、機材、港湾など不確定要素が多くなります。

Labuan Bajo、Sorong、Ambon、Kupang、Jayapuraが主な空港で、ジャカルタ経由やデンパサール経由のフライトが基本です。

費用面ではラジャアンパトが突出して高く、コモドは中程度、マルクとNTTは比較的リーズナブルです。

言語は標準インドネシア語がどこでも通じますが、地方語(Dani、Ambon Malay、Manggaraiなど)で挨拶できると歓迎度が変わります。

パプアの倫理的配慮

パプアでは政治情勢が複雑で、撮影禁止エリアや立ち入り制限区域もあります。

現地のガイドの指示に従い、写真は必ず許可を取ってから撮る、現地コミュニティへの感謝を忘れない、ゴミを残さない、という最低限の旅行倫理を守ってください。

東部グルメと工芸

東部インドネシアは魚介と根菜が主役です。

アンボンのPapeda(サゴヤシの粥)、Ikan Kuah Kuning(黄色魚スープ)、マルクのRujak Natsepa、パプアのBakar Batu(蒸し焼き儀礼料理)、Flores島のSe”i Sapi(燻製牛)、Sumba島のKa”pu Pantunu、Jagung Bose(トウモロコシと豆)は、地方ごとに特産品が並びます。

工芸品では、Sumbaのikat織り、Floresのikat、パプアのKoteka(伝統的な男性用衣装)や木彫り、マルクのパール製品などが定番のお土産で、Labuan BajoやAmbonの市場で値段交渉しながら買うのが定番です。

東部インドネシアは、ジャワ島とバリだけを見て帰る旅人には決して見えない、もうひとつのインドネシアです。

ウォレス線の東側という生物地理学的な特殊性、キリスト教とアニミズムが色濃く残る文化、そしてコモドとラジャ・アンパットという世界遺産級の自然。

一度は踏み込んで、「インドネシアってこんなに広いんだ」という驚きを味わってほしい場所です。

成田からジャカルタ経由でラブアンバジョへ到達するだけで丸一日、そこからさらに海へ出る手間を惜しまない旅人にだけ、東部インドネシアは本当の顔を見せてくれます。

旅の計画段階では、外務省の海外安全ホームページ(anzen.mofa.go.jp)とインドネシア移民総局(imigrasi.go.id)で最新情報を必ず確認してください。

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