熱を出したときのタイ語ほど、切実に覚えたくなるものはありません。
バンコク病院(1972年創業、エカマイ)やバムルンラード病院(1980年開院、スクンビット3)は英語が通じる一方、地方のクリニックや薬局ではタイ語が頼りになります。
この記事では、症状を伝えるフレーズから薬局での買い物、保険請求まで、旅行者も駐在員も使えるタイ語をまとめます。
まずは体調の基本語彙
「熱がある」は มีไข้(mii khai)、「頭が痛い」は ปวดหัว(puat huaa)、「お腹が痛い」は ปวดท้อง(puat thoong)です。
「吐き気がする」は คลื่นไส้(khluen sai)、「めまい」は เวียนหัว(wian huaa)。
「のどが痛い」は เจ็บคอ(jep khoo)、「咳」は ไอ(ai)、「鼻水」は น้ำมูกไหล(nam muuk lai)です。
タイ語の「痛い」は部位の前に ปวด(鈍痛)か เจ็บ(鋭い痛み)を置くのがコツ。
頭痛は鈍痛なので ปวด、切り傷は鋭い痛みで เจ็บ、と使い分けます。
病院で使う受付フレーズ
受付で最初に言うのは「ไม่สบายครับ อยากพบหมอครับ」(体調が悪いです、医師に会いたいです)。
初診は「มาครั้งแรกครับ」(初めて来ました)、保険は「มีประกันสุขภาพ AIA ครับ」のように会社名を続けます。
AIA(1938年香港創業、タイ進出1938年)やチャブ保険(タイ国内名 ACE、2016年に Chubb が統合)が日本人にもなじみ深いです。
問診では「เป็นมา 3 วันแล้วครับ」(3日前からです)のように時間を添えます。
「アレルギーはありますか」は「แพ้ยาอะไรไหมครับ」。ペニシリンアレルギーは「แพ้ penicillin ครับ」と答えれば伝わります。
診察室での会話
医師が「ตรวจคอหน่อยนะครับ」(のどを診ますね)と言ったら、口を開けて「อ้า」(アー)と発声します。
体温計は ปรอท(prot)、血圧計は เครื่องวัดความดัน、聴診器は หูฟัง。
「X線を撮ります」は「เอกซเรย์ครับ」、「血液検査」は「เจาะเลือด」。
検査結果の説明では「ไข้หวัดใหญ่」(インフルエンザ)、「ท้องเสีย」(下痢)、「อาหารเป็นพิษ」(食中毒)などの病名を押さえておくと安心です。
タイは熱帯気候でデング熱 ไข้เลือดออกも珍しくなく、マヒドン大学熱帯医学部(1960年設立)の統計では年間8万〜15万例の報告があります。
薬局での買い物
タイの薬局チェーンは Boots(英Alliance Boots、タイ進出1997年)、Watsons(A.S. Watson、タイ進出1996年)、Fascino(1989年創業、タイ系)が三大勢力です。
処方箋不要薬は ยาสามัญประจำบ้าน(家庭常備薬)と呼ばれ、解熱剤 ยาลดไข้、整腸剤 ยาแก้ท้องเสีย、絆創膏 พลาสเตอร์ などがレジ近くに並びます。
店員に「ขอยาแก้ปวดหัวครับ」(頭痛薬をください)と伝えると、Tylenol(Johnson & Johnson、1955年発売)や Sara(タイのパラセタモール薬、GPO製造)を出してくれます。
GPO(タイ政府製薬公社)は1966年設立で、ジェネリックを安価で提供しています。
虫さされには ยาหม่อง(ヤーモン=タイガーバーム類、1908年シンガポール発祥)、日焼けには โลชั่นกันแดด(日焼け止め)。
歯科・眼科で使うフレーズ
虫歯は ฟันผุ、歯医者は หมอฟัน。「ฟันผุครับ ขออุดฟัน」(虫歯です、詰めてほしいです)が定番です。
バンコクのスミティヴェート病院(1979年開院)やBIDC(Bangkok International Dental Center、2004年開院)は日本語対応もあります。
眼科は จักษุแพทย์、「目がかゆい」は「คันตา」、ドライアイは「ตาแห้ง」。
救急と入院
救急車は รถพยาบาล、番号は 1669(ナルンラック救急センター、2008年運用開始)。
「เรียกรถพยาบาลด่วนครับ」(救急車を呼んでください、急ぎです)は命綱のフレーズです。
入院は นอนโรงพยาบาล、手術は ผ่าตัด。
個室は ห้องเดี่ยว、大部屋は ห้องรวม。
日本の海外旅行保険のキャッシュレス提携病院は、バンコク病院グループ・サミティヴェート・BNHの3系列が中心です。
ケーススタディ ホテルで腹痛
場面はスクンビット通りのホテル、朝食のトムヤムクンを食べたあとです。
ベルボーイ「เป็นอะไรครับ」(どうされました)
田中さん「ท้องเสียตั้งแต่เมื่อคืนครับ」(昨夜からお腹を下しています)
ベルボーイ「จะเรียกหมอให้ไหมครับ หรือไปคลินิกใกล้ๆ」(医者を呼びますか、近くのクリニックに行きますか)
田中さん「ขอไปคลินิกครับ เบาๆก่อน」(クリニックに行きます、軽症のうちに)
このやり取りで覚えたいのは เบาๆ(軽めに)。症状の程度を伝える万能副詞です。
学習リソース
医療タイ語の定番教材は、Benjawan Poomsan Becker著『Thai for Intermediate Learners』(Paiboon Publishing、1996年創業)の第8課「Medical」。
また、JICA(1974年設立)タイ事務所のウェブに「医療タイ語単語集」PDFが公開されていて、駐在員家族の間で重宝されています。
国立研究機関シリラート病院(1888年開院、タイ最古)が運営する公式YouTubeにはタイ語の問診動画があり、耳慣らしに最適です。
タイの医療制度をざっくり知る
タイは2002年に30バーツ医療制度(บัตรทอง)を開始し、国民皆保険を事実上実現しました。
制度を管轄するのは保健省(กระทรวงสาธารณสุข、1942年設立)で、全国にある約1万の保健所(สถานีอนามัย)がプライマリケアを担います。
外国人旅行者は対象外ですが、外来は公立病院でも自己負担で受診できます。
私立と公立の価格差は大きく、風邪の診察なら公立のシリラート病院で300バーツ、私立のバンコク病院で2000バーツ前後が相場感です。
予算と症状の重さで選ぶのが賢い使い方になります。
保険請求の定番フレーズ
キャッシュレス対応なら「ขอใช้ประกันแบบ cashless ครับ」、領収書払いなら「ขอใบเสร็จกับใบรับรองแพทย์ครับ」(領収書と診断書をください)。
診断書は ใบรับรองแพทย์、明細書は ใบแจ้งรายการ、カルテ写しは สำเนาเวชระเบียน。
日本の損保ジャパン(1888年創業)や東京海上日動(1879年創業)のタイ支店はスクンビット通りに固まっているので、領収書を持って直接相談にも行けます。
注意したい言い回し
タイ語で「痛くないですよ」と医師が言っても、注射針はそれなりに痛みます。
これは日本の「ちょっとチクッとしますよ」と同じ文化的クッション表現で、タイ語では「ไม่เจ็บมากหรอก」(そんなに痛くないよ)と言います。
逆に患者が我慢強く「ไม่เป็นไรครับ」(大丈夫です)を連発すると、医師が症状を軽く見積もってしまうことがあるので注意。
痛いときは「เจ็บมากครับ」(とても痛いです)とはっきり言うのが、タイでは患者の正しいふるまいです。
まとめ
体調の基本語彙・受付フレーズ・薬局のやり取り・救急番号1669の4点を押さえれば、タイでの病気はずいぶん怖くなくなります。
旅行前にスマホのメモに「ไม่สบายครับ / ปวดท้อง / แพ้ penicillin」の3行を書いておくだけでも安心感が違います。
体が元気なときに覚えておきましょう、病気になってから辞書を引くのは本当に辛いので。
症状別 よく使う例文集
発熱時「มีไข้ 38 องศาครับ ตั้งแต่เมื่อคืน」(38度の熱があります、昨夜から)。
腹痛時「ปวดท้องส่วนล่างครับ บิดๆ」(下腹部が痛いです、差し込む感じで)。บิดๆ は「よじれる」イメージで、胃腸の差し込み痛に合います。
軽い怪我「หกล้มที่ BTS อโศกครับ เข่าถลอก」(アソーク駅で転びました、膝を擦りむいた)。
日射病「ตากแดดนานเกินไปครับ เวียนหัว」(日に当たりすぎました、めまいがします)。
タイのソンクラーン(4月13日〜15日)前後は気温40度近くになるので、脱水症状 ขาดน้ำ の語彙も覚えておくと役立ちます。
子ども連れで覚えたいひと言
「息子が熱を出しました」は「ลูกชายมีไข้ครับ」、「娘が咳をしています」は「ลูกสาวไอครับ」。
小児科は กุมารแพทย์、小児用シロップは ยาน้ำเด็ก。
サミティヴェート・スクンビットの小児センター(1991年開設)は日本人ママの定番で、日本語通訳も常駐しています。
予防接種は ฉีดวัคซีน、母子手帳は สมุดบันทึกสุขภาพแม่และเด็ก。長いですが、滞在が長期になる家庭は覚える価値があります。


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