スウェーデン語の前置詞と時間表現
前置詞はスウェーデン語学習の地味な難所です。
同じ日本語「〜で」や「〜に」でも、場所を表すのか時間を表すのか、動作を表すのか状態を表すのかで使う前置詞が変わります。
この記事では、頻出前置詞を用法別に整理し、時間表現の定型句も合わせて体系的にまとめます。
場所を表す前置詞
i と på
「i(〜の中に)」と「på(〜の上に/表面に)」は使い分けが肝心です。
「i Stockholm(ストックホルムで)」「i Sverige(スウェーデンで)」のように国や都市は「i」を使うのが基本です。
ただし島には「på」を使い、「på Gotland(ゴットランド島で)」「på Öland(エーランド島で)」となります。
建物と目的で区別することも多く、「i skolan(校舎の中)」と「på skolan(学校という組織)」はニュアンスが違います。
til と mot
「till(〜へ、〜まで)」は目的地、「mot(〜に向かって)」は方向を表します。
「Jag går till affären.(店へ行く)」「Han springer mot mållinjen.(ゴールラインに向かって走る)」のように使い分けます。
vid, nära, bredvid
「vid(〜のそばに)」「nära(〜の近くに)」「bredvid(〜の隣に)」で近接を表現します。
「Hotellet ligger vid centralstationen.(ホテルは中央駅のそばにあります)」のように使います。
時間を表す前置詞
i, om, på の時間用法
「i en timme(1時間のあいだ)」は継続期間、「om en timme(1時間後に)」は未来時点、「på en timme(1時間で)」は所要時間を表します。
「Jag har läst i två timmar.(2時間勉強した)」「Jag kommer om tjugo minuter.(20分後に着きます)」「Jag gjorde det på fem minuter.(5分でやった)」と使い分けます。
曜日と月
曜日は「på måndag(月曜日に)」、毎週は「på måndagar」のように前置詞påを使います。
月は「i januari(1月に)」、年は「år 2026(2026年)」または「2026」と数字だけで書きます。
日時の前置詞
「klockan sju(7時に)」は時刻の定型表現です。
「på morgonen(朝に)」「på kvällen(夕方に)」「i natt(今夜)」「imorgon bitti(明朝)」「igår(昨日)」「förrgår(一昨日)」は頻出です。
期間と時点の違い
sedan と för…sedan
「sedan」は「〜以来」、「för…sedan」は「〜前に」という対照的な意味を持ちます。
「Jag har bott här sedan 2020.(2020年からここに住んでいる)」「Jag flyttade hit för sex år sedan.(6年前にここに引っ越した)」と使い分けます。
innan, efter, mellan
「innan(〜の前に)」「efter(〜の後で)」「mellan(〜の間に)」は時系列を整理します。
「Ring mig innan klockan åtta.(8時前に電話して)」「Efter jobbet går vi på bio.(仕事の後で映画に行きます)」のように使います。
動きと方向の前置詞
från と ur
「från(〜から)」は出発点、「ur(〜から中身を出す)」は容器の中からを表します。
「Jag kommer från Japan.(日本出身です)」「Han tog boken ur väskan.(彼はカバンから本を取り出した)」のように使います。
genom と förbi
「genom(〜を通って)」「förbi(〜を通り過ぎて)」は経路表現です。
「Vi gick genom parken.(公園を通って歩いた)」「Bussen körde förbi skolan.(バスは学校を通り過ぎた)」となります。
under と över
「under」は「〜の下に」だけでなく時間で「〜のあいだ」を表し、「över」は「〜の上」と「〜を超えて」の両方を持ちます。
「under middagen(食事のあいだ)」「över helgen(週末を通じて)」は時間用法です。
場所を表す前置詞の応用
hos 人のところで
「hos」は「〜の家に/〜のところに」を表す専用前置詞です。
「Jag bor hos mina föräldrar.(両親のところに住んでいる)」「Jag var hos doktorn.(医者のところへ行った)」のように使います。
上下左右の表現
「ovanför(〜の上方に)」「nedanför(〜の下方に)」「framför(〜の前に)」「bakom(〜の後ろに)」「mellan(〜の間に)」は空間関係を正確に伝えます。
「Katten sover framför brasan.(猫は暖炉の前で眠っている)」のように使います。
原因・目的・手段の前置詞
för と av
「för(〜のために)」は目的や受益者、「av(〜によって/〜から)」は原因や動作主を表します。
「En present för dig.(君へのプレゼント)」「Brevet skrevs av Anna.(手紙はアンナによって書かれた)」のように使います。
med と utan
「med(〜と一緒に/〜を使って)」「utan(〜なしに)」は対の関係です。
「Jag åker med tåg.(電車で行く)」「Kaffe utan socker, tack.(砂糖なしのコーヒーをお願いします)」と実用的です。
trots と tack vare
「trots(〜にもかかわらず)」「tack vare(〜のおかげで)」は因果関係を示します。
「Trots regnet gick vi ut.(雨にもかかわらず外出した)」「Tack vare dig lyckades jag.(あなたのおかげで成功した)」と使います。
季節と年中行事の時間表現
季節名と前置詞
「på våren(春に)」「på sommaren(夏に)」「på hösten(秋に)」「på vintern(冬に)」と「på」を使います。
特定年の特定季節は「sommaren 2026(2026年の夏)」のように定形名詞と年を並べます。
祝日表現
「på midsommarafton(夏至祭の前日に)」「i julas(去年のクリスマスに)」「till påsk(イースターまでに)」のように前置詞が変わります。
「julafton」はクリスマスイブで、スウェーデンでは12月24日がクリスマスの本番です。
頻度表現
「en gång i veckan(週に1回)」「två gånger om dagen(日に2回)」「varje morgon(毎朝)」「varannan dag(一日おきに)」は頻度を語る定型句です。
日付・時間の具体表現
日付の読み方
「den sjätte juni(6月6日)」は正式な読み方で、6月6日はスウェーデンの「Nationaldag(建国記念日)」です。
日常では「sjätte juni」と「den」を省いて言うこともあります。
週と月の表現
「förra veckan(先週)」「denna vecka(今週)」「nästa vecka(来週)」で週を指します。
「vecka 15(第15週)」のように週番号で会話するのもスウェーデンの特徴で、ビジネスではカレンダーの週番号が一般的です。
曖昧な時間表現
「snart(もうすぐ)」「nyss(ちょっと前)」「strax(すぐに)」「någon gång(いつか)」「aldrig(決して〜ない)」「alltid(いつも)」は副詞ですが時間を語るのに必須です。
頻出イディオムと前置詞
動詞と前置詞の結びつき
動詞によって決まった前置詞を取るケースが多く、一つずつ覚える必要があります。
「tänka på(〜について考える)」「lyssna på(〜を聴く)」「vänta på(〜を待つ)」「tro på(〜を信じる)」「bero på(〜による)」のようにpåを取る動詞群があります。
一方「vara bra på(〜が得意)」「vara intresserad av(〜に興味がある)」「vara rädd för(〜を怖がる)」のように形容詞+前置詞の型もあります。
比喩的な前置詞用法
「i så fall(その場合は)」「på sätt och vis(ある意味では)」「under alla omständigheter(いかなる状況でも)」は定型句として丸ごと覚えると便利です。
書き言葉の前置詞
「enligt(〜によれば)」「gällande(〜に関して)」「angående(〜について)」は正式な場面で登場します。
「Enligt SCB är Sveriges befolkning över tio miljoner.(SCBによるとスウェーデンの人口は1000万人を超える)」のように使います。
まとめ:前置詞は会話の潤滑油
前置詞は単独では意味を持たないように見えますが、正しく使えば文章に立体感が生まれます。
「Jag bor i Stockholm sedan tre år.(3年前からストックホルムに住んでいます)」のひと言にも、iとsedanという2つの前置詞が働いています。
例文を音読して体に染み込ませていきましょう。


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