オープンイノベーション、つまりスタートアップや他社と組んで新しい価値を生む取り組み。そのスウェーデン語のやり取りは、フレーズ単体を覚えても、流れの中での使い方が分からないと不安が残ります。
協業の打診から成果配分の確認まで、一連の会話として体に入れておくと、本番で自然に口が動きます。
この記事では、打診・PoCのすり合わせ・成果配分の3場面を、AとBの会話で順番に追います。各往復を話者・スウェーデン語・読み方・日本語訳の4列でならべ、その前後に「いま何が起きているか」を解説します。
登場人物はこう設定します。
- A=自社側(スタートアップに協業を打診する企業の担当者)
- B=相手側(スウェーデンのスタートアップの担当者)
会話文をなぞるうちに、協業の「型」が体に入っていきます。スウェーデンでは商談でも「du(君)」で呼び合うのが基本で、肩書きより対等な対話が重んじられます。
場面1|スタートアップに協業を打診する
イベントで知り合ったスタートアップに、協業を持ちかける場面です。
いきなり条件からでなく、共通の狙いと互いの強みから話を始めます。
| 話者 | スウェーデン語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Tack för att du tar dig tid. Vi har följt ert arbete länge. | タック・フョール・アット・ドゥ・タール・デイ・ティード・ヴィ・ハール・フョルト・エート・アルベーテ・レンゲ | お時間ありがとうございます。御社の取り組みに以前から注目していました。 |
| A | Vi ser stor potential i att jobba tillsammans. | ヴィ・セール・ストゥール・ポテンシャール・イ・アット・ヨッバ・ティルサンマンス | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| B | Det var roligt att höra. Vad hade du tänkt dig? | デ・ヴァール・ローリクト・アット・ホーラ・ヴァード・ハーデ・ドゥ・テンクト・デイ | うれしいですね。どんな構想でしょう? |
| A | Ni har tekniken, vi har distributionen. | ニ・ハール・テクニーケン・ヴィ・ハール・ディストリブシオーネン | 御社には技術が、当社には販路があります。 |
| B | Så våra styrkor skulle kunna komplettera varandra. | ソー・ヴォーラ・スティルコル・スクッレ・クンナ・コンプレッテーラ・ヴァランドラ | つまり互いの強みを補い合えますね。 |
| A | Precis. Skulle ni vara öppna för ett gemensamt initiativ? | プレシース・スクッレ・ニ・ヴァーラ・ウッペナ・フョール・エット・イェメーンサムト・イニシアティーヴ | その通りです。共同の取り組みにご関心はありますか? |
| B | Absolut. Låt oss utforska hur det skulle kunna se ut. | アブソルート・ロート・オス・ウートフォルスカ・フール・デ・スクッレ・クンナ・セー・ウート | もちろんです。どんな形になるか一緒に探りましょう。 |
「komplettera varandra」で互いの強みが補完関係にあると示すと、相手も組む意義をつかめます。
最後を「Skulle ni vara öppna för…?」と問いの形にすると、押しつけずに前向きな返事を引き出せます。
場面2|PoCのスコープをすり合わせる
協業に前向きになり、まず小さく試すPoC(概念実証)の中身を詰める場面です。
範囲・期間・成功基準を一つずつ言葉にして、認識をそろえます。
| 話者 | スウェーデン語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Ska vi börja med ett litet proof of concept? | スカ・ヴィ・ボリヤ・メド・エット・リーテット・プルーフ・オブ・コンセプト | まず小さなPoCから始めませんか? |
| B | Låter bra. Vilken omfattning tänker du dig? | ローテル・ブラー・ヴィルケン・オムファットニング・テンケル・ドゥ・デイ | いいですね。範囲はどうお考えですか? |
| A | Vi kör en pilot på tre månader med en produktlinje. | ヴィ・ショール・エン・ピロート・ポー・トレー・モーナデル・メド・エン・プロドゥクトリーニェ | 1つの製品ラインで3か月の試験運用にしましょう。 |
| B | Och hur ser framgång ut för er? | オク・フール・セール・フラムゴング・ウート・フョール・エール | 御社にとっての成功基準は何でしょう? |
| A | En effektivitetsökning på tio procent vore en tydlig vinst. | エン・エフェクティヴィテーツウークニング・ポー・ティーオ・プロセント・ヴォーレ・エン・テュードリグ・ヴィンスト | 10%の効率改善が出れば明確な成功です。 |
| B | Det kan vi validera i liten skala. | デ・カン・ヴィ・ヴァリデーラ・イ・リーテン・スカーラ | 小規模で検証できます。 |
| A | Om piloten fungerar skalar vi upp den. | オム・ピローテン・フュンゲラル・スカーラル・ヴィ・ウップ・デン | うまくいけば本格展開します。 |
| B | Låt oss skriva ner omfattningen så vi är överens. | ロート・オス・スクリーヴァ・ネール・オムファットニンゲン・ソー・ヴィ・エール・ウーヴェレーンス | 認識をそろえるため範囲を書面にしましょう。 |
「Hur ser framgång ut?(成功はどう見えるか)」と成功基準を先に確認することで、PoC後の判断で揉めにくくなります。
最後に「skriva ner omfattningen(範囲を書き留める)」と書面化を促し、口約束のズレを防いでいます。
場面3|成果配分・知財を確認する
共同開発に進む前に、生まれた成果や知的財産の扱いを確認する場面です。
言いにくい話題ほど、早めに、しかし穏やかに切り出します。
| 話者 | スウェーデン語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Innan vi går vidare, låt oss prata om rättigheterna. | インナン・ヴィ・ゴール・ヴィーダレ・ロート・オス・プラータ・オム・レッティヘーテルナ | 先に進む前に、知財の話をしましょう。 |
| B | Visst. Vem ska äga resultaten av utvecklingen? | ヴィスト・ヴェム・スカ・エーガ・レスルターテン・アヴ・ウートヴェックリンゲン | もちろん。開発の成果は誰に帰属しますか? |
| A | Vi vill behålla rättigheterna till vår kärnteknik. | ヴィ・ヴィル・ベホッラ・レッティヘーテルナ・ティル・ヴォール・シェーンテクニーク | 当社は基幹技術の権利を保持したいです。 |
| B | Det är rimligt. Vi vill samma sak för vår. | デ・エール・リムリクト・ヴィ・ヴィル・サンマ・サーク・フョール・ヴォール | 妥当ですね。当社も自社分は同様に望みます。 |
| A | För det vi bygger gemensamt, låt oss dela rättigheterna. | フョール・デ・ヴィ・ビュッゲル・イェメーンサムト・ロート・オス・デーラ・レッティヘーテルナ | 共同で作る部分は権利を共有しましょう。 |
| B | Överens. Hur ska vi dela på intäkterna? | ウーヴェレーンス・フール・スカ・ヴィ・デーラ・ポー・インテークテルナ | 賛成です。収益はどう分けますか? |
| A | Låt oss koppla det till varderas insats. | ロート・オス・コップラ・デ・ティル・ヴァルデラス・インサッツ | 双方の貢献度に応じて決めましょう。 |
| B | Låt oss skriva ett avtal och låta juristerna granska det. | ロート・オス・スクリーヴァ・エット・アヴタール・オク・ロータ・ユリステルナ・グランスカ・デ | 合意書を作り、法務に確認させましょう。 |
「behålla rättigheterna till vår kärnteknik」で、自社の基幹部分は守りたいと明確に伝えています。
共同部分は共有、貢献度に応じた配分、という整理で双方が納得しやすくなります。
会話のコツ|協業を前に進める3つの動き
3つの場面に共通する、協業ならではの進め方を整理します。
フレーズの暗記だけでなく、この型を意識すると会話が安定します。
| 話者 | スウェーデン語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Vi ser stor potential i att jobba tillsammans. | ヴィ・セール・ストゥール・ポテンシャール・イ・アット・ヨッバ・ティルサンマンス | 共通の狙いから入る一言。 |
| B | Våra styrkor kompletterar varandra. | ヴォーラ・スティルコル・コンプレッテーラル・ヴァランドラ | 強みの補完を示す一言。 |
| A | Ska vi börja med ett litet proof of concept? | スカ・ヴィ・ボリヤ・メド・エット・リーテット・プルーフ・オブ・コンセプト | 小さく試す提案をする一言。 |
| B | Hur ser framgång ut? | フール・セール・フラムゴング・ウート | 成功基準を先に決める一言。 |
| A | Låt oss prata om rättigheterna först. | ロート・オス・プラータ・オム・レッティヘーテルナ・フョーシュト | 知財を早めに切り出す一言。 |
| B | Låt oss skriva ner det så vi är överens. | ロート・オス・スクリーヴァ・ネール・デ・ソー・ヴィ・エール・ウーヴェレーンス | 書面で認識をそろえる一言。 |
協業は相手を説き伏せるより、共通の土台を一つずつ確認して積み上げる姿勢が言葉を選びやすくします。
特に知財や成果配分は、後回しにすると関係がこじれやすい論点です。
切り出しにくくても早めに言葉にしておくと、信頼を保ったまま前へ進めます。
オンラインで協業を打診する一場面
初回の打診はオンライン会議で行うことも増えています。
画面共有と資料送付を交えた短いやり取りを見てみましょう。
| 話者 | スウェーデン語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Jag delar min skärm och går igenom vår presentation. | ヤーグ・デーラル・ミン・シェルム・オク・ゴール・イエーノム・ヴォール・プレセンタシオーン | 画面共有して資料をご説明します。 |
| B | Varsågod, kör på. | ヴァーショゴード・ショール・ポー | ぜひお願いします。 |
| A | Den här sliden visar var våra styrkor passar in. | デン・ヘール・スライデン・ヴィーサル・ヴァール・ヴォーラ・スティルコル・パッサル・イン | このスライドが当社の強みの活かしどころです。 |
| B | Det var tydligt. Kan du skicka presentationen efteråt? | デ・ヴァール・テュードリクト・カン・ドゥ・フィッカ・プレセンタシオーネン・エフテルオート | 分かりやすいです。後で資料を送れますか? |
| A | Självklart. Jag lägger sekretessavtalet i chatten också. | シェルヴクラート・ヤーグ・レッゲル・セクレテッスアヴターレット・イ・シャッテン・オクソー | もちろん。秘密保持契約の案もチャットに送ります。 |
| B | Toppen. Låt oss boka ett uppföljningsmöte nästa vecka. | トッペン・ロート・オス・ブーカ・エット・ウップフョリュニングスムーテ・ネスタ・ヴェッカ | いいですね。来週フォローの打ち合わせをしましょう。 |
| A | Jag tar med vår utvecklingschef till det mötet. | ヤーグ・タール・メド・ヴォール・ウートヴェックリングスシェフ・ティル・デ・ムーテット | その回は開発の責任者も同席させます。 |
「gå igenom vår presentation(資料を順に説明する)」という流れは、オンラインの打診で定番です。
「ta med(同席させる)」で次回の同席者を予告すると、相手も準備しやすくなります。
よくある質問
Q. 協業ダイアログはどう練習すればいいですか?
自社側(A)のセリフだけを音読して、自分の言葉として口になじませるのがおすすめです。
「打診・PoC・知財確認」の流れを通しで練習すると、本番でも順番が崩れにくくなります。
Q. PoCの話を切り出すフレーズは?
「Ska vi börja med ett litet proof of concept?」が自然です。
続けて「Hur ser framgång ut?(成功はどう見えるか)」と成功基準を確認すると話が締まります。
Q. 知財の話はどう切り出せば角が立ちませんか?
「Innan vi går vidare, låt oss prata om rättigheterna.(先に進む前に知財の話をしましょう)」のように前置きを置いてから入ると穏やかです。
共同部分は共有、自社の基幹部分は保持、と整理すると合意しやすくなります。
Q. オンラインで資料を共有するときの言い方は?
「Jag delar min skärm och går igenom vår presentation.(画面共有して資料を説明します)」が定番です。
「Kan du skicka presentationen efteråt?」と後送を求められたら「Självklart.(もちろん)」と応じます。
まとめ
オープンイノベーションの会話は、フレーズ単体ではなく一連の流れで覚えると本番で動けます。
- 打診では共通の狙いから入り、互いの強みの補完を示す。
- PoCは範囲・期間・成功基準をそろえ、書面で認識を合わせる。
- 知財は早めに切り出し、共同部分の共有と貢献度配分で整理する。
スウェーデンでは「du」で呼び合うフラットな対話が信頼を生みます。会話の型が身についたら、協業でよく出る単語をまとめて押さえておくと、さらに言葉が出やすくなります。
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