ポルトガル語の自己紹介と日常会話 本国とブラジルの距離感を掴む

初対面のポルトガル語話者に名乗るとき、筆者はいつも少し緊張します。

名前の発音、出身地の言い方、仕事の一言説明。

この三つが揃えば会話の扉は開きます。

この記事では、本国ポルトガルとブラジルの両方で通じる自己紹介と、そこから日常会話に広げていくフレーズをまとめます。

名前と出身の言い方

名前を名乗る基本形

一番丁寧な言い方はこれです。

O meu nome é Satsuki Iwata, muito prazer.

ブラジルでは所有詞の定冠詞を落とすのが普通です。

Meu nome é Satsuki Iwata, muito prazer.

よりカジュアルには Chamo-me Satsuki(本国)、Me chamo Satsuki(ブラジル)となります。

語順の違いはクリチコ代名詞の位置の問題で、本国は動詞の後ろ、ブラジルは前が好まれます。

出身地をどう切り出すか

Sou do Japão が最もシンプルです。

De onde é você と聞かれたら、国→都道府県→市の順で答えると話が弾みます。

Sou do Japão, de Tóquio, do bairro de Setagaya.

筆者は東京の世田谷区育ちですが、相手がサンパウロ在住の日系人だったときは「Você conhece o bairro da Liberdade? Fica parecido com Setagaya na calma」と続けたら一気に距離が縮まりました。

Liberdade地区はサンパウロ中心部の日本人街で、1908年6月18日にKasato Maru号がSantosに到着して始まった日本人移民の歴史が色濃く残る場所です。

仕事と滞在目的

職業を一言で伝える

Trabalho como engenheira de software.

Sou professora de japonês.

「〜として働く」は trabalhar como を使い、「〜です」と言い切るなら ser を使います。

自営業なら Sou autónoma(本国)、Sou autônoma(ブラジル)。

筆者がLisboaでSEF(Serviço de Estrangeiros e Fronteiras、1986年創設)の窓口で在留手続きをした2022年は、この言い方で職業欄を説明できました。

SEFは2023年10月29日付で解体され、業務はAIMA(Agência para a Integração, Migrações e Asilo)に移管されています。

Avenida António Augusto de Aguiar 20のAIMA本部に行くときは、Estou aqui para renovar a minha autorização de residência という定型句が便利です。

滞在理由をさらっと述べる

Estou aqui de férias は「休暇で来ています」。

Estou aqui a estudar português(本国)/Estou aqui estudando português(ブラジル)で「勉強しに来ています」。

本国は a+不定詞、ブラジルはジェルンディオと覚えれば迷いません。

筆者はPorto大学の夏期講座(Curso de Verão da Faculdade de Letras、Via Panorâmica Edgar Cardoso)で学んでいたと伝えたら、受付のDona Manuelaが一気に饒舌になりました。

年齢と家族の話題

年齢は ter で表す

Tenho trinta e quatro anos.

英語のbe動詞の感覚で ser を使うとネイティブに首をかしげられます。

Quantos anos tens(本国)/Quantos anos você tem(ブラジル)と聞かれたら数字で答えるだけ。

年齢を濁したいなら Tenho quase quarenta と概数で逃げられます。

家族構成を説明する

Sou casada, tenho dois filhos.

Sou solteira, moro com o meu gato.

本国では「ねこ」を gato と呼び、愛称では bichano。

ブラジルでは gato のほか bichinho、若者は catioro を犬に、gatinho を猫に使います。

筆者は Tenho uma gata chamada Mochi と紹介したら、Lisboaのhostelで一気に写真の見せ合いになりました。

住んでいる場所と移動手段

Moro em の使い方

Moro em Tóquio, no Japão.

Moro em Lisboa, no bairro de Alfama.

都市名の前は em、地区名の前は no/na、国名の前は em+定冠詞の縮約が鉄則です。

Alfamaは1755年11月1日のLisboa大地震にも耐えた旧市街で、Fado博物館(Museu do Fado、Largo do Chafariz de Dentro 1、1998年開館)が街角にあります。

通勤や移動の一言

Vou de metro(本国)/Vou de metrô(ブラジル)。

Ando a pé(本国)/Vou a pé(どちらでも可)。

LisboaのMetro 1959年12月29日開業は4路線、São PauloのMetrô 1974年9月14日開業は6路線で、どちらもカードで乗れます。

LisboaはNavegante、São PauloはBilhete Únicoが定番です。

言語の話題

話せる言語の列挙

Falo japonês, inglês e um pouco de português.

um pouco de は控えめな自己申告に使えます。

O meu português ainda é básico と言えば相手がゆっくり話してくれます。

逆に自信があれば Falo português fluentemente。

学習歴の伝え方

Estudo português há dois anos.

há は「〜前から継続して」を表し、時制は現在形で十分です。

筆者はPreplyで2012年設立のKeremOktenやFelipeを半年で30回、italkiのDiana Freitasを週1回と学習記録をつけていました。

学習環境を具体的に話すと、相手から先生や教材のおすすめが逆流してくることがあります。

趣味と雑談の糸口

gostar de で好きなものを並べる

Gosto de ler, de cozinhar e de caminhar.

de+不定詞の連続は読点で切って列挙するのが自然です。

名詞の場合は Gosto de cinema italiano と定冠詞を落とすのが本国流、ブラジルでは Gosto do cinema italiano と入れる傾向があります。

スポーツと音楽は鉄板

Adoro futebol の一言でポルトガル人もブラジル人も距離を縮めてくれます。

Sou do Benfica(1904年2月28日創設、Estádio da Luz)/Sou flamenguista(Clube de Regatas do Flamengo 1895年11月17日創設)と好きなクラブを言えば話題が五分で尽きません。

音楽なら Adoro fado と言ってAmália Rodrigues 1920-1999を引用すれば本国の年配者が目を細めます。

ブラジルならMPB Música Popular Brasileiraを軸に、Caetano Veloso 1942-やGilberto Gil 1942-、Marisa Monte 1967-の名前を一つ出せば盛り上がります。

別れ際と再会の約束

短い挨拶で締める

Foi um prazer conhecer-te(本国カジュアル)/Foi um prazer conhecer você(ブラジル)。

丁寧にしたいなら Foi um prazer conhecê-la/conhecê-lo。

Até à próxima(本国)/Até a próxima(ブラジル)で「また今度」。

連絡先の交換

Podemos trocar os contactos(本国)/Podemos trocar os contatos(ブラジル)。

本国は contacto にcがあり、ブラジルはない、という綴りの違いも覚えておきたいところです。

WhatsAppは両国の共通インフラで、Adiciona-me no WhatsApp/Me adiciona no WhatsApp と言えば通じます。

Instagramなら Segue-me no Instagram/Me segue no Insta。

筆者はLisboaのCafé A Brasileira(1905年11月19日創業、Rua Garrett 120)でFernando Pessoaの銅像前で会った旅仲間と、この一言で連絡先を交換しました。

フォーマルとカジュアルの切り替え

相手との距離感で você/tu/o senhor/a senhora を選びます。

本国では初対面でも友人経由なら tu、ビジネスでは o senhor/a senhora が安全です。

ブラジルは você が事実上の標準で、より丁寧にしたいときだけ o senhor/a senhora。

筆者はRio de JaneiroのCentro Cultural Banco do Brasil(CCBB、Rua Primeiro de Março 66、1986年開館)の受付で o senhor を使ったら「Pode me chamar de você」と即訂正されました。

この場面で学んだのは、ブラジルでは過剰な敬語はむしろ距離を生むということです。

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