クロアチア語を体系的に学びたい方には、個人講師マッチングサイトだけでなく公式のオンライン学校プログラムが最適です。本記事では、私が実際に受講したCroaticum(Zagreb大学付属クロアチア語センター)とZagreb School of Slavic Languagesのオンラインコースを中心に、費用・カリキュラム・レベル別の選び方を詳しく解説します。
Croaticum – Zagreb大学公式プログラム
Croaticumは1962年にZagreb大学哲学部(Filozofski fakultet、Ivana Lučića 3)内に設立された国立クロアチア語教育機関で、60年以上の歴史を持つ権威ある組織です。従来は対面のみでしたが、2020年のコロナ禍を機にオンラインコースを本格化させ、現在は世界50ヶ国以上から受講生を集めています。
レベルはA1初級からC2最上級まで全6段階で、各レベル120時間の集中プログラムです。教材はCroaticum独自開発の『Razgovarajte s nama!』シリーズ(Marica Čilaš Mikulić・Sanda Lucija Udier・Milvia Gulešić Machata著、FF-press、2006年初版、2019年改訂)を使用します。
コース料金と日程
オンラインA1コースは2026年春学期で受講料580ユーロ、60時間を8週間で消化する設定です。週3回、1回2時間(ザグレブ時間16:00〜18:00、日本時間23:00〜翌1:00)のライブ授業で、教師1名に対して学生8〜12名の少人数制です。
私は2024年秋にA2コースを受講し、担当はAna Grgićさん(Filozofski fakultet 2011年卒、Croaticum常勤講師)でした。週末には録画映像で復習でき、宿題は専用プラットフォーム「Croaticum Online」(Moodleベース)で提出します。
Croaticum夏期集中コース
夏期(7月・8月)には対面集中コースも開催され、4週間で120時間を消化する通称「Ljetna škola hrvatskoga jezika i kulture(クロアチア語と文化の夏期学校)」は1986年から毎年実施されている伝統プログラムです。受講料は1,050ユーロで、Ivana Lučića 3のFilozofski fakultet校舎で授業、午後はザグレブ市内観光(Mirogoj墓地、Maksimir公園、Medvedgrad城)や文化講座(クロアチア文学史、Krleža研究、伝統音楽Tamburica)が組まれます。
オンラインコースと併用してサマースクールに参加する受講生も多く、私も2025年夏の集中コースでレベルB1に一気にジャンプできました。
Zagreb School of Slavic Languages
Zagreb School of Slavic Languages(本部Vodnikova 12、2001年創立、校長Maja Matić博士)は民間の語学学校で、Croaticumより柔軟なカリキュラム設計が魅力です。小規模校ならではの個別対応が強みで、受講生の目的(ビジネス、学術、旅行、ルーツ探し)に合わせてシラバスをカスタマイズしてくれます。
オンライングループレッスンは8週間コースで420ユーロ、個別レッスンは1時間35ユーロからです。教材は『Učimo hrvatski 1・2』(Višnja Barac-Kostrenčić・Milica Kovačević・Sanja Sever著、Školska knjiga 1999年)と同校オリジナルのワークシートを組み合わせて使用します。
2023年からは「クロアチア系移民のルーツ言語プログラム」を新設し、海外在住のクロアチア系住民向けの特別コースも開講しています。
HR4EU – 国家プロジェクトの無料オンライン教材
HR4EU(hr4eu.ffzg.unizg.hr)はザグレブ大学哲学部が運営する無料オンライン学習プラットフォームで、EU基金の支援を受けて2013年に開設されました。プロジェクトリーダーはMarica Čilaš Mikulić教授で、Croaticumと同じ研究チームが教材を制作しています。
A1からB2までの全4レベル分の動画レッスン、インタラクティブ練習問題、文法解説が完全無料で提供されており、予算が限られている学習者には最強の選択肢です。公的機関提供のためアカウント登録だけで利用でき、広告も一切ありません。
Sveučilište u Rijeci のオンラインコース
Rijeka大学(1973年設立、Trg Braće Mažuranića 10)付属のクロアチア語センターも近年オンライン化を進めています。Rijeka大学の特徴はIstria地方・チャカフスキ方言研究の拠点であり、標準語だけでなく方言や地域文化を学べる点です。
C1以上の上級者向け「クロアチア文学特別コース」では、Marija Jurić Zagorka(1873-1957、女性作家の草分け、『Grička vještica』)やIvo Andrić(1892-1975、ノーベル文学賞1961年)、Miroslav Krleža(1893-1981、『Povratak Filipa Latinovicza』)などの代表作を原文で読む精読講座があり、週1回90分・12週で680ユーロです。担当はIva Grgić教授(Filozofski fakultet u Rijeci比較文学科、2010年博士号取得)で、私も2025年冬にこのコースを受講しました。
文学的クロアチア語を本気で学びたい方には唯一無二の選択肢です。
Pula大学のIstria特化プログラム
Sveučilište Jurja Dobrile u Puli(2006年昇格、旧Pula教育学校は1961年設立)は、イストリア半島の歴史と文化に特化したクロアチア語プログラムを提供しています。オンラインコースは4週間集中型で、Istria地方の歴史(Venezia共和国支配1267-1797、オーストリア支配1797-1918、イタリア支配1918-1945、ユーゴ連邦1945-1991)を縦糸に、方言と標準語の違いを横糸に学ぶユニークな構成です。
料金は380ユーロとリーズナブルで、Istria地方に特別な興味がある学習者に特におすすめします。
選び方のチェックリスト
各オンライン学校の選び方をまとめます。体系的に標準クロアチア語を学びたい初学者にはCroaticumのA1コースが最適です。
柔軟なカリキュラムとビジネス目的ならZagreb School of Slavic Languages、予算を抑えたい方はHR4EUの無料教材を中心に学び、必要に応じて個別レッスンで補強するのがおすすめです。文学愛好者や方言に興味がある上級者は、RijekaやPulaの特化プログラムを検討しましょう。
申込み手続きと日本からの注意点
申込みは各校公式サイトから英語で可能で、クレジットカード決済またはSEPA銀行振込に対応しています。日本のメガバンクからのSEPA送金は手数料が高いため(三菱UFJ銀行で約5,500円)、Wise(旧TransferWise、2011年ロンドン創業、創業者Kristo Käärmann・Taavet Hinrikus)を利用すると手数料を1,000円程度に抑えられます。
ビザは観光ビザで3ヶ月滞在可能ですが、4週間超の対面サマースクールでは学生ビザ申請が必要です。在日クロアチア大使館(東京都渋谷区恵比寿3-24-6)で手続きできます。
オンライン学習の成功事例
私の友人でCroaticumオンラインA1〜B2を2年間かけて修了した大阪在住の田中さん(42歳、会社員)は、毎週日曜日の夜を学習時間に固定することで継続できたそうです。初年度はA1〜A2を修了し、2年目でB1〜B2を完走。
その後ザグレブへ2週間の短期旅行に行き、ホテル予約や市場での買い物、Dolac市場でおばあちゃんとチーズについて会話できたと喜んでいました。教材『Razgovarajte s nama!』を全4冊こなし、週次のオンライン授業に加えて毎日30分の自習(主にAnkiでの語彙暗記とHR4EUの文法問題)を継続した結果です。
オンライン学習は継続の仕組み作りが成否を分けます。
italki・Preplyでのクロアチア語学習
大学プログラム以外に、個人講師マッチング型のプラットフォームも選択肢として優れています。
italkiでの講師選び
italkiにはクロアチア語を教えるネイティブ講師が数十名登録されています。
時給は15〜30ドルが相場で、学校より柔軟にスケジュール調整が可能です。
体験レッスンを半額程度で提供する講師が多く、相性を確認してから本契約できます。
Preplyの活用法
Preplyは初回レッスンで満足できなければ返金される保証制度が魅力です。
講師プロフィールに学習経験者のレビューが豊富で、判断材料が揃っています。
月額パッケージが割引になる仕組みで、継続前提なら費用対効果が高いです。
クロアチア本国在住の講師だけでなく、在米・在欧の講師も選べます。
Verblingの特徴
Verblingは独自のビデオ会議システムを搭載しているのが強みです。
録画機能があり、授業後に聞き直して復習できるのが大きな利点です。
グループレッスンは1人あたりのコストを抑えられる選択肢となります。
セルフ学習プラットフォーム
スキマ時間に自分のペースで学べる無料・低額のリソースも補助教材として有効です。
Duolingoでの学習
Duolingoはクロアチア語コースを公式に提供していない点は注意が必要です。
セルビア語コースでキリル文字とラテン文字を切り替えて学ぶ代替策が使えます。
スロベニア語との近さを生かして、関連言語を併用する学習者もいます。
Memriseのフラッシュカード
Memriseにはユーザー作成のクロアチア語フラッシュカードセットが多数あります。
視覚的な記憶法と連動しており、語彙強化に向いています。
1日5分でも継続できる設計で、忙しい社会人でも取り組みやすい特徴があります。
無料プランで基本機能は十分に使えるのもメリットです。
YouTubeとポッドキャスト
YouTubeには「Easy Croatian」などの学習チャンネルがあります。
ネイティブ話者のインタビューを字幕付きで視聴でき、リスニング強化に役立ちます。
「Croatian Made Easy」のような文法解説動画も初級者に人気です。
通勤中にポッドキャスト「Easy Croatian Podcast」を流す学習者もいます。
レベル別の学校選び
学習段階によって適したプログラムが変わるため、レベルに合わせた選択が重要です。
初級者向け(A1〜A2)
初級者には体系的なカリキュラムを持つCroaticumの基礎コースが最適です。
キリル文字との違い、発音、基本文法を丁寧に指導する環境が必要です。
個人講師の場合は、初級者指導の経験が豊富な人を選ぶのが鉄則です。
中級者向け(B1〜B2)
中級者には会話量を確保できる個人レッスンの比率を高めるのが効果的です。
学校の会話クラスとitalkiでの対話練習を組み合わせると伸びが早くなります。
クロアチアの時事ニュースを題材にしたディスカッションが中級の定番です。
Croaticumの夏期集中コースは中級者の短期強化に向いています。
上級者向け(C1以上)
上級者は専門分野に特化した学習に移行する段階です。
ビジネス、法律、文学など、自分の興味や必要に応じてコースを選びます。
Zagreb School of Slavic Languagesの上級クラスは文化・歴史にも踏み込んだ内容です。
オンライン授業の準備と復習
同じレッスンでも、事前準備と事後復習で学習成果が大きく変わります。
授業前の準備
前回扱ったトピックの復習を10分程度で済ませてから授業に臨みます。
その日話したいテーマを事前にメモしておくと、時間を有効活用できます。
分からない単語があれば、授業前に辞書で下調べしておくと理解が深まります。
授業中の取り組み方
講師が使った新表現はすぐにチャット欄にメモして残します。
不明点は遠慮せずその場で質問し、理解を積み上げていきます。
録画可能なプラットフォームなら、後で振り返れるので積極的に活用しましょう。
完璧に話そうとせず、間違えても伝えたい姿勢を優先します。
復習の習慣化
授業後24時間以内に復習すると定着率が格段に上がります。
新しい表現はAnkiやQuizletで長期記憶化を図るのが効果的です。
1週間、1か月、3か月後の3回復習を取り入れると忘却を抑えられます。
学んだことを独り言や日記で使ってみるアウトプットも必須です。
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口コミサイトの活用
受講前の情報収集には口コミサイトが役立ちます。LanguageCourse.net(2004年ドイツ創業、Tobias Grosseler氏運営)にはCroaticumの評価が150件以上投稿されており、過去受講者の率直なフィードバックが読めます。
Trustpilotにも各校のレビューがあり、Zagreb School of Slavic Languagesは4.5/5の高評価を維持しています。私もCroaticumを選ぶ前に全レビューを読み込み、講師の質と柔軟な学習環境を重視して決定しました。
最後に強調したいのは、どの学校を選んでも「週○時間の学習を決めた日程で続ける」という習慣化が最重要だということ。迷って受講開始が遅れるより、まずHR4EUで無料教材を試し、1週間で継続可否を判断するのが賢明な第一歩です。
学習開始時に決めておくと良いのは目標設定の具体化です。「1年後にドブロブニクのカフェで注文と会話ができる」「2年後にAna Karenić先生のブログ記事を辞書なしで読める」のように、測定可能な到達地点を設定すると進捗管理が楽になります。


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