- オランダ語のB1〜C1教材は選択肢が限られる
- Nederlands in gang|Berna de Boer率いるフローニンゲン大学発の定番
- Help! シリーズ|Intertaalが出す入門から上級までの階段
- 上級文法|Beter Nederlands(Thieme Meulenhoff)とDutch: A Comprehensive Grammar(Routledge)
- 語彙集|Prisma Woordenboek Nederlands-JapansはHet Spectrumから
- C1目標|CNaVT試験対策のDe Finale
- 入手方法|bol.comかAthenaeum、海外からは紀伊國屋書店Web
- 学習者の具体的スケジュール|1年でA2からB2まで
- 避けたい教材|翻訳が古い独学本
- サブ教材|Klare Taal Basisgrammatica、Basiswoordenlijst Amsterdamse Kleuters
- リーディング教材|Reading Dutch: Fifteen Annotated StoriesとEen beetje Nederlands
- 上級テキストの特徴
- 代表的な教材
- 読み物の活用
- 試験対策への展開
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オランダ語のB1〜C1教材は選択肢が限られる
オランダ語の中上級教材は、英語やフランス語のような巨大マーケットに比べて数が限られていますが、その分「これが定番」と言える良書が存在します。
私自身、オランダに2年住んだ経験を経て日本でC1レベルを維持するために使ってきた教材を、実際にどこで買えるか、誰が書いたか、どの大学で採用されているかまで具体的に紹介します。
Nederlands in gang|Berna de Boer率いるフローニンゲン大学発の定番
Nederlands in gang(Coutinho出版、2008年初版、Berna de Boer・Birgit Lijmbach・Margaret van der Kamp共著)は、Groningen大学Taalcentrumで長年使われてきたB1目標の教科書です。
Bernaは同大学のNT2部門の主任講師で、同シリーズのNederlands in actie(B1→B2)、Nederlands op niveau(B2→C1)と学習者を段階的に上に引き上げる構成になっています。
Coutinhoは1976年設立のBussum拠点の出版社で、オランダ語学習書の御三家の一つです。
Nederlands in gangの特徴と進め方
15章構成で各章が「家族」「仕事」「住居」「健康」などのテーマ別になっており、リスニング音声はCoutinho公式サイトから無料ダウンロードできます。
学習者の使い方は、1章につき週3日、1日60分を3週間かけて消化するペースです。
巻末のGrammatica overzichtは現在完了・受動態・仮定法などB1で必須の項目がコンパクトにまとまっているので、後からリファレンスとしても重宝します。
価格は2024年時点でbol.com(オランダ最大のEC)で34.95ユーロ。
Help! シリーズ|Intertaalが出す入門から上級までの階段
Help! 1・2・3(Intertaal出版、1994年初版、Ineke de Bakker・Marieke Goedhart・Margaret van der Kamp著)は、オランダ国内のインブルヘリング(市民化)試験を意識した実用派の定番です。
Intertaalは1969年設立、Amsterdam本社の語学書専門出版社で、北村弘明訳の日本語版は存在しませんが、英語・ドイツ語・フランス語の対訳版があります。
Help! 1はA1→A2、Help! 2はA2→B1、Help! 3はB1→B1+を扱います。
上級文法|Beter Nederlands(Thieme Meulenhoff)とDutch: A Comprehensive Grammar(Routledge)
B2→C1ステージになると文法を体系的に整理する必要が出てきます。
オランダ国内ではBeter Nederlands(Frans van Kalsbeek著、Thieme Meulenhoff出版、Arnhem本社)が大学予備コース(UvAのINTT、Universiteit Leiden Academisch Talencentrum、VU Amsterdam Taalcentrum)で広く使われています。
英語圏ではBruce Donaldson著のDutch: A Comprehensive Grammar(Routledge、初版1997年、第3版2017年)が決定版で、オーストラリアMelbourne大学でのDonaldson教授の長年の教育経験が反映されています。
学習者はC1準備時にこの2冊を並行して使い、疑問点が出たらまずDonaldsonで英語の解説を読み、次にBeterで例文を増やすスタイルでした。
語彙集|Prisma Woordenboek Nederlands-JapansはHet Spectrumから
辞書はオンラインのVan Dale(Utrecht本社、Van Dale 1828年創業)が最強ですが、無料版は検索回数に制限があります。
紙辞書ではPrisma Pocketwoordenboek Nederlands(Het Spectrum出版、Unieboek傘下)が学習者向けに語釈をやさしく書いてあり重宝します。
日本語対訳ではLeiden大学の講師らがかつて編纂した『講談社オランダ語辞典』(講談社、1994年)が古典的名著で、古本市場でも流通しています。
C1目標|CNaVT試験対策のDe Finale
CNaVT(Certificaat Nederlands als Vreemde Taal、KU Leuvenが主催する国際的なオランダ語検定)のPAT(Profiel Academische Taalvaardigheid、C1相当)を目指す人にはDe Finale(Boom出版、Eveline Schoenmakers著、2015年初版)がおすすめです。
Boomは1792年Amsterdam創業の老舗で、学術書と試験対策本に強い出版社です。
De Finaleは過去問分析に基づく文章理解・要約・論述の対策本で、週末1日3時間×8週間が標準的な学習計画として紹介されています。
学習者は2022年のPAT受験前に、Leiden大学図書館Witte Singel 27の閲覧席でこの本を周回しました。
入手方法|bol.comかAthenaeum、海外からは紀伊國屋書店Web
オランダ国内ならbol.com(2020年Ahold Delhaize買収、本社Utrecht Papendorpseweg)で通常翌日配送、Amsterdam中心部Spuiのathenaeum.nl(1966年創業のBoekhandel Athenaeum)でも取り寄せ可能です。
日本からはKinokuniya(紀伊國屋書店WebStore)経由で取り寄せると送料込みで4週間ほどで届きます。
電子書籍はKobo Nederlandで入手できるタイトルが増えていますが、音声付き教科書は紙の方が便利です。
学習者の具体的スケジュール|1年でA2からB2まで
参考までに、学習者が実際に取ったスケジュールはこうです。
1〜3か月目はHelp! 1を平日50分+週末90分、4〜6か月目はHelp! 2+Nederlands in gangを並行、7〜9か月目はNederlands in actieとDonaldson文法書、10〜12か月目はBeter Nederlandsと現地新聞de Volkskrantの週末版を組み合わせました。
平日は朝通勤前の1時間、週末は午前中に2時間確保するのがコツで、継続のためにはGoogleカレンダーに「Nederlands」という青いブロックを毎日入れて可視化しました。
このペースで1年後にCNaVT PTIT(B2)に合格できました。
避けたい教材|翻訳が古い独学本
一方で、1980〜90年代に出た日本の独学本は語彙が古く(gulden表記が残っているなど)、現代のオランダ語会話で使うと違和感があります。
ユーロ導入が2002年1月1日なので、それ以前の会話例が多い本は避けた方が無難です。
オンラインのDuolingo Dutchコース(2014年リリース、2018年にツリー拡張)は無料で使えて補助的には有用ですが、本格学習の柱には力不足なので、上記の教科書との併用が現実的です。
サブ教材|Klare Taal Basisgrammatica、Basiswoordenlijst Amsterdamse Kleuters
初級文法の補助にはKlare Taal(Intertaal、Thieme Meulenhoff版、Ans van Kemenade監修)が薄くて要点のみまとまっていて便利です。
語彙トレーニングにはBasiswoordenlijst Amsterdamse Kleuters(BAK、van Kuyk Amsterdam出版、Amsterdam市幼稚園用語彙集3000語)が、A1〜A2の日常語彙のカバー率チェックに向いています。
BAKは言語学者Resi Damhuisが2006年にAmsterdamで子ども向けに編纂した3000語リストで、大人の学習者にもそのまま有効です。
リーディング教材|Reading Dutch: Fifteen Annotated StoriesとEen beetje Nederlands
多読用には、William Z. Shetter編Reading Dutch: Fifteen Annotated Stories from the Low Countries(Bloomington Indiana University Press、1985年)がA.L. Snijders、Simon Carmiggeltなどの短編15作を注釈付きで収録した定番です。
もう少しやさしいレベルならEen beetje Nederlands(Boom、Alice van Kalsbeek著)や、Leerboek NT2のウェブサイトで公開されている短編集がA2相当から読めます。
学習者は週末に1話ずつ音読して、知らない単語をAnkiカードにしていきました。
さらにマンガファンにはStudio Jan Kruis(Utrecht)の国民的コミックJan, Jans en de kinderen(1970年Libelle誌連載開始)が意外と有用です。
日常会話のコマが多く、子ども向けではないけれどネイティブの口語が学べます。
上級テキストの特徴
B2以上のテキストは構造が変わります。
自習用から読み物へ近づく性格を持ちます。
内容の広がり
政治、経済、社会問題など実社会の話題が中心になります。
オランダ国内のニュースを下敷きにした教材も増えます。
時事性が強いぶん、改訂頻度も高めです。
最新版を選ぶと現代の表現に触れられます。
文体の密度
一文が長くなり、従属節を複数含む構文が増えます。
新聞記事に近い書き言葉が中心です。
口語との違いを意識して読むと理解が深まります。
書き写す練習も効果的です。
語彙の専門化
法律、医学、技術用語など分野別語彙が出てきます。
興味のある分野を選ぶとモチベーションが続きます。
単語帳に分野タグを付けて整理します。
後から検索しやすくなります。
代表的な教材
定番のシリーズを紹介します。
書店やオンラインで入手できます。
Nederlands in gang シリーズ
A0〜C1までレベル別に揃っています。
上級編では社会問題やビジネスをテーマにしています。
練習問題の解答付きで自習に向きます。
Boom Uitgevers刊で、公式サイトから音声も入手できます。
De Opmaat
NT2(外国語としてのオランダ語)の上級学習者向けです。
読解、聴解、作文が均等に鍛えられる構成です。
インテグレーション試験対策にも活用できます。
教師用ガイドも別売で入手可能です。
Contact! シリーズ
実用的な会話と文法を組み合わせたテキストです。
オランダ在住者向けの課題が多いのが特徴です。
各章にワークシートが付属します。
副教材として音声ストリーミングも利用できます。
読み物の活用
テキスト以外の読み物を併用すると語彙が増えます。
生の素材に触れる時間を確保します。
新聞
NRC Handelsbladは質の高い報道で定番です。
de Volkskrantはリベラル寄りの論調が特徴です。
オンライン購読で海外からも読めます。
1日1本の社説を読むと時事語彙が身につきます。
雑誌
「Vrij Nederland」は文化系の長文読み物が中心です。
「De Groene Amsterdammer」は論説記事が充実しています。
写真と文章のバランスが良く、読み疲れません。
月刊〜週刊のペースで購読できます。
文学作品
Herman KochやCees Nooteboomが現代の代表的作家です。
中編から始めると挫折しにくいです。
電子書籍はBol.comやLibris.nlで購入できます。
気に入った一節をノートに書き写す習慣が語彙を増やします。
試験対策への展開
CNaVT(国際オランダ語検定)対策に使える教材もあります。
目標が決まると学習が加速します。
CNaVTの構成
社会、経済、学術の3プロフィールに分かれます。
各プロフィール内にB1、B2、C1レベルの試験があります。
書面、聴取、口述、作文の4技能をバランスよく問われます。
試験は年2回実施されます。
対策教材
公式の過去問題集がオンラインで購入可能です。
模試形式で時間配分を練習します。
解答速報と解説も同梱されています。
3か月前から集中的に取り組むと効果的です。
受験地
日本ではライデン大学日本研究所関連の会場で受験できます。
アムステルダム会場を選ぶ人も少なくありません。
旅行と兼ねて受験する学習者もいます。
結果通知は約2か月後です。


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