海外で体調を崩したとき、現地の言葉で症状を伝えられると診察がスムーズになります。オランダの医療制度は huisarts (かかりつけ医) を中心に回っており、まずは予約して受診する流れです。
この記事では、病院と薬局で使えるオランダ語フレーズを場面別にまとめます。
huisarts の予約
電話で予約する
オランダでは専門医 (specialist) に直接行けず、まず huisarts に診てもらいます。電話で「Ik wil graag een afspraak maken」(予約を取りたいのですが) と言うと、assistente (助手) が「Wat zijn uw klachten?」(どんな症状ですか) と聞いてきます。
klacht は症状・訴えの意味で、医療会話の最重要語です。「Ik heb koorts en keelpijn」(熱と喉の痛みがあります) のように端的に伝えましょう。
急ぎなら「Is het mogelijk om vandaag nog te komen?」(今日中に来ることはできますか) と聞きます。
保険と費用
オランダでは zorgverzekering (医療保険) が義務で、年間の eigen risico (自己負担額) は385ユーロ (2024年時点) です。旅行者は海外旅行保険の英語の書類を持参し、「Ik ben toerist en ik heb een reisverzekering」(観光客で旅行保険に入っています) と伝えましょう。
症状を伝える
痛みの表現
pijn (痛み) は最も頻出で、体の部位と組み合わせます。hoofdpijn (頭痛)、buikpijn (腹痛)、rugpijn (腰痛)、keelpijn (喉の痛み)、oorpijn (耳の痛み)、tandpijn (歯痛) のように、部位 + pijn で複合語を作れます。
痛みの程度は「op een schaal van een tot tien」(1から10のスケールで) と聞かれることが多いです。
一般的な症状
koorts (発熱)、hoest (咳)、verkoudheid (風邪)、misselijkheid (吐き気)、duizeligheid (めまい)、diarree (下痢)、verstoppping (便秘)、uitslag (発疹)、jeuk (かゆみ)、zwelling (腫れ) が診察でよく使う語彙です。「Ik heb last van misselijkheid sinds gisteren」(昨日から吐き気があります) の last hebben van (〜に悩まされている) は医療会話の定番構文です。
体の部位
hoofd (頭)、nek (首)、schouder (肩)、arm (腕)、hand (手)、borst (胸)、buik (腹)、rug (背中)、been (脚)、knie (膝)、voet (足)、teen (つま先)、oog (目)、oor (耳)、neus (鼻)、mond (口)、tong (舌)、huid (皮膚)。指差しながら「Het doet hier pijn」(ここが痛いです) と言えば、言葉が出てこなくても伝わります。
📘 オランダ語の語彙も、いっしょに。頻出単語を頻度順にまとめたPDF単語帳です。
薬局 (apotheek)
処方箋と市販薬
huisarts が recept (処方箋) を出すと、近くの apotheek (薬局) で薬を受け取ります。「Ik heb een recept van mijn huisarts」(かかりつけ医の処方箋があります) と言って渡せば調剤してくれます。
処方箋不要の市販薬 (zelfzorgmedicijn) も apotheek で買えますが、paracetamol (アセトアミノフェン) や ibuprofen は Kruidvat (1975年創業、現在全国に900店舗以上) や Etos (1918年創業) といったドラッグストアでも購入可能です。「Heeft u iets tegen hoofdpijn?」(頭痛に効くものはありますか) と聞くと、薬剤師が適切な薬を選んでくれます。
服用方法
「Hoe moet ik dit innemen?」(これはどう飲めばいいですか) と聞くと、「Twee tabletten, drie keer per dag, na de maaltijd」(食後に1日3回2錠) のように答えてくれます。tablet (錠剤)、capsule (カプセル)、druppels (点滴・目薬)、zalf (軟膏)、siroop (シロップ) が剤形の基本語彙です。
病院と救急
spoedeisende hulp
緊急の場合は spoedeisende hulp (救急外来、通称 SEH) に行きます。Amsterdam では AMC (Amsterdam UMC, locatie AMC, Meibergdreef 9、1983年開院) や VUmc (Amsterdam UMC, locatie VUmc, De Boelelaan 1117) が主要な大学病院です。
入口で「Ik heb dringend hulp nodig」(至急助けが必要です) と言うか、112 に電話して「Ik heb een ongeluk gehad」(事故に遭いました) と伝えます。ambulance (救急車) が来るまでの平均時間は15分以内です。
入院と検査
「U moet opgenomen worden」(入院していただく必要があります) と言われたら opname (入院) の手続きに入ります。bloedonderzoek (血液検査)、rontgenfoto (レントゲン)、echo (超音波)、MRI (MRI)、operatie (手術)、verdoving (麻酔) などが検査・処置のキーワードです。
面会時間は bezoekuur と呼ばれ、各病棟で異なります。
歯医者 (tandarts)
tandarts は歯科医で、予約は「Ik wil graag een afspraak bij de tandarts」(歯医者の予約を取りたい) と言います。vulling (詰め物)、wortelkanaalbehandeling (根管治療)、kroon (クラウン)、trekken (抜歯)、gebitsreiniging (歯のクリーニング) が診療語彙です。
歯科は基本保険に含まれないため、別途 aanvullende verzekering (追加保険) が必要で、年間約250から750ユーロの保険料がかかります。
メンタルヘルス
psycholoog (心理士) や psychiater (精神科医) の受診も huisarts 経由です。「Ik voel me somber」(気分が沈んでいます)、「Ik heb last van angst」(不安に悩んでいます)、「Ik slaap slecht」(よく眠れません) のように気持ちを伝える表現も覚えておくと安心です。
Mentaal Vitaal (GGD 運営、ggd.nl) のサイトにはセルフチェックツールがオランダ語で用意されています。
huisartsenpost (夜間・休日診療所)
夜間や週末に体調が悪くなったら、huisartsenpost (夜間休日診療所) に電話します。全国共通のアクセス番号0900-1515 にかけると、最寄りの huisartsenpost につながります。
電話では triagist (トリアージ担当) が症状を聞いて urgentie (緊急度) を判断し、来院か電話での助言かを振り分けます。「Mijn kind heeft hoge koorts van 40 graden」(子どもが40度の高熱を出しています) のように具体的に伝えると判断が早くなります。
待合室 (wachtkamer) では身分証明書 (identiteitsbewijs) と保険証 (zorgpas) の提示を求められます。
アレルギーと持病の伝え方
allergie (アレルギー)、suikerziekte (糖尿病)、hoge bloeddruk (高血圧)、astma (喘息)、hartaandoening (心臓疾患) は持病の基本語彙です。「Ik ben allergisch voor penicilline」(ペニシリンアレルギーです) と初診時に必ず伝えましょう。
medicijnenlijst (服薬リスト) を紙に書いて持参すると、apotheker (薬剤師) との意思疎通がスムーズです。Amsterdam の internationale apotheken (国際薬局) ではスタッフが英語対応できますが、地方ではオランダ語が必須の場面が多くなります。
Erasmus MC (Dr. Molewaterplein 40, Rotterdam、1966年開院) のような大学病院では多言語パンフレットが用意されています。
退院後
「Wanneer mag ik naar huis?」(いつ帰れますか) と退院時期を確認し、「Moet ik terugkomen voor controle?」(経過観察に来る必要はありますか) とフォローアップを聞いておくと安心です。
オランダの医療制度の基礎
オランダの医療制度は、独特の構造を持っています。
滞在前に基本知識を押さえておくことが、いざという時の助けになります。
家庭医制度の重要性
オランダでは、Huisarts(家庭医) が医療の入り口です。
専門医にかかるには、原則として家庭医からの紹介状(verwijsbrief) が必要です。
長期滞在者は、住居地区の家庭医に登録するのが第一歩となります。
登録なしでも応急対応はしてもらえますが、継続的な関係構築が望ましいです。
健康保険の仕組み
Basisverzekering は法的義務の基本健康保険です。
月額140-160ユーロ程度が標準で、年間自己負担額(Eigen risico) は385ユーロ程度です。
留学生にはZorgverzekeringswetが適用されない場合もあり、専用保険の検討が必要です。
短期滞在者は、海外旅行保険でカバーするのが現実的です。
医療費の支払い構造
家庭医の診察は健康保険でカバーされ、患者の自己負担はありません。
処方薬や専門医診察は、Eigen risico を超えた分が保険適用です。
歯科治療は基本保険の対象外で、別途加入が必要な独立分野です。
制度を理解しておくことで、想定外の出費を防げます。
救急時の対応
緊急医療が必要な場面では、適切な機関への連絡が命を救います。
主要な選択肢を覚えておくことが重要です。
112番への通報
112はオランダの統一緊急通報番号で、警察、消防、救急車に対応します。
Ik heb een ambulance nodig.(救急車が必要です) と明確に伝えます。
住所、症状、被害者の状態を簡潔に伝える準備が重要です。
オペレーターは英語対応していることが多く、安心です。
救急病院への直接受診
Spoedeisende Hulp(SEH、救急外来) は、24時間対応の医療機関です。
軽症でも受診可能ですが、家庭医を介する方が費用面で有利です。
本当の緊急時のみ、SEHへの直接受診を選択します。
夜間・休日のhuisartsenpost も、軽症対応の選択肢として優れています。
歯科救急への対応
歯科の急患には、Tandarts spoeddienst という専門サービスがあります。
かかりつけ歯科医院が休みの夜間・休日でも、対応可能な歯科医を案内してもらえます。
急性の歯痛や事故には、迅速な対応が必要です。
料金は通常診察より高めですが、痛みを我慢する苦痛を考えると価値があります。
処方薬と市販薬の使い分け
オランダの薬局では、処方薬と市販薬の区別が明確です。
使い分けを理解すると、効率的に薬を入手できます。
処方薬の入手方法
処方箋(recept) は、家庭医から発行されます。
Apotheek(薬局) で身分証明書とともに提出すると、処方薬を受け取れます。
多くの薬局がアプリ対応しており、処方箋の電子送信も普及しています。
初回受診時は、Identiteitsbewijs(身分証明書) の持参が必要です。
Drogist の役割
Drogist は、市販薬や日用品を扱うドラッグストアです。
Etos やKruidvat が、オランダ最大のチェーンとして展開しています。
処方箋なしで購入できる頭痛薬や風邪薬は、すべてDrogist で揃います。
軽い症状なら、まずDrogist で対処を試みるのが一般的です。
市販薬の使用注意
同じ成分でも、商品名がオランダ独自のものが多くあります。
パッケージのbijsluiter(添付文書) を読むことが重要です。
不明な点は店員に質問し、効能を確認します。
Heeft u iets tegen …?(…用の薬はありますか?) で、症状別に推薦してもらえます。
専門科への受診
家庭医の紹介を受けて専門医を受診する場合の流れを紹介します。
事前準備が、効率的な受診体験につながります。
紹介状の取得
家庭医に専門科受診の必要性を相談し、verwijsbrief を発行してもらいます。
紹介状には、症状の経過と希望する専門医院が記載されます。
多くの場合、紹介状は電子的に発行され、専門医院に直接送信されます。
患者は予約日に身分証明書と保険証を持参するだけで受診できます。
専門医の予約
専門医の予約は、専門医院に直接電話するか、オンラインシステムで取ります。
Mag ik een afspraak maken? は「予約を取れますか?」という基本表現です。
緊急性によっては、数週間から数か月の待ち時間が発生することもあります。
緊急の場合は、家庭医から優先予約の依頼をしてもらえる場合があります。
セカンドオピニオンの取り方
診断や治療方針に納得できない場合は、tweede opinie を求める権利があります。
家庭医に相談すれば、別の専門医への紹介状を書いてもらえます。
重大な疾患の判断や、外科手術の決定前に取ることが多いです。
患者の権利として、当然の選択肢として認められています。
異文化での医療コミュニケーション
外国人として医療を受ける際、文化的な配慮も重要です。
スムーズな関係構築のためのヒントを紹介します。
症状の説明スキル
痛みの程度を伝える表現は、医療コミュニケーションの基本です。
Op een schaal van 1 tot 10(1から10のスケールで) で、痛みの強さを表現します。
Sinds wanneer heeft u dit?(いつからありますか?) には、具体的な日付で答えます。
症状の発生・経過・現在の状態を、時系列で整理して伝えます。
家族歴と既往歴
初診時には、家族歴と既往歴の質問が標準です。
Familieziekten(家族病歴) を事前に英語で書き出しておくと安心です。
アレルギー情報は、Medic Alert ブレスレットなどで常時携帯する選択肢もあります。
言葉の壁を補う準備が、安全な医療を受ける鍵となります。
通訳サービスの活用
大病院では、tolkendienst(通訳サービス) が利用可能な場合があります。
事前に通訳が必要な旨を伝えると、対応してもらえます。
友人や家族の通訳より、プロの医療通訳の方が誤訳のリスクが低いです。
正確な医療情報の伝達は、患者の安全に直結する重要な要素です。
関連記事
- オランダでの買い物フレーズ|HEMAからAlbert Heijnまで生活用品を買うオランダ語
- レストラン・カフェで使うオランダ語フレーズ|Bitterballenから注文まで
- オランダ語の挨拶と自己紹介フレーズ|Hallo!から職場での第一声まで
📚 オランダ語をもっと伸ばすなら、まず語彙から。
どんな場面でも、会話の土台になるのは語彙力。オランダ語の頻出単語を頻度順に、発音・日本語訳・用例つきでまとめたPDF単語帳です。スキマ時間で効率よく基礎が固められます。
頻出500単語 入門編A1相当・最初の500語¥525 税込詳しく見る
頻出500単語 初心者編A2相当・次の500語¥525 税込詳しく見る
2冊セット(入門+初心者)入門+初心者を15%OFF¥893 税込まとめてお得に入門編 → 初心者編 の順がおすすめ/2冊セットなら15%お得



コメント