知らない街で方向を見失った瞬間にこそ、語学力の真価が問われます。
ポルトガル語圏で道を尋ねるフレーズは意外とシンプルで、3つの型を覚えれば大抵の場面を切り抜けられます。
筆者もポルトのRibeira地区で地図アプリが圏外になり、通りがかりのご婦人にCom licença, onde fica a estação de São Bento?と尋ねたら、手振り付きで5分も案内してくれた経験があります。
道を尋ねる基本の型
Onde fica…?
場所を聞く万能句がOnde fica…?です。
Onde fica a Praça do Comércio?で「コメルシオ広場はどこですか」と聞けます。
ficaはficarの3人称単数で、「〜にある」の意味で使います。
Como se vai para…?
「〜へどうやって行きますか」はComo se vai para…?です。
Como se vai para o Castelo de São Jorge?で「サン・ジョルジェ城へはどう行きますか」と聞けます。
seは不定人称のseで、「人は」というぼかした主語を作ります。
É longe daqui?
É longe daqui?は「ここから遠いですか」の意味です。
É perto daqui?なら「近いですか」になり、距離感を先に確かめたいときに便利です。
返ってくる答えの型
方向の指示
Vá em frente.は「まっすぐ行ってください」で最も頻出です。
Vire à direita. で「右に曲がる」、Vire à esquerda.で「左に曲がる」になります。
Vaは命令法で、本国では正式な敬語のvocêに対応します。
距離と目印
É a cinco minutos a pé.は「歩いて5分です」と言われる典型です。
Fica ao lado da igreja.は「教会の隣にあります」で、目印を教えてくれる定番です。
Fica em frente ao supermercado.で「スーパーの向かいにあります」と伝えられます。
交通機関の案内
Apanhe o metro na linha azul.は「青ラインの地下鉄に乗って」と言われます。
Desça na estação Baixa-Chiado.で「バイシャ・シアード駅で降りて」になります。
ブラジルではpegue o ônibusの形でバスを、pegue o metrôで地下鉄を案内されます。
地図アプリ時代のフレーズ
アプリを見せて聞く
Este endereço, por favor. と言いながらスマホ画面を見せれば、住所を読んで案内してくれます。
Pode mostrar no mapa?は「地図で見せてもらえますか」で、相手に画面を渡したいときに使えます。
QRコードとURL
ポルトガル本国ではGoogle Mapsが普及していますが、タクシーは2014年創業のリスボン発Boltアプリが便利です。
Brasilでは99(2012年サンパウロ創業)が国民アプリで、道案内の相談にもよく使われます。
よく使う場所語彙
交通拠点
a estação de comboios、a paragem de autocarro、o aeroporto、o porto、a estação do metro が定番です。
ブラジル版はa estação de trem、o ponto de ônibus、o aeroporto、o porto、a estação de metrôで、単語だけが地域で変わります。
公共施設
o hospital、a farmácia、a biblioteca、o correio、a polícia の5つは旅行者も必ず使います。
Onde fica a farmácia mais próxima? は「最寄りの薬局は?」で、体調不良のときに助かります。
観光地
o museu、a catedral、o palácio、o miradouro、o jardim が見どころの語彙です。
リスボンのMiradouro de Santa Luziaへの道はComo se vai ao Miradouro de Santa Luzia?で尋ねます。
体験記 ポルトからコインブラへ
サン・ベント駅での出会い
筆者は2024年の春、Porto-São Bento駅(1916年Marques da Silva設計)で電車を待っていたところ、ドイツ人観光客にA plataforma para Coimbra-B, por favor?と聞かれました。
咄嗟にFica na plataforma quatro, ali à direita.と答えられたとき、ポルトガル語が道具として機能した瞬間を実感しました。
コインブラで道に迷う
Coimbra大学(1290年創立)の旧図書館Biblioteca Joaninaを探して旧市街の坂道で迷ったとき、地元学生にComo se chega à Biblioteca Joanina?と尋ねると、Siga esta rua, suba as escadas e vai ver.と即答されました。
subaはsubirの命令形で「上がってください」の意味です。
聞き取りにくいときの救済フレーズ
Pode repetir mais devagar?
「もう少しゆっくり繰り返してもらえますか」という決まり文句です。
相手は必ず笑顔で同じ文をゆっくり発音し直してくれます。
Desculpe, não entendi
「すみません、分かりませんでした」と素直に伝えると、相手は別の言い回しで説明を試みてくれます。
筆者の経験では、本国より特にブラジル人が簡単な単語に置き換える配慮を見せてくれました。
Pode escrever aqui?
「ここに書いてもらえますか」とノートやスマホを差し出すと、住所や番号を書いてくれます。
口頭で聞き取れない数字や地名も、書いてもらえば一発で解決します。
1週間の練習メニュー
月曜から金曜まで1日10分、Google Street Viewでリスボンの任意の地点に立ち、頭の中で道を尋ねる練習をします。
土曜にitalkiの講師に実際に会話で試してもらい、日曜はノートにフレーズを書き写して仕上げます。
この1週間サイクルを3週繰り返すと、旅先で迷っても落ち着いて質問できるようになります。
シーン別フレーズ集
地下鉄駅で
Esta linha vai para o Rossio? は「この路線はロシオへ行きますか」と聞く形です。
Tenho que mudar?は「乗り換えが必要ですか」という確認フレーズで、どの駅でも通じます。
O próximo comboio é daqui a quanto tempo? で「次の電車は何分後ですか」と尋ねられます。
バス停で
Este autocarro passa pela Baixa? は「このバスはバイシャを通りますか」の意味です。
ブラジルではEste ônibus passa pela Avenida Paulista?となり、単語のみ変わります。
Quanto custa o bilhete?で「運賃はいくら?」と聞けます。
タクシーで
Leve-me para este endereço, por favor. は「この住所までお願いします」の定番です。
Aqui está bem, obrigado.で「ここで大丈夫です、ありがとう」と降りる意思を伝えます。
É possível passar por outro caminho?は「別の道を通ってもらえますか」と提案するフレーズです。
鉄道駅で
Um bilhete de ida e volta para Porto, por favor. は「ポルトまでの往復切符を1枚お願いします」です。
Segunda classe ou primeira? と聞かれたら、Segunda está bem. と答えれば安く済みます。
De que plataforma parte? で「何番ホームから出ますか」と確認できます。
緊急時の問い合わせ
落とし物
Perdi a minha carteira.は「財布をなくしました」の意味です。
警察署の場所を尋ねるならOnde fica a esquadra mais próxima?(本国)やOnde fica a delegacia mais próxima?(ブラジル)になります。
体調不良
Sinto-me mal, preciso de uma farmácia. で「気分が悪い、薬局が必要です」と伝えられます。
Onde há um hospital?は「病院はどこですか」と助けを求めるフレーズです。
緊急連絡先
ポルトガル本国の緊急番号は112で、欧州共通です。
ブラジルは警察190、救急192、消防193と分かれているので、Preciso de polícia.などと用途を先に言うと伝わりやすくなります。
旅先での心得
焦らず、笑顔で、短く聞くのが三大原則です。
地元の人は親切で、迷っている観光客を助けることを厭いません。
道に迷った瞬間は落ち込むよりも、新しいフレーズを試す絶好の機会だと筆者は今でも感じています。


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