ポルトガル語で名刺交換 挨拶・敬称・所作の全体像

名刺交換はポルトガル語圏でも第一印象を決定づけます。

ただし日本のように両手で差し出す所作は必須ではなく、挨拶とアイコンタクトの方が重視されます。

この記事では、商談冒頭で使える挨拶、役職名の読み方、名刺受け渡しの所作、そして続く small talk の定番をまとめます。

挨拶と握手

初対面の定番

Muito prazer em conhecê-la/conhecê-lo(お会いできて光栄です)。

É um prazer conhecê-la, Dra. Costa(Costa博士、お会いできて光栄です)。

本国はDr./Dra.(Doutor/Doutora)の敬称が日常的で、大学学位保持者全員に使えます。

握手とビジュー

本国ポルトガルは男性同士は握手、女性には dois beijinhos(両頬キス)が標準です。

ブラジルは地域差が大きく、Rio de Janeiroは2回、São Pauloは1回、Minas Geraisは3回というのが通説です。

ただしビジネスの初対面では握手のみが無難で、相手が beijinho を求めてきたら自然に応えれば大丈夫です。

名刺を差し出す瞬間

一言添える

Aqui está o meu cartão(こちら私の名刺です)。

本国ではcartão-de-visita、ブラジルでは cartão de visita と書き分けますが、口語はどちらも cartão で通じます。

Se precisar de algo, pode contactar-me por este número(何かあればこちらの番号にご連絡ください)。

受け取る側の返し

Muito obrigada, aqui está o meu(ありがとうございます、私のはこちらです)。

Posso guardar(頂戴してもよろしいですか)と一言添えると丁寧です。

筆者はBrasília(1960年4月21日遷都、Oscar Niemeyer 1907-2012/Lúcio Costa 1902-1998設計)で行政官と名刺交換した際、この所作を徹底して好印象を得ました。

役職と肩書の読み方

代表的な肩書

Diretor executivo(CEO)、Diretora financeira(CFO)、Gerente de projetos(Project Manager)、Analista sénior(本国)/Analista sênior(ブラジル)。

Sócio-gerente は中小企業の経営パートナー、Presidente do conselho de administração は取締役会長を指します。

本国では「Eng.」「Arq.」のように工学士・建築士の略号も名刺に残っています。

呼びかけの敬称

Dr.(男性、学位保持者)/Dra.(女性、学位保持者)が最も無難です。

Engenheira Ana(エンジニア Ana さん)、Arquiteto João(建築家 João さん)のように職業+名前も本国では一般的です。

ブラジルは Sr./Sra.+姓 が商慣習の中心で、Dr./Dra. は医師と弁護士に多く使われます。

名刺の情報と文化差

本国の名刺の特徴

NIF(納税者番号)、本国固定電話(+351)、LinkedIn URLが載っていることが多いです。

両面印刷でポルトガル語と英語の併記が標準になりつつあります。

Lisboa Startup Hub Beato(2020年開業、Rua do Açúcar 56)で受け取る名刺はほぼすべて英語併記でした。

ブラジルの名刺の特徴

CNPJ/CPF、DDD付き電話番号(11-9XXXX-XXXX)、WhatsAppアイコン付きが一般的です。

WhatsAppアイコンはブラジルでは商習慣として定着しており、Podemos falar no WhatsApp と自然に切り出せます。

名刺交換後の small talk

Primeira vez em Portugal?(ポルトガルは初めてですか?)/Primeira vez no Brasil?(ブラジルは初めてですか?)。

天気、サッカー、食の三つが鉄板で、politica と religião は避けるのが無難です。

Porto の人に Benfica の話題を振るのは地雷なので、代わりに FC Porto 1893年創設 Estádio do Dragão について触れると好印象です。

筆者はRio de JaneiroでFlamenguista の担当者に Você é rubro-negro? と尋ね、一気に打ち解けた経験があります。

デジタル名刺の扱い

紙とデジタルの併用

本国ポルトガルではLinkedInの即時追加が増え、Podemos ligar-nos no LinkedIn(LinkedInでつながりましょう)が頻繁に使われます。

ブラジルはWhatsApp主導で、Me manda uma mensagem depois(あとでメッセージください)が標準です。

QRコード付き名刺

Lisboaの2023年Web Summit以降、QRコード付き名刺が一気に普及しました。

Web Summitは2009年Dublin創業で、2016年からLisboaのAltice Arena Parque das Naçõesに移転しています。

筆者も2023年のWeb Summitで配布された電子名刺アプリBlinqを使い、LinkedInと自動同期できる便利さに感心しました。

避けたい失敗

名刺を財布の後ろポケットに入れるのはブラジル、本国ともに失礼と取られます。

折り目やシワを避け、専用の名刺入れから取り出すのが無難です。

その場で名刺に書き込みをする行為も本国では相手への敬意に欠けると見なされます。

筆者は一度Porto でこの失敗をやり、相手のエンジニアが一瞬眉を上げた場面を今も忘れません。

商談に繋げる定番フレーズ

次のアクションを提案

Podemos marcar uma reunião na próxima semana(来週会議を組みましょう)。

Gostaria de agendar uma apresentação dos nossos produtos(弊社製品のご紹介の場を設けさせてください)。

Envio-lhe o material em anexo ainda hoje(本日中に資料をお送りします)。

連絡手段の確認

Qual é o melhor canal para o contactar(ご連絡に最適な手段はどちらですか)?

Prefere e-mail, LinkedIn ou WhatsApp(メール、LinkedIn、WhatsAppのうちどれが良いですか)?

筆者はFarfetch Porto本社でこの質問をした際、担当のディレクターから WhatsApp é mais rápido para mim と即答され、プロジェクトの立ち上げが一気に加速しました。

まとめ

名刺は記号ではなく関係構築の入り口です。

一言のフレーズと敬称の使い分けで、相手の懐に一歩近づけます。

本国とブラジルの微妙な距離感を踏まえて、自信を持って挨拶してみてください。

名刺関連の追加語彙

Apresentação(自己紹介)、Rede de contactos(本国、人脈)/Rede de contatos(ブラジル)、Networking(両国で通用)、Evento corporativo(企業イベント)、Feira de negócios(商談会)。

Aproveitar para fazer networking は「この機会に人脈を広げる」、Estender o cartão は「名刺を差し出す」の定番動詞フレーズです。

Quebrar o gelo(氷を砕く)は「場を和ませる」意で、会話の糸口を探るときに使えます。

このあたりを押さえておくと、挨拶から商談への移行が自然になります。

筆者の失敗と学び

筆者は初めてのLisboa出張で、名刺入れを持たずにジャケットの内ポケットから直接取り出してしまいました。

相手のエンジニアは何も言いませんでしたが、微妙な間があったのを今でも覚えています。

それ以降は革製の名刺入れを携帯し、両手で差し出す日本式を相手が慣れていれば保つようにしています。

所作は国境を越えて丁寧さを伝える最短の言語です。

挨拶のタイミングと距離感

本国ポルトガルのビジネスシーンでは、到着と同時に全員と握手するのが礼儀です。

会議室に入ったら最初に座長、次に参加者全員と順番に握手していくのが標準的な所作です。

ブラジルは立場順ではなく、入口から近い人に順番に挨拶する流れが自然です。

筆者はSão PauloのItaipavaビール醸造所(1965年ペトロポリス創業)の本社会議で、握手だけで10人分の挨拶を終えた後、ようやく着席する流れを体験しました。

この丁寧な挨拶を省くと、後で「あの日本人は冷たい」と噂されかねません。

所作を磨く小話

筆者はLisboaの商工会議所Câmara de Comércio 1834年創設Rua das Portas de Santo Antão 89で開かれた交流会に参加した際、年配の会員から「o teu cartão fala antes de ti(君の名刺は君より先に話すんだよ)」と言われ、紙の質や印字の選び方まで意識するようになりました。

本国は紙質にこだわる伝統があり、重めのマット紙に活字印刷が好まれます。

ブラジルは明るい色使いとWhatsAppロゴ付きのモダンなデザインが主流です。

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました