インドネシアの食文化は世界屈指の多様さで、ジャカルタの屋台から高級レストランまで、筆者は渡航のたびに胃袋と財布の限界に挑戦しています。
今回はインドネシア語で食事を楽しむためのフレーズを、席の案内から会計までの流れに沿ってまとめます。
入店と席の希望
まずは「Selamat siang, meja untuk dua orang(こんにちは、2人席をお願いします)」が鉄板の第一声です。
siangは昼、malamは夜、pagiは朝の挨拶で、時間帯に合わせて使い分けます。
席の好みを伝える
「Di dekat jendela, boleh?(窓際は空いていますか)」や「Di luar saja(外の席でお願いします)」といった一言で、雰囲気の良い席に案内してもらえる確率が上がります。
外席はterasまたはoutdoorと呼ばれ、夕方以降のJakarta南部の店では特に人気です。
予約の確認
「Saya sudah reservasi atas nama Tanaka(田中の名前で予約してあります)」のように、reservasiは英語由来で通じやすい単語です。
メニューを読む
インドネシアのメニューは大きく分けて、nasi(ご飯もの)、mi(麺類)、sate(串焼き)、sayur(野菜料理)の4系統で構成されます。
Nasi gorengは炒飯、Nasi padangはパダン料理の盛り合わせ、Mie ayamは鶏肉のせ麺、Sate ayamは鶏の串焼きと覚えると、どこのメニューでも迷いません。
おすすめを尋ねる
「Menu andalan di sini apa?(ここの看板メニューは何ですか)」と聞けば、店員が一番の自信作を教えてくれます。
andalanは「頼りになる、看板」という意味で、筆者がジャカルタの老舗レストラン Sate Khas Senayan(1974年創業)で使って以来、必ず役立つフレーズになっています。
辛さの調整
「Tidak pedas, ya(辛くしないでくださいね)」はインドネシア料理で最重要フレーズの一つです。
Pedasは辛い、sedikit pedasはちょっと辛い、pedas sekaliは激辛、の三段階で伝えれば意図が伝わります。
Sambal(唐辛子ペースト)を別皿で頼むなら「Sambalnya dipisah, ya」と言います。
注文のフレーズ
「Saya mau pesan(注文したいです)」のあとに料理名を並べるのが基本の形です。
「Satu nasi goreng ayam, satu es teh manis, ya(鶏肉炒飯1つと甘い冷たい紅茶1つ)」のように、数量はsatu(1)、dua(2)、tiga(3)と頭に付けます。
飲み物は甘さ指定が鉄則
Es teh manisは甘い氷紅茶で、インドネシアの国民的飲み物です。
甘さを抑えたい時は「Kurang manis, ya(甘さ控えめで)」、無糖なら「Tawar, tidak pakai gula(無糖で、砂糖なしで)」と伝えます。
取り分けたい時
「Tolong dibagi dua(2人で分けてください)」と言えば、店員が取り皿を用意してくれます。
食事中に使うフレーズ
「Enak sekali!(とても美味しい)」は筆者がほぼ毎食口にするフレーズです。
大げさに言うとドライバーでも料理人でも顔がほころぶので、人間関係の潤滑油として重宝します。
追加注文
「Tambah satu lagi, ya(もう1つ追加で)」と言えば、おかわりがスムーズです。
ご飯のおかわりはnasi putihを指さして「Nasi putihnya tambah」と言えば伝わります。
困った時
「Maaf, ini salah pesanan saya(すみません、注文と違います)」や「Minta sendok lagi(スプーンをもう1本)」など、sendok(スプーン)、garpu(フォーク)、sumpit(箸)、pisau(ナイフ)の4語を覚えておくと安心です。
Padang料理の独特な注文方式
西スマトラのPadang料理店では、席に着くと頼んでいない小皿が十数種類ずらりと並びます。
食べた分だけ後から計算するスタイルで、1892年創業と言われるRumah Makan Sederhana(ジャカルタ本店1972年開店)が最も有名です。
手を付けない料理は戻してOK
「Yang ini tidak saya makan(これは食べませんでした)」と伝えれば、その皿は会計から除外されます。
Rendang(ルンダン、2011年CNN世界一美味しい料理1位)は外せないので、筆者は必ず1皿キープします。
会計と支払い
「Minta bon, ya(お会計お願いします)」または「Bayar di mana?(どこで払いますか)」と伝えます。
Bonは伝票、kasirはレジ係を指します。
支払い方法を選ぶ
「Bisa pakai kartu kredit?(クレジットカード使えますか)」、「Saya bayar tunai(現金で払います)」、「Pakai GoPay, boleh?(GoPayでいいですか)」が三大質問です。
GoPayとOVOは2020年以降、屋台でも使える店が急増しました。
チップとサービス料
レストランでは10パーセントのservice chargeが自動で加算されることが多く、別途チップは不要です。
屋台なら端数を切り上げて払うだけで十分で、1,000〜2,000ルピアの小銭を置いておけば喜ばれます。
筆者の鉄板10フレーズ
最後に、筆者が食事の度に使い回している10フレーズを紹介します。
Selamat siang(こんにちは)/Meja untuk dua(2人席)/Menu andalannya apa(看板料理は何)/Tidak pedas(辛くしないで)/Es teh tawar(無糖のアイスティー)/Tambah nasi(ご飯追加)/Enak sekali(美味しい)/Minta sambalnya(サンバルちょうだい)/Minta bon(お会計)/Terima kasih banyak(ありがとうございました)。
この10フレーズだけで、ほぼ全ての食事シーンを乗り切れます。
屋台とワルンで使えるフレーズ
ワルン(warung)は家族経営の小さな食堂で、インドネシア人の食生活の中心です。
ジャカルタのKota Tua(旧市街、1619年にバタヴィアとしてオランダが建設)周辺には、朝5時から開くワルンも珍しくありません。
ショーケースを指差す注文法
「Yang ini satu(これを1つ)」「Itu juga(それも)」と指を差しながら言えば、語学力がなくても乗り切れます。
店のおばちゃんはIbu、店主のおじちゃんはBapakまたはPakで呼びかけると親しみが伝わります。
Nasi campurの注文術
Nasi campurは「混ぜご飯」の意味で、ご飯の上に好きなおかずを選んで盛ってもらうスタイルです。
「Nasi pakai ayam goreng sama tempe, ya(ご飯に揚げ鶏とテンペ)」のようにpakaiでおかずを指定します。
Tempeはジャワ島発祥の大豆発酵食品で、17世紀の文献にすでに登場する伝統食材です。
デザートと食後の一言
食後のデザートならEs cendol(ココナツミルクと緑のゼリー)、Pisang goreng(揚げバナナ)、Martabak manis(甘いお好み焼き風)の三強です。
「Ada es cendol?(エスチェンドルありますか)」と聞けば、ジャワ島では大抵の店で出てきます。
会計時の決まり文句
「Semuanya berapa?(全部でいくら)」と聞き、店員が「Tiga puluh lima ribu(3万5千ルピア)」と答えたら、「Ini, terima kasih(はい、ありがとう)」と渡すだけです。
Ribuは千の単位で、インドネシアの数字はpuluh(10)、ratus(100)、ribu(1000)、juta(100万)で組み立てます。
筆者おすすめの名店3選
ジャカルタなら前述のSate Khas Senayan、バリ島ならIbu Oka(ウブド中心部、1980年代開店のバビグリン専門店)、ジョグジャカルタならGudeg Yu Djum(1950年創業、ジャックフルーツ煮込みの元祖)が筆者の定番です。
どの店もメニューが英語併記ではないことが多いので、今回のフレーズを携えて挑戦する価値があります。
現地の人に混じる心構え
無理にきれいな発音を目指すより、「Mas(お兄さん)」「Mbak(お姉さん)」で呼びかけて笑顔で注文するほうが、よほど好印象です。
言葉のぎこちなさは愛嬌、笑顔は万国共通という筆者の持論を、インドネシアの食卓ほど実感させてくれる場所はありません。
アレルギーと食事制限を伝える
「Saya alergi udang(私はエビアレルギーです)」のようにalergiは英語と同じ響きで通じます。
ベジタリアンならvegetarian、豚肉NGなら「Tidak makan babi」、牛肉NGなら「Tidak makan sapi」と明確に伝えるのが肝心です。
ハラルの確認
インドネシアはムスリム人口世界最多で、街の多くの店にはHalal認証マーク(LPPOM MUI、1989年設立)が貼られています。
「Ini halal?(これハラルですか)」と聞けば確実です。
子連れ・家族連れで使うフレーズ
「Ada kursi anak?(子供用の椅子ありますか)」、「Porsi anak ada?(お子様サイズはありますか)」は家族旅行で必須のフレーズです。
多くの中級以上のレストランでは対応してくれます。


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