ビジネス英語のミスは、文法の誤りだけでなく「文化的なズレ」から生まれるものが多いことをご存じでしょうか。
日本語で完璧に通じる表現を直訳しても、英語話者には意図と違って伝わってしまう場面が山ほどあります。
筆者自身、外資系企業と海外フリーランスの経験を通じて、数え切れないほどの失敗を重ねてきました。
この記事では、日本人が特にやりがちなビジネス英語のミス20個を、NG例と正解例のペア形式で紹介します。
この記事で分かること
- 日本語直訳で起こりやすい英語のミス20個とその正解例
- カルチャーギャップから生まれるミスコミュニケーションの構造
- 筆者が実際に経験した失敗談と、そこから学んだ教訓
- なぜ日本人はビジネス英語で同じミスを繰り返すのか
- ミス1: I’m sorry for late reply
- ミス2: Please confirm(ご確認ください)
- ミス3: I will do my best(頑張ります)
- ミス4: Best regards(使い方ミス)
- ミス5: I think so(意見がない印象)
- ミス6: How about…?(提案の繰り返し)
- ミス7: Very very very(強調の繰り返し)
- ミス8: Please kindly(二重丁寧)
- ミス9: I have a question(話を長くする)
- ミス10: How do you think?(質問の形ミス)
- ミス11: Almost people(副詞の誤用)
- ミス12: Explain about(不要な前置詞)
- ミス13: Until by(締切表現の混同)
- ミス14: Make a reservation / Make a call(動詞のコロケーション)
- ミス15: Discuss about(不要な前置詞の二つ目)
- ミス16: I’m boring(感情と状態の混同)
- ミス17: Can you speak Japanese?(失礼に響く質問)
- ミス18: Please tell me your name(職務質問に聞こえる)
- ミス19: Nice meeting you(初対面とそうでない場面の混同)
- ミス20: Looking forward to hear from you(動名詞の誤り)
- カルチャーギャップから生まれるミスコミュ
- ミスを減らすダイアログ例
- 筆者の失敗体験談
- ミスを減らすための実践チェックリスト
- ミス対策で役立つ関連記事
- まとめ
なぜ日本人はビジネス英語で同じミスを繰り返すのか
日本人のビジネス英語ミスには、明確なパターンがあります。
それは文法の誤りよりも、「日本語の発想をそのまま英語に乗せる」ことから生まれるズレです。
パターン1: 直訳思考
「頑張ります」を「I will do my best」と訳すように、日本語の型を英語に乗せ替える発想です。
単語レベルでは正しくても、相手に伝わるニュアンスは日本語と大きく異なります。
パターン2: 過剰な謙遜
謙遜は日本の美徳ですが、英語圏では「自信のなさ」と受け取られるリスクがあります。
自分を下げる表現は、英語では極力避けるのが原則です。
パターン3: 曖昧さへの依存
日本語では「検討します」「難しいですね」といった曖昧な表現で意思を伝えますが、英語ではYesかNoかを明確にする文化です。
曖昧な英語は誤解を生み、後で大きな問題につながります。
ミス1: I’m sorry for late reply
NG例: I’m sorry for late reply.
正解例: I apologize for the delay in responding.
解説: 「sorry」は軽すぎるうえ、冠詞「the」が抜けています。
ビジネスの正式な謝罪では「apologize」を使い、「for the delay」のように前置詞と冠詞を揃えるのが基本です。
筆者は初期の頃、このミスを毎日のようにやっていました。
ミス2: Please confirm(ご確認ください)
NG例: Please confirm.
正解例: Could you please review the attached document?
解説: 「ご確認ください」を直訳して「Please confirm」とすると、相手に「何を?」と聞き返されます。
英語では「何を」「誰に対して」確認するかを明示する必要があります。
「confirm」より「review」「check」の方がニュアンスが合う場面も多いです。
ミス3: I will do my best(頑張ります)
NG例: I will do my best.
正解例: I’ll complete this by Friday.
解説: 「頑張ります」の直訳は、結果への責任を曖昧にする逃げの表現に聞こえます。
英語では「いつまでに何をやるか」を具体的に示すのが信頼の証です。
筆者のアメリカ人上司Johnは、「Best is meaningless without a deadline」と口癖のように言っていました。
ミス4: Best regards(使い方ミス)
NG例: Best regards to everyone!(文中で使う)
正解例: Best regards,(締めくくりで使う)
解説: 「Best regards」はメールの締めで使う定型句で、文中に挿入する挨拶ではありません。
「皆様によろしく」と言いたい場合は「Please give my regards to the team」が正解です。
ミス5: I think so(意見がない印象)
NG例: I think so.(意見を求められて)
正解例: I agree with your point about the budget constraints.
解説: 「そう思います」だけでは、何に対してどう思うのかが不明確です。
英語では意見を言う際、対象と理由をセットで示すのが礼儀とされています。
筆者はミーティングでこの失敗を繰り返し、上司から「もっと具体的に」と指摘されました。
ミス6: How about…?(提案の繰り返し)
NG例: How about tomorrow? How about 3 PM? How about Zoom?
正解例: Would tomorrow at 3 PM work for you? I suggest we use Zoom.
解説: 「How about」は軽いカジュアル表現で、ビジネスで連発すると子どもっぽく響きます。
「Would … work for you?」「I suggest」といった多様な表現にバリエーションを増やしてください。
ミス7: Very very very(強調の繰り返し)
NG例: I’m very very very sorry.
正解例: I’m extremely sorry for the inconvenience.
解説: 「very」を連発すると、語彙が乏しい印象を与えます。
強調には「extremely」「deeply」「sincerely」「profoundly」といったより強い副詞を使ってください。
ミス8: Please kindly(二重丁寧)
NG例: Please kindly check the document.
正解例: Could you kindly review the document? / Please review the document.
解説: 「please」と「kindly」はどちらも丁寧さを加える言葉で、両方使うと冗長に感じられます。
どちらか1つに絞るのが自然です。
ミス9: I have a question(話を長くする)
NG例: I have a question. I’d like to ask you a question. My question is…
正解例: Quick question—where should I send the invoice?
解説: 前置きを長々と入れるのは日本語の習慣で、英語では本題に直接入る方が好まれます。
「Quick question」や「One thing—」といった軽い前置きで十分です。
ミス10: How do you think?(質問の形ミス)
NG例: How do you think?
正解例: What do you think?
解説: 「どう思う?」を直訳して「How」を使うのは定番のミスです。
「think」に対する疑問詞は「what」が正解で、「how」は方法を問う質問です。
筆者はこのミスを、カナダ人同僚のLindseyから優しく訂正されました。
ミス11: Almost people(副詞の誤用)
NG例: Almost people use Slack.
正解例: Most people use Slack. / Almost everyone uses Slack.
解説: 「almost」は副詞で名詞を直接修飾できません。
「ほとんどの人」なら「most people」や「almost everyone」と言います。
ミス12: Explain about(不要な前置詞)
NG例: Please explain about the project.
正解例: Please explain the project.
解説: 「explain」は他動詞で、直接目的語を取ります。
日本語の「〜について説明する」をそのまま訳すと「about」を入れたくなりますが、不要です。
ミス13: Until by(締切表現の混同)
NG例: Please send it until Friday.
正解例: Please send it by Friday.
解説: 「by」は「〜までに(その時点まで)」、「until」は「〜までずっと(継続)」という違いがあります。
締切を伝える場合は「by」が正解です。
筆者は初めてこのミスを犯したとき、シドニーのプロジェクトマネージャーから意味を誤解され、締切が2日ずれました。
ミス14: Make a reservation / Make a call(動詞のコロケーション)
NG例: I will do a reservation. I will do a phone call.
正解例: I will make a reservation. I will make a phone call.
解説: 「予約する」「電話する」は「make + 名詞」の形を取ります。
日本語の「する」を全て「do」にしてしまうのは、最もよくある英語学習者のミスです。
ミス15: Discuss about(不要な前置詞の二つ目)
NG例: Let’s discuss about the budget.
正解例: Let’s discuss the budget.
解説: 「discuss」も他動詞で、「about」は不要です。
「〜について話し合う」を直訳して「about」を挟むのは、日本人特有の典型ミスです。
ミス16: I’m boring(感情と状態の混同)
NG例: I’m boring.(退屈という意味のつもり)
正解例: I’m bored.
解説: 「boring」は「退屈させる」という能動的な意味で、「I’m boring」は「私は退屈な人間です」という自己紹介になります。
自分が退屈しているなら「bored」を使ってください。
「interested」「interesting」「excited」「exciting」も同じ構造です。
ミス17: Can you speak Japanese?(失礼に響く質問)
NG例: Can you speak Japanese?
正解例: Do you speak Japanese?
解説: 「Can you speak」は「あなたに日本語を話す能力がありますか」と、能力を問う響きがあります。
相手の教養を試しているように受け取られる可能性があるので、「Do you speak」が丁寧です。
ミス18: Please tell me your name(職務質問に聞こえる)
NG例: Please tell me your name.
正解例: May I have your name, please? / Could you tell me your name?
解説: 「Please tell me」は命令に近く、警察官の職務質問のように響きます。
「May I have」や「Could you tell me」で、依頼の形に変えるのが自然です。
ミス19: Nice meeting you(初対面とそうでない場面の混同)
NG例: Nice meeting you.(初対面で最初に言う)
正解例: Nice to meet you.(初対面), Nice meeting you.(別れ際)
解説: 「Nice to meet you」は出会った瞬間に言うあいさつです。
「Nice meeting you」は別れ際に「お会いできてよかったです」と言う表現で、時系列が異なります。
筆者もロンドンのカンファレンスで混同し、その場で訂正を受けました。
ミス20: Looking forward to hear from you(動名詞の誤り)
NG例: I’m looking forward to hear from you.
正解例: I’m looking forward to hearing from you.
解説: 「look forward to」の「to」は不定詞ではなく前置詞で、後ろは動名詞(〜ing形)が必要です。
これは日本人だけでなく英語学習者全般が間違えやすいポイントです。
メール締めの定番表現なので、正しく覚えておいてください。
カルチャーギャップから生まれるミスコミュ
文法ミスだけではなく、文化的な背景のズレから生まれる誤解もあります。
ギャップ1: 沈黙の意味
日本では沈黙は「考えている」「同意している」というサインですが、英語圏では「理解していない」「反対している」と解釈されがちです。
会議で意見を求められたら、短くても必ず言葉で応じるべきです。
筆者はオランダのオンラインミーティングで長く沈黙してしまい、ファシリテーターから「Satoshi, any objections?」と直接聞かれる経験をしました。
ギャップ2: 曖昧さの捉え方
日本人の「難しいですね」は事実上の「No」ですが、英語圏では「挑戦的だがやりがいがある」と解釈されることがあります。
はっきりと「This will not be possible」と伝える方が、長期的な信頼につながります。
ギャップ3: 相手の時間への配慮
日本では長い挨拶や前置きが礼儀ですが、英語圏では「用件を先に」が礼儀です。
筆者は「I hope this email finds you well」を毎回書いていた頃、ドイツ人の取引先Clausから「Just get to the point, please」と言われたことがあります。
ギャップ4: 褒め言葉への反応
日本人は褒められると「いえいえそんなことありません」と否定しがちですが、英語圏では「Thank you」で受け取るのが礼儀です。
否定は相手の感想を否定することにもなり、かえって失礼にあたります。
ミスを減らすダイアログ例
筆者がインドのチームメイト「Arjun」との間で起きた、誤解から学びに変わった実例を紹介します。
ダイアログ例:締切の認識ずれ
Satoshi(NG版): Please send the report until Friday. I will do my best to check it.
Arjun: Sure, I’ll send it on Friday evening.(結果:金曜夜遅くに届き、翌週月曜のレビューに間に合わなかった)
Satoshi(改善版): Could you please send the report by Friday, April 17 at 12 PM IST? I’ll review it the same day and get back to you with feedback by Friday 5 PM IST.
Arjun: Got it, I’ll have it ready by Friday noon IST.(結果:予定通り届き、スムーズにレビューが進んだ)
このダイアログの学び
「until」を「by」に変え、時刻とタイムゾーンを明記したことで認識のずれがなくなりました。
さらに「I will do my best」を具体的な行動とスケジュールに置き換えたことで、相手も自分も迷いがなくなりました。
筆者の失敗体験談
筆者が最も記憶に残っている失敗は、2020年にドイツのベルリンで開催された国際カンファレンスでの出来事です。
基調講演の後、質疑応答の時間に筆者は手を挙げ、「How do you think about this challenge?」と質問してしまいました。
講演者のDr. Mertensは一瞬困惑した表情を見せ、「I think with my brain, but perhaps you meant ‘What do you think’?」とユーモアを交えて訂正してくれました。
会場から笑いが起き、筆者は顔から火が出る思いでした。
それ以来、筆者は「How」と「What」の使い分けを絶対に間違えないようにしています。
もう1つの大きな失敗は、2022年にイギリスのクライアントRobertに謝罪メールを送った際のことです。
筆者は「I’m very very sorry」と書き、謝罪の深さを強調したつもりでした。
Robertからの返信は冷たく、「Once is enough. Please tell me what went wrong」とだけ書かれていました。
文化の違いを痛感した瞬間でした。
英語圏では、謝罪の強調よりも「何が起きて」「どう解決するか」の説明を重視するのです。
それ以降、筆者は謝罪メールを書く際、感情表現は1回に抑え、事実と解決策の説明に9割の字数を割くようにしました。
3つ目の失敗は、2023年にサンフランシスコのパートナー企業「Nova Labs」を訪問した際の会食でした。
CEOのOliviaが筆者の書いたブログ記事を褒めてくれたとき、「Oh no, it’s nothing special」と反射的に否定してしまいました。
Oliviaは一瞬固まり、場の空気が少し冷めたのを感じました。
後日、共通の友人から「Oliviaはあなたの謙遜を否定だと感じたかもしれない」と聞きました。
それ以来、筆者は褒められたら必ず「Thank you, I really appreciate that」と返すようにしています。
これら3つの失敗は全て、筆者の英語を一段引き上げる転機となりました。
ミスは恥ずかしいものではなく、成長の最高の教材なのだと今は確信しています。
ミスを減らすための実践チェックリスト
ビジネス英語のミスを減らすための5つの習慣を紹介します。
チェック1: 送信前の音読
メールを送る前に、必ず声に出して読んでみてください。
黙読では見つからない不自然な箇所が、音読すると気づきやすくなります。
チェック2: 1文1要素
1つの文に複数の要素を詰め込まず、短く分けるだけでミスが激減します。
接続詞が少ないほど、文法ミスが減る傾向があります。
チェック3: 時間と日付の二重確認
「by Friday」のような締切表現は、相手のタイムゾーンと合っているか必ず確認してください。
筆者はこれだけで年間数件のトラブルを防いでいます。
チェック4: 「I think」を「I believe」に
「think」の連発を「believe」「consider」「feel」に置き換えるだけで、プロフェッショナルな印象が強まります。
チェック5: ネイティブに1週間1回チェックを依頼
信頼できる英語話者の同僚や友人に、自分のメールを見てもらう習慣をつけてください。
筆者は同僚のイギリス人Jamesに、週1回メールサンプルをチェックしてもらっていました。
ミス対策で役立つ関連記事
Langhacksでは、ビジネス英語のミス対策に役立つ関連記事を複数公開しています。
依頼の正しい表現を学びたい方は、「英語メールで依頼・お願いするフレーズ20選」をご覧ください。
断りメールで誤解を招かないためには、「英語メールで断る・辞退するフレーズ15選」が参考になります。
丁寧表現を体系的に学びたい方には、「英語ビジネスでの丁寧表現ガイド」をおすすめします。
さらに、自己紹介で第一印象を磨きたい方は、「英語で自己紹介するフレーズ|ビジネスシーン別の型」もあわせてお読みください。
これら4記事と本記事を組み合わせることで、ビジネス英語の全体像と細部のニュアンスを総合的に掴めます。
まとめ
日本人がやりがちなビジネス英語のミスは、文法の誤りだけでなく文化的なズレから生まれます。
直訳思考、過剰な謙遜、曖昧さへの依存の3つを意識するだけで、多くのミスを防げます。
本記事で紹介した20のミスは、どれも筆者を含む多くの日本人が一度は経験するものです。
NG例と正解例をペアで覚えることで、自分のメールや会話の中で気づきやすくなります。
締切は「by」、返信は「apologize for the delay」、意見は「What do you think?」という基本を押さえてください。
ミスを恐れる必要はありません、筆者自身も数えきれないほどの失敗を糧に今があります。
大切なのは、同じミスを繰り返さないよう学び続ける姿勢です。
まずは本記事のNG例のうち1つを自分ごととして振り返り、明日からのメールで意識してみてください。
小さな改善の積み重ねが、ビジネス英語力を確実に伸ばしていきます。


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