オープンイノベーション、つまりスタートアップや他社と組んで新しい価値を生む取り組み。それをインドネシア語で進めるとき、フレーズ単体を覚えても流れの中での使い方が分からないと不安が残ります。
協業の打診から成果配分の確認まで、一連の会話として体に入れておくと、現地のパートナーとのやり取りでも自然に口が動きます。
この記事で分かることは次の3つです。
- 協業の打診・PoCのすり合わせ・成果配分の確認を、実際の流れに沿ったダイアログで確認できる
- 自社側と相手側の往復で、どんな一言がやり取りを前に進めるか分かる
- 会話の直後に日本語解説があり、なぜその表現が効くのかが理解できる
ここでは自社側を「当社」、相手のスタートアップを「SU」と表記して、3つの場面を見ていきます。読み方はインドネシア語の発音をカタカナで近似したものです。
場面1|スタートアップに協業を打診する
イベントで知り合ったスタートアップに、協業を持ちかける場面です。
いきなり条件からでなく、共通の狙いと互いの強みから話を始めます。
| 話者 | インドネシア語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Terima kasih sudah meluangkan waktu. Kami sudah lama mengikuti karya Anda. | トゥリマ カシ スダ ムルアンカン ワクトゥ。カミ スダ ラマ ムンギクティ カルヤ アンダ | お時間ありがとうございます。御社の取り組みに以前から注目していました。 |
| 当社 | Kami melihat potensi besar jika bekerja sama. | カミ ムリハッ ポテンシ ブサール ジカ ブクルジャ サマ | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| SU | Senang mendengarnya. Apa yang Anda pikirkan? | スナン ムンドゥンガルニャ。アパ ヤン アンダ ピキルカン | うれしいですね。どんな構想でしょう? |
| 当社 | Anda punya teknologinya, kami punya jaringan distribusi. | アンダ プニャ テクノロギニャ、カミ プニャ ジャリンガン ディストリブシ | 御社には技術が、当社には販路があります。 |
| SU | Jadi kekuatan kita bisa saling melengkapi. | ジャディ ククアタン キタ ビサ サリン ムレンカピ | つまり互いの強みを補い合えますね。 |
| 当社 | Tepat sekali. Apakah Anda terbuka untuk inisiatif bersama? | トゥパッ スカリ。アパカ アンダ トゥルブカ ウントゥッ イニシアティフ ブルサマ | その通りです。共同の取り組みにご関心はありますか? |
| SU | Tentu saja. Mari kita cari tahu bentuknya bersama. | トゥントゥ サジャ。マリ キタ チャリ タウ ベントゥッニャ ブルサマ | もちろんです。形を一緒に探りましょう。 |
「saling melengkapi」で互いの強みが補完関係にあると示すと、相手も組む意義をつかめます。
最後を「Apakah Anda terbuka untuk …?(〜にご関心はありますか)」と問いの形にすると、押しつけずに前向きな返事を引き出せます。
場面2|PoCのスコープをすり合わせる
協業に前向きになり、まず小さく試すPoC(概念実証)の中身を詰める場面です。
範囲・期間・成功基準を一つずつ言葉にして、認識をそろえます。
| 話者 | インドネシア語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Bagaimana kalau kita mulai dengan PoC kecil dulu? | バガイマナ カラウ キタ ムライ ドゥンガン ピーオーシー クチル ドゥル | まず小さなPoCから始めませんか? |
| SU | Boleh. Cakupan seperti apa yang Anda bayangkan? | ボレ。チャクパン スプルティ アパ ヤン アンダ バヤンカン | いいですね。範囲はどうお考えですか? |
| 当社 | Mari kita jalankan uji coba tiga bulan untuk satu lini produk. | マリ キタ ジャランカン ウジ チョバ ティガ ブラン ウントゥッ サトゥ リニ プロドゥッ | 1つの製品ラインで3か月の試験運用にしましょう。 |
| SU | Lalu, seperti apa indikator keberhasilan bagi Anda? | ラル、スプルティ アパ インディカトール クブルハシラン バギ アンダ | 御社にとっての成功基準は何でしょう? |
| 当社 | Peningkatan efisiensi sepuluh persen sudah jelas berhasil. | プニンカタン エフィシエンシ スプル プルセン スダ ジュラス ブルハシル | 10%の効率改善が出れば明確な成功です。 |
| SU | Kami bisa menguji itu dalam skala kecil. | カミ ビサ ムングジ イトゥ ダラム スカラ クチル | 小規模で検証できます。 |
| 当社 | Kalau uji cobanya berhasil, kita perbesar skalanya. | カラウ ウジ チョバニャ ブルハシル、キタ プルブサール スカラニャ | うまくいけば本格展開します。 |
| SU | Mari kita tuliskan cakupannya supaya tetap sejalan. | マリ キタ トゥリスカン チャクパンニャ スパヤ トゥタッ スジャラン | 認識をそろえるため範囲を書面にしましょう。 |
「indikator keberhasilan(成功基準)」を先に確認することで、PoC後の判断で揉めにくくなります。
最後に「tuliskan cakupannya(範囲を書面化する)」と促し、口約束のズレを防いでいます。
場面3|成果配分・知財を確認する
共同開発に進む前に、生まれた成果や知的財産の扱いを確認する場面です。
言いにくい話題ほど、早めに、しかし穏やかに切り出します。
| 話者 | インドネシア語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Sebelum lanjut, mari kita bahas soal hak kekayaan intelektual. | スブルム ランジュッ、マリ キタ バハス ソアル ハッ クカヤアン インテレクトゥアル | 先に進む前に、知財の話をしましょう。 |
| SU | Tentu. Siapa yang akan memiliki hasil pengembangan ini? | トゥントゥ。シアパ ヤン アカン ムミリキ ハシル プングンバンガン イニ | もちろん。開発の成果は誰に帰属しますか? |
| 当社 | Kami ingin tetap memegang hak atas teknologi inti kami. | カミ インギン トゥタッ ムムガン ハッ アタス テクノロギ インティ カミ | 当社は基幹技術の権利を保持したいです。 |
| SU | Itu wajar. Kami juga menginginkan hal yang sama untuk teknologi kami. | イトゥ ワジャール。カミ ジュガ ムンギンギンカン ハル ヤン サマ ウントゥッ テクノロギ カミ | 妥当ですね。当社も自社分は同様に望みます。 |
| 当社 | Untuk apa pun yang kita bangun bersama, mari kita bagi haknya. | ウントゥッ アプアプン ヤン キタ バングン ブルサマ、マリ キタ バギ ハッニャ | 共同で作る部分は権利を共有しましょう。 |
| SU | Setuju. Bagaimana cara kita membagi pendapatannya? | ストゥジュ。バガイマナ チャラ キタ ムンバギ プンダパタンニャ | 賛成です。収益はどう分けますか? |
| 当社 | Mari kita kaitkan dengan kontribusi masing-masing pihak. | マリ キタ カイッカン ドゥンガン コントリブシ マシンマシン ピハッ | 双方の貢献度に応じて決めましょう。 |
| SU | Mari kita buat nota kesepahaman dan minta tim hukum memeriksanya. | マリ キタ ブアッ ノタ クスパハマン ダン ミンタ ティム フクム ムムリクサニャ | 基本合意書を作り、法務に確認させましょう。 |
「tetap memegang hak atas teknologi inti(基幹技術の権利を保持する)」で、自社の中核部分は守りたいと明確に伝えています。
共同部分は共有、貢献度に応じた配分、という整理で双方が納得しやすくなります。
会話のコツ|協業を前に進める動き
3つの場面に共通する、協業ならではの進め方を整理します。
フレーズの暗記だけでなく、この型を意識すると会話が安定します。
| コツ | 使うフレーズの例 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 共通の狙いから入る | Kami melihat potensi besar jika bekerja sama. | カミ ムリハッ ポテンシ ブサール ジカ ブクルジャ サマ | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| 強みの補完を示す | Kekuatan kita bisa saling melengkapi. | ククアタン キタ ビサ サリン ムレンカピ | 互いの強みを補い合えます。 |
| 小さく試す提案をする | Bagaimana kalau kita mulai dengan PoC kecil dulu? | バガイマナ カラウ キタ ムライ ドゥンガン ピーオーシー クチル ドゥル | まず小さなPoCから始めませんか? |
| 成功基準を先に決める | Seperti apa indikator keberhasilannya? | スプルティ アパ インディカトール クブルハシランニャ | 成功基準は何でしょう? |
| 知財を早めに切り出す | Mari kita bahas soal hak kekayaan intelektual dulu. | マリ キタ バハス ソアル ハッ クカヤアン インテレクトゥアル ドゥル | 先に知財の話をしましょう。 |
| 書面で認識をそろえる | Mari kita tuliskan supaya tetap sejalan. | マリ キタ トゥリスカン スパヤ トゥタッ スジャラン | 認識をそろえるため書面にしましょう。 |
協業は相手を説き伏せるより、共通の土台を一つずつ確認して積み上げる姿勢が言葉を選びやすくします。
特に知財や成果配分は、後回しにすると関係がこじれやすい論点です。
切り出しにくくても早めに言葉にしておくと、信頼を保ったまま前へ進めます。
オンラインで協業を打診する一場面
初回の打診はオンライン会議で行うことも増えています。
画面共有と資料送付を交えた短いやり取りを見てみましょう。
| 話者 | インドネシア語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Izinkan saya berbagi layar dan menjelaskan materi kami. | イジンカン サヤ ブルバギ ラヤール ダン ムンジェラスカン マテリ カミ | 画面共有して資料をご説明します。 |
| SU | Silakan, kami siap menyimak. | シラカン、カミ シアッ ムニマッ | ぜひお願いします。 |
| 当社 | Slide ini menunjukkan di mana kekuatan kami bisa berperan. | スライド イニ ムヌンジュッカン ディ マナ ククアタン カミ ビサ ブルプラン | このスライドが当社の強みの活かしどころです。 |
| SU | Sangat membantu. Bisakah materinya dikirim setelah ini? | サンガッ ムンバントゥ。ビサカ マテリニャ ディキリム ストゥラ イニ | 分かりやすいです。後で資料を送れますか? |
| 当社 | Tentu. Saya juga akan kirim draf NDA di kolom chat. | トゥントゥ。サヤ ジュガ アカン キリム ドラフ エヌディーエー ディ コロム チャッ | もちろん。秘密保持契約の案もチャットに送ります。 |
| SU | Bagus. Mari kita atur pertemuan lanjutan minggu depan. | バグス。マリ キタ アトゥール プルトゥムアン ランジュタン ミング ドゥパン | いいですね。来週フォローの打ち合わせをしましょう。 |
| 当社 | Saya akan ajak kepala R&D kami untuk pertemuan itu. | サヤ アカン アジャッ クパラ アールアンドディー カミ ウントゥッ プルトゥムアン イトゥ | その回は研究開発の責任者も同席させます。 |
「berbagi layar dan menjelaskan materi(画面共有して資料を説明する)」という流れは、オンラインの打診で定番です。
「ajak(同席させる)」で次回の参加者を予告すると、相手も準備しやすくなります。
よくある質問
Q. 協業ダイアログはどう練習すればいいですか?
自社側のセリフだけを音読して、自分の言葉として口になじませるのがおすすめです。
「打診・PoC・知財確認」の流れを通しで練習すると、本番でも順番が崩れにくくなります。
Q. PoCの話を切り出すフレーズは?
「Bagaimana kalau kita mulai dengan PoC kecil dulu?(まず小さなPoCから始めませんか)」が自然です。
続けて「Seperti apa indikator keberhasilannya?(成功基準は何か)」と確認すると話が締まります。
Q. 知財の話はどう切り出せば角が立ちませんか?
「Sebelum lanjut, mari kita bahas soal hak kekayaan intelektual.(先に進む前に知財の話を)」のように前置きを置くと穏やかです。
共同部分は共有、自社の基幹部分は保持、と整理すると合意しやすくなります。
Q. オンラインで資料を共有するときの言い方は?
「Izinkan saya berbagi layar dan menjelaskan materi kami.(画面共有して資料を説明します)」が定番です。
「Bisakah materinya dikirim setelah ini?(後で資料を送れますか)」と求められたら「Tentu.(もちろん)」と応じます。
まとめ
オープンイノベーションの会話は、フレーズ単体ではなく一連の流れで覚えると本番で動けます。
- 打診では共通の狙いから入り、互いの強みの補完を示す。
- PoCは範囲・期間・成功基準をそろえ、書面で認識を合わせる。
- 知財は早めに切り出し、共同部分の共有と貢献度配分で整理する。
会話の型が身についたら、協業でよく出る単語をまとめて押さえておくと、さらに言葉が出やすくなります。
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