- 文学作品は語彙の宝庫であり読解力の試金石
- 戦後オランダ文学の巨人|Harry Mulisch、Gerard Reve、Willem Frederik Hermans
- 現代の注目作家|Marieke Lucas RijneveldとConnie Palmen
- ノンフィクションとジャーナリズム|Geert MakとRutger Bregman
- 詩|Lucebert、Rutger Kopland、Ramsey Nasr
- 入手方法|Athenaeum、Librairie Kramerとオンライン古書店boekwinkeltjes.nl
- 読書の進め方|週1冊ペースより月1冊で深く読む
- 文学賞と書評|Libris Literatuur Prijs、P.C. Hooft-prijs、NRCとde Volkskrant書評欄
- やさしい入門|Arnon GrunbergとTommy Wieringa
- オランダ文学の歩み
- 代表作家の世界
- 読書の進め方
- 入手方法
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文学作品は語彙の宝庫であり読解力の試金石
上級オランダ語に到達するには、文学作品を原書で読むのがやはり近道です。
オランダ語の現代文学はノーベル賞こそまだ出ていませんが、ブッカー国際賞を2020年に受賞したMarieke Lucas Rijneveldのような才能が次々に現れています。
ここでは、どの順番で、どこで入手し、どの辞書を併用すべきかを私自身の読書体験に基づいて具体的に紹介します。
戦後オランダ文学の巨人|Harry Mulisch、Gerard Reve、Willem Frederik Hermans
De grote drie(御三家)と呼ばれるHarry Mulisch(1927-2010)、Gerard Reve(1923-2006)、Willem Frederik Hermans(1921-1995)は避けて通れません。
Mulischの代表作De aanslag(1982年、De Bezige Bij出版、Amsterdam Van Miereveldstraat本社)は、1945年ハールレムの実話を基にした短編小説で、オランダ文学読解の王道として多くの大学で教材になっています。
De Bezige Bijは1942年レジスタンス運動の一環として設立されました。
Reveの『De avonden』(1947年)はFrits van Egters青年の10日間を描いた戦後文学の金字塔で、2016年にPuschkin Pers社のSam Garrett英訳版がTimes Literary Supplementで絶賛されました。
Hermansの『De donkere kamer van Damokles』(1958年、Van Oorschot出版)は第二次大戦下のレジスタンスとアイデンティティを問う傑作で、SchiedamとHaarlemが舞台です。
📘 オランダ語の語彙も、いっしょに。頻出単語を頻度順にまとめたPDF単語帳です。
現代の注目作家|Marieke Lucas RijneveldとConnie Palmen
Marieke Lucas Rijneveld(1991年Nieuwendijk生まれ)は2018年のデビュー長編De avond is ongemak(Atlas Contact出版、オランダ語版)でANV Debutantenprijs受賞、英訳The Discomfort of Evening(Michele Hutchison訳、Faber & Faber刊2020年)でInternational Booker Prizeを史上最年少で受賞しました。
聖書の引用や家畜業の語彙が多く、C1レベルの読解力が必要です。
Connie Palmen(1955年Sint Odiliënberg生まれ)はDe wetten(1990年、Prometheus出版)でAmsterdam知識人の世界を描き、夫Ischa Meijerの死をめぐる回想録I.M.(1998年)も定番作です。
ノンフィクションとジャーナリズム|Geert MakとRutger Bregman
文学小説が重すぎるなら、ジャーナリスティックなノンフィクションから入る手もあります。
Geert Mak(1946年Vlaardingen生まれ)のIn Europa(2004年、Atlas出版)は20世紀ヨーロッパを旅する壮大なルポで、VPROテレビ版も制作されました。
Amsterdam jordaan地区の歴史を描いたDe eeuw van mijn vader(1999年)は彼自身の家族史でもあります。
Rutger Bregman(1988年Westerschouwen生まれ)のDe meeste mensen deugen(De Correspondent出版、2019年)は性善説の現代的再構築で、英訳Humankindで世界的ベストセラーになりました。
De Correspondentは2013年Rob Wijnberg創設のクラウドファンディング型ジャーナリズム媒体です。
詩|Lucebert、Rutger Kopland、Ramsey Nasr
詩は短くて挑戦しやすい文学形式で、語彙を凝縮した形で学べます。
Lucebert(1924-1994、本名Lubertus Jacobus Swaanswijk)はde Vijftigers運動の中心で、Amsterdam在住時代の詩は戦後モダニズムの代表です。
Rutger Kopland(1934-2012、本名Rudi van den Hoofdakker)はGroningen大学精神医学教授でもあり、自然描写の美しい詩を残しました。
Ramsey Nasr(1974年Rotterdam生まれ)はDichter des Vaderlands(国民詩人)を2009-2013年に務めました。
入手方法|Athenaeum、Librairie Kramerとオンライン古書店boekwinkeltjes.nl
オランダ在住ならAmsterdamのSpui広場にあるAthenaeum Boekhandel(1966年創業)が文学書の品揃えで定評があります。
Den Haagなら1839年創業のGinsberg & Co近くのLibrairie Kramer、Utrechtは1851年創業のBroese Boekverkopersが老舗です。
古書はboekwinkeltjes.nl(オランダ最大の古書オンラインプラットフォーム)で安く手に入り、De avondenのペーパーバックが2〜5ユーロで見つかることもあります。
日本からはAmazon.nlから国際発送するか、紀伊國屋書店WebStoreで取り寄せます。
電子書籍はbol.comのebook storeかKobo Nederlandが定番です。
読書の進め方|週1冊ペースより月1冊で深く読む
学習者の体感では、オランダ文学は月1冊ペースで辞書を引きながら丁寧に読むのが効果的です。
Kindleの辞書機能にVan Dale Pocketwoordenboek辞書を入れておくと、長押しで語義がすぐ出ます。
読書記録はGoodreadsのオランダ語版か、De Bezige Bijの公式アプリで管理すると、次に読むべき本が自動で提案されます。
章ごとにA4ノートに10個ずつ新出語をメモして、翌日Anki入力する習慣をつけると語彙が定着します。
文学賞と書評|Libris Literatuur Prijs、P.C. Hooft-prijs、NRCとde Volkskrant書評欄
新刊選びの羅針盤として、文学賞をフォローすると外れが少ないです。
Libris Literatuur Prijs(1994年創設、書籍チェーンLibrisが毎年5月に発表、賞金5万ユーロ)はオランダ語圏最大級の文学賞で、近年の受賞作にSander Kollaard「Uit het leven van een hond」(2020年)、Oek de Jong「Zwarte schuur」(2022年)などがあります。
Belgium側のLibris ShortlistにはBart Van Loo(1973年Geel生まれ、Atlas Contact)の歴史ノンフィクション「De Bourgondiërs」(2019年)も含まれました。
オランダ語文学の最高権威はP.C. Hooft-prijs(1947年創設、政府文化省提供)で、Hugo Claus(1994年、Vlaams作家)、Hella Haasse(1984年)、Cees Nooteboom(2004年)などが受賞しています。
日々の書評情報源
NRC Handelsblad(1970年創刊、Rotterdam本社、Mediahuis傘下)の土曜版Boekenビジュアル、de Volkskrant(1919年創刊、DPG Media傘下)の金曜書評欄、そしてDe Groene Amsterdammer(1877年創刊の週刊誌、Amsterdam Weteringschans 259)の文芸欄は信頼できます。
ラジオではNPO Radio 1のOVT(オランダ歴史番組、VPRO/NTR制作、日曜10時)で文学作品が頻繁に紹介されます。
やさしい入門|Arnon GrunbergとTommy Wieringa
最初に挑む一冊としては、Arnon Grunberg(1971年Amsterdam生まれ、現在NY在住)のBlauwe maandagen(1994年、Nijgh & Van Ditmar)が短く読みやすくおすすめです。
Tommy Wieringa(1967年Goor生まれ、Texel島在住)のJoe Speedboot(2005年、De Bezige Bij)はSchepp県を舞台にした青春小説で、Libris Literatuur Prijsのshortlistにも選ばれました。
どちらもC1にいきなり飛ばすよりB2後半での移行期に最適です。
Wieringaの後期作Dit zijn de namen(2012年、De Bezige Bij、Libris Literatuur Prijs受賞)も移民と国境をテーマにした印象深い一冊です。
また戦時下の古典Het Achterhuis(アンネ・フランクの日記、1947年Contact出版)はオランダ語原文でB2レベルから読める貴重な一次資料で、Amsterdam Prinsengracht 263-267の隠れ家でしたためられた原稿そのものです。
オランダ文学の歩み
オランダ文学は17世紀の黄金時代から現代まで連なります。
歴史を押さえると作家の位置づけが分かります。
黄金時代
Joost van den VondelやP.C. Hooftが代表的な作家です。
詩と戯曲が文学の中心でした。
古風な文体で現代には難解ですが、古典として重要です。
アムステルダムの博物館で当時の本も見られます。
19世紀
Multatuli(Eduard Douwes Dekker)が「Max Havelaar」(1860年)で植民地主義を批判しました。
社会派文学の先駆けとなった作品です。
現代語版も出版されており、学習者にも読めます。
歴史的意義が大きい一冊です。
20世紀以降
Harry MulischとCees Nooteboomが戦後オランダ文学の双璧です。
Gerard Reveも独特のスタイルで知られます。
現代はTommy WieringaやArnon Grunbergが活躍しています。
翻訳も多く、日本語で読める作品が増えました。
代表作家の世界
主要作家を知ると読書の幅が広がります。
一人ずつ掘り下げると楽しみが深まります。
Harry Mulisch
「De Aanslag」(襲撃、1982年)は第二次大戦下のオランダを描きます。
「De ontdekking van de hemel」(天国の発見、1992年)は哲学的大作です。
映画化もされており、作品の入口として最適です。
日本語訳も入手可能です。
Marieke Lucas Rijneveld
「De avond is ongemak」(夜の不快、2018年)でインターナショナル・ブッカー賞を受賞しました。
農村の家族を描いた衝撃的デビュー作です。
現代オランダ文学の新しい世代を代表する作家です。
詩集も評価が高いです。
Cees Nooteboom
「Rituelen」(儀式、1980年)は国際的に評価されました。
旅行記と小説の両方で知られます。
日本にも深い関心を示し、関連エッセイも書いています。
文体が美しく、学習素材としても価値があります。
読書の進め方
文学は効果的な学習素材です。
段階的に進めます。
レベルに合う作品
B1レベルなら児童文学から始めます。
「Kikker」シリーズはMax Velthuijsの絵本で親しまれています。
B2以上なら短編集が取り組みやすいです。
いきなり長編は挫折の原因になります。
読み方のコツ
1日10〜20ページのペースを守ります。
知らない単語は5つまでメモするルールを決めます。
文脈で推測する力も同時に鍛えます。
章末で簡単なメモを書くと記憶に残ります。
翻訳の併読
日本語訳と並行して読むと理解が深まります。
難しい表現は翻訳で確認します。
ただし翻訳に頼りすぎないよう意識します。
最終的には原文だけで読めるようになります。
入手方法
オランダ文学を日本で入手する経路は複数あります。
目的に応じて選びます。
オンライン書店
Bol.comはオランダ最大の総合オンライン書店です。
オランダ語書籍の在庫が豊富です。
国際配送も対応しており、1〜2週間で届きます。
電子書籍なら即時入手可能です。
Kindle等の電子版
Amazon.nlでオランダ語書籍の電子版が購入できます。
日本のKindleアカウントでもDL可能です。
辞書機能も使えて学習に便利です。
場所を取らないのが最大の利点です。
日本での入手
紀伊國屋書店や大手書店で取り寄せられる作品もあります。
日本オランダ協会のイベントで文学紹介もあります。
古本市場でも稀に見つかります。
地道な情報収集が鍵です。
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