天気の話題は万国共通の潤滑油です。
ポルトガル語圏でも、バスを待つ列や市場のレジで「今日は暑いね」と言えば会話が始まります。
この記事では、本国ポルトガルとブラジルで使える気象表現と季節の話題をまとめます。
気温と天気の基本表現
Está で始める万能形
Está calor. Está frio. Está a chover(本国)/Está chovendo(ブラジル)。
estar+形容詞または動名詞で「今こういう状態」を表す使い方が基本です。
Está sol. Está vento. Está nublado の三つは毎日の天気予報でも耳にします。
faz と fica の違い
Faz calor は「暑い気候だ」、Está calor は「今暑い」。
季節や地域の特性を語るときは fazer を、その瞬間の体感を言うときは estar を使うと覚えてください。
筆者はCoimbraで1月にEstá a fazer imenso frio, não éと言ったら、カフェのマスターがÉ o pior janeiro desde 2017と歴史語りを始めました。
季節と月の語彙
四季の呼び方
primavera, verão, outono, inverno の順です。
本国ポルトガルは北半球なので日本と同じ季節感ですが、ブラジルは南半球で12月が真夏、6月が真冬になります。
Riode Janeiroのカーニバル(Carnaval do Rio、1932年現行サンボードロモ形式の祖、Sambódromo 1984年3月2日Oscar Niemeyer設計)は2月または3月の真夏に行われます。
月の名前
janeiro, fevereiro, março, abril, maio, junho, julho, agosto, setembro, outubro, novembro, dezembro。
本国では大文字表記を避け、ブラジルでも小文字が公式です。
1990年の新正書法(Acordo Ortográfico de 1990、2009年施行)以前は本国で大文字表記が残っていましたが、現在は両国とも小文字で統一されています。
本国ポルトガルの気候
Lisboa と Porto の違い
Lisboaは地中海性気候で、夏は乾燥して40度近くまで上がる日もあります。
Portoは大西洋の影響で年間を通じて雨が多く、冬でも10度を下回ることは稀です。
筆者は2023年1月にPortoのRibeira地区(UNESCO世界遺産1996年登録)で毎日小雨に降られ、Amo esta chuva portuenseと半分やけくそで言ったらカフェの常連さんに大笑いされました。
Algarve と内陸
Algarveは年間300日以上が晴天で、英国人退職者の定住地としても有名です。
内陸のÉvora(1986年UNESCO世界遺産)やAlentejo地方は夏の日中に45度近くまで上がることもあります。
É um forno ahí fora は真夏の定番フレーズで「外はオーブンだ」という意味です。
ブラジルの気候の多様さ
Amazônia と Nordeste
AmazôniaのManausは年間を通じて高温多湿で、雨季は12月から5月です。
Está um abafamento insuportávelは「蒸し暑くて耐えられない」。
NordesteのSalvador da Bahiaは年間平均25度前後で、海風が心地よい地域です。
Pelourinho地区(1985年UNESCO世界遺産)を歩いていると、突然スコールが降ってくるのは日常茶飯事です。
São Paulo と Sul
São Pauloは標高760mの高原にあり、冬は10度以下になる日もあります。
南部のCuritiba、Porto Alegre、Florianópolisでは冬に氷点下を記録することもあります。
2013年7月にSanta CatarinaのSão Joaquimで氷点下7.8度を記録し、ブラジル南部観測史上の寒波として話題になりました。
筆者はCuritibaで「Nossa, que friagem」と言ったら現地人に「Ainda não viste nada, espera o vento minuano」と返され、南米の寒風の名前を初めて知りました。
天気予報を読む
主要メディアの予報
本国ではIPMA(Instituto Português do Mar e da Atmosfera、2012年創設、Rua C do Aeroporto Lisboa)の公式サイトが最も正確です。
ブラジルはINMET(Instituto Nacional de Meteorologia、1909年10月13日創設、Eixo Monumental Sul Brasília)とClimatempo(1986年創業São Paulo)が定番です。
テレビの天気予報コーナーでは máxima と mínima の組み合わせで最高・最低気温が表示されます。
予報用語の定番
Chuva forte(強い雨)、Pancadas de chuva(にわか雨)、Trovoada(雷雨)、Nevoeiro(霧)、Geada(霜)。
Alerta amarelo/laranja/vermelho は警戒レベルの色分けで、EUの統一基準に沿っています。
筆者はLisboaで2022年12月のAlerta laranjaを見逃してびしょ濡れになった反省から、朝食時にIPMAアプリを確認する習慣がつきました。
天気の話題を会話に広げる
愚痴と共感の一言
Que calorão(なんて暑さ)/Que frio de rachar(骨まで凍る寒さ)。
本国では Está um gelo や Está a derreter が定番、ブラジルでは Tá um forno や Tá um gelo とくだけた言い方が主流です。
相手が愚痴ったら Pois é, está insuportável と共感すれば会話が続きます。
季節の食べ物や行事へ
天気の話は食べ物や行事への橋渡しにも使えます。
Com este frio apetece uma canja(この寒さだとチキンスープが食べたくなる)は本国の定番。
Com este calor só mesmo uma caipirinha(この暑さならカイピリーニャしかない)はブラジルの定番です。
Caipirinhaは1918年にSão Paulo州Piracicabaでスペイン風邪の民間療法として生まれたという説があり、cachaça 1756年制定のブラジル国家酒とライム、砂糖、氷で作られます。
筆者はBar do Mané(Mercado Municipal São Paulo Rua da Cantareira 306内)でこの一言を言ったら、バーテンダーが微笑みながらUma bem gelada saindoと返してくれました。
季節のイベントと天気の結びつき
本国の祭りと気候
Santos Populares(6月の民衆祭)は乾季の始まりに当たり、LisboaのAlfamaやMadragoa地区でsardinhas assadas(イワシの炭火焼き)の煙が立ち込めます。
Santo António(6月13日)、São João(6月24日)、São Pedro(6月29日)の3聖人がLisboaとPortoで祝われ、真夏夜の暑さが祭りを支えます。
Porto São Joãoでは深夜にマルテロ(プラスチック製ハンマー)で見知らぬ人の頭を叩く伝統があり、É uma noite quente em todos os sentidosと地元の人は言います。
ブラジルの季節イベント
Festa Junina(6月の農村祭)は南半球の冬を迎える時期で、Pernambuco州Caruaruの祭りが最大規模です。
Réveillon(大晦日)は真夏で、Rio de JaneiroのCopacabana海岸に200万人以上が白い服で集まります。
2023年12月31日のRéveillon de Copacabana ではNey Matogrosso 1941-やAnitta 1993-がステージに立ちました。
筆者はこの日の気温が28度あり、汗ばみながらÉ Ano Novo em pleno verãoの感覚を初めて味わいました。
天気にまつわる言い回しと諺
本国の定番フレーズ
Em abril, águas mil は「4月は雨が多い」という古くからの諺で、春の不安定な天気を表します。
Março marçagão, manhã de inverno, tarde de verão は「3月は朝は冬、午後は夏」という春の気まぐれを描いた言葉です。
筆者はÉvoraでこの諺をホストファミリーのDona Fátimaから教わり、その日の朝7度、午後24度という実例を身をもって体験しました。
ブラジルのユーモアな言い方
Tá um calor de lascarやFaz um frio de congelar pinguimなど、誇張表現が豊富です。
São PauloではTempo doido(狂った天気)という言い方が日常で、1日の中で夏と冬が往復することを指します。
サンパウロ市気象台(Estação Meteorológica do Mirante de Santana)では1933年から観測を続けており、過去最高気温は2014年10月17日の37.8度です。
実用的な天気アプリとサイト
本国向けはIPMAの公式アプリとMeteored、ブラジル向けはClimatempoアプリとWindyが定番です。
Windyはチェコ発2014年創業で、ポルトガル語インターフェースが両国向けに整備されています。
筆者はPorto滞在中にWindyでAtlantic stormの進路を追い、前日に傘を準備したことが何度もありました。
天気の話題は単なるスモールトークではなく、現地の暮らしぶりを知る入口でもあります。
Está bom para passear? と聞くだけで、その日の予定が自然に共有できるのがポルトガル語圏の良さです。


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