スウェーデン語文法書完全ガイド|Holmes & Hinchliffe・SAG・Norstedtsで学ぶ体系的アプローチ

はじめに:文法書の重要性

スウェーデン語を本格的に学習するうえで、信頼できる文法書は欠かせません。

私自身、ある程度学習が進んだ段階で「性の区別」「定冠詞後置」「動詞類変化」など基礎を体系的に整理する必要を感じ、複数の文法書を比較検討しました。

この記事では、英語圏・スウェーデン現地・日本で入手可能な主要文法書を著者・出版社情報とともに紹介します。

英語圏の定番:Holmes & Hinchliffe

Swedish: A Comprehensive Grammar

Philip Holmes(Durham大学元教授)とIan Hinchliffe(Edinburgh大学元講師)の共著「Swedish: A Comprehensive Grammar」はRoutledge社Comprehensive Grammarsシリーズの一冊で、初版1994年、第3版2013年刊行(ISBN 978-0-415-66691-2)、第4版が2022年に出版されました。

約600ページにわたり、音声学・形態論・統語論・語用論を網羅しており、英語話者のスウェーデン語学習者にとって最も信頼される参考書です。

Essential Swedish Grammar

同著者による「Essential Swedish Grammar」(Routledge 2015、ISBN 978-1-138-79766-7)は入門レベル向けの簡潔版で、Comprehensive Grammarの要点を中級前半までカバーしています。

練習問題集「Swedish: An Essential Grammar」(Routledge Essential Grammars)もあり、独学に最適です。

スウェーデン現地の権威:SAG

Svenska Akademiens grammatik

スウェーデン・アカデミー(1786年Gustav III創立、Stockholm Stortorget 2所在)が1999年に刊行した「Svenska Akademiens grammatik」(略称SAG)は、Ulf Teleman、Staffan Hellberg、Erik Anderssonの3氏を編集主幹とする全4巻の大著です。

第1巻Inledning、第2巻Ord、第3巻Fraser、第4巻Satserで構成され、総ページ数は約2800ページに及びます。

これは現在の標準スウェーデン語の決定版記述文法書であり、オンラインでsvenska.seから部分閲覧可能です。

Norstedts文法シリーズ

Norstedts Förlag(1823年Stockholm設立)からは、Tor G. Hultman著「Svenska Akademiens språklära」(SAS、2003年、ISBN 978-91-7227-351-2)が学校教育向け公式文法書として刊行されています。

また、Cecilia Fasth, Anita Kannermark著「Form i fokus A/B/C」(1996-2001年、Folkuniversitetets förlag)は練習問題中心の文法教材で、SFI教室でも広く採用されています。

Modern Swedish Grammar Workbook

Ian Hinchliffe単独著「Modern Swedish Grammar Workbook」(Routledge 2003、ISBN 978-0-415-27882-8)は、Comprehensive Grammarと連動する練習問題集で、各章に対応する演習が用意されています。

自習用の解答付きで、独学者に適しています。

Routledge Frequency Dictionary(2010年、Mark Davies Brigham Young University監修のSwedish Frequency Dictionary)と組み合わせると語彙強化にも役立ちます。

Old Norse起源の動詞変化

スウェーデン語の強変化動詞(starka verb)はOld Norseから継承された古層を保っており、dricka-drack-druckit、skriva-skrev-skrivit、bita-bet-bitit、flyga-flög-flugitなどがその例です。

Holmes & Hinchliffe Comprehensive Grammar第10章では、これら強変化動詞を4類(I-IV)に分類して網羅的に扱っています。

Sven-Göran Malmgren著「Svensk lexikologi」(Studentlitteratur 1994、Lund)も語彙論の観点から変化を分析しています。

日本語で読める文法書

日本語話者向けには、山下泰文著「スウェーデン語文法」(大学書林、1991年)、菅原邦城著「スウェーデン語四週間」(大学書林、1993年、ISBN 978-4-475-01206-4)が古典的文法参考書です。

速水望著「ニューエクスプレスプラス スウェーデン語」(白水社、2018年、ISBN 978-4-560-08782-2)も巻末文法解説が充実しており参考になります。

東京大学出版会「スウェーデンを知るための60章」(村井誠人編、2009年、明石書店)は言語の社会文化的背景を学ぶのに有用です。

専門分野の文法書

語形成・語構成についてはBertil Molde・Carl Ivar Ståhle・Margareta Westman監修の「Svenskt språkbruk: Ordbok över konstruktioner och fraser」(Norstedts 2003、ISBN 91-7227-356-4)が定番で、動詞・前置詞・名詞の構文パターンを網羅しています。

文体論ではPeter Cassirer著「Stilistik & stilanalys」(Akademiförlaget 1979、新版Natur & Kultur 2003)、語用論ではJens Allwood・Lars-Gunnar Andersson・Östen Dahl著「Logic in Linguistics」(Cambridge University Press 1977)の影響下にあるスウェーデン応用言語学研究書が参考になります。

発音・音声学の参考書

スウェーデン語の特徴的な音調アクセント(grav・akut)を体系的に学ぶにはClaes-Christian Elert著「Allmän och svensk fonetik」(Norstedts、第8版2000年、ISBN 91-1-300939-0)やOlle Engstrand著「Fonetikens grunder」(Studentlitteratur 2004、Lund)が定評あります。

Gösta Bruce(1947-2010、Lund大学教授)の音調アクセント研究はスウェーデン語韻律学の基礎を築きました。

Kungliga Tekniska högskolan(KTH、1827年設立)音声言語処理研究室やUppsala universitet Fonetikavdelningen(音声学部門)のオンライン音声資料も無料で利用可能です。

また、SAMPA(Speech Assessment Methods Phonetic Alphabet)でスウェーデン語を表記する研究が盛んで、Bjorn Lindblom(Stockholm universitet)のH&H理論(Hyper- and Hypoarticulation)も世界的に引用されています。

使い分けの指針

学習初期には白水社「ニューエクスプレスプラス」と大学書林「スウェーデン語四週間」で日本語による基礎固めを行い、B1レベル以降はHolmes & Hinchliffe「Essential Swedish Grammar」で英語での体系化、B2以上では「Comprehensive Grammar」を辞書的に参照するのが効率的です。

研究者・翻訳者を目指す段階ではSAG全4巻が必携で、Uppsala universitetbibliotek(1621年Gustav II Adolf設立、Carolina Rediviva館)やLunds universitetsbibliotek(1668年設立、Biskopsgatan 3)で閲覧可能です。

電子版はNorstedts Plus(Akademibokhandelnグループのデジタル書籍プラットフォーム)から購入できます。

また、Svenska språknämnden(1944年創立、現在Språkrådet、2006年ISOF傘下に改組)が発行する言語雑誌「Språktidningen」(2007年創刊、Patrik Hadenius編集長)は現代スウェーデン語の動向を知るのに有益です。

定期購読でスウェーデン社会の言語観にも親しめます。

Språktidningen以外にもForskning & Framsteg(1966年創刊)が言語学特集号を定期的に出しています。

Sweden Bok Pocketという月刊誌もポケット版で購読価値があります。

文法学習と並行して実際の用例に多く触れることも重要です。

Korp(Språkbanken運営、Göteborgs universitet、2010年公開)はスウェーデン語コーパスの検索ツールで、語彙・構文の実例を学ぶのに役立ちます。

文法書の系統

スウェーデン語文法書は用途で選びます。

系統を知ると自分に合う一冊が見つかります。

英語話者向け

Holmes & Hinchliffeの「Swedish: A Comprehensive Grammar」は英語話者向けの定番です。

詳細な説明と豊富な例文が特徴です。

650ページ超の大著で、辞書的に使えます。

中上級者の必携書です。

日本語解説書

「スウェーデン語の文法」(大学書林)は日本人学習者向けの基本書です。

「しっかり学ぶスウェーデン語」も定番です。

日本語での詳細説明が理解を助けます。

入門者に向いています。

スウェーデン語のみの文法書

「Svenska Akademiens grammatik」(SAG)は学術的な網羅的文法書です。

全4巻2500ページ超の大著です。

専門家や研究者向けの内容です。

オンライン版も利用できます。

レベル別の選び方

自分のレベルに合わない本は挫折の原因です。

目的に合う一冊を選びます。

初心者

薄くて例文豊富な本が継続しやすいです。

「Essential Swedish Grammar」は英語話者向けの入門書です。

100〜200ページの薄手の本が最適です。

練習問題の解答付きを選びます。

中級者

Holmes & Hinchliffeが最も使える一冊です。

文法項目ごとに調べやすい構成です。

例文が豊富で実用的です。

購入して手元に置く価値があります。

上級者

「Svenska Akademiens grammatik」に挑戦できます。

方言差や歴史的変化にも踏み込みます。

読み物としても興味深いです。

無料オンライン版で十分な場合もあります。

辞書との併用

文法書と辞書は両輪です。

併用で理解が深まります。

Norstedts辞書

スウェーデン最大手の辞書出版社です。

「Norstedts svenska ordbok」はスウェーデン語一元辞書です。

中上級者の標準辞書です。

オンライン版も利用できます。

英スウェーデン辞書

「Norstedts Stora Engelsk-Svenska Ordbok」は英語話者向けの大型辞書です。

収録語数が多く、実用例が豊富です。

英語解説で学習する人に最適です。

電子版もあります。

日本語辞書

「基本スウェーデン語辞典」(大学書林)は日本で入手可能です。

日本語学習者に特化した構成です。

基本語彙を押さえるのに便利です。

持ち運びやすいサイズです。

補助教材の活用

文法書と辞書に加えて補助教材があると効果的です。

多角的な学習を組み立てます。

動詞活用表

「Svenska Verb」は動詞活用の専門書です。

規則動詞から不規則動詞まで網羅しています。

アプリ版も便利です。

初学者の最初の壁を超える助けになります。

練習問題集

「Rivstart」シリーズは教室用ですが自習にも使えます。

A1からB2までレベル別に発行されています。

音声教材とワークブックが連動しています。

体系的な学習を提供します。

オンラインリソース

「Lagom.nl」はスウェーデン語学習の総合サイトです。

無料で文法解説と練習問題が使えます。

YouTube「Say It In Swedish」も補助になります。

書籍と組み合わせると理解が立体化します。

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