はじめに:多読の効果
語彙と文法を体系的に学んだあと、多読は最も効果的な学習法のひとつです。
学習者はスウェーデン語学習でA2レベルに達した頃から積極的に読書を取り入れ、B1に進むまでの期間を短縮できました。
この記事では、レベル別に具体的な多読教材を紹介します。
LL-böcker(やさしい読み物)
LL-förlaget
LL-förlaget(LL=Lättläst、やさしい読み物の意)はMyndigheten för tillgängliga medier(MTM、Johanneshov Stockholm本部)傘下の出版社で、知的障害者・移民・学習障害者などのために「易しいスウェーデン語」書籍を出版しています。
古典作品のリテリング版や現代小説の簡略版が多数あります。
代表的なシリーズにPippi Långstrumpのletläst版、Jonas Jonasson「Hundraåringen som klev ut genom fönstret」のletläst版、Selma Lagerlöf「Nils Holgerssons」のletläst版などがあります。
8sidor新聞
8sidor(エイトシドル、1984年創刊、MTM運営)は毎週発行される易しいスウェーデン語新聞で、政治・社会・スポーツ・文化ニュースを簡潔な文章で提供します。
Web版は無料で閲覧可能で、音声読み上げ機能も備えています。
編集長はAnna Wikander(2020年就任)、記者陣はプロのジャーナリストで構成されています。
Astrid Lindgren児童書
Astrid Lindgrenの作品はA2-B1レベルの学習者に最適です。
「Pippi Långstrump」(Rabén & Sjögren 1945、illustrator Ingrid Vang Nyman)、「Emil i Lönneberga」(1963、illustrator Björn Berg)、「Alla vi barn i Bullerbyn」(1947、illustrator Ilon Wikland)、「Madicken」(1960)、「Ronja Rövardotter」(1981)など、いずれも現代スウェーデン児童文学の古典です。
LL-版のほか原文版もAkademibokhandelnやAdlibrisで入手可能です。
Sven Nordqvist作品
Sven Nordqvist(1946年Helsingborg生まれ)の「Pettson och Findus」シリーズ(Opal Förlag、1984年初版)は、Pettsonおじいさんと猫Findusの日常を描いた絵本シリーズで、絵も楽しめるため語学学習に最適です。
代表作は「Pannkakstårtan」(1984)、「Rävjakten」(1986)、「Stackars Pettson」(1987)、「Kackel i grönsakslandet」(1990)など。
シリーズは世界44言語以上に翻訳されています。
Barbro Lindgren
Barbro Lindgren(1937年Stockholm生まれ)は2014年Astrid Lindgren記念文学賞受賞の児童文学作家で、「Mamman och den vilda bebin」(Rabén & Sjögren 1980、Eva Eriksson画)、「Max」シリーズ(1981-)などが代表作です。
幼児向けの簡潔な文章は初学者に最適です。
Mumintroll(ムーミン)スウェーデン語版
フィンランドのスウェーデン語作家Tove Jansson(1914-2001、Helsinki生まれ)のMuminシリーズは、スウェーデン語で書かれた北欧文学の金字塔です。
「Småtrollen och den stora översvämningen」(1945、Schildts刊)が最初の作品で、「Trollkarlens hatt」(1948)、「Muminpappans memoarer」(1950)、「Farlig midsommar」(1954)、「Trollvinter」(1957)、「Pappan och havet」(1965)、「Sent i november」(1970)と続きます。
フィンランド・スウェーデン語(finlandssvenska)は若干アクセントが異なりますが、標準スウェーデン語学習者にも十分読める内容です。
Martin Widmark探偵シリーズ
Martin Widmark(1961年Ekerö生まれ)の「LasseMajas detektivbyrå」シリーズ(Bonnier Carlsen、2002年初版、Helena Willis画)は子ども向け探偵小説で、「Diamantmysteriet」(2002)、「Hotellmysteriet」(2002)、「Biomysteriet」(2003)など30作以上が刊行されています。
A2-B1の学習者に最適な難易度で、各巻100ページ程度と読破しやすい分量です。
YA(ヤングアダルト)文学
B1-B2レベルに達したらヤングアダルト作品に挑戦しましょう。
Mats Wahl(1945年Lovö生まれ)の「Vinterviken」(Bonnier Carlsen 1993、映画化1996)、Mikael Niemi(1959年Pajala生まれ)の「Populärmusik från Vittula」(Norstedts 2000、2004年映画化)、Jonas Hassen Khemiri(1978年Stockholm生まれ)の「Ett öga rött」(Norstedts 2003、Borås Tidnings debutantpris受賞)などが代表作です。
Khemiriの「Montecore」(2006)はAugust-priset(August賞、1989年創設Sveriges Författarförbund主催)受賞作です。
現代ベストセラー
Fredrik Backman(1981年Stockholm生まれ)の「En man som heter Ove」(Forum Bokförlag 2012)、「Min mormor hälsar och säger förlåt」(2013)、「Britt-Marie var här」(2014)、「Björnstad」(2016)、「Vi mot er」(2017)は国際的ベストセラーとなり、全作品が30カ国以上で翻訳されています。
Camilla Läckberg(1974年Fjällbacka生まれ)の「Isprinsessan」(2003、Fjällbacka7部作第1作、Forum Bokförlag)もクライムフィクションとして人気です。
詩とリリック
詩はスウェーデン語の音韻とリズムを感じる最良の教材です。
Tomas Tranströmer(1931-2015、2011年ノーベル文学賞)の「17 dikter」(Bonniers 1954)、「Klanger och spår」(1966)、「Det stora gåtan」(2004)、Karin Boye(1900-1941、Göteborg生まれ)の「Moln」(Bonniers 1922)、「För trädets skull」(1935)、「Kallocain」(1940、Bonniers)が古典です。
Edith Södergran(1892-1923、Sankt Petersburg生まれのフィンランド・スウェーデン語作家)の「Dikter」(1916、Holger Schildts förlag)もモダニズム詩の傑作です。
入手方法
現地ではAkademibokhandeln(1994年、旧Svenska Bokförläggareföreningen、2015年Bonnier傘下化)、Pressbyrån(1906年Stockholm中央駅1号店)、Kulturhuset Stockholmの書店で購入可能です。
日本からはAdlibris、Bokus.comで国際発送に対応しており、Kindle版はAmazon.seで多数配信されています。
図書館利用
日本では東京ノルディック交流センター(Swedish Institute東京支部を兼ねる)蔵書、早稲田大学中央図書館、大阪大学外国語学部図書館、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターなどにスウェーデン語蔵書があります。
スウェーデン国内ではStockholm Stadsbibliotek(1928年Gunnar Asplund設計、Odenplan)、Göteborgs stadsbibliotek(Götaplatsen 3)、Malmö stadsbibliotek(Kungsparken、Henning Larsen設計1997年拡張)でLL-böckerも含む大量の蔵書が無料で借りられます。
オンラインでは国立図書館Kungliga Biblioteket(1661年設立、Humlegården)のデジタル化蔵書や、Projekt Runeberg(Uppsala universitet、1992年開始Lars Aronsson創設)で古典文学のパブリックドメイン版が無料で読めます。
有料サブスクにはStorytel、BookBeat、Nextoryなどがあり、オーディオブックで聞きながらの多読にも適しています。
多読教材の選び方
スウェーデン語の多読には段階的な素材選びが重要です。
レベルに合う本を選びます。
LL-böcker
LL-böckerは「lättläst」(読みやすい)の略で、やさしいスウェーデン語の本です。
移民や学習障害のある人向けに書かれています。
A2〜B1レベルの学習者に最適です。
ストックホルムの図書館で借りられます。
児童文学
Astrid Lindgrenの「Pippi Långstrump」は世界的に有名です。
「Emil i Lönneberga」「Ronja Rövardotter」も名作です。
子ども向けですが大人でも楽しめます。
スウェーデン文化の基礎としても重要です。
やさしいニュース
8sidor.seは毎日更新される簡易ニュースです。
A2〜B1レベルの読解素材として優秀です。
無料で読め、音声版もあります。
時事語彙が身につきます。
レベル別のおすすめ
自分のレベルに合う本を選ぶのが挫折しないコツです。
段階的に上げます。
A1〜A2向け
「Först och sist」など教科書付属の読み物から始めます。
絵本「Alfons Åberg」シリーズも楽しめます。
1ページ50〜100語程度が目安です。
知らない単語が3割以下なら続けます。
B1〜B2向け
Astrid Lindgrenの作品が中心になります。
中編の児童文学も挑戦できます。
「Bröderna Lejonhjärta」などの長編にも手を伸ばします。
1日30〜50ページのペースが現実的です。
C1以上
Henning Mankellの推理小説に挑戦できます。
Selma Lagerlöfの古典文学も読めます。
現代作家のKarin Boyeも興味深いです。
電子書籍なら辞書機能付きで便利です。
読み方のコツ
多読は正しい方法で取り組むと効果的です。
ポイントを押さえます。
辞書を引かない
多読の原則は「辞書を引かない」です。
文脈で意味を推測する力を養います。
分からない単語は飛ばして大意を掴みます。
読むスピードが上がります。
挫折しない選書
難しすぎる本は避けます。
1ページで知らない単語が5つ以内が目安です。
つまらない本は即座に変えます。
楽しめる本を選ぶのが継続の鍵です。
量を積む
年間10万語を目標にします。
1日15〜30分のペースで達成できます。
量を積むと読解力が劇的に向上します。
質より量を優先する時期が必要です。
入手方法
スウェーデン語の本を日本から入手する経路です。
複数の方法があります。
Adlibris
スウェーデン最大のオンライン書店です。
国際配送に対応しています。
新刊から古本まで揃います。
電子書籍もダウンロードできます。
Bokus
Adlibrisのライバル書店です。
品揃えと価格で競争しています。
両方比較して購入すると最安値が見つかります。
配送は1〜2週間かかります。
電子書籍
Kindleストアでスウェーデン語書籍が購入できます。
Storytelはスウェーデン最大のオーディオブック配信です。
読書と聴き取りの両方で学べます。
月額購読で多読が安く実現できます。


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