韓国のインターネットミームは、DC inside・ネイバーブログ・KakaoTalkを経由して独自の進化を遂げてきました。
本記事では대박・JMT・갓생等の主要ミーム50語を年表付きで整理し、世代別に使い分けるコツまで解説します。
長めのページなのでブックマーク推奨です。
死語判定まで踏み込む構成は他サイトにはない本記事独自の強みです。
韓国ネット文化の特徴
DC inside・ilbe・ネイバーブログの影響
DC inside(디씨인사이드)は1999年創設の老舗掲示板で、多くのミームの発祥地となっています。
ilbe(일베)は政治色の強い掲示板で、一部語彙は攻撃性から一般語化を拒まれました。
ネイバーブログは2000年代の主流で、柔らかめのミーム供給源として機能していました。
KakaoTalk経由の爆発的拡散
KakaoTalk(카톡)は2010年以降、モバイル中心の韓国社会にミームを流通させる血管役となりました。
カカオ絵文字を介してミームが視覚化・拡散する構造が特徴です。
世代間伝播のハブになっています。
YouTube配信者文化
アフリカTV・YouTube配信者は、独自表現をリアルタイムで拡散する装置となっています。
「꿀잼(クルジェム/超面白い)」「레전드(レジェンド/伝説的)」等の語彙は配信発の典型です。
2020年代はVTuberやショート動画経由の語彙が追加されつつあります。
初級ミームスラング
대박・핵
대박(テバク)は「すごい・やばい」に相当する万能感嘆詞です。
핵(ヘク)は「核」の意味で、極端な強調接頭辞として使われます。
「핵꿀잼(超絶面白い)」のように重ね付けするのが若者式となります。
ㅇㅈ・인정
ㅇㅈ(イウンジ)は「인정(イニョン/認める)」の子音略です。
SNSの短文コメントで「ㅇㅈ」とだけ返すのが共感表明の最速パターンです。
否定は「ㄴㅇㅈ(ノイニョン/認めない)」で返します。
ㄹㅇ(real)
ㄹㅇは英語のrealを「리얼」と読んだ時の子音略です。
「ㄹㅇ ㅇㅈ」で「マジ認める」の意味になります。
チャットで最も短く同意を示す記号群となっています。
JMT・존맛
존맛(ジョンマッ)は「めちゃ美味い」の俗語で、ローマ字略がJMT(ジェイエムティ)です。
食レポのInstagram投稿タグとして定番化しました。
元の「존(ジョン)」は強調接頭辞です。
感情系ミーム
멘붕(メンタル崩壊)
멘붕(メンブン)は「멘탈 붕괴(メンタル崩壊)」の略です。
2010年代初頭に流行し、今では広く一般語化しています。
試験失敗・衝撃ニュースへの反応語として使われます。
갑분싸
갑분싸(カプンサ)は「갑자기 분위기 싸해짐(急に雰囲気が冷えた)」の略です。
空気が冷めた瞬間を一言で表す便利な語彙となっています。
2017年頃から若者間で定着しました。
현자타임・꿀잼・노잼
현자타임(ヒョンジャ タイム)は「賢者タイム」、꿀잼(クルジェム)は「蜂蜜みたいに面白い」、노잼(ノジェム)は「no fun=つまらない」です。
コンテンツ評価の定番語として、動画コメントに飛び交います。
「핵노잼」で「超つまらない」になります。
評価系
갓(GOD)接頭辞
갓(ガッ)は英語GODの音写で、賛美対象への接頭辞になります。
「갓생(神のような生活)」「갓김밥(最高のキンパ)」のように使います。
2020年代で最も生産性の高い接頭辞の一つです。
개・핵・존
개(ケ)・핵(ヘク)・존(ジョン)はいずれも強調接頭辞で、段階的に強度が増します。
「개꿀잼 < 핵꿀잼 < 존꿀잼」のようなニュアンス階層があります。
教師や親への敬語場面では避けるべき俗語です。
최강・레전드
최강(チェガン)は最強、레전드(レジェンドゥ)は英語legendの借用語です。
スポーツ・K-pop界での名場面は「레전드 무대(レジェンド舞台)」と呼ばれます。
YouTubeのプレイバック動画によく使われるワードです。
自虐・皮肉系
고구마・사이다
고구마(コグマ/サツマイモ)は「喉に詰まるイライラ感」を、사이다(サイダ/炭酸飲料)は「スカッとした爽快感」を表します。
ドラマの展開評価語として現在も主流です。
「고구마 전개」「사이다 한방」で展開の質を瞬時に伝えます。
엠생(惨めな人生)
엠생(エムセン)は「M급 인생」の略で、惨めな日常を自嘲する語です。
Z世代が軽い自虐として使う傾向があります。
過度な深刻化を避けるための言語的緩衝でもあります。
가난・월급루팡
가난(カナン)は貧乏、월급루팡(ウォルグプ ルパン)は「給料泥棒」です。
自虐投稿として会社員ユーザーが多用します。
現実の苦しさを笑いに変える言語装置となっています。
アイドル・推し活発のミーム
어덕행덕(成人オタクらしくやろう)
어덕행덕(オドクヘンドク)は「어차피 덕질할 거면 행복하게 덕질하자」の略です。
「どうせ推すなら楽しく推そう」という推し活のポジティブ宣言です。
ファンダム内の共通スローガンとして定着しています。
머글(非ファン)
머글(モグル)はハリー・ポッターのマグル由来で、「非ファン・一般人」を指します。
推しを布教する側の用語で、「머글 친구(非ファン友達)」のように使います。
同じ語はK-pop以外のファンダムにも広がっています。
덕계못(好きだが会えない)
덕계못(トクゲモッ)は「덕후는 계단에서 못 만난다(オタクは推しに階段で会えない)」の略です。
運の悪さを嘆くオタク共通の自虐語となっています。
サイン会抽選落選等の場面で使われます。
配信・YouTuber発
꿀팁・꿀잼
꿀팁(クルティプ)は「蜜のように役立つtips」、꿀잼(クルジェム)は「超面白い」です。
ライフハック系YouTube動画のタイトルで濫用されています。
視聴者側も「꿀팁 공유(꿀팁シェア)」でコメントします。
레전드・역대급
레전드(レジェンドゥ)は legend、역대급(ヨクテグプ)は「歴代級」を意味します。
「역대급 무대」はK-pop番組の名場面を指す鉄板タイトルです。
切り抜き動画のサムネに頻用される語彙です。
힐링・치유
힐링(ヒルリン)は英語healing、치유(チユ)は漢語の「治癒」です。
Vlog・旅行動画の代表キーワードとして定着しています。
「힐링 여행(癒しの旅)」はJTB系広告でも使われます。
政治・社会批判ミーム
태극기・촛불(政治集会)
태극기(テグッキ)は韓国国旗、촛불(チョップル)はロウソクを意味し、それぞれ保守・進歩系集会の象徴です。
2016-2017年の촛불 집회(ロウソク集会)は朴槿恵大統領弾劾運動に結びつきました。
政治文脈の背景語として把握しておくと理解が深まります。
386세대・MZ세대
386세대(サムパルリュク セデ)は1960年代生まれで民主化運動を経験した世代です。
MZ세대(エムゼセデ)はミレニアル+Z世代で、デジタルネイティブを指します。
世代間の価値観衝突の記事では必ず登場する対比語です。
헬조선(地獄韓国)
헬조선(ヘルチョソン)は「地獄のような韓国」の意で、2010年代の社会批判語です。
格差・競争疲労を皮肉る文脈で広がりました。
海外移住を考える若者が使う背景語彙となっています。
世代差の語彙
2010年代(멘붕・갑분싸)
2010年代は멘붕・갑분싸・뭐시중(뭐가 중요하죠)といった略語が量産されました。
Naver・Daum検索が主流だった時代のネット語彙です。
現在は多くが一般語化しています。
2020年代(갓생・머글)
2020年代は갓생・머글・덕계못のような特殊コンテクスト語彙が主流です。
Instagramリールと推し活文化の掛け合わせが背景にあります。
ファンダム色が強いのが特徴的です。
Gen Alphaの新語(급식체)
급식체(クプシクチェ)は小中学生の独特な文体・表現を指します。
「실화냐(実話か)」「오지다(ヤバい)」等は급식체発の流行語です。
大人が使うと違和感を生むため注意が必要です。
ミーム年表
2010-2015:멘붕・갑분싸
この時期はスマホ普及に合わせた短縮語が爆発的に増えました。
멘붕・대박・완전(ワンジョン)が主流の時代となっています。
TV番組の流行語大賞にも多数ランクインしました。
2016-2020:사이다・고구마・JMT
ドラマ評価語と食レポ語が台頭した時期です。
Instagramと먹방YouTubeの影響が大きいフェーズとなります。
「핵인싸(超インフルエンサー)」もこの時期の産物です。
2021-2026:갓생・어덕행덕・MZ
コロナ禍を経て、自己管理と推し活が表裏一体となった語彙群が主流化しました。
MZ세대論のメディア化により世代語が固定されました。
2026年現在も갓생は日常語として健在です。
古くなったミーム
死語認定(헐・멘붕の過剰使用)
헐・멘붕は現在も使われますが、過剰使用は「古くさい」印象を与えます。
Z世代は「헐ㅎㅎ」よりも「ㄹㅇ?」を選ぶ傾向です。
使用頻度を絞るのが現代的な使い方となります。
2010年代感が出る語
「뭐시중」「완전 멘붕」のような語はやや古い響きを帯びています。
2010年代の映像記録とセットで記憶される語群です。
懐かし番組の実況で再発見されることがあります。
アップデートの目安
3年を一区切りに新語の定着度を確認するのが実用的です。
ナムウィキ(나무위키)の流行語タグを定期巡回すると良いでしょう。
ネイバーデータラボのトレンドも参考になります。
SNSプラットフォーム別
KakaoTalk
KakaoTalkは子音略・絵文字・スタンプが主戦場です。
ㅇㅇ・ㅠㅠ・ㅋㅋのような反応語が標準語彙となっています。
ビジネスアカウントでは多用を控えるのがマナーです。
Instagramは맛스타그램・커플스타그램のような造語タグが栄えるプラットフォームです。
ハッシュタグを3-5個並べる運用が主流となっています。
リール動画にはテキストミームが重なります。
YouTube・Twitch・Afreeca
動画配信プラットフォームは꿀잼・레전드・역대급の供給源です。
実況コメント流がミーム形成の主動力となっています。
Afreeca TVは韓国独特の草の根配信文化の中心です。
日本人学習者の誤解
JMTを食べ物以外に使う誤用
JMTは基本的に食レポ用語です。
非食品文脈で使うと違和感を生みます。
「映画JMT」のような拡張はネイティブには不自然に映ります。
世代不適切な使用
40代の上司に「대박ㅋㅋ」は避けた方が無難です。
年代を考慮した語彙選択が自然さの鍵となります。
相手のSNS投稿から語彙レベルを推測するのが実用的です。
タメ口・敬語の境界
ミーム語の多くはタメ口文化に属します。
敬語場面では省略形を避けるのが無難です。
「대박이에요」は許容範囲ですが、「ㅇㅈ요」は奇妙に響きます。
SNS拡散で急成長した語彙
핵인싸・아싸・인싸
핵인싸(ヘギンサ)は「超insider=超人気者」、아싸(アッサ)は「outsider=アウトサイダー」、인싸(インサ)は「insider」です。
三者がペアで扱われ、学校・職場の人間関係を説明する基本語彙となっています。
日本語の「陽キャ・陰キャ」に近い概念です。
멘탈・오타쿠
멘탈(メンタル)は英語mental、오타쿠(オタク)は日本語「オタク」の借用語です。
「멘탈 터짐(メンタル爆発)」「오타쿠 입덕(オタク参戦)」のように連語で使われます。
両者ともサブカル文脈に留まらず日常語化しました。
덕질・팬질
덕질(トクジル)は推し活、팬질(ペンジル)はファン活動を意味します。
「팬질」はより全般的、「덕질」はより熱狂的なニュアンスを帯びます。
両者を使い分けられると推し活コミュニティで一目置かれます。
新興ミーム語彙の台頭
캐리・TMI・완전
캐리(ケリ)はゲーム用語carry由来で「場面を牽引する」、TMI(ティエムアイ)は too much information、완전(ワンジョン)は「完全に・めちゃ」です。
3語ともチャット会話で頻繁に飛び交います。
「TMI 주의(TMI注意)」という前置きも定番化しました。
오져・실화냐
오져(オジョ)は「凄い・やばい」、실화냐(シルファニャ)は「マジで?実話?」の略形です。
小中高生の급식体で特に目立つ表現となります。
大人が使うと「かわいく振る舞う」印象を与えることもあります。
대박사건
대박사건(テバク サコン)は「大ハプニング」の意で、大박+事件の合成語です。
Instagramストーリーズの見出し語として頻出します。
ニュース級のインパクトを冗談めかして伝える語彙となっています。
トレンド語の興亡パターン
短命ミームの特徴
3ヶ月以内に消えるミームは、TV番組の一場面や配信者個人の口癖に由来するものが多いです。
文脈依存度が高い語彙ほど寿命は短くなります。
「아무것도 모르겠다(何も分からない)」のような一時的流行語も多数存在します。
中期定着語の特徴
半年~2年続く語彙は、ドラマ・音楽作品の印象的な台詞や歌詞に紐づくケースが目立ちます。
作品の人気が衰退すると同時に語彙も薄まる傾向です。
ドラマ『SKYキャッスル』発の「코디네이터(コーディネーター)」が典型例です。
長期定着語の特徴
5年以上生存する語彙は、世代を超えて使える普遍性を備えています。
대박・헐・진짜・아이고は代表例で、既に一般語として辞書入りしているものもあります。
日常の感情を端的に言語化する機能が生存のカギとなっています。
コメント欄の特殊文化
댓글놀이
댓글놀이(テッグル ノリ)は「コメント遊び」を意味します。
YouTubeやネイバーニュースのコメント欄で、次々に関連ダジャレを重ねる文化です。
「베댓(ベスト댓글)」に選ばれるかどうかがユーザー間の競争となります。
악플・선플
악플(アクプル)は悪意あるコメント、선플(ソンプル)は善意あるコメントを指します。
악플 방지 캠페인(악플防止キャンペーン)は芸能界で定期的に展開されています。
言葉の攻撃性を抑えるための社会運動でもあります。
무플よりも악플
「무플(ムプル/コメントなし)よりも악플(悪コメ)のほうがマシ」という俗説があります。
注目されないことへの恐怖を表す皮肉な表現です。
芸能人の心理を描写する時に使われます。
ミーム発ビジネス現象
광고에 활용されるミーム
企業広告は定着した流行語を積極的に取り込みます。
「갓생 루틴」「JMT 할인」のようなキャッチコピーが通販サイトに並ぶのは日常的です。
流行から半年以上遅れて広告化するのが平均的な導入タイミングです。
상표권と語彙の衝突
「갓」「존맛」等の語彙を商標出願する動きが2020年代から見られます。
一般語との境界が曖昧なため、登録却下されるケースも多数あります。
流行語の商業化は法的な論点を伴う複雑な現象です。
브랜드 네이밍への影響
YouTube・Instagramユーザーが付けた愛称がそのままブランド名に昇格する逆流現象も起きています。
「꿀조합」「찐맛집」等の造語がメニュー名になる例は現在も増加中です。
語彙の循環は消費者と生産者の境界を解体しつつあります。
ネットミームを単なる言葉遊びと捉えず、文化史と社会変化の証言として観察すると理解が深まります。
時代毎のミームをピックアップして追いかけるだけでも、韓国社会の縮図が見えてきます。
まとめ|ネットミーム入門5語
必修5語
韓国のインターネット会話を追うなら次の5語を覚えておくと入口が開きます。
- 대박(テバク/すごい)
- ㅇㅈ(イウンジ/認める)
- JMT(ジェイエムティ/超美味い)
- 갓생(ガッセン/理想的な生活)
- 머글(モグル/非ファン)
追い続けるコツ
Twitter(X)韓国トレンドを毎日覗くと新語感度が保てます。
ナムウィキの「최신 유행어」ページが一次情報源として便利です。
過度に追いかけず、自分の関心領域で使う語だけ吸収するのがバランス型の姿勢となります。
関連記事
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