オープンイノベーション、つまりスタートアップや他社と組んで新しい価値を生む取り組み。それをオランダ語でやり取りするとなると、フレーズ単体を覚えても流れの中での使い方が分からないと不安が残ります。
協業の打診から成果配分の確認まで、一連の会話として体に入れておくと、本番で自然に口が動きます。
オランダのビジネスでは率直さが好まれますが、相手の意向を先に問う一言を添えると会話がなめらかになります。
この記事で分かることは次の3つです。
- 協業の打診・PoCのすり合わせ・成果配分の確認を、実際の流れに沿ったオランダ語ダイアログで確認できる
- 自社側と相手側の往復で、どんな一言がやり取りを前に進めるか分かる
- 会話の直後に日本語解説があり、なぜその表現が効くのかが理解できる
ここでは自社側を「当社」、相手のスタートアップを「SU」と表記して、3つの場面を見ていきます。読み方はカタカナで添えますが、オランダ語の「g」「ch」は喉の奥で擦る音なので、雰囲気をつかむ目安にしてください。
場面1|スタートアップに協業を打診する
イベントで知り合ったスタートアップに、協業を持ちかける場面です。
いきなり条件からでなく、共通の狙いと互いの強みから話を始めます。
| 話者 | オランダ語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Bedankt dat u de tijd neemt. We volgen uw werk al een tijdje. | ベダンクト ダット ユー デ テイト ネームト。ヴェ フォルヘン ユー ヴェルク アル エン テイチェ | お時間ありがとうございます。御社の取り組みに以前から注目していました。 |
| 当社 | We zien veel potentieel in samenwerken. | ヴェ ズィーン フェール ポテンティエール イン サーメンヴェルケン | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| SU | Dat is fijn om te horen. Wat had u in gedachten? | ダット イス フェイン オム テ ホーレン。ヴァット ハット ユー イン ヘダフテン | うれしいですね。どんな構想でしょう? |
| 当社 | U hebt de technologie; wij hebben de distributie. | ユー ヘプト デ テフノロヒー、ヴェイ ヘベン デ ディストリビューシー | 御社には技術が、当社には販路があります。 |
| SU | Dus onze sterke punten kunnen elkaar aanvullen. | デュス オンゼ ステルケ ピュンテン キュネン エルカール アーンフュレン | つまり互いの強みを補い合えますね。 |
| 当社 | Precies. Zou u openstaan voor een gezamenlijk initiatief? | プレシース。ザウ ユー オーペンスターン フォール エン ヘザーメンライク イニシアティーフ | その通りです。共同の取り組みにご関心はありますか? |
| SU | Zeker. Laten we verkennen hoe dat eruit kan zien. | ゼーケル。ラーテン ヴェ フェルケネン フー ダット エルアウト カン ズィーン | もちろんです。どんな形になり得るか一緒に探りましょう。 |
「elkaar aanvullen」で互いの強みが補完関係にあると示すと、相手も組む意義をつかめます。
最後を「Zou u openstaan voor…?」と問いの形にすると、押しつけずに前向きな返事を引き出せます。
場面2|PoCのスコープをすり合わせる
協業に前向きになり、まず小さく試すPoC(概念実証)の中身を詰める場面です。
範囲・期間・成功基準を一つずつ言葉にして、認識をそろえます。
| 話者 | オランダ語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Zullen we beginnen met een kleine proof of concept? | ズュレン ヴェ ベヒネン メット エン クライネ プルーフ オブ コンセプト | まず小さなPoCから始めませんか? |
| SU | Klinkt goed. Aan welke scope denkt u? | クリンクト フット。アーン ヴェルケ スコープ デンクト ユー | いいですね。範囲はどうお考えですか? |
| 当社 | Laten we een pilot van drie maanden doen met één productlijn. | ラーテン ヴェ エン パイロット ファン ドリー マーンデン ドゥーン メット エーン プロデュクトレイン | 1つの製品ラインで3か月の試験運用にしましょう。 |
| SU | En hoe ziet succes er voor u uit? | エン フー ズィート シュクセス エル フォール ユー アウト | 御社にとっての成功基準は何でしょう? |
| 当社 | Een efficiëntiewinst van tien procent zou een duidelijk succes zijn. | エン エフィシエンシーヴィンスト ファン ティーン プロセント ザウ エン ダウデライク シュクセス ゼイン | 10%の効率改善が出れば明確な成功です。 |
| SU | Dat kunnen we op kleine schaal valideren. | ダット キュネン ヴェ オップ クライネ スハーレ ファリデーレン | 小規模で検証できます。 |
| 当社 | Als de pilot werkt, schalen we het op. | アルス デ パイロット ヴェルクト、スハーレン ヴェ ヘット オップ | うまくいけば本格展開します。 |
| SU | Laten we de scope schriftelijk vastleggen om op één lijn te blijven. | ラーテン ヴェ デ スコープ スフリフテライク ファストレヘン オム オップ エーン レイン テ ブレイヴェン | 認識をそろえるため範囲を書面にしましょう。 |
「Hoe ziet succes eruit?」と成功基準を先に確認することで、PoC後の判断で揉めにくくなります。
最後に「schriftelijk vastleggen(書面に記す)」と促し、口約束のズレを防いでいます。
場面3|成果配分・知財を確認する
共同開発に進む前に、生まれた成果や知的財産の扱いを確認する場面です。
言いにくい話題ほど、早めに、しかし穏やかに切り出します。
| 話者 | オランダ語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Voordat we verdergaan, laten we het over het intellectueel eigendom hebben. | フォールダット ヴェ フェルデルハーン、ラーテン ヴェ ヘット オーフェル ヘット インテレクテュエール エイヘンドム ヘベン | 先に進む前に、知財の話をしましょう。 |
| SU | Zeker. Wie wordt eigenaar van de resultaten van de ontwikkeling? | ゼーケル。ヴィー ヴォルト エイヘナール ファン デ レジュルターテン ファン デ オントヴィケリング | もちろん。開発の成果は誰に帰属しますか? |
| 当社 | We willen graag de rechten op onze kerntechnologie behouden. | ヴェ ヴィレン フラーフ デ レフテン オップ オンゼ ケルンテフノロヒー ベハウデン | 当社は基幹技術の権利を保持したいです。 |
| SU | Dat is redelijk. Wij willen hetzelfde voor de onze. | ダット イス レーデライク。ヴェイ ヴィレン ヘットゼルフデ フォール デ オンゼ | 妥当ですね。当社も自社分は同様に望みます。 |
| 当社 | Voor alles wat we samen bouwen, laten we de rechten delen. | フォール アレス ヴァット ヴェ サーメン バウヴェン、ラーテン ヴェ デ レフテン デーレン | 共同で作る部分は権利を共有しましょう。 |
| SU | Akkoord. Hoe verdelen we de opbrengsten? | アコールト。フー フェルデーレン ヴェ デ オップブレンクステン | 賛成です。収益はどう分けますか? |
| 当社 | Laten we het koppelen aan de bijdrage van elke kant. | ラーテン ヴェ ヘット コペレン アーン デ ベイドラーヘ ファン エルケ カント | 双方の貢献度に応じて決めましょう。 |
| SU | Laten we een intentieverklaring opstellen en juridisch laten toetsen. | ラーテン ヴェ エン インテンシーフェルクラーリング オップステレン エン ユリディス ラーテン トゥートセン | 基本合意書を作り、法務に確認させましょう。 |
「de rechten op onze kerntechnologie behouden」で、自社の基幹部分は守りたいと明確に伝えています。
共同部分は共有、貢献度に応じた配分、という整理で双方が納得しやすくなります。
会話のコツ|協業を前に進める動き
3つの場面に共通する、協業ならではの進め方を整理します。
フレーズの暗記だけでなく、この型を意識すると会話が安定します。
| コツ | 使うフレーズの例 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 共通の狙いから入る | We zien veel potentieel in samenwerken. | ヴェ ズィーン フェール ポテンティエール イン サーメンヴェルケン | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| 強みの補完を示す | Onze sterke punten kunnen elkaar aanvullen. | オンゼ ステルケ ピュンテン キュネン エルカール アーンフュレン | 互いの強みを補い合えます。 |
| 小さく試す提案をする | Zullen we beginnen met een kleine proof of concept? | ズュレン ヴェ ベヒネン メット エン クライネ プルーフ オブ コンセプト | まず小さなPoCから始めませんか? |
| 成功基準を先に決める | Hoe ziet succes eruit? | フー ズィート シュクセス エルアウト | 成功基準は何でしょう? |
| 知財を早めに切り出す | Laten we het eerst over het eigendom hebben. | ラーテン ヴェ ヘット エールスト オーフェル ヘット エイヘンドム ヘベン | 先に知財の話をしましょう。 |
| 書面で認識をそろえる | Laten we het schriftelijk vastleggen. | ラーテン ヴェ ヘット スフリフテライク ファストレヘン | 認識をそろえるため書面にしましょう。 |
協業は相手を説き伏せるより、共通の土台を一つずつ確認して積み上げる姿勢が言葉を選びやすくします。
特に知財や成果配分は、後回しにすると関係がこじれやすい論点です。
切り出しにくくても早めに言葉にしておくと、信頼を保ったまま前へ進めます。
オンラインで協業を打診する一場面
初回の打診はオンライン会議で行うことも増えています。
画面共有と資料送付を交えた短いやり取りを見てみましょう。
| 話者 | オランダ語 | 読み方(カタカナ発音) | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 当社 | Ik deel mijn scherm en loods u door onze presentatie. | イク デール メイン スヘルム エン ロートス ユー ドール オンゼ プレゼンターシー | 画面共有して資料をご説明します。 |
| SU | Gaat uw gang. | ハート ユー ハング | ぜひお願いします。 |
| 当社 | Deze dia laat zien waar onze sterke punten passen. | デーゼ ディア ラート ズィーン ヴァール オンゼ ステルケ ピュンテン パッセン | このスライドが当社の強みの活かしどころです。 |
| SU | Dat is nuttig. Kunt u de presentatie daarna sturen? | ダット イス ニュッティフ。キュント ユー デ プレゼンターシー ダールナ ステューレン | 分かりやすいです。後で資料を送れますか? |
| 当社 | Natuurlijk. Ik zet ook het concept van de geheimhoudingsovereenkomst in de chat. | ナテュールライク。イク ゼット オーク ヘット コンセプト ファン デ ヘハイムハウディングスオーフェレーンコムスト イン デ チャット | もちろん。秘密保持契約の案もチャットに送ります。 |
| SU | Mooi. Laten we volgende week een vervolggesprek inplannen. | モーイ。ラーテン ヴェ フォルヘンデ ヴェーク エン フェルフォルフヘスプレック インプラネン | いいですね。来週フォローの打ち合わせをしましょう。 |
| 当社 | Ik betrek daar onze R&D-manager bij. | イク ベトレック ダール オンゼ エラーデー マネハル ベイ | その回は研究開発の責任者も同席させます。 |
「u door onze presentatie loodsen(資料を順にご案内する)」という流れは、オンラインの打診で定番です。
「betrekken bij(巻き込む)」で次回の同席者を予告すると、相手も準備しやすくなります。
よくある質問
Q. 協業ダイアログはどう練習すればいいですか?
自社側のセリフだけを音読して、自分の言葉として口になじませるのがおすすめです。
「打診・PoC・知財確認」の流れを通しで練習すると、本番でも順番が崩れにくくなります。
Q. PoCの話を切り出すオランダ語フレーズは?
「Zullen we beginnen met een kleine proof of concept?」が自然です。
続けて「Hoe ziet succes eruit?」と成功基準を確認すると話が締まります。
Q. 知財の話はどう切り出せば角が立ちませんか?
「Voordat we verdergaan, laten we het over het intellectueel eigendom hebben.」のように、前置きを置いてから入ると穏やかです。
共同部分は共有、自社の基幹部分は保持、と整理すると合意しやすくなります。
Q. オンラインで資料を共有するときの言い方は?
「Ik deel mijn scherm en loods u door onze presentatie.」が定番です。
「Kunt u de presentatie daarna sturen?」と後送を求められたら「Natuurlijk.」と応じます。
Q. 相手に発言を促す一言はありますか?
「Gaat uw gang.(どうぞ)」が便利です。相手に話を譲る、画面を見てもらう、といった場面で広く使えます。
カジュアルな間柄なら「Ga je gang.」と砕けた形にもできます。
まとめ
オープンイノベーションの会話は、フレーズ単体ではなく一連の流れで覚えると本番で動けます。
- 打診では共通の狙いから入り、互いの強みの補完を示す。
- PoCは範囲・期間・成功基準をそろえ、書面で認識を合わせる。
- 知財は早めに切り出し、共同部分の共有と貢献度配分で整理する。
会話の型が身についたら、協業でよく出る単語をまとめて押さえておくと、さらに言葉が出やすくなります。
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