英語のデザイン思考ワークショップで、ファシリテーターと参加者がどんな言葉をやり取りするのか。会話の流れごと知りたい方へ。
フレーズ単体で覚えても、実際の往復のなかで使えないと意味がありません。
この記事では、ワークショップの3つの場面を会話形式で追います。
- ユーザーインタビューの共有から問題定義へ進む場面
- ブレインストーミングでアイデアを広げ、絞り込む場面
- プロトタイプを検証し、振り返る場面
登場するのは、進行役の Sarah(サラ)と参加者の Ken(ケン)・Mei(メイ)の3人です。
会話の後に、その場面で押さえたい表現を日本語で解説します。
場面1|ユーザーインタビューの共有から問題定義へ
最初の場面は、各自が集めたユーザーの声を持ち寄るところから始まります。
進行役が情報を整理し、解くべき問題を一文にまとめていきます。
| 英語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Sarah: Let’s share what we learned from the interviews. Ken, can you start? | サラ:レッツ シェア ホワット ウィ ラーンド フロム ジ インタビューズ。ケン、キャン ユー スタート | サラ:インタビューで分かったことを共有しましょう。ケン、始めてもらえますか? |
| Ken: Sure. Most users said the checkout took too long. | ケン:シュア。モースト ユーザーズ セッド ザ チェックアウト トゥック トゥー ロング | ケン:はい。多くのユーザーが、購入手続きが長すぎると言っていました。 |
| Sarah: Interesting. Why do you think that happened? | サラ:インタレスティング。ホワイ ドゥ ユー シンク ザット ハプンド | サラ:なるほど。なぜそうなったと思いますか? |
| Mei: They had to enter their address twice. That frustrated them. | メイ:ゼイ ハッド トゥ エンター ゼア アドレス トワイス。ザット フラストレイティッド ゼム | メイ:住所を2回入力させられていました。それでいらだっていました。 |
| Sarah: So the real problem seems to be a confusing form, not the speed. | サラ:ソー ザ リアル プロブレム シームズ トゥ ビー ア コンフュージング フォーム、ノット ザ スピード | サラ:つまり本当の問題は、速さではなく分かりにくいフォームのようですね。 |
| Ken: Right. Let’s reframe it from the user’s side. | ケン:ライト。レッツ リフレーム イット フロム ザ ユーザーズ サイド | ケン:そうですね。ユーザー視点で捉え直しましょう。 |
| Sarah: How might we make the form simpler to fill out? | サラ:ハウ マイト ウィ メイク ザ フォーム シンプラー トゥ フィル アウト | サラ:どうすればフォームをもっと簡単に書けるでしょう? |
この場面の核は、表面の不満から本当の問題を見抜くことです。
“Why do you think that happened?” で深掘りし、原因をユーザー側の言葉で確かめています。
最後の “How might we 〜(どうすれば〜できるか)” は、問題を前向きな問いに変える定番表現です。
HMW と略され、ここから発想段階へ自然につながります。
| 表現 | 使いどころ |
|---|---|
| So the real problem seems to be… | 集めた声を整理し、問題の本質を言い直すとき |
| Let’s reframe it from the user’s side. | 作り手目線をユーザー目線に切り替えるとき |
| How might we…? | 問題を解決可能な問いに変えるとき |
問題を正しく定義できれば、後のアイデア出しの精度も上がります。
場面2|ブレインストーミングで広げて絞る
次の場面は、定義した問いをもとにアイデアを大量に出すところです。
進行役は判断を保留させ、量を引き出すことに集中します。
| 英語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Sarah: Let’s brainstorm as many ideas as we can. No judging yet. | サラ:レッツ ブレインストーム アズ メニー アイディアズ アズ ウィ キャン。ノー ジャジング イェット | サラ:できるだけたくさん出しましょう。まだ評価はなしで。 |
| Ken: What if the address fills in automatically from the postal code? | ケン:ホワット イフ ジ アドレス フィルズ イン オートマティカリー フロム ザ ポスタル コード | ケン:郵便番号から住所が自動で入ったらどうでしょう? |
| Mei: Yes, and we could add a one-tap option for returning users. | メイ:イエス、アンド ウィ クッド アド ア ワンタップ オプション フォー リターニング ユーザーズ | メイ:いいですね、再訪ユーザー向けにワンタップ機能も足せそうです。 |
| Sarah: Great. Building on that, what about a guest checkout? | サラ:グレイト。ビルディング オン ザット、ホワット アバウト ア ゲスト チェックアウト | サラ:いいですね。それに乗せて、ゲスト購入はどうでしょう? |
| Ken: That’s a wild one, but let’s keep it on the board. | ケン:ザッツ ア ワイルド ワン、バット レッツ キープ イット オン ザ ボード | ケン:大胆ですが、ボードに残しておきましょう。 |
| Sarah: We have plenty now. Let’s group similar ideas together. | サラ:ウィ ハブ プレンティ ナウ。レッツ グループ シミラー アイディアズ トゥゲザー | サラ:十分出ました。似たアイデアをまとめましょう。 |
| Mei: Which one has the biggest impact for the least effort? | メイ:ウィッチ ワン ハズ ザ ビゲスト インパクト フォー ザ リースト エフォート | メイ:最小の労力で一番効くのはどれでしょう? |
| Sarah: Let’s vote and pick one to prototype. | サラ:レッツ ボウト アンド ピック ワン トゥ プロトタイプ | サラ:投票して、試作する1案を選びましょう。 |
注目したいのは、Mei の “Yes, and…” という受け方です。
相手の案を否定せず、自分のアイデアを重ねることで発想が連鎖します。
“That’s a wild one, but let’s keep it on the board.” のように、突飛な案も消さずに残す姿勢も大切です。
後半では “group(まとめる)”・”vote(投票する)” と、発散から収束へ流れが切り替わります。
| 表現 | 使いどころ |
|---|---|
| No judging yet. | 批判を保留し、量を出す空気をつくるとき |
| Yes, and… | 相手の案に乗せて広げるとき |
| Let’s keep it on the board. | 突飛な案も消さずに残すとき |
| Let’s group / vote. | 広げたアイデアを絞り込みへ移すとき |
「広げる時間」と「絞る時間」を分けると、議論が混乱しません。
場面3|プロトタイプの検証と振り返り
最後の場面は、作った試作をユーザーに試してもらった後の振り返りです。
進行役は率直な反応を集め、次の一手を決めていきます。
| 英語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Sarah: We tested the prototype with five users. What worked well, and what didn’t? | サラ:ウィ テスティッド ザ プロトタイプ ウィズ ファイブ ユーザーズ。ホワット ワークト ウェル、アンド ホワット ディドゥント | サラ:5人で試作を試しました。うまくいった点と、いかなかった点は? |
| Mei: The auto-fill was a hit. But two users got stuck at the payment step. | メイ:ジ オートフィル ワズ ア ヒット。バット トゥー ユーザーズ ゴット スタック アット ザ ペイメント ステップ | メイ:自動入力は好評でした。でも2人が支払い画面で詰まりました。 |
| Sarah: Where exactly did they get stuck? | サラ:ホエア イグザクトリー ディッド ゼイ ゲット スタック | サラ:具体的にどこで詰まりましたか? |
| Ken: The button label was unclear. They couldn’t tell if it was the final step. | ケン:ザ ボタン レーベル ワズ アンクリア。ゼイ クドゥント テル イフ イット ワズ ザ ファイナル ステップ | ケン:ボタンの文言が不明確で、最終手順か判断できませんでした。 |
| Sarah: Good catch. One thing I’d suggest is changing the label to “Place Order.” | サラ:グッド キャッチ。ワン シング アイド サジェスト イズ チェンジング ザ レーベル トゥ プレイス オーダー | サラ:良い指摘です。一案として、文言を「注文を確定」に変えてはどうでしょう。 |
| Mei: I like that. It doesn’t have to be perfect—let’s test it again. | メイ:アイ ライク ザット。イット ダズント ハフ トゥ ビー パーフェクト、レッツ テスト イット アゲイン | メイ:いいですね。完璧でなくていいので、また試しましょう。 |
| Sarah: Agreed. What’s the next step based on this? | サラ:アグリード。ホワッツ ザ ネクスト ステップ ベイスト オン ジス | サラ:賛成です。これを踏まえた次の一手は? |
| Ken: Update the label, then run another round of testing. | ケン:アップデイト ザ レーベル、ゼン ラン アナザー ラウンド オブ テスティング | ケン:文言を直して、もう一度テストしましょう。 |
この場面では、批判を歓迎する空気が振り返りを前に進めています。
“Where exactly did they get stuck?” と詰まった場所を具体的に確かめるのが鍵です。
“One thing I’d suggest is…” は、人ではなく案に向けた提案の形になっています。
“It doesn’t have to be perfect—let’s test it again.” という言葉が、改善と再検証の反復を促しています。
| 表現 | 使いどころ |
|---|---|
| What worked well, and what didn’t? | 検証結果を良し悪し両面で集めるとき |
| Where exactly did they get stuck? | つまずきの箇所を具体的に掘り下げるとき |
| One thing I’d suggest is… | 案に向けた改善提案をするとき |
| What’s the next step based on this? | 検証を次の行動につなげるとき |
検証は一度で終わらず、直して試すを繰り返すのが前提です。
3場面を通して見えるリズム
3つの場面を並べると、デザイン思考の進み方が会話のリズムとして見えてきます。
問題を捉え直し、広げて絞り、試して直す。この往復が一本の流れになっています。
| 場面 | 段階 | 合言葉になる表現 |
|---|---|---|
| 場面1 | 共感・問題定義 | How might we…? |
| 場面2 | 発想 | Yes, and… |
| 場面3 | プロトタイプ・検証 | What’s the next step? |
進行役の役割は、各段階で適切な問いを投げ、流れを止めないことです。
よくある質問
ワークショップの進行役は何と呼びますか?
英語では facilitator(ファシリテーター)と呼びます。
議論を主導するというより、流れを支え、全員の発言を引き出す役割です。
“Yes, and” と “Yes, but” はどう違いますか?
“Yes, and” は相手の案に乗せて広げ、”Yes, but” は否定に傾きます。
発想を広げる場面では “Yes, and” を選ぶと連鎖が生まれます。
検証の振り返りで最初に聞くべきことは?
“What worked well, and what didn’t?” と、良かった点と詰まった点の両方を尋ねます。
その後 “Where exactly did they get stuck?” で具体化します。
プロトタイプは作り込むべきですか?
作り込みは不要です。”It doesn’t have to be perfect” の考え方で、試せる最小の形にとどめます。
まとめ
会話の流れで覚えると、フレーズが「いつ・誰に」使うものか体でつかめます。
- 問題定義では本音を深掘りし、”How might we” で前向きな問いに変える。
- 発想では “Yes, and” で広げ、後半で投票して絞る。
- 検証では詰まった箇所を具体化し、直して再びテストする。
あとは、各段階で使う単語をまとめて押さえておくと、会話のなかで言葉に詰まりません。
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