タイ語の会議・商談完全ガイド 進行フレーズと交渉表現

ビジネスタイ語フレーズ

タイ語で会議を回す

バンコクのオフィスで会議をタイ語で進行する—これは日本人駐在員にとって最大級のハードルです。

しかし定型フレーズを押さえてしまえば、議事進行・意見交換・決定確認・次のアクション設定まで、すべて流れるようにこなせるようになります。

この記事ではタイ語会議で使う進行フレーズと、商談で使える交渉表現を場面別に解説します。

会議の開始フレーズ

開会宣言

「ขอเริ่มประชุม(会議を始めさせていただきます)」が最もシンプルな開会宣言です。

フォーマル度を上げたい場合は「ขอเรียนเปิดประชุมในวันนี้(本日の会議を開会いたします)」という長い形を使います。

出席確認

「ขอเช็คผู้เข้าร่วม(参加者を確認します)」と言ってから、名前を呼んでいきます。

タイではニックネーム文化なので、正式名ではなく「คุณโอ๋」「คุณเบนซ์」のように愛称で呼び合うのが一般的です。

アジェンダ紹介

「วันนี้มีหัวข้อประชุม 3 เรื่อง(本日は議題が3つあります)」と前置きしてから、各議題を順に説明します。

「หัวข้อแรก… หัวข้อที่สอง… หัวข้อสุดท้าย(最初の議題、2つ目、最後の議題)」という接続表現で項目を区切るとスマートです。

議事進行フレーズ

話を振る

「คุณ〜ช่วยแชร์ความเห็นหน่อยครับ/ค่ะ(〜さん、意見を共有してください)」が最も丁寧な振り方です。

よりカジュアルには「คุณ〜มีความเห็นอย่างไร?(どう思いますか?)」で十分通じます。

話を戻す

議論が脱線したときは「ขอกลับมาที่หัวข้อหลัก(本題に戻らせてください)」と丁寧に軌道修正します。

「เรามาคุยเรื่อง〜กันต่อ(〜の話を続けましょう)」も同じ意味で使えます。

要約する

「ขอสรุปที่ได้คุยกัน(今までの議論をまとめます)」と言ってから、決定事項を箇条書きで述べます。

「ประเด็นแรกคือ… ประเด็นที่สองคือ…(1点目は〜、2点目は〜)」という接続で要点を整理するのが定型です。

賛成・反対の表現

賛成

「เห็นด้วย(賛成)」が最もシンプルですが、ビジネスでは「ผม/ดิฉันเห็นด้วยกับข้อเสนอนี้(この提案に賛成です)」と主語を明示するのが礼儀です。

「สนับสนุนข้อเสนอนี้(この提案を支持します)」はより強い同意を表し、「ความคิดนี้ดีมาก(とても良いアイデアですね)」は褒めながら賛成する柔らかい表現です。

反対

タイ語で真っ向から反対するのは文化的にNGで、「ไม่เห็นด้วย(反対)」という直接的な表現は避けるべきです。

代わりに「ขอเสนออีกมุมมอง(別の観点を提案させてください)」「อาจจะต้องพิจารณาเพิ่มเติม(もう少し検討が必要かもしれません)」のように柔らかく異論を示します。

タイ社会では「顔を立てる」(รักษาหน้า、ラクサー・ナー)文化が強いので、直接否定は関係悪化の元です。

保留

「ขอเวลาพิจารณา(検討する時間をください)」は保留を表す万能フレーズで、即答を避けたいときに重宝します。

「จะขอนำกลับไปหารือกับทีม(チームに持ち帰って相談します)」も使い勝手のいい保留表現です。

商談・交渉の表現

価格交渉

「ราคานี้ยังสูงเกินไป(この価格はまだ高すぎます)」と切り出し、「ขอปรับลดได้ไหม(値下げしてもらえますか)」と依頼します。

タイの商習慣では値段交渉は当たり前で、値引き要求を「失礼」と感じる文化はありません。

条件提示

「ถ้าเราสั่งซื้อเพิ่มเป็น 2 เท่า ราคาจะเป็นเท่าไหร่?(注文量を2倍にしたら価格はいくら?)」のような条件付き質問で相手の譲歩を引き出します。

交換条件の提示は「แลกกับ…(〜と引き換えに)」が定番の接続です。

合意

「ตกลงตามที่เสนอ(提案通り合意します)」「เป็นไปตามที่คุยกัน(話し合った通りで)」が合意表現です。

「เซ็นสัญญาได้เลย(契約書にサインできます)」と言えば、即決の合図になります。

よくある失敗と回避法

直接的な否定は関係を壊す

タイでは「ไม่(いいえ)」「ไม่เห็นด้วย(反対です)」を単独で使うと、相手のメンツを潰したと解釈されかねません。

รักษาหน้า(顔を守る)文化では、「น่าสนใจมาก แต่…(とても興味深いです、しかし…)」と前置きを挟むのが無難です。

沈黙を埋めようとしない

タイ人の会議は日本人より沈黙が長いことがあります。เกรงใจ(相手に遠慮する気持ち)から発言を控える場面が多いためです。

沈黙を埋めたいときは「คุณ〇〇 คิดยังไงครับ(〇〇さんはどう思われますか)」と指名して振るのが効果的です。

ニックネーム呼びを忘れる

本名フルネームで呼び続けると距離感が出ます。初回の自己紹介で「ชื่อเล่นชื่อ〇〇(ニックネームは〇〇です)」と聞かれたら、それ以降はニックネーム+คุณで呼ぶのがスタンダードです。

ケーススタディ 日系商社の価格交渉

バンコクのスクムウィット通りに拠点を置く日系商社の営業担当が、タイの部品メーカーとの月次レビューで値下げを依頼する場面を想定します。

「วันนี้อยากขอหารือเรื่องราคาของชิ้นส่วน A ครับ ถ้าเราเพิ่มออเดอร์จาก 5,000 ชิ้นเป็น 8,000 ชิ้นต่อเดือน ราคาจะลดได้กี่เปอร์เซ็นต์ครับ(本日は部品Aの価格についてご相談したく、発注を月5000個から8000個に増やした場合、何パーセント値引き可能でしょうか)」と具体的数字で切り出すのがタイ流です。

相手が「ขอเวลาคุยกับฝ่ายผลิตก่อนนะคะ(製造部と話す時間をください)」と返答したら、その場で押し切らず「ไม่เร่งครับ ขอคำตอบภายในสัปดาห์หน้าก็พอครับ(急ぎません、来週中にお返事いただければ結構です)」と余裕を持たせます。

学習リソース

教材

Benjawan Poomsan Becker「Business Thai」(Paiboon Publishing 2008)は会議・商談のロールプレイを章ごとに収録しており、ビジネスタイ語の定番です。

チュラロンコン大学言語学部(創立1917年)が編纂する「Thai for Business Professionals」は中上級向けで、契約書の定型文や議事録作成まで扱います。

三上直光「ニューエクスプレスプラスタイ語」(白水社 2018)は会議特有の表現は少ないものの、丁寧度の調整法を押さえるのに便利です。

実践の場

バンコク日本人商工会議所(JCC、1954年設立、สีลม通り)が開催する月例セミナーでは、現地タイ人スタッフが登壇することも多く、生のビジネスタイ語に触れられます。

italkiやPreplyでタイ人ビジネスパーソンと週1回ロールプレイをするだけでも、会議フレーズの反応速度が劇的に上がります。

議事録の書き方

タイ企業では議事録を「รายงานการประชุม」と呼びます。冒頭に วันที่(日付)、สถานที่(場所)、ผู้เข้าร่วม(出席者)を列挙し、วาระที่ 1, วาระที่ 2…と議題番号を振ります。

各議題の末尾には มติที่ประชุม(決議事項)と ผู้รับผิดชอบ(担当者)を必ず書くのがタイ流です。日本の「以上」に相当するのは เลิกประชุมเวลา〇〇 น.(〇〇時閉会)で締めくくります。

まとめ

タイ語で会議を回す鍵は、語彙量よりも「丁寧さの階調」と「間の取り方」をタイ式に合わせることです。

ครับ/ค่ะ を語尾に付け、否定や反論を柔らかい前置きで包み、ニックネームで呼び合う。この三点さえ守れば、あとは本記事の定型フレーズが自然と場を回してくれます。

時間・日程調整のフレーズ

会議の日程を決めるときは「ประชุมครั้งต่อไปจะจัดเมื่อไหร่ดีครับ(次回の会議はいつにしましょうか)」が万能フレーズです。

候補日を提示するときは「วันพุธที่ 15 เวลา 10 โมงเช้า สะดวกไหมครับ(15日水曜午前10時はご都合よろしいですか)」と曜日・日付・時刻を三点セットで伝えます。

タイでは仏暦(พ.ศ.、西暦+543)が公式文書で使われるため、議事録やメールでは「วันที่ 15 เมษายน 2569(2569年4月15日=西暦2026年)」と表記すると丁寧です。

オンライン会議特有の表現

コロナ禍以降、タイの企業でもZoomやMicrosoft Teamsが定着しました。「ได้ยินเสียงไหมครับ(音声聞こえますか)」「ภาพสะดุด(映像がカクカクします)」「ช่วยปิดไมค์หน่อยครับ(ミュートしてください)」が新定番フレーズです。

画面共有は「ขอแชร์หน้าจอนะครับ(画面を共有します)」、録画開始は「จะเริ่มบันทึกการประชุมแล้วนะคะ(会議の録画を始めます)」と一言添えるのがマナーです。

会議準備のプロセス

会議の成否は事前準備で決まると言われ、段階的な準備が成果に直結します。

アジェンダの作成

「วาระการประชุม(会議アジェンダ)」を事前に作成し、参加者全員に共有します。

各議題の時間配分を明記すると、進行がスムーズになります。

重要事項は上位に配置し、確実に議論される順序で組み立てます。

資料の事前共有

会議資料は「ล่วงหน้า 1-2 วัน(1〜2日前)」までに送るのがタイのビジネスマナーです。

メール本文に「ขอความกรุณาอ่านล่วงหน้า(事前にご一読ください)」と添えます。

資料はPDFで共有すると、レイアウトが崩れず閲覧しやすくなります。

複雑な資料には要約ページを先頭に付けると理解が加速します。

通訳の手配

重要な商談では専門通訳の手配が必須となります。

「จัดล่าม(通訳を手配)」は事前に専門用語リストを通訳に共有する必要があります。

通訳の費用は1時間2000〜5000バーツが相場で、分野により変動します。

同時通訳と逐次通訳を選択し、参加者数と内容に応じて判断します。

議事録と記録の取り方

会議内容を正確に記録することは、後のトラブル防止と実行管理に不可欠です。

議事録のフォーマット

議事録は「บันทึกการประชุม」と呼ばれ、日時・参加者・議題・決定事項・次回予定の順で構成します。

Microsoft WordテンプレートやGoogleドキュメントで雛形を作成しておくと効率的です。

決定事項は「Action Items」として誰がいつまでに何をするかを明確にします。

配布と承認プロセス

議事録は会議後24〜48時間以内に配布するのが理想です。

参加者に「ขอรบกวนช่วยยืนยันบันทึก(議事録のご確認をお願いします)」とメールで確認を求めます。

訂正がある場合は修正して再配布し、最終版として確定させます。

承認済み議事録はファイリングシステムに保存しておくと後の参照が容易です。

長期保存とアーカイブ

重要な商談や契約関連の議事録は少なくとも5年間保存するのが法的慣習です。

クラウドストレージとローカルの両方にバックアップを取ると安全です。

検索性を高めるため、日付と議題名でファイル名を統一するルールを決めます。

後任者への引き継ぎ時にも、整理された議事録は貴重な資産となります。

関係構築のための雑談

タイの商談では本題に入る前の雑談が重要な役割を果たします。

会議冒頭の雑談

最初の5〜10分は「สภาพอากาศ(天気)」「การเดินทาง(道中)」の話題で緊張をほぐします。

「ที่นี่หายากไหมครับ?(ここは分かりにくかったですか)」で気遣いを示します。

雑談を省略して即本題に入ると、タイ人側は冷たい印象を持つ可能性があります。

休憩時間の交流

会議が長時間の場合、15分程度の休憩「พักเบรค」を挟みます。

コーヒーや軽食を共にしながら、個人的な話題を交えて親密度を上げます。

「ครอบครัวเป็นอย่างไรบ้าง?(ご家族はいかがですか)」は関係を深める定番質問です。

タイは家族を大切にする文化なので、この話題は相手の心を開きやすいです。

会議終了時の締め

会議後は「ขอบคุณมากครับสำหรับเวลาของคุณ(お時間ありがとうございました)」と感謝を伝えます。

「ครั้งหน้าเจอกันที่ไหน?(次回はどこで会いましょう)」で次の機会を約束します。

場合によっては「ไปทานข้าวกันไหมครับ?(食事に行きませんか)」と発展させることも可能です。

成約後のフォローアップ

合意後のフォローアップこそが、長期的なビジネス関係の基盤を作ります。

契約書の作成と署名

成約後は迅速に契約書「สัญญา」をドラフトし、両者の確認を経て署名に進みます。

タイ語・英語の両方で作成される契約書が一般的です。

公証役場「กรมที่ดิน」での公証手続きが必要な場合もあります。

実行段階のコミュニケーション

契約実行中は「ติดตามผล(進捗確認)」を週次または月次で行います。

問題発生時は早期に共有し、「ร่วมกันแก้ปัญหา(共に解決する)」姿勢を示します。

タイ人は問題を他人事にしない協力的な態度を評価します。

「พร้อมช่วยเสมอ(いつでも助けます)」と伝えると信頼が深まります。

継続的な関係構築

成約後も定期的なコミュニケーションを続け、「人間関係」を維持します。

年末年始や旧正月(春節)には季節の挨拶を欠かさず送ります。

相手の誕生日や昇進のニュースにも素早く反応すると印象が良くなります。

継続的な関心の表明が、次のビジネスチャンスに繋がる土壌を作ります。

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