タガログ語で決算資料やアナリストレポートに向き合うと、専門語が次々に出てきて手が止まる。そんな方へ。
IR(投資家対応)のタガログ語は、頻出単語をテーマ別に押さえると、決算説明も質疑応答も一気に読み解けます。
ここで大事な前提が一つあります。フィリピンの金融・ビジネスでは、財務の専門語の多く(revenue、EBITDA、guidance など)は英語のまま使われ、タガログ語の訳語が併存するものもあれば英語しか使われないものもあります。
この記事では、英語の専門語と、それに対応するタガログ語表現や読み方を整理します。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 決算・財務指標で頻出する語を、サブテーマ別に整理
- 英語の専門語に対応するタガログ語の言い回しと読み方
- 損益・キャッシュフロー・株式指標・コーポレートアクションの語彙
決算・損益計算書の頻出単語
まずは損益計算書(income statement)まわりの基本語からです。
売上から各段階の利益へ落ちていく順に並べると、構造が頭に入ります。フィリピンでは英語の語が主流ですが、タガログ語の言い換えも覚えておくと説明に幅が出ます。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| kita / revenue | キタ / レベニュー | 売上高 |
| netong benta / net sales | ネトン ベンタ / ネット セールズ | 純売上高 |
| cost of goods sold (COGS) | コスト オブ グッズ ソールド(シーオージーエス) | 売上原価 |
| gross profit / kabuuang tubo | グロス プロフィット / カブウアン トゥボ | 売上総利益(粗利) |
| operating income / kita sa operasyon | オペレーティング インカム / キタ サ オペラシヨン | 営業利益 |
| operating expenses (OpEx) | オペレーティング エクスペンシズ(オペックス) | 営業費用(販管費等) |
| net income / netong kita | ネット インカム / ネトン キタ | 当期純利益 |
| kita / earnings | キタ / アーニングス | 利益・収益 |
| quarterly results | クォータリー リザルツ | 四半期業績 |
| fiscal year (FY) | フィスカル イヤー(エフワイ) | 会計年度 |
日常語の「kita」(キタ)は「収入・利益」の意味で広く使われ、決算でも「revenue」「earnings」両方の文脈で登場します。文脈で意味が決まります。
利益率・収益性の指標
収益性は「率(margin)」で語られることが多く、改善・悪化の判断軸になります。
EBITDA は本業の稼ぐ力を示す指標として質疑で頻出し、フィリピンでも英語のまま使われます。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| gross margin | グロス マージン | 売上総利益率 |
| operating margin | オペレーティング マージン | 営業利益率 |
| net margin | ネット マージン | 純利益率 |
| EBITDA | イービットダー | 利払い・税・償却前利益 |
| EBIT | イービット | 利払い・税引前利益 |
| profitability / kakayahang kumita | プロフィタビリティ / カカヤハン クミタ | 収益性 |
| basis point (bps) | ベイシス ポイント(ビーピーエス) | 0.01%(利率の単位) |
| margin expansion | マージン エクスパンション | 利益率の改善 |
| margin compression | マージン コンプレッション | 利益率の悪化 |
EBITDA は Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略です。読みはフィリピンでも「イービットダー」が一般的です。
株式・1株当たり指標
投資家は1株あたりの数字(per share)で企業を比較します。
EPS と PER は株価評価の基礎となる重要指標で、英語の略語のまま使われます。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| earnings per share (EPS) | アーニングス パー シェア(イーピーエス) | 1株当たり利益 |
| price-to-earnings ratio (P/E) | プライス トゥ アーニングス レシオ(ピーイー) | 株価収益率(PER) |
| book value per share | ブック バリュー パー シェア | 1株当たり純資産 |
| market capitalization | マーケット キャピタライゼーション | 時価総額 |
| shares outstanding / mga sharing nakatakda | シェアズ アウトスタンディング / マガ シェアリン ナカタクダ | 発行済株式数 |
| diluted EPS | ダイリューテッド イーピーエス | 希薄化後1株当たり利益 |
| dividend per share (DPS) | ディビデンド パー シェア(ディーピーエス) | 1株当たり配当 |
| dividend yield | ディビデンド イールド | 配当利回り |
| payout ratio | ペイアウト レシオ | 配当性向 |
「diluted」(希薄化後)は、新株予約権などが行使された場合を織り込んだ数字を指します。フィリピンでも英語のまま読みます。
見通し・ガイダンス関連
将来見通しは IR で最も注目される部分で、専用の語彙があります。
上振れ・下振れ、コンセンサスとの比較が議論の中心になります。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| guidance | ガイダンス | 業績見通し |
| outlook / pananaw | アウトルック / パナナウ | 見通し |
| forecast / hula | フォーキャスト / フラ | 予想・予測 |
| consensus estimate | コンセンサス エスティメイト | 市場予想(アナリスト平均) |
| upside | アップサイド | 上振れ余地 |
| downside | ダウンサイド | 下振れリスク |
| beat estimates / lumampas sa inaasahan | ビート エスティメイツ / ルマンパス サ イナアサハン | 市場予想を上回る |
| miss estimates / hindi umabot | ミス エスティメイツ / ヒンディ ウマアブット | 市場予想を下回る |
| in line with expectations | イン ライン ウィズ エクスペクテーションズ | 予想どおり |
| forward-looking statement | フォワードルッキング ステイトメント | 将来見通しに関する記述 |
「beat」(上回る)と「miss」(下回る)は、決算が市場予想に対しどうだったかを一語で表します。タガログ語では「lumampas」(超える)「hindi umabot」(届かない)が対応します。
キャッシュフロー・財務体質
利益だけでなく、現金の流れ(cash flow)と財務の健全性も重視されます。
負債と自己資本のバランスを示す指標が議論の対象になります。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| cash flow / daloy ng pera | キャッシュ フロー / ダロイ ナン ペラ | キャッシュフロー |
| free cash flow (FCF) | フリー キャッシュ フロー(エフシーエフ) | フリーキャッシュフロー |
| operating cash flow | オペレーティング キャッシュ フロー | 営業キャッシュフロー |
| capital expenditure (CapEx) | キャピタル エクスペンディチャー(キャペックス) | 設備投資 |
| balance sheet | バランス シート | 貸借対照表 |
| liabilities / mga utang | ライアビリティーズ / マガ ウタン | 負債 |
| equity / puhunan | エクイティ / プフナン | 自己資本・純資産 |
| net debt | ネット デット | 純有利子負債 |
| leverage | レバレッジ | 負債活用の度合い |
| liquidity / pagkatubig | リクイディティ / パグカトゥビグ | 流動性(資金繰り余力) |
「free cash flow」(フリーキャッシュフロー)は、設備投資後に手元へ残る現金で、還元余力の目安になります。日常語では「daloy ng pera」(お金の流れ)とも言えます。
収益性・効率性の経営指標
投資した資本をどれだけ効率よく利益に変えたかを示す指標群です。
ROE と ROIC は資本効率の代表的なものさしで、英語の略語のまま使われます。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| return on equity (ROE) | リターン オン エクイティ(アールオーイー) | 自己資本利益率 |
| return on assets (ROA) | リターン オン アセッツ(アールオーエー) | 総資産利益率 |
| return on invested capital (ROIC) | リターン オン インベステッド キャピタル(ロイック) | 投下資本利益率 |
| cost of capital | コスト オブ キャピタル | 資本コスト |
| key performance indicator (KPI) | キー パフォーマンス インディケーター(ケーピーアイ) | 重要業績評価指標 |
| organic growth | オーガニック グロース | 自律成長(買収を除く) |
| year over year (YoY) | イヤー オーバー イヤー(ワイオーワイ) | 前年同期比 |
| quarter over quarter (QoQ) | クォーター オーバー クォーター(キューオーキュー) | 前四半期比 |
「year over year」(前年同期比)は、季節性をならして比較できるため決算で最も使われる比較軸です。フィリピンの開示でも YoY と略記されます。
株主還元・コーポレートアクション
還元策や資本政策に関わる語は、株主との対話で頻出します。
配当・自社株買い・資本配分の三語はとくに重要です。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| dividend / dibidendo | ディビデンド / ディビデンド | 配当 |
| share buyback / repurchase | シェア バイバック / リパーチェス | 自社株買い |
| shareholder return | シェアホルダー リターン | 株主還元 |
| capital allocation | キャピタル アロケーション | 資本配分 |
| stock split | ストック スプリット | 株式分割 |
| merger and acquisition (M&A) | マージャー アンド アクイジション(エムアンドエー) | 合併・買収 |
| board of directors / lupon ng mga direktor | ボード オブ ディレクターズ / ルポン ナン マガ ディレクトール | 取締役会 |
| annual general meeting (AGM) | アニュアル ジェネラル ミーティング(エージーエム) | 定時株主総会 |
「capital allocation」(資本配分)は、稼いだ資金を投資・還元・負債返済へどう振り分けるかを指します。取締役会は「lupon ng mga direktor」とも言えます。
会議・開示の場面で使う単語
最後に、決算説明や開示の「場」に関わる語をまとめます。
カンファレンスコールや開示文書の名称を知っておくと、案内文も読めます。
| タガログ語 | 読み方(カタカナ読み) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| earnings call | アーニングス コール | 決算説明電話会議 |
| conference call | カンファレンス コール | 電話会議 |
| analyst / analista | アナリスト / アナリスタ | アナリスト |
| institutional investor | インスティテューショナル インベスター | 機関投資家 |
| disclosure / paghahayag | ディスクロージャー / パグハハヤグ | 情報開示 |
| press release / pahayag sa midya | プレス リリース / パハヤグ サ ミドヤ | プレスリリース |
| annual report / taunang ulat | アニュアル レポート / タウナン ウラット | 年次報告書 |
| quiet period | クワイエット ピリオド | 沈黙期間(決算前の発言自粛) |
| guidance revision | ガイダンス リビジョン | 業績見通しの修正 |
「quiet period」(沈黙期間)は、決算発表前に業績見通しへの言及を控える期間を指します。フィリピンの上場規則でも同様の慣行があります。
よくある質問
Q. 財務用語はタガログ語に訳して使うべきですか?
A. 実務では英語のまま使うのが主流です。revenue、EBITDA、guidance、EPS などはフィリピンの開示資料でも英語表記が標準で、タガログ語の訳語は説明を補うときに添える程度で十分です(無理に訳すとかえって伝わりにくくなることがあります)。
Q. EBITDAはフィリピンでどう読みますか?
A. 「イービットダー」と読むのが一般的で、Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略です。利払い・税・償却の前の利益で、本業の稼ぐ力を見るのに使われます(読み方は英語圏とほぼ同じです)。
Q. 「kita」はrevenueですか、それともearningsですか?
A. 「kita」(キタ)は文脈で両方を指します。日常語としては「収入・もうけ」を広く意味し、決算の地の文では売上にも利益にも使われるため、厳密に区別したいときは英語の revenue / net income を併記するのが安全です。
Q. 「前年同期比」はタガログ語で何と言いますか?
A. 実務では英語の「year over year」(略して YoY)がそのまま使われます。あえてタガログ語で言うなら「kumpara sa parehong panahon noong nakaraang taon」(前年同期と比べて)ですが、長いので開示では YoY が一般的です。
まとめ
タガログ語のIR語彙は、英語の専門語を軸に、タガログ語の言い換えを補助線として覚えると決算資料がぐっと読みやすくなります。
- 財務指標の多くは英語のまま。タガログ語訳は説明を補うときに添える。
- EPS・EBITDA・ROEなど略語は正式名称とセットで押さえる。
- guidance まわりは beat / miss / upside / downside が議論の中心。
単語を覚えたら、実際の決算説明で使うフレーズや質疑応答の流れもあわせて確認すると定着します。
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