英語のビジネスメールで依頼や提案を断るとき、多くの人が「相手との関係を壊してしまわないか」と悩みます。
日本語でも断りのメールは気を遣うものですが、英語では文化的な背景もあって一層繊細な配慮が必要です。
特にフリーランスや海外の取引先が多い環境では、条件の合わない案件を断る場面が頻繁に発生します。
この記事では、失礼にならずに断るための定型フレーズを15個、シーン別に整理してお届けします。
この記事で分かること
- 英語メールで断るときに使える定型フレーズ15選
- 理由と代替案をセットで伝える自然な方法
- 相手との関係を壊さずに辞退するためのNG例と改善策
英語メールで断るときの基本姿勢
英語の断りメールには、日本語にはない独自のマナーがあります。
最も大事なのは「感謝→断り→代替案→未来への期待」という4段構成です。
この流れを守るだけで、冷たい印象を与えずに丁寧な断りが書けます。
逆に、いきなり「No」から入ると相手を傷つけるリスクがあります。
なぜ「感謝から入る」のか
依頼や提案をくれた相手は、少なからず時間とエネルギーをかけています。
英語圏のビジネスでは、その労力への敬意を最初に示すことが礼儀とされています。
たとえば海外企業からの依頼を断るという場面では、まず「Thank you for thinking of me」と感謝を述べるのが鉄板です。
たった一文ですが、相手の受け取り方が大きく変わります。
曖昧にせず、はっきり伝える
日本語では「検討させてください」と言えば事実上の断りとして通じる場面がありますが、英語では通用しません。
曖昧な返事は「前向きな返答」と解釈され、相手に期待させてしまいます。
断る意思は明確に、しかし言葉選びは柔らかく、というバランスが求められます。
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【標準】丁寧に断るフレーズ7選
まずはどんな相手にも使える標準的な断りフレーズから紹介します。
取引先、同僚、クライアントなど幅広い場面に対応できる表現です。
フレーズ1: Unfortunately, we are unable to…
英語フレーズ: Unfortunately, we are unable to accept your proposal at this time.
日本語訳: 残念ながら、現時点ではご提案をお受けすることができません。
使うシーン: 標準的なビジネスの断りで最も使いやすい表現。
「Unfortunately」という副詞が、「本当は受けたいけれど難しい」というニュアンスを作り出します。
たとえばLinkedIn経由の仕事依頼を断るという場面では、この書き出しが定番として広く使われています。
フレーズ2: I regret to inform you that…
英語フレーズ: I regret to inform you that we cannot proceed with the contract.
日本語訳: 誠に残念ながら、契約を進めることはできません。
使うシーン: フォーマルな場面、正式な書面に近い断り。
「regret to inform」は「お伝えすることを遺憾に思う」という意味で、非常に丁寧な響きがあります。
採用不合格通知や、プロジェクト中止の連絡などでもよく使われます。
フレーズ3: I’m afraid that…
英語フレーズ: I’m afraid that we won’t be able to meet the deadline.
日本語訳: 申し訳ありませんが、締切に間に合わせることはできません。
使うシーン: 相手に悪い知らせを柔らかく伝えるとき。
「I’m afraid」は「恐れ入りますが」というニュアンスで、英語圏では緩衝材のように使われる表現です。
実際に怖がっているわけではなく、お断りの前置きと理解してください。
フレーズ4: We have decided not to proceed.
英語フレーズ: After careful consideration, we have decided not to proceed with your offer.
日本語訳: 慎重に検討した結果、ご提案を見送らせていただくことに決定いたしました。
使うシーン: 組織としての正式な決定を伝えるとき。
「After careful consideration」を前置きに入れることで、軽率な判断ではないことを示せます。
複数の関係者で議論した結果を伝える場面で特に効果的です。
フレーズ5: Thank you for the offer, but I’ll have to decline.
英語フレーズ: Thank you for the offer, but I’ll have to decline.
日本語訳: お誘いいただきありがとうございます。しかしお断りしなければなりません。
使うシーン: 比較的カジュアルな場面で、感謝と断りを同時に伝えたいとき。
「have to」で「どうしても〜せざるを得ない」という、自分の意思ではないニュアンスを出せます。
短くてもしっかり敬意が伝わる表現です。
フレーズ6: We appreciate your interest, however…
英語フレーズ: We appreciate your interest, however, we have decided to go with another vendor.
日本語訳: ご興味を持っていただきありがとうございます。ただ、別の業者に決定いたしました。
使うシーン: 選考で不採用を伝えるとき、ベンダー選定結果を伝えるとき。
「however」はカジュアルな「but」より丁寧で、ビジネス文書向きの接続詞です。
断る前に相手の関心を認める一文を入れることで、角が立ちません。
フレーズ7: I wish I could help, but…
英語フレーズ: I wish I could help, but my schedule is fully booked this month.
日本語訳: お役に立てればと思うのですが、今月は予定が埋まっています。
使うシーン: 個人的な依頼を断るとき、残念な気持ちを伝えたいとき。
「I wish I could」は「できればそうしたいのですが」という仮定法で、断る側の残念さを表現できます。
ネットワーキングイベントへの参加を断るといった場面で特に使いやすい表現です。
【フォーマル】正式な場面で使う断りフレーズ5選
次に、契約や提案、採用などの正式な場面で使える表現を紹介します。
フレーズ8: After thorough review, we have concluded that…
英語フレーズ: After thorough review, we have concluded that your proposal does not align with our current business priorities.
日本語訳: 慎重に検討した結果、ご提案は現在の事業優先度と合致しないと判断いたしました。
使うシーン: 企業間の正式な決定を通知するとき。
「thorough review」は「徹底的な検討」という意味で、真剣に検討したことを強調できます。
「align with」は「〜と一致する」というビジネス頻出表現です。
フレーズ9: We regret that we are not in a position to…
英語フレーズ: We regret that we are not in a position to accept new partnerships at this time.
日本語訳: 残念ながら、現時点で新規パートナーシップをお受けできる状況にありません。
使うシーン: 会社の方針として受けられないことを伝えるとき。
「not in a position to」は「〜できる立場にない」という婉曲表現で、個人の判断ではないことを示せます。
相手の提案を否定せず、自分側の事情を理由にするのがポイントです。
フレーズ10: While we value your proposal, we must respectfully decline.
英語フレーズ: While we value your proposal, we must respectfully decline at this stage.
日本語訳: ご提案を高く評価しておりますが、今回は謹んでお断り申し上げます。
使うシーン: 提案そのものは評価しているが、採用はできない場面。
「respectfully decline」は「敬意をもって断る」という定型表現で、相手への敬意を失わずに断れます。
「While」で「〜だが」という譲歩を示すのも上品です。
フレーズ11: Due to unforeseen circumstances, we are unable to…
英語フレーズ: Due to unforeseen circumstances, we are unable to attend the conference.
日本語訳: 不測の事態により、カンファレンスに出席することができません。
使うシーン: 予定していたことを直前に辞退するとき。
「unforeseen circumstances」は「予期せぬ事情」という包括的な理由づけです。
詳細を明かしたくない場面でも角が立たない便利な表現です。
フレーズ12: Our budget constraints prevent us from…
英語フレーズ: Our budget constraints prevent us from engaging external consultants this quarter.
日本語訳: 予算の制約により、今四半期は外部コンサルタントを起用することができません。
使うシーン: 予算不足を理由に断るとき。
「budget constraints」は「予算の制約」というビジネス頻出フレーズです。
具体的な理由があることで、相手も納得しやすくなります。
【やわらか】関係を壊さない断りフレーズ3選
最後に、特に関係性を大切にしたい相手に使える柔らかい断り表現を紹介します。
フレーズ13: Let me take a rain check.
英語フレーズ: Let me take a rain check on this one.
日本語訳: 今回は見送らせてください。また次の機会に。
使うシーン: カジュアルな誘いを断るとき。
「rain check」はもともと野球で雨天中止の際に配られた再入場券のことで、「次回のお楽しみに」という意味で定着しています。
断ると同時に次回への期待を示せる便利な表現です。
フレーズ14: I’ll have to pass this time.
英語フレーズ: I’ll have to pass this time, but please keep me in mind for future projects.
日本語訳: 今回は見送らせてください。今後のプロジェクトでまたお声がけいただければ嬉しいです。
使うシーン: 今回は断るが、今後も関係を続けたいとき。
「pass」は「見送る」という意味で、会話でもメールでも使える汎用的な表現です。
「keep me in mind」で未来への扉を開いておけます。
フレーズ15: I’d love to, but unfortunately…
英語フレーズ: I’d love to join the webinar, but unfortunately, I have a scheduling conflict that day.
日本語訳: ウェビナーに参加したいのですが、あいにくその日は予定が重なっています。
使うシーン: 本心では参加したかったことを示したいとき。
「I’d love to」は「喜んで」という気持ちを表し、その後の「but」で優しく断れます。
相手を立てながら断りたい場面で役立つ定番表現です。
理由の伝え方|正直さと配慮のバランス
断りメールで悩むのが「理由をどこまで書くか」です。
全てを正直に書くと相手を傷つける可能性があり、かといって曖昧だと誠実さに欠けます。
良い理由の伝え方
理由は簡潔に、事実ベースで書くのが原則です。
「スケジュールが合わない」「予算が合わない」「スコープが合わない」といった客観的な事情を中心に据えます。
よくあるケースとして、「Our current project pipeline prevents us from taking on new work until Q3」のように具体的な時期を添える書き方があります。
具体的な時期を添えることで、次回の可能性を示唆できます。
避けるべき理由の書き方
「あなたの会社は小さすぎる」「あなたの提案はありきたり」といった相手を否定する理由は書かないのが原則です。
たとえ事実でも、角が立つだけで何の得にもなりません。
代わりに「現在の方針と合わない」「タイミングが合わない」といった、自分側の都合として表現します。
代替案の提示|断りを協力に変えるテクニック
断りメールをただの「No」で終わらせず、代替案を添えるのが上級者のやり方です。
これにより、相手との関係を維持しつつ、建設的な印象を残せます。
代替案の例
たとえば海外の代理店から依頼を断るという場面では、「今回は難しいけれど、同業者を紹介できます」と一言添えるのが効果的です。
紹介をきっかけに先方との信頼関係が深まり、のちに別件で声がかかるというケースも珍しくありません。
「Have you considered reaching out to…」「You might also want to speak with…」といった表現で代替案を示せます。
次回につなげる一文
「Please feel free to reach out again in the future.」や「I hope we can work together on another project soon.」といった一文を添えると、扉を開いたまま断れます。
関係維持を重視する日本人には特に馴染みやすい考え方です。
日本人がやりがちなNG例
次に、日本人の英語メールでよく見られる典型的なNG例を紹介します。
NG例1: I cannot do it.
「できません」という直接的すぎる表現で、相手にぶっきらぼうな印象を与えます。
日本語の「できません」を直訳した結果、冷たく響いてしまうのです。
改善: Unfortunately, I’m not able to take this on at the moment.
NG例2: We will consider it.(曖昧回答)
「検討します」を断りのつもりで使うと、英語話者には「前向きな返事」と受け取られます。
後日「どうなりましたか?」と催促のメールが届くのが常です。
改善: We appreciate the offer, but we have decided not to move forward.
NG例3: Sorry, sorry, sorry.
謝罪の連発は日本語メールの定番ですが、英語では「自信がない」「責任転嫁している」と受け取られます。
英語ネイティブからは「謝罪は1回で十分」と指摘されるケースが典型的です。
改善: I apologize for the inconvenience. Unfortunately, we are unable to proceed.
NG例4: It’s impossible.
「不可能です」というきつい表現は、ビジネスシーンでは避けるべきです。
解決策を探る姿勢がないように見えてしまいます。
改善: This would be challenging for us at this time.
NG例5: No, thank you.(だけで終わる)
「いいえ、結構です」だけでは、相手の労力への敬意が伝わりません。
一文でも感謝や理由を添えるべきです。
改善: Thank you for the offer. Unfortunately, I’ll have to decline this time.
断りメールのダイアログ例
実際のメールのやり取りをダイアログ形式で紹介します。
海外の代理店から受けた見積もり依頼を断るという想定シーンを元にしています。
ダイアログ例:見積もり辞退
Subject: Re: Proposal for Content Localization Project
Dear Mr. Lee,
Thank you very much for considering us for your content localization project.
I truly appreciate the time you took to share the detailed requirements.
After careful consideration, I’m afraid that we will have to decline the proposal at this time.
Our current project pipeline is fully booked until July, and we would not be able to deliver the quality you deserve within your timeline.
If you would like, I can introduce you to a colleague who specializes in this exact type of work and may have availability.
I hope we can collaborate on a future project when our schedule allows.
Please don’t hesitate to reach out again.
Best regards,
Yuki
先方からの返信
Dear Yuki,
Thank you for your kind and thoughtful response.
I completely understand, and I truly appreciate the offer to introduce your colleague.
Yes, please go ahead and connect us—that would be incredibly helpful.
I’ll keep you in mind for our next project, and I look forward to staying in touch.
Warm regards,
David
よくある失敗パターン|見積もり辞退から学べること
フリーランスを始めた初期に起こりがちなのが、海外のメディア企業から大型案件の打診を受けるケースです。
条件を確認すると、予算がこちらの相場の3分の1程度で、納期も非現実的な短さだったという場面は珍しくありません。
このとき日本語の感覚で「前向きに検討させていただきます」と返信してしまうのが典型的な失敗です。
これが曖昧な肯定と受け取られ、先方は準備を進め、1週間後に「契約書を送りました」とメールが届くことになります。
慌てて経緯を説明し、断りの連絡を入れても、先方は完全に時間を奪われる形となり、関係が悪化してしまいます。
こうした失敗を避けるために、「断るときははっきり、しかし丁寧に」という原則を徹底することが重要です。
もう1つ注意すべきなのは、自分の専門外の案件を受けるかどうか迷う場面です。
たとえば翻訳プロジェクトの打診で予算はほぼ合っていても、専門分野が医療系で品質に自信が持てないというケースがあります。
こうした場面では「I’d love to help, but my expertise doesn’t fully align with the medical domain」と正直に書くのが最善です。
さらに、信頼できる同業者を紹介すると、先方からの評価が格段に上がります。
よくあるケースとして、先方から「正直に話してくれてありがとう」と感謝されるパターンがあります。
紹介した同業者との仕事もうまくいき、のちに別の案件が回ってくるという好循環も期待できます。
英語の断りメールは、短期的には相手を失望させても、長期的には信頼を築く最高の機会なのです。
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Langhacksでは、ビジネス英語メール関連の記事を複数公開しています。
依頼メールの書き方を学びたい方は、「英語メールで依頼・お願いするフレーズ20選」もあわせてご覧ください。
また、英語ビジネス全般の丁寧表現を深めたい方には「英語ビジネスでの丁寧表現ガイド」が参考になります。
さらに、日本人が陥りがちなミスを体系的に学びたい方は「日本人がやりがちなビジネス英語のミス20選」をおすすめします。
これらの記事とあわせて読むことで、断り方・依頼の仕方・丁寧さのバランスを総合的にマスターできます。
まとめ
英語の断りメールは「感謝→断り→代替案→未来への期待」という4段構成が基本です。
Unfortunately、I regret to inform、I’m afraidといった定型表現を適切に使うことで、失礼にならずに意思を伝えられます。
理由は簡潔かつ客観的に、相手を否定する表現は避けるのが鉄則です。
代替案や次回への期待を一文添えるだけで、断りは関係維持のチャンスに変わります。
日本人がやりがちなNG例には、I cannot do it、We will consider it、Sorry連発、It’s impossible、No thank youだけで終わるといった形があります。
これらを避け、本記事で紹介した15のフレーズを使いこなすことで、英語メールは格段に伝わりやすくなります。
断る場面では、誰しも最初から完璧にはいかないものです。
最初は一つのフレーズから試し、相手の反応を見ながら自分のレパートリーを増やしていくことをおすすめします。
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