オープンイノベーション、つまりスタートアップや他社と組んで新しい価値を生む取り組み。その英語のやり取りは、フレーズ単体を覚えても流れの中での使い方が分からないと不安が残ります。
協業の打診から成果配分の確認まで、一連の会話として体に入れておくと、本番で自然に口が動きます。
この記事で分かることは次の3つです。
- 協業の打診・PoCのすり合わせ・成果配分の確認を、実際の流れに沿ったダイアログで確認できる
- 自社側と相手側の往復で、どんな一言がやり取りを前に進めるか分かる
- 会話の直後に日本語解説があり、なぜその表現が効くのかが理解できる
ここでは自社側を Us、相手のスタートアップを SU と表記して、3つの場面を見ていきます。
場面1|スタートアップに協業を打診する
イベントで知り合ったスタートアップに、協業を持ちかける場面です。
いきなり条件からでなく、共通の狙いと互いの強みから話を始めます。
| 話者 | 英語 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Us | Thanks for taking the time. We’ve followed your work closely. | お時間ありがとうございます。御社の取り組みに注目していました。 |
| Us | We see strong potential in working together. | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| SU | That’s great to hear. What did you have in mind? | うれしいですね。どんな構想でしょう? |
| Us | You have the technology; we have the distribution. | 御社には技術が、当社には販路があります。 |
| SU | So our strengths could complement each other. | つまり互いの強みを補い合えますね。 |
| Us | Exactly. Would you be open to a joint initiative? | その通りです。共同の取り組みにご関心はありますか? |
| SU | Definitely. Let’s explore what that could look like. | もちろんです。形を一緒に探りましょう。 |
「complement each other」で互いの強みが補完関係にあると示すと、相手も組む意義をつかめます。
最後を「Would you be open to…?」と問いの形にすると、押しつけずに前向きな返事を引き出せます。
場面2|PoCのスコープをすり合わせる
協業に前向きになり、まず小さく試すPoC(概念実証)の中身を詰める場面です。
範囲・期間・成功基準を一つずつ言葉にして、認識をそろえます。
| 話者 | 英語 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Us | Why don’t we start with a small proof of concept? | まず小さなPoCから始めませんか? |
| SU | Sounds good. What scope are you thinking? | いいですね。範囲はどうお考えですか? |
| Us | Let’s run a three-month pilot with one product line. | 1つの製品ラインで3か月の試験運用にしましょう。 |
| SU | And what would success look like for you? | 御社にとっての成功基準は何でしょう? |
| Us | A 10% efficiency gain would be a clear win. | 10%の効率改善が出れば明確な成功です。 |
| SU | We can validate that on a small scale. | 小規模で検証できます。 |
| Us | If the pilot works, we’ll scale it up. | うまくいけば本格展開します。 |
| SU | Let’s put the scope in writing to stay aligned. | 認識をそろえるため範囲を書面にしましょう。 |
「What would success look like?」と成功基準を先に確認することで、PoC後の判断で揉めにくくなります。
最後に「put the scope in writing」と書面化を促し、口約束のズレを防いでいます。
場面3|成果配分・知財を確認する
共同開発に進む前に、生まれた成果や知的財産の扱いを確認する場面です。
言いにくい話題ほど、早めに、しかし穏やかに切り出します。
| 話者 | 英語 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Us | Before we go further, let’s talk about the IP. | 先に進む前に、知財の話をしましょう。 |
| SU | Sure. Who will own the results of the development? | もちろん。開発の成果は誰に帰属しますか? |
| Us | We’d like to keep the rights to our core technology. | 当社は基幹技術の権利を保持したいです。 |
| SU | That’s fair. We’d want the same for ours. | 妥当ですね。当社も自社分は同様に望みます。 |
| Us | For anything we build jointly, let’s share the rights. | 共同で作る部分は権利を共有しましょう。 |
| SU | Agreed. How should we share the revenue? | 賛成です。収益はどう分けますか? |
| Us | Let’s tie it to each side’s contribution. | 双方の貢献度に応じて決めましょう。 |
| SU | Let’s draft a memorandum and have legal review it. | 基本合意書を作り、法務に確認させましょう。 |
「keep the rights to our core technology」で、自社の基幹部分は守りたいと明確に伝えています。
共同部分は共有、貢献度に応じた配分、という整理で双方が納得しやすくなります。
会話のコツ|協業を前に進める3つの動き
3つの場面に共通する、協業ならではの進め方を整理します。
フレーズの暗記だけでなく、この型を意識すると会話が安定します。
| コツ | 使うフレーズの例 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 共通の狙いから入る | We see strong potential in working together. | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| 強みの補完を示す | Our strengths could complement each other. | 互いの強みを補い合えます。 |
| 小さく試す提案をする | Why don’t we start with a small proof of concept? | まず小さなPoCから始めませんか? |
| 成功基準を先に決める | What would success look like? | 成功基準は何でしょう? |
| 知財を早めに切り出す | Let’s talk about the IP first. | 先に知財の話をしましょう。 |
| 書面で認識をそろえる | Let’s put it in writing to stay aligned. | 認識をそろえるため書面にしましょう。 |
協業は相手を説き伏せるより、共通の土台を一つずつ確認して積み上げる姿勢が言葉を選びやすくします。
特に知財や成果配分は、後回しにすると関係がこじれやすい論点です。
切り出しにくくても早めに言葉にしておくと、信頼を保ったまま前へ進めます。
オンラインで協業を打診する一場面
初回の打診はオンライン会議で行うことも増えています。
画面共有と資料送付を交えた短いやり取りを見てみましょう。
| 話者 | 英語 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| Us | Let me share my screen and walk you through our deck. | 画面共有して資料をご説明します。 |
| SU | Please go ahead. | ぜひお願いします。 |
| Us | This slide shows where our strengths could fit. | このスライドが当社の強みの活かしどころです。 |
| SU | That’s helpful. Can you send the deck after? | 分かりやすいです。後で資料を送れますか? |
| Us | Of course. I’ll drop the NDA draft in the chat too. | もちろん。秘密保持契約の案もチャットに送ります。 |
| SU | Great. Let’s set up a follow-up call next week. | いいですね。来週フォローの打ち合わせをしましょう。 |
| Us | I’ll loop in our R&D lead for that one. | その回は研究開発の責任者も同席させます。 |
「walk you through our deck」と資料を順に説明する流れは、オンラインの打診で定番です。
「loop in」で次回の同席者を予告すると、相手も準備しやすくなります。
よくある質問
協業ダイアログはどう練習すればいいですか?
自社側のセリフだけを音読して、自分の言葉として口になじませるのがおすすめです。
「打診・PoC・知財確認」の流れを通しで練習すると、本番でも順番が崩れにくくなります。
PoCの話を切り出すフレーズは?
“Why don’t we start with a small proof of concept?” が自然です。
続けて “What would success look like?” と成功基準を確認すると話が締まります。
知財の話はどう切り出せば角が立ちませんか?
“Before we go further, let’s talk about the IP.” のように、前置きを置いてから入ると穏やかです。
共同部分は共有、自社の基幹部分は保持、と整理すると合意しやすくなります。
オンラインで資料を共有するときの言い方は?
“Let me share my screen and walk you through our deck.” が定番です。
“Can you send the deck after?” と後送を求められたら “Of course.” と応じます。
まとめ
オープンイノベーションの会話は、フレーズ単体ではなく一連の流れで覚えると本番で動けます。
- 打診では共通の狙いから入り、互いの強みの補完を示す。
- PoCは範囲・期間・成功基準をそろえ、書面で認識を合わせる。
- 知財は早めに切り出し、共同部分の共有と貢献度配分で整理する。
会話の型が身についたら、協業でよく出る単語をまとめて押さえておくと、さらに言葉が出やすくなります。
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