オープンイノベーション、つまりスタートアップや他社と組んで新しい価値を生む取り組み。そのドイツ語のやり取りは、フレーズ単体を覚えても、流れの中での使い方が分からないと不安が残ります。
協業の打診から成果配分の確認まで、一連の会話として体に入れておくと、本番で自然に口が動きます。
この記事では、打診・PoCのすり合わせ・成果配分の3場面を、AとBの会話で順番に追います。各往復を話者・ドイツ語・読み方・日本語訳の4列でならべ、その前後に「いま何が起きているか」を解説します。
登場人物はこう設定します。
- A=自社側(スタートアップに協業を打診する企業の担当者)
- B=相手側(ドイツのスタートアップの担当者)
会話文をなぞるうちに、協業の「型」が体に入っていきます。商談では敬称「Sie」を使うのが基本です。
場面1|スタートアップに協業を打診する
イベントで知り合ったスタートアップに、協業を持ちかける場面です。
いきなり条件からでなく、共通の狙いと互いの強みから話を始めます。
| 話者 | ドイツ語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Danke, dass Sie sich Zeit nehmen. Wir verfolgen Ihre Arbeit schon länger. | ダンケ・ダス・ズィー・ジッヒ・ツァイト・ネーメン・ヴィア・フェアフォルゲン・イーレ・アルバイト・ション・レンガー | お時間ありがとうございます。御社の取り組みに以前から注目していました。 |
| A | Wir sehen großes Potenzial in einer Zusammenarbeit. | ヴィア・ゼーエン・グローセス・ポテンツィアール・イン・アイナー・ツザメンアルバイト | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| B | Das freut mich zu hören. Woran haben Sie gedacht? | ダス・フロイト・ミッヒ・ツー・ヘーレン・ヴォラン・ハーベン・ズィー・ゲダハト | うれしいですね。どんな構想でしょう? |
| A | Sie haben die Technologie, wir haben den Vertrieb. | ズィー・ハーベン・ディ・テヒノロギー・ヴィア・ハーベン・デン・フェアトリープ | 御社には技術が、当社には販路があります。 |
| B | Unsere Stärken könnten sich also gut ergänzen. | ウンゼレ・シュテルケン・ケンテン・ジッヒ・アルゾ・グート・エアゲンツェン | つまり互いの強みを補い合えますね。 |
| A | Genau. Wären Sie offen für ein gemeinsames Projekt? | ゲナウ・ヴェーレン・ズィー・オッフェン・フューア・アイン・ゲマインザーメス・プロイェクト | その通りです。共同の取り組みにご関心はありますか? |
| B | Auf jeden Fall. Lassen Sie uns ausloten, wie das aussehen könnte. | アウフ・イェーデン・ファル・ラッセン・ズィー・ウンス・アウスローテン・ヴィー・ダス・アウスゼーエン・ケンテ | もちろんです。どんな形になるか一緒に探りましょう。 |
「sich ergänzen」で互いの強みが補完関係にあると示すと、相手も組む意義をつかめます。
最後を「Wären Sie offen für …?」と問いの形にすると、押しつけずに前向きな返事を引き出せます。
場面2|PoCのスコープをすり合わせる
協業に前向きになり、まず小さく試すPoC(概念実証)の中身を詰める場面です。
範囲・期間・成功基準を一つずつ言葉にして、認識をそろえます。
| 話者 | ドイツ語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Sollen wir mit einem kleinen Proof of Concept beginnen? | ゾレン・ヴィア・ミット・アイネム・クライネン・プルーフ・オブ・コンセプト・ベギネン | まず小さなPoCから始めませんか? |
| B | Klingt gut. An welchen Umfang denken Sie? | クリンクト・グート・アン・ヴェルヒェン・ウムファング・デンケン・ズィー | いいですね。範囲はどうお考えですか? |
| A | Lassen Sie uns ein dreimonatiges Pilotprojekt mit einer Produktlinie machen. | ラッセン・ズィー・ウンス・アイン・ドライモーナティゲス・ピロートプロイェクト・ミット・アイナー・プロドゥクトリーニエ・マッヘン | 1つの製品ラインで3か月の試験運用にしましょう。 |
| B | Und wie würde Erfolg für Sie aussehen? | ウント・ヴィー・ヴュルデ・エアフォルク・フューア・ズィー・アウスゼーエン | 御社にとっての成功基準は何でしょう? |
| A | Eine Effizienzsteigerung von 10 Prozent wäre ein klarer Erfolg. | アイネ・エフィツィエンツシュタイゲルング・フォン・ツェーン・プロツェント・ヴェーレ・アイン・クラーラー・エアフォルク | 10%の効率改善が出れば明確な成功です。 |
| B | Das können wir im kleinen Rahmen überprüfen. | ダス・ケネン・ヴィア・イム・クライネン・ラーメン・ユーバープリューフェン | 小規模で検証できます。 |
| A | Wenn das Pilotprojekt funktioniert, weiten wir es aus. | ヴェン・ダス・ピロートプロイェクト・フンクツィオニールト・ヴァイテン・ヴィア・エス・アウス | うまくいけば本格展開します。 |
| B | Halten wir den Umfang schriftlich fest, damit wir abgestimmt bleiben. | ハルテン・ヴィア・デン・ウムファング・シュリフトリヒ・フェスト・ダミット・ヴィア・アプゲシュティムト・ブライベン | 認識をそろえるため、範囲を書面にしましょう。 |
「Wie würde Erfolg aussehen?」と成功基準を先に確認することで、PoC後の判断で揉めにくくなります。
最後に「schriftlich festhalten(書面に残す)」と促し、口約束のズレを防いでいます。
場面3|成果配分・知財を確認する
共同開発に進む前に、生まれた成果や知的財産の扱いを確認する場面です。
言いにくい話題ほど、早めに、しかし穏やかに切り出します。ドイツでは契約面の明確化がむしろ歓迎されます。
| 話者 | ドイツ語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Bevor wir weitermachen, lassen Sie uns über das geistige Eigentum sprechen. | ベフォア・ヴィア・ヴァイターマッヘン・ラッセン・ズィー・ウンス・ユーバー・ダス・ガイスティゲ・アイゲントゥーム・シュプレッヒェン | 先に進む前に、知財の話をしましょう。 |
| B | Gerne. Wem gehören die Ergebnisse der Entwicklung? | ゲルネ・ヴェム・ゲヘーレン・ディ・エアゲープニッセ・デア・エントヴィックルング | もちろん。開発の成果は誰に帰属しますか? |
| A | Wir möchten die Rechte an unserer Kerntechnologie behalten. | ヴィア・メヒテン・ディ・レヒテ・アン・ウンゼラー・ケルンテヒノロギー・ベハルテン | 当社は基幹技術の権利を保持したいです。 |
| B | Das ist fair. Für unsere möchten wir dasselbe. | ダス・イスト・フェア・フューア・ウンゼレ・メヒテン・ヴィア・ダスゼルベ | 妥当ですね。当社も自社分は同様に望みます。 |
| A | Was wir gemeinsam entwickeln, teilen wir uns die Rechte. | ヴァス・ヴィア・ゲマインザーム・エントヴィッケルン・タイレン・ヴィア・ウンス・ディ・レヒテ | 共同で作る部分は権利を共有しましょう。 |
| B | Einverstanden. Wie teilen wir den Umsatz auf? | アインフェアシュタンデン・ヴィー・タイレン・ヴィア・デン・ウムザッツ・アウフ | 賛成です。収益はどう分けますか? |
| A | Richten wir es nach dem Beitrag jeder Seite. | リヒテン・ヴィア・エス・ナーハ・デム・バイトラーク・イェーダー・ザイテ | 双方の貢献度に応じて決めましょう。 |
| B | Setzen wir eine Absichtserklärung auf und lassen die Rechtsabteilung prüfen. | ゼッツェン・ヴィア・アイネ・アプジヒツエアクレールング・アウフ・ウント・ラッセン・ディ・レヒツアプタイルング・プリューフェン | 基本合意書を作り、法務に確認させましょう。 |
「die Rechte an unserer Kerntechnologie behalten」で、自社の基幹部分は守りたいと明確に伝えています。
共同部分は共有、貢献度に応じた配分、という整理で双方が納得しやすくなります。
会話のコツ|協業を前に進める3つの動き
3つの場面に共通する、協業ならではの進め方を整理します。
フレーズの暗記だけでなく、この型を意識すると会話が安定します。
| コツ | 使うフレーズの例 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 共通の狙いから入る | Wir sehen großes Potenzial in einer Zusammenarbeit. | 協業に大きな可能性を感じています。 |
| 強みの補完を示す | Unsere Stärken könnten sich gut ergänzen. | 互いの強みを補い合えます。 |
| 小さく試す提案をする | Sollen wir mit einem kleinen Proof of Concept beginnen? | まず小さなPoCから始めませんか? |
| 成功基準を先に決める | Wie würde Erfolg aussehen? | 成功基準は何でしょう? |
| 知財を早めに切り出す | Lassen Sie uns zuerst über das geistige Eigentum sprechen. | 先に知財の話をしましょう。 |
| 書面で認識をそろえる | Halten wir es schriftlich fest, damit wir abgestimmt bleiben. | 認識をそろえるため書面にしましょう。 |
協業は相手を説き伏せるより、共通の土台を一つずつ確認して積み上げる姿勢が言葉を選びやすくします。
特に知財や成果配分は、後回しにすると関係がこじれやすい論点です。
切り出しにくくても早めに言葉にしておくと、信頼を保ったまま前へ進めます。
オンラインで協業を打診する一場面
初回の打診はオンライン会議で行うことも増えています。
画面共有と資料送付を交えた短いやり取りを見てみましょう。
| 話者 | ドイツ語 | 読み方 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| A | Ich teile meinen Bildschirm und führe Sie durch unsere Präsentation. | イッヒ・タイレ・マイネン・ビルトシルム・ウント・フューレ・ズィー・ドゥルヒ・ウンゼレ・プレゼンタツィオーン | 画面共有して資料をご説明します。 |
| B | Bitte, fangen Sie an. | ビッテ・ファンゲン・ズィー・アン | ぜひお願いします。 |
| A | Diese Folie zeigt, wo unsere Stärken passen würden. | ディーゼ・フォーリエ・ツァイクト・ヴォー・ウンゼレ・シュテルケン・パッセン・ヴュルデン | このスライドが当社の強みの活かしどころです。 |
| B | Das ist hilfreich. Können Sie die Präsentation danach schicken? | ダス・イスト・ヒルフライヒ・ケネン・ズィー・ディ・プレゼンタツィオーン・ダナーハ・シッケン | 分かりやすいです。後で資料を送れますか? |
| A | Natürlich. Ich stelle auch den Entwurf der Geheimhaltungsvereinbarung in den Chat. | ナテューアリヒ・イッヒ・シュテレ・アウホ・デン・エントヴルフ・デア・ゲハイムハルトゥングスフェアアインバールング・イン・デン・チャット | もちろん。秘密保持契約の案もチャットに送ります。 |
| B | Super. Lassen Sie uns nächste Woche einen Folgetermin vereinbaren. | ズーパー・ラッセン・ズィー・ウンス・ネクステ・ヴォッヘ・アイネン・フォルゲテルミーン・フェアアインバーレン | いいですね。来週フォローの打ち合わせをしましょう。 |
| A | Dazu ziehe ich unseren Entwicklungsleiter hinzu. | ダーツー・ツィーエ・イッヒ・ウンゼレン・エントヴィックルングスライター・ヒンツー | その回は開発の責任者も同席させます。 |
「durch die Präsentation führen」と資料を順に説明する流れは、オンラインの打診で定番です。
「hinzuziehen」で次回の同席者を予告すると、相手も準備しやすくなります。
よくある質問
協業ダイアログはどう練習すればいいですか?
自社側のセリフだけを音読して、自分の言葉として口になじませるのがおすすめです。
「打診・PoC・知財確認」の流れを通しで練習すると、本番でも順番が崩れにくくなります。
PoCの話を切り出すフレーズは?
「Sollen wir mit einem kleinen Proof of Concept beginnen?」が自然です。
続けて「Wie würde Erfolg aussehen?」と成功基準を確認すると話が締まります。
知財の話はどう切り出せば角が立ちませんか?
「Bevor wir weitermachen, lassen Sie uns über das geistige Eigentum sprechen.」のように、前置きを置いてから入ると穏やかです。
共同部分は共有、自社の基幹部分は保持、と整理すると合意しやすくなります。
オンラインで資料を共有するときの言い方は?
「Ich teile meinen Bildschirm und führe Sie durch unsere Präsentation.」が定番です。
「Können Sie die Präsentation danach schicken?」と後送を求められたら「Natürlich.」と応じます。
まとめ
オープンイノベーションの会話は、フレーズ単体ではなく一連の流れで覚えると、本番で動けます。
- 打診では共通の狙いから入り、互いの強みの補完を示す。
- PoCは範囲・期間・成功基準をそろえ、書面で認識を合わせる。
- 知財は早めに切り出し、共同部分の共有と貢献度配分で整理する。
ドイツの商談では、感情よりも事実と論理が重視されます。落ち着いた口調で根拠を示す姿勢が、信頼につながります。
会話の型が身についたら、協業でよく出る単語をまとめて押さえておくと、さらに言葉が出やすくなります。
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