「お疲れ様」の韓国語|수고と고생を推しにも上司にも使い分ける

韓国語

韓国語で「お疲れ様」を言おうとすると、相手が変わるたびに形が変わります。

수고했어요か고생했어요か、という二択で片づく話ではありません。

どの語で受けるかを決め、「시」を入れるかを決め、文体を決め、終わった仕事に言うのかこれからの仕事に言うのかを決める。

四つのつまみを回した結果が、そのつど違う形になって出てきます。

そこで解説より先に、そのつまみを一枚の表にしたものを置きます。

この記事で分かること。

  • 相手と場面から送る形を引ける判断表
  • 国立国語院の基準と、実際に使われている形の食い違い
  • 言われた側が返す言葉と、韓国語では「お疲れ様」と言わない場面
  1. 迷ったときに見る一枚
    1. 四つのつまみ
    2. この表の使い方
  2. つまみ①|수고・고생・노고・애쓰다を分ける軸
    1. 場面で引くと、こう分かれる
    2. 수고に漢字は付いていない
      1. 辞書は漢字を併記していない
      2. 「受苦」に由来を求める説明
    3. 노고と애쓰다は逃げ道として使う
    4. 수고でも고생でもない受け方
  3. つまみ②③|「시」と文体は別のつまみ
    1. 수고하셨어요は同級生向けではない
    2. 수고系の八つの形
    3. 고생系も同じ並びで動く
    4. 친구でも年上なら形が変わる
    5. 「많으셨어요」は労苦の量を言っている
  4. つまみ④|終わった仕事か、これからの仕事か
    1. 規範が名指しで認めている수고하세요
  5. 公式の基準と、実際に使われている形
    1. 規範が答えている範囲には限界がある
    2. ずれているのは線の引き場所
    3. 三つの列で持つ
    4. 実際の職場は規範どおりには動いていない
  6. 推しと友達へ送るとき
    1. 活動の区切りに送る
    2. ねぎらいは「休んで」と組にする
    3. SNSのリプライで送る
    4. 友達には「많았어」を足す
    5. 書かないほうがいい一言
    6. カカオトークとDMで打つとき
      1. 語尾を削り、文字を足す
      2. 初声だけで打つ ㅅㄱ・ㅅㄱㅇ
  7. 職場で言うとき
    1. 退勤のときの立場別
      1. 自分が先に帰るとき
      2. 自分が残り、相手が帰るとき
    2. 팀장・동료・후배で語を替える
    3. 退勤以外の場面
    4. メールの書き出しには置かない
  8. 言われた側が返す言葉
    1. 返しを一段深くする
    2. 推しから先に言われることもある
  9. 韓国語では「お疲れ様」と言わない場面
    1. 置き換えの土台になる四語
    2. 店を出るときの「수고하세요」は割れている
    3. 「들어가세요」も万能ではない
  10. よくある質問
  11. 持ち帰る三つ

迷ったときに見る一枚

左端の「相手・場面」から自分の状況を探して、右へ読んでください。

右端の理由は、あとの章でそれぞれ展開します。

相手・場面 韓国語 読み方 この形になる理由
推しに、ライブやヨントンの直後 오늘 정말 수고 많으셨어요 オヌル チョンマル スゴ マヌショッソヨ 「시」あり해요体が推し活の標準
推しに、長い活動が終わって 그동안 고생 많으셨어요 クドンアン コセン マヌショッソヨ 期間の長さは고생で受ける
推しへのリプライを固く書きたい 고생 많으셨습니다 コセン マヌショッスムニダ 합쇼체にすると距離が出る
友達に(반말) 수고했어 スゴヘッソ 敬語の部品がどちらも入らない素の形
つらい目に遭った友達に 고생 많았어 コセン マナッソ 力を出した側ではなく耐えた側を受ける
カカオトークで友達に打つ 수고~ スゴ〜 打つときは語尾が削れる
部長・팀장に、その日の仕事が終わって 고맙습니다 コマプスムニダ 規範は수고・고생を目上に向けない
部長・팀장の働きをねぎらいたい 애 많이 쓰셨습니다 エ マニ ッスショッスムニダ 国立国語院が代替として挙げる形
自分が先に退勤する(目上が残る) 먼저 들어가 보겠습니다 モンジョ トゥロガ ボゲッスムニダ ねぎらいではなく退出の申告にする
自分が残り、目上が帰る 안녕히 가십시오 アンニョンヒ カシプシオ 帰る人へは「気をつけて」が土台
自分が先に帰り、同年輩・後輩が残る 먼저 갑니다. 수고하세요 モンジョ カムニダ. スゴハセヨ 規範が名指しで認める수고하세요の使い方
同僚に、仕事が終わって 수고하셨어요 スゴハショッソヨ 「시」を入れて해요体でやわらげる
後輩・年下に、仕事が終わって 수고했어요 スゴヘッソヨ 「시」を外し、丁寧さだけ残す
食堂やコンビニを出るとき 감사합니다 カムサハムニダ 수고하세요は韓国国内でも賛否が割れる

四つのつまみ

表の右端に並んだ理由は、結局この四つのどれかに帰ります。

つまみ 決めること 選択肢 判断の基準
①語 どの名詞で受けるか 수고/고생/노고/애쓰다 相手が力を出したのか、つらい目に遭ったのか
②시 相手の動作を高めるか 하셨—/했— 相手が自分より上か、敬いたい相手か
③文体 聞き手への丁寧さ 합쇼체/해요体/반말 場の固さと、相手との距離
④時制 いつの労苦に言うか 했—/하세요 終わった仕事か、これからの仕事か

四つは独立して動きます。

「수고하셨어요」は①수고・②시あり・③해요体・④過去、という設定の結果です。

ここを混ぜたまま暗記すると、相手が一人変わっただけで作り直しになります。

この表の使い方

上から順に読む表ではありません。

自分が今いる行を一つ見つけて、そこだけを持って行く使い方を想定しています。

話す相手が変わったら、また表に戻って別の行を取ってください。

つまみ①|수고・고생・노고・애쓰다を分ける軸

よく見かけるのは「수고は軽く、고생は重い」という説明です。

ただ、辞書の語釈を並べると、重い軽い以前にもっと単純な差が見えます。

語 漢字 標準国語大辞典の語釈 日本語にすると
수고 なし 일을 하느라고 힘을 들이고 애를 씀. 또는 그런 어려움 仕事のために力を出し、努めること
고생 苦生 어렵고 고된 일을 겪음. 또는 그런 일이나 생활 つらくきつい目に遭うこと
노고 勞苦 힘들여 수고하고 애씀 力を尽くして働くこと
애쓰다 固有語 마음과 힘을 다하여 무엇을 이루려고 힘쓰다 心と力を尽くして成し遂げようとする

수고の語釈は「힘을 들이고(力を出して)」、고생の語釈は「겪음(経験する・遭う)」です。

本人が自分から動いたのか、降りかかったものに耐えたのか、で分けると迷いが減ります。

それぞれの見出し語は標準国語大辞典で確認できます(수고/고생/노고/애쓰다)。

場面で引くと、こう分かれる

場面 選ぶ語 韓国語 読み方
発表を終えた同僚に 수고 발표 수고하셨어요 パルピョ スゴハショッソヨ
徹夜明けの同僚に 고생 밤새 고생 많으셨어요 パムセ コセン マヌショッソヨ
引っ越しを手伝ってくれた友達に 수고 오늘 수고 많았어 オヌル スゴ マナッソ
遠くから来てくれた相手に 고생 멀리서 오시느라 고생하셨어요 モルリソ オシヌラ コセンハショッソヨ
試験を終えた友達に 고생 시험 보느라 고생했어 シホム ボヌラ コセンヘッソ
長い会議のあとに 수고 회의 수고하셨습니다 フェイ スゴハショッスムニダ
当番をこなした後輩に 수고 당번 수고했어 タンボン スゴヘッソ
満員の乗り物で来た人に 고생 오시느라 고생하셨어요 オシヌラ コセンハショッソヨ

「〜느라」は「〜するのに」で、その労苦の中身を前に置く形です。

何をして疲れたのかが分かっているなら、この形を挟むと言葉が具体的になります。

수고に漢字は付いていない

辞書は漢字を併記していない

標準国語大辞典で「수고」を引くと、この意味の見出し語には漢字が併記されていません。

同じ音の見出し語(手鼓・手稿・愁苦・壽考など)にはすべて漢字が付いているので、辞書がそう扱っていると考えるほかありません。

「受苦」に由来を求める説明

一方、韓国語の解説では、この語のもとを「受苦」に求める説明が広く流通しています。

「苦しみを受ける」という含みがあるから目上に向けるのはよくない、という論の立て方です。

この含みが、あとで出てくる規範の判断につながっています。

노고と애쓰다は逃げ道として使う

노고と애쓰다は、수고・고생と違って規範の側が代替として名前を挙げている語です。

固い語なので友達や推しへのリプライには重すぎますが、目上に向けて使えます。

韓国語 読み方 日本語訳
노고가 많으셨습니다 ノゴガ マヌショッスムニダ 大変なお働きでした
애 많이 쓰셨습니다 エ マニ ッスショッスムニダ たいへん骨を折ってくださいました
애쓰셨습니다 エッスショッスムニダ ご尽力いただきました

수고でも고생でもない受け方

ねぎらいたい気持ちには、この二語以外の受け皿もあります。

相手のしたことの中身がはっきりしているなら、そちらを直接ほめるほうが届きます。

韓国語 読み方 日本語訳 いつ使うか
잘하셨습니다 チャラショッスムニダ よくやってくださいました 成果をほめる(目上には慎重に)
잘했어 チャレッソ よくやったね 友達・年下に
애썼어 エッソッソ よく頑張ったね 友達・年下に
대단해요 テダネヨ すごいです 相手の成果に驚いたとき
힘드셨죠 ヒムドゥショッチョ 大変でしたよね 相手のつらさに寄る
고맙습니다 コマプスムニダ ありがとうございます 労苦ではなく助力に礼を言う

「잘했어」は相手の出来を評価する形なので、目上には向きません。

「힘드셨죠」は相手のつらさに寄る形で、고생の一言と並べても意味が重なりません。

つまみ②③|「시」と文体は別のつまみ

日本語話者がいちばん混ぜやすいのが、この二つです。

「시」は動作をする人を高める部品で、文体は聞いている人への丁寧さです。

高めたい相手と、丁寧に話したい相手が、いつも同じとは限りません。

수고하셨어요は同級生向けではない

「수고하셨어요」には「시」が入っています。

語尾が해요体なので柔らかく見えますが、動作の主である相手を高めている形です。

年上や敬うべき相手に、固すぎない場でかける言い方だと考えてください。

職場の同僚のように、対等でも敬語で話す相手にも使います。

同級生には「시」の要らない「수고했어」を使います。

수고系の八つの形

韓国語 読み方 시 文体 向ける相手
수고하셨습니다 スゴハショッスムニダ あり 합쇼체 固い場・目上(規範上は非推奨)
수고 많으셨습니다 スゴ マヌショッスムニダ あり 합쇼체 同上、労苦の量を足した形
수고하셨어요 スゴハショッソヨ あり 해요体 年上・敬う相手、職場の同僚
수고 많으셨어요 スゴ マヌショッソヨ あり 해요体 同上、推しへのリプライの定番
수고했어요 スゴヘッソヨ なし 해요体 年下や、敬語で話す親しくない相手に
수고 많았어요 スゴ マナッソヨ なし 해요体 同上
수고했어 スゴヘッソ なし 반말 友達・年下
수고 많았어 スゴ マナッソ なし 반말 同上

고생系も同じ並びで動く

韓国語 読み方 시 文体
고생하셨습니다 コセンハショッスムニダ あり 합쇼체
고생 많으셨습니다 コセン マヌショッスムニダ あり 합쇼체
고생하셨어요 コセンハショッソヨ あり 해요体
고생 많으셨어요 コセン マヌショッソヨ あり 해요体
고생했어요 コセンヘッソヨ なし 해요体
고생 많았어요 コセン マナッソヨ なし 해요体
고생했어 コセンヘッソ なし 반말
고생 많았어 コセン マナッソ なし 반말

「많다」を挟むと、労苦の量が多かったという意味が足されます。

同じ相手に二度言う場面では、二度目を「많으셨어요」に替えると繰り返しになりません。

합쇼체と해요体を一人の話し手がどう乗り換えているかは、実際の受け答えを一文ずつ数えた記事で扱っています(韓国語の敬語は途中で乗り換わる)。

친구でも年上なら形が変わる

韓国語では、親しい相手でも年上かどうかで言葉が動きます。

언니・오빠・형・누나と呼ぶ相手は、반말で話していても敬う対象として扱われます。

この場合、「시」を入れずに반말のまま通すのが普通です。

気持ちの量を足したいときは、前に置く語のほうを増やします。

相手 韓国語 読み方 日本語訳
同い年の友達 수고했어 スゴヘッソ お疲れ様
年上だが반말で話す相手 오늘 진짜 수고했어 オヌル チンチャ スゴヘッソ 今日は本当にお疲れ様
敬語で話す年上 수고 많으셨어요 スゴ マヌショッソヨ お疲れ様でした
職場の先輩 수고하셨습니다 スゴハショッスムニダ お疲れ様でした

「진짜」や「너무」を前に足すと、반말のまま強さだけを上げられます。

語尾のほうを敬語に上げると、かえって距離が開きます。

「많으셨어요」は労苦の量を言っている

수고하셨어요と수고 많으셨어요は、四つのつまみの設定がまったく同じです。

違うのは「많다(多い)」が入るかどうかだけです。

「많으셨어요」は労苦の量が多かったと言う形なので、長時間や難所のあとに合います。

短い用件を片づけてもらっただけの場面で使うと、大げさに響きます。

場面 韓国語 読み方
五分の手伝いを頼んだあと 수고하셨어요 スゴハショッソヨ
一日がかりの作業のあと 수고 많으셨어요 スゴ マヌショッソヨ
何か月もの準備が終わったあと 그동안 고생 많으셨어요 クドンアン コセン マヌショッソヨ

つまみ④|終わった仕事か、これからの仕事か

「수고하셨습니다」と「수고하세요」は、丁寧さの差ではありません。

前者は終わった労苦に言い、後者はこれからの労苦に言います。

韓国語 読み方 時間の向き 直訳
수고하셨습니다 スゴハショッスムニダ 終わったこと ご苦労なさいました
수고했어요 スゴヘッソヨ 終わったこと (あなたが)苦労しましたね
수고하세요 スゴハセヨ これからのこと 苦労してください
수고하십시오 スゴハシプシオ これからのこと ご苦労なさってください
고생하세요 コセンハセヨ これからのこと つらい目に遭ってください

いちばん下の「고생하세요」は、直訳がそのまま角になります。

相手が上か下かに関わらず、これは避けるほうが無難です。

規範が名指しで認めている수고하세요

「これから働く相手にその労を勧める」形なので、目上に向けると命令の外形が残ります。

ただし国立国語院が明示的に認めている使い方が一つあります。

自分が先に退勤して、同年輩や部下が残る場面です。

「먼저 갑니다. 수고하세요.」という形が、オンライン가나다の回答の中に例として挙がっています。

逆に言えば、目上が残る場面でこれを言うと、規範からいちばん遠いところに着地します。

公式の基準と、実際に使われている形

この語でいちばん割れているのが、ここです。

広く流通しているのは「수고は目上に使えて、고생は目上に使えない」という整理です。

一方、韓国の規範はそこに線を引いていません。

国立国語院(국립국어원)は文化体育観光部(문화체육관광부)の所属機関で、言葉遣いの基準はここが出しています。

その基準にあたるのが『표준 언어 예절』で、1992年の『표준 화법 해설』を二十年ぶりに全面改訂して2011年に出たものです。

この『표준 언어 예절』は、수고と고생のどちらも目上に向けるのは望ましくないという立場です。

オンライン가나다の回答は、この規範をこう引いています。

퇴근하면서 윗사람에게 ‘수고하십시오.’ 하고 인사를 하는 경우를 흔히 볼 수 있다……이 말을 듣는 사람은 기분이 상할 수 있으므로 윗사람에게 쓰는 것은 바람직하지 않다.

訳:退勤の際、目上に「수고하십시오」と挨拶する場面はよく見られる。しかしこれを聞いた人は気分を害しうるので、目上に使うのは望ましくない。

この一文が「흔히 볼 수 있다(よく見られる)」と書いていることに注目してください。

規範の側も、現実には広く使われていることを前提にして書いています。

規範が答えている範囲には限界がある

では代わりに何と言えば自然なのか、という問いには、規範は答えを持っていません。

言い換えの候補を尋ねた質問に対して、オンライン가나다はこう書いています。

또한 이 밖의 내용에 대해서는 규범에서 정해진 바가 없어 이곳에서 단정적인 답변을 드리기 어렵습니다.

訳:これ以外の内容については規範に定めがなく、ここで断定的な回答をするのは難しい。

つまり規範が言い切っているのは「수고・고생を目上に向けない」までです(該当の回答)。

その先の言い換えが自然かどうかは、運用の問題として残っています。

ずれているのは線の引き場所

二つの整理は対立しているというより、線を引く位置が違います。

論点 日本語の解説でよく見る整理 韓国の規範の整理
目上に수고を向ける 使ってよい 望ましくない
目上に고생を向ける 使えない 望ましくない
二語の差はどこにあるか 目上に使えるかどうか 労苦の質(力を出したか、遭ったか)
代わりに何と言うか ほとんど示されない 고맙습니다/애 많이 쓰셨습니다/안녕히 계십시오
同年輩・部下に수고하세요 使える 使える(規範も名指しで認める)

どちらが正しいかを決める必要はありません。

目上に向ける一言を選ぶときだけ、規範の側の整理を思い出せば足ります。

三つの列で持つ

どれか一つを正解にせず、三つ並べて持つのが実際的です。

場面 規範に従うなら 実際によく使われる形 迷ったときの安全な形
目上の退勤を見送る 안녕히 가십시오 수고하셨습니다 안녕히 가세요
自分が先に退勤する 먼저 들어가 보겠습니다 수고하셨습니다 먼저 들어가 보겠습니다
目上の働きをねぎらう 애 많이 쓰셨습니다 고생 많으셨습니다 고맙습니다
目上に感謝を伝える 고맙습니다 수고 많으셨습니다 감사합니다
同年輩・後輩が残る 먼저 갑니다. 수고하세요 수고하세요 먼저 갑니다
推しの活動をねぎらう (規範の対象外) 고생 많으셨어요 수고하셨어요

いちばん右の列は、どの立場から見ても角が立たない形だけを選んでいます。

この記事では、目上に一言だけ選ぶなら「고맙습니다」を勧めます。

感謝はねぎらいと違って、下から上に向けても相手を評価する匂いが出ません。

감사と고맙다の段階の違いは、別の記事で扱っています(韓国語の感謝表現とへりくだりの型)。

実際の職場は規範どおりには動いていない

規範を知っていても、周囲全員が「수고하셨습니다」と言う職場で自分だけ違う形を使うのは難しいものです。

この食い違い自体を扱った韓国語の解説記事もあります(사물궁이 잡학지식)。

ここでは規範に寄せた形と実際の形を並べて置くところまでにして、どちらを選ぶかは職場の空気に合わせてください。

推しと友達へ送るとき

この語を探している人の多くは、推しや友達に向ける言葉としてこれを探しています。

そして推し活の側は、規範の議論がほとんど関係しない領域です。

相手は目上でも部下でもなく、こちらが一方的に敬っている相手だからです。

活動の区切りに送る

ライブ、カムバック活動、ツアー、ヨントン。

どれも「終わった直後」と「長い期間が終わった」で選ぶ語が変わります。

韓国語 読み方 日本語訳
오늘 정말 수고 많으셨어요 オヌル チョンマル スゴ マヌショッソヨ 今日は本当にお疲れ様でした
오늘도 고생하셨어요 オヌルド コセンハショッソヨ 今日もお疲れ様でした
이번 앨범 준비하시느라 고생 많으셨어요 イボン エルボム チュンビハシヌラ コセン マヌショッソヨ 今回のアルバムの準備、大変でしたね
긴 투어 수고 많으셨습니다 キン トゥオ スゴ マヌショッスムニダ 長いツアー、お疲れ様でした
그동안 정말 고생 많으셨어요 クドンアン チョンマル コセン マヌショッソヨ これまで本当にお疲れ様でした
푹 쉬세요 プク スィセヨ ゆっくり休んでください

「그동안」は「これまでの間」で、長い期間を一度に受ける語です。

卒業、活動終了、長期のツアーの終わりのような区切りに置くと形になります。

ねぎらいは「休んで」と組にする

ねぎらいの一言は、単独より休息をすすめる言葉と組にすると自然に伸びます。

韓国語 読み方 日本語訳
수고하셨어요. 푹 쉬세요 スゴハショッソヨ. プク スィセヨ お疲れ様でした。ゆっくり休んでください
고생 많으셨어요. 오늘은 푹 쉬세요 コセン マヌショッソヨ. オヌルン プク スィセヨ お疲れ様でした。今日はゆっくり休んでください
수고했어. 푹 쉬어 スゴヘッソ. プク スィオ お疲れ様。ゆっくり休んで

推しの名前や作品名は、そのつど差し替える前提で伏せてあります。

ヨントンやペンサで声に出すときの秒数の配り方は、通し台本の形で別の記事に置いています(ヨントン・ペンサの韓国語台本)。

SNSのリプライで送る

Weverse(위버스)やXの返信欄は、本人以外も読む場所です。

そのぶん形は固めに寄せておくと、あとから見返しても浮きません。

韓国語 読み方 日本語訳
오늘 무대 정말 좋았어요. 수고하셨습니다 オヌル ムデ チョンマル チョアッソヨ. スゴハショッスムニダ 今日のステージ本当によかったです。お疲れ様でした
늘 감사합니다. 오늘도 고생 많으셨어요 ヌル カムサハムニダ. オヌルド コセン マヌショッソヨ いつもありがとうございます。今日もお疲れ様でした
무리하지 마시고 푹 쉬세요 ムリハジ マシゴ プク スィセヨ 無理なさらずゆっくり休んでください
다음 무대도 기다릴게요 タウム ムデド キダリルケヨ 次のステージも待っています

「무리하지 마세요」は「無理しないでください」で、ねぎらいの後ろに置きやすい一言です。

相手の体調や私生活に踏み込む言い方は、公開の場では避けてください。

友達には「많았어」を足す

韓国語 読み方 日本語訳
수고했어 スゴヘッソ お疲れ様
수고 많았어 スゴ マナッソ 本当にお疲れ様
고생했어 コセンヘッソ 大変だったね
고생 많았어 コセン マナッソ 本当に大変だったね
힘들었지? ヒムドゥロッチ きつかったでしょ

発表や当番のように、相手が自分から力を出した場面では수고が合います。

試験や引っ越しのように、相手が状況に耐えた場面では고생のほうが合います。

書かないほうがいい一言

ねぎらいのつもりで書いた言葉が、相手の状況を決めつけてしまうことがあります。

「힘드셨죠」は相手のつらさに寄る形なので、本人が何も言っていない段階で使うと、大変だったと決めてかかる形になります。

本人が自分から事情を話した場面でだけ使い、それ以外は「수고하셨어요」で止めるのが安全です。

体調・スケジュール・所属先の事情に触れる言葉も、公開の場には置かないでください。

カカオトークとDMで打つとき

同じ語でも、声に出すときと打つときで形が変わります。

語尾を削り、文字を足す

打つときは語尾が削れ、代わりに文字を足して柔らかくします。

打つ形 読み方 誰に
수고~ スゴ〜 友達
수고했어용 スゴヘッソヨン 親しい相手(요を용にして甘くする)
수고링 スゴリン 友達
ㅅㄱ 音では読まない ごく親しい友達だけ
ㅅㄱㅇ 音では読まない 同上(末尾のㅇが요の代わり)

初声だけで打つ ㅅㄱ・ㅅㄱㅇ

「ㅅㄱ」は수고の初声だけを取り出した打ち方です。

初声だけの表記は、末尾に「ㅇ」を足すと「요」の代わりになるという規則で動いています。

ただしこの二文字は、まったく別の下品な俗語の略としても流通しています。

目上・初対面・公開のリプライでは使わないでください。

推し活の語彙をまとめて拾いたい場合は、ファンダム語の辞書があります(K-POP推し活・ファンダム韓国語辞典)。

職場で言うとき

職場では、誰が帰るのかで言葉が丸ごと入れ替わります。

日本語の「お疲れ様です」が一語で全部を覆っているのに対し、韓国語は立場ごとに別の語が立ちます。

退勤のときの立場別

自分が先に帰るとき

立場 韓国語 読み方 日本語訳
目上が残る 먼저 들어가 보겠습니다 モンジョ トゥロガ ボゲッスムニダ お先に失礼します
同上、短く言う 먼저 가겠습니다 モンジョ カゲッスムニダ お先に失礼します
同上、その場に残る人へ向けて 안녕히 계십시오 アンニョンヒ ケシプシオ 失礼します
明日また会う相手に 내일 뵙겠습니다 ネイル ペプケッスムニダ また明日お会いします
同年輩・後輩が残る 먼저 갑니다. 수고하세요 モンジョ カムニダ. スゴハセヨ お先に。お疲れ様です

「수고하세요」が入るのは、いちばん下の一行だけです。

残る相手が目上なら、수고하세요以外の行のどれかに置き換えます(オンライン가나다の回答)。

自分が残り、相手が帰るとき

立場 韓国語 読み方 日本語訳
目上が帰る 안녕히 가십시오 アンニョンヒ カシプシオ お気をつけてお帰りください
同僚が帰る 안녕히 가세요 アンニョンヒ カセヨ お気をつけて

帰る相手に向ける一言は、ねぎらいではなく「気をつけて」が土台になります。

ここに「수고하셨습니다」を置くのが実際にはいちばん多い形ですが、規範から遠いのもこの場面です。

팀장・동료・후배で語を替える

相手 韓国語 読み方
팀장님(安全側に寄せる) 고맙습니다 コマプスムニダ
팀장님(ねぎらう) 애 많이 쓰셨습니다 エ マニ ッスショッスムニダ
선배님 수고 많으셨어요 スゴ マヌショッソヨ
동료 수고하셨어요 スゴハショッソヨ
후배 수고했어요 スゴヘッソヨ
친한 동기 수고했어 スゴヘッソ

いちばん上の二行だけが規範に寄せた形で、선배님から下は実際の運用に寄せてあります。

会社の規程や休暇の運用そのものには、この記事では触れません。

休みを申し出る側の文面は、別の記事にまとめています(韓国語で休みを伝える)。

退勤以外の場面

退勤の挨拶以外にも、ねぎらいが要る場面はあります。

そのときは「〜느라」で労苦の中身を前に置くと、決まり文句から抜けられます。

場面 韓国語 読み方 日本語訳
残業が終わって 야근하시느라 고생 많으셨어요 ヤグナシヌラ コセン マヌショッソヨ 残業お疲れ様でした
出張から戻った人に 출장 다녀오시느라 고생하셨어요 チュルチャン タニョオシヌラ コセンハショッソヨ 出張お疲れ様でした
発表を終えた人に 발표 준비하시느라 수고 많으셨어요 パルピョ チュンビハシヌラ スゴ マヌショッソヨ 発表の準備お疲れ様でした
会食の翌朝 어제 잘 들어가셨어요? オジェ チャル トゥロガショッソヨ 昨日はちゃんと帰れましたか
引き継ぎを受けたあと 인수인계 감사합니다 インスインゲ カムサハムニダ 引き継ぎありがとうございます

会食の翌朝は、ねぎらいより「無事に帰れたか」を尋ねる形が定番です。

毎回「수고하셨어요」を置くより、前日に何があったかを一語入れるほうが伝わります。

メールの書き出しには置かない

「수고하십니다(スゴハシムニダ)」は、電話や社内で顔を合わせたときに使う挨拶です。

メールの冒頭に置くと、対面の挨拶をそのまま貼りつけたように見えます。

書き出しは「안녕하세요」と名乗りから始めてください。

言われた側が返す言葉

「お疲れ様」は、言うだけでは終わりません。

言われた側が黙ると、そこで会話が切れます。

解説の多くは「言う側」だけを扱いますが、実際に困るのは先に言われて返す言葉がない側です。

言われた言葉 返す形 読み方 日本語訳
수고하셨습니다(目上から) 감사합니다 カムサハムニダ ありがとうございます
수고하셨습니다(目上から) 아닙니다 アニムニダ とんでもないです
수고 많으셨어요(目上から) 저야말로 감사합니다 チョヤマルロ カムサハムニダ こちらこそありがとうございます
수고하셨어요(同僚から) 네, 수고하셨어요 ネ, スゴハショッソヨ はい、お疲れ様でした
수고했어(友達から) 너도 수고했어 ノド スゴヘッソ あなたもお疲れ様
고생 많았어(友達から) 응, 고마워 ウン, コマウォ うん、ありがとう
お礼を言われて 별말씀을요 ピョルマルスムルリョ とんでもないです
帰る相手に添える 조심히 들어가세요 チョシミ トゥロガセヨ 気をつけて帰ってください

「저야말로」は「私こそ」で、ねぎらいを相手に投げ返す形です。

目上に「고생 많으셨습니다」と返すのが気になる場面では、この形なら評価の匂いが出ません。

返しを一段深くする

一往復で終わらせず、相手の側にも言葉を返すと会話が続きます。

状況 韓国語 読み方 日本語訳
目上が先に帰る 안녕히 가세요. 내일 뵙겠습니다 アンニョンヒ カセヨ. ネイル ペプケッスムニダ お気をつけて。また明日
同僚に先を越された 저도 이제 가려고요 チョド イジェ カリョゴヨ 私ももう帰ろうと思います
手伝ってもらった相手に 덕분에 잘 끝났어요 トクプネ チャル クンナッソヨ おかげで無事終わりました
自分は何もしていないと感じたとき 제가 한 건 없는데요 チェガ ハン ゴン オムヌンデヨ 私は何もしていないですよ

「덕분에」は「おかげで」で、ねぎらいを受けたあとに相手を立て直す語です。

返しに一語足すだけで、社交辞令の往復から抜けられます。

推しから先に言われることもある

ライブやヨントンの終わりに、相手のほうから先に声をかけてくる場面があります。

たとえば「팬분들도 수고 많으셨어요(ファンの皆さんもお疲れ様でした)」と言われる、という場面です。

そこで固まらないよう、返しを一つだけ用意しておけば足ります。

韓国語 読み方 日本語訳
아니에요, ○○님이 더 고생하셨죠 アニエヨ, ○○ニミ ト コセンハショッチョ いえ、○○さんのほうが大変でしたよ
감사합니다. 푹 쉬세요 カムサハムニダ. プク スィセヨ ありがとうございます。ゆっくり休んでください
오늘 너무 행복했어요 オヌル ノム ヘンボケッソヨ 今日はすごく幸せでした

○○の部分には推しの呼び方が入ります。

返しは長くしないほうが通ります。

韓国語では「お疲れ様」と言わない場面

日本語の「お疲れ様です」は、ねぎらい以外の用途で一日に何度も出ます。

そのほとんどに、韓国語の対応語はありません。

訳そうとせず、別の挨拶に置き換えるのが正解になります。

日本語で「お疲れ様です」と言う場面 韓国語では 読み方 理由
朝、出社したとき 안녕하세요 アンニョンハセヨ ねぎらう労苦がまだ発生していない
廊下ですれ違うとき 안녕하세요 アンニョンハセヨ 会釈だけでも成立する
電話の第一声 안녕하세요, ○○입니다 アンニョンハセヨ, ○○イムニダ 名乗りが先に来る
メールの書き出し 안녕하세요 アンニョンハセヨ 対面の挨拶を貼りつけない
会議の冒頭 안녕하세요 アンニョンハセヨ ねぎらいから始めない
食堂で会計を終えて出るとき 잘 먹었습니다 チャル モゴッスムニダ 食事への礼が土台になる
コンビニを出るとき 감사합니다 カムサハムニダ 会計への礼が土台になる
会議室を先に出るとき 먼저 일어나겠습니다 モンジョ イロナゲッスムニダ ねぎらいではなく退出の申告にする
忙しそうな相手に用件を出すとき 바쁘신데 죄송합니다 パップシンデ チェソンハムニダ 相手の忙しさに触れる形にする

この表は「言ってはいけない」という表ではありません。

一語をそのまま持ち込むと言葉が余る、というだけの話です。

置き換えの土台になる四語

逆引きの表に出てくる置き換えは、結局四つの語に集まります。

韓国語 読み方 受け持つ範囲
안녕하세요 アンニョンハセヨ 出会いの挨拶すべて
감사합니다 カムサハムニダ 相手が自分に何かしてくれた場面すべて
안녕히 가세요 アンニョンヒ カセヨ 別れの挨拶(相手が去る側)
안녕히 계세요 アンニョンヒ ケセヨ 別れの挨拶(自分が去る側)

「가세요」は相手が去るとき、「계세요」は自分が去るときです。

この四つで、日本語の「お疲れ様です」が覆っていた範囲のほとんどが埋まります。

店を出るときの「수고하세요」は割れている

食堂やコンビニを出るときに「수고하세요」と言うかどうかは、韓国国内でも意見が分かれています。

客が店員の労苦を評価する形になる、という理由で避ける人がいます。

ポータルサイトDaumに配信された데일리웰니스の記事も、「苦労するのが当然」と聞こえうるとして「감사합니다」を勧めています。

一方で、そこまで気にしないという人も多く、実際にはよく聞かれる言い方です。

この記事では、迷うなら「감사합니다」に寄せることを勧めます。

相手が誰であっても角が立たず、覚える形が一つで済むからです。

「들어가세요」も万能ではない

帰る相手に「들어가세요(トゥロガセヨ)」と言う形も広く使われています。

ただしこれも、丁寧な言い方とまでは言えないという評価が韓国側にあります。

目上には「안녕히 가십시오」か「조심히 들어가세요」のほうが確実です。

よくある質問

수고하셨습니다は目上に使ってはいけないのですか

国立国語院の『표준 언어 예절』は、目上に向けるのは望ましくないという立場です。

ただし実際の職場では広く使われており、これを咎められる場面はほとんどありません。

相手が言葉遣いに厳しい立場の人なら、「고맙습니다」か「애 많이 쓰셨습니다」に置き換えると安全です。

수고했어요は友達に使えますか

「수고했어요」は해요体なので、반말で話す友達には少し他人行儀に響きます。

반말の相手には「수고했어」か「수고 많았어」を使ってください。

敬語で話す年下や、知り合ったばかりの同年輩には「수고했어요」が合います。

고생하셨습니다は수고하셨습니다より失礼ですか

고생系のほうが目上に不向きだと整理されることの多い語です。

韓国の規範は二つの語のどちらも目上に向けないという立場で、そこに差をつけていません。

語義の差は、相手が力を出したか(수고)、つらい目に遭ったか(고생)にあります。

「長い間お疲れ様」は韓国語で何と言いますか

「그동안 고생 많으셨어요(クドンアン コセン マヌショッソヨ)」が使いやすい形です。

「그동안」が「これまでの間」を受けるので、卒業や活動終了、退職のような区切りに合います。

友達には「그동안 고생 많았어」と반말にします。

店を出るときに수고하세요と言ってもいいですか

韓国国内でも意見が分かれる言い方で、実際にはよく使われています。

迷うなら「감사합니다」に寄せると、相手が誰でも角が立ちません。

持ち帰る三つ

この記事で決めたことは三つです。

  • 語は「自分から力を出した(수고)」か「つらい目に遭った(고생)」かで選ぶ
  • 「시」・文体・時制は独立して動く。수고하셨어요は年上向けで、同級生向けではない
  • 目上に一言だけ選ぶなら「고맙습니다」。規範からも実務からも角が立たない

この四つのつまみの表は、他の韓国語記事から参照される置き場として作りました。

敬語のレベルで迷ったら、いちばん上の表に戻ってきてください。

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