ゲオルク・ビューヒナー賞2026の受賞スピーチは、書き上げた原稿を2文まで削り、残った2文の1つもまた削った、という話から始まります。
その話の前に置かれた1文目では、ist の前を占める was の節が、書くときにいちばんうまくできることと、いちばん好きでしていることを1つにまとめています。
- 冒頭の段落で、streichen は4つの形をとる
- 名詞の席に節を置いた文は、受賞スピーチに2つ、Laudatio に4つある
- was の節は、kann と mache の2つの動詞を und でまとめる
- kann は、後ろに不定詞を置かずに「できること」を言う
- am besten は gut、am liebsten は gern の最上級
- Bücher の ch は舌の前で、auch の ch は口の奥で出す
- 作例の文では、am liebsten や lebendig が文の最後に来る
- 日本語の訳では、の と こと が節と動詞を名詞にする
- Welche の節は戯曲と同じ語 gewähren を使う
- Laudatio の was 節は、3人の名をダッシュで挟む
- Ringbahn の車内の文では、節や句、前つづりが文の後ろに回る
冒頭の段落で、streichen は4つの形をとる
Ich streiche alles, was nicht nötig ist. Deshalb wurden auch meine Bücher irgendwann so kurz.
Christine Wunnicke(作家・ゲオルク・ビューヒナー賞2026受賞者)2026年10月24日・ダルムシュタット州立劇場の授賞式の受賞スピーチ(アカデミー掲載の文面の2文目・3文目)/出典: deutscheakademie.de
訳:必要でないものは、すべて削る。そのせいで、私の本もいつのまにかこんなに短くなった。
受賞スピーチの第1段落には、streichen の形が4つ出てきて、そのあとの地の文には1つも出てきません。
| 段落の中の形 | 形の名前 | 日本語にすると |
|---|---|---|
| ist streichen | zu の無い不定詞(述語) | 削ることだ |
| Ich streiche alles | 現在形の1人称単数 | すべて削る |
| mich … ans Streichen gemacht | 名詞にした不定詞(中性名詞) | 削る作業に取りかかった |
| einen strich ich | 過去形の1人称単数 | 1つを削った |
1文目の streichen は小文字で書かれていて、動詞の不定詞のまま述語に置かれています。sich ans Streichen machen(削る作業に取りかかる)の Streichen は大文字で、an das が縮まった ans のあとに名詞として入っています。
1文目の beim Schreiben(書くときに)も、bei dem と名詞にした Schreiben の組み合わせです。受賞スピーチの地の文で、前置詞のすぐあとに名詞にした不定詞が1語で立つのは、beim Schreiben・ans Streichen・im Stehen(立ったまま)の3つです(複合名詞の Komödienpreisausschreiben は数えていません)。
過去形の strich は語幹の母音が ei から i に替わる形で、過去分詞は gestrichen になります。einen strich ich の einen は「2文のうちの1つ」で、strich の目的語です。
素材は、賞を出すドイツ語・文学アカデミー(Deutsche Akademie für Sprache und Dichtung)のサイトにある、Wunnicke 氏の受賞スピーチ(Dankrede)と Schalansky 氏の Laudatio の文面です。
受賞者は作家の Christine Wunnicke 氏で、Laudatio は Judith Schalansky 氏が受け持ちました。授与の場は、10月24日の16時にダルムシュタットの州立劇場(Staatstheater Darmstadt)の大ホールで始まった授賞式です。
2つのページに日付の表示はなく、10月28日に取得しました。この記事ではアカデミー掲載の文面を原文とし、式での読み上げとの違いは確かめていません。
受賞スピーチの文面には、ビューヒナーの戯曲『Leonce und Lena』からの引き写しが混ざり、ページではその部分が斜体になっています。斜体の部分と “…” で囲まれた部分はビューヒナーや他人の言葉として外し、Laudatio では »…« で囲まれた作品からの引用を外しました。
こうして残した地の文は、受賞スピーチが1,378語、Laudatio が1,967語です。ページ上部の賞の規約と審査員の一覧、受賞の証書の文面(Urkundentext)は素材に入れていません。
Laudatio には作品の筋を紹介する文が多く、それらも数には入れます。引用には、文章の書き方と授賞式の場面を述べた文を選びました。
名詞の席に節を置いた文は、受賞スピーチに2つ、Laudatio に4つある
文の切れ目は . ! ? の直後に大文字が来る所とし、24. Oktober のような序数と ca.・Dr.・Douglas W. Fortescue の W. は切れ目にしません。引用符の中の ! や ? でも切らず、文の文字がすべて引用なら数から外し、地の文が少しでも残る文は数に入れます。
この規則で、受賞スピーチは Wunnicke 氏の文が136(引用まじり11を含む)、Laudatio は Schalansky 氏の文が61(引用まじり22を含む)になりました。
数えるのは、定動詞の前に was・wer・welche-・dass で始まる従属節か zu 不定詞句が立ち、その節や句が文の中で名詞の代わりをしている文です。文頭の Und などのつなぎの語は数えない位置とし、疑問文は外します。
節を指示語で受け直してから定動詞を置く文は、別に数えます。
地の文の中の直接話法(Kann ich Ihnen irgendwie helfen, fragt der … のような文)と、glaube ich・stelle ich mir vor のような挿入は、この定義に入れません。2つの文面の136文と61文をすべて調べ、定義に当たる文を拾いました。
| 文頭に立つ節・句 | すぐ後の定動詞 | 節の働き・文面 |
|---|---|---|
| Was ich beim Schreiben am besten kann und am liebsten mache, | ist | 名詞の席(was 節)・受賞スピーチ |
| Welche Unterhaltung das ihnen gewährt, | bleibt | 名詞の席(間接疑問)・受賞スピーチ |
| Diesen unschönen Tod zu rächen, | hat | 目的語(zu 不定詞句)・Laudatio |
| Was hingegen die verbürgten Randfiguren der Wissenschaftsgeschichte begehren […], | ist | 名詞の席(was 節)・Laudatio |
| Dass dieses Personal […] so glaubhaft und lebendig ist, | liegt | 名詞の席(dass 節)・Laudatio |
| Und wer mag, | kann | 名詞の席(wer 節)・Laudatio |
このほか Laudatio には、was と wie の節を4つ並べてから all das(それらすべて)で受け直し、all das を定動詞 weiß の前に置いた文が1つあります。
受賞スピーチで定義に当たるのは136文のうちこの2文で、その1つが冒頭の1文です。was の節のあとに ist が来る文は、受賞スピーチと Laudatio に1つずつあります。
同じ年の秋には、作品の中身を前置詞でつなぐ書き方をドイツ書籍賞の審査員の文章の回で読みました。今回の素材は、賞を受けた作家のスピーチと、その作家に向けた Laudatio です。
was の節は、kann と mache の2つの動詞を und でまとめる
Was ich beim Schreiben am besten kann und am liebsten mache, ist streichen.
Christine Wunnicke(同上)2026年10月24日・授賞式の受賞スピーチ(1文目)/出典: deutscheakademie.de
訳:書くときに私がいちばんうまくできて、いちばん好きでしていることは、削ることだ。
| 区切り | 語ごとの意味 | 文の中の役目 |
|---|---|---|
| Was | 〜こと・〜もの | 節を始め、名詞1つ分の席を取る |
| ich beim Schreiben | 私が・書くときに | 節の中の動作の主と、その場面 |
| am besten kann | いちばんうまく・できる | gut の最上級と、本動詞の können |
| und am liebsten mache, | そして・いちばん好んで・する | gern の最上級と machen |
| ist | 〜である | 主文の定動詞 |
| streichen. | 削る・線を引いて消す | 述語に置いた zu の無い不定詞 |
was の節の中では、kann と mache が2つとも節の最後に回り、und がその2つを結んでいます。was は kann の目的語でも mache の目的語でもあるので、1つの was で2つの動詞をまかなえます。
「得意なこと」と「好きなこと」を別々の名詞にすると、Meine Stärke und meine Lieblingsarbeit のように、2つの名詞が並ぶ形です。was の節なら、1つの節が両方を含んだまま、名詞1つ分の席に収まります。
was は「何」の疑問詞と同じ形ですが、ここでは先に立つ名詞を持たない関係詞として「〜すること」を作っています。2文目の was は先に立つ alles を受けるので、同じ was でも、1文目は節そのものが名詞の代わり、2文目は名詞の説明です。
kann は、後ろに不定詞を置かずに「できること」を言う
können は多くの場合、Ich kann schwimmen(泳げる)のように不定詞と組みます。1文目の kann には不定詞がなく、was を目的語にとる本動詞として「(それが)できる」の意味です。
2つの文面の地の文で、können の形は受賞スピーチに6つ、Laudatio に3つあります。そのうち不定詞を伴わないのは、1文目の kann と、受賞スピーチの後半の als könnten sie was dafür(まるで彼らのせいであるかのように)の2つです。
etwas dafür können は「そのことに責任がある」を言う決まった組み合わせで、ここでも können が不定詞なしで目的語の was をとっています。ほかの7つは、konzentrieren kann(集中できる)や lesen kann(読むことができる)のように、不定詞と組む形です。
am besten は gut、am liebsten は gern の最上級
gut(よく)の比較の形は besser・am besten、gern(好んで)は lieber・am liebsten と、どちらも原級と違う語幹になります。1文目には、この2つの系列の最上級が1つずつ入っています。
Danach waren nur zwei Sätze übrig, und einen strich ich dann auch noch. Da dachte ich, ich lese lieber Büchner.
Christine Wunnicke(同上)2026年10月24日・授賞式の受賞スピーチ(第1段落の最後の2文)/出典: deutscheakademie.de
訳:削ったあとに残ったのは2文だけで、その1つもさらに削った。それで、ビューヒナーを読むほうがいいと思った。
lieber は gern の比較級で、「(スピーチを書くより)むしろビューヒナーを読む」という選び直しを言っています。比べる相手を als で書かなくても、前の文の「書いては削る」作業が比べる相手になります。
受賞スピーチの地の文の gern の形は、もう1つが ich würde gerne die 300 Gulden … gewinnen(300グルデンを手に入れたいものだ)の gerne で、ビューヒナーが考えたこととして Wunnicke 氏が思い描いた文の中です。würde gerne は「〜したい」を控えめに言う形です。
Laudatio では、wie die Rezensionen gerne betonen(書評がよく強調するように)に gerne が1つ入っています。こちらは「好んで」から転じて、「よく〜する、〜しがちだ」の意味で使われています。
地の文の am + -sten の形は受賞スピーチの3つだけで、残る1つは am ehesten(どちらかといえば)です。Laudatio には am + -sten の形がありません。
Bücher の ch は舌の前で、auch の ch は口の奥で出す
3文目の auch meine Bücher(私の本も)の中の ch は2つです。auch の ch は au のあとなので口の奥でこする [x]、Bücher の ch は ü のあとなので舌の前を上あごに近づける [ç] になります。
streichen と strich の ch も、ei と i のあとなので [ç] です。受賞スピーチの第2段落の初めにある kurz nach Mitternacht(真夜中を少し過ぎて)の Mitternacht は a のあとなので [x] になり、1つの文面の中に2つの音がどちらも出てきます。
語頭の st は [ʃt] で、streichen は「シュトライヒェン」に近く聞こえます。am besten・am liebsten の st は語の中ほどにあるので [st] のままで、liebsten の b は s の前で無声になり、[p] の音です。
1文目を声に出して読むときは、was の節の終わりの mache のあとに短い切れ目を置きます。streichen の強勢は第1音節の strei- にあります。
作例の文では、am liebsten や lebendig が文の最後に来る
次の左の列は、この記事で作った文で、素材にはありません。同じ中身を、名詞の席の節を使わずに1文で言った形です。
| 作例(素材に無い文) | 授賞式の文面 | 作例の最後の語/素材の文で定動詞のあとに来る語句 |
|---|---|---|
| Beim Schreiben streiche ich am liebsten. | Was ich beim Schreiben am besten kann und am liebsten mache, ist streichen. | liebsten/streichen |
| Das Personal ist durch Wunnickes Verfahren so lebendig. | Dass dieses Personal […] so glaubhaft und lebendig ist, liegt an Wunnickes verwegenem Verfahren […] | lebendig/an Wunnickes verwegenem Verfahren |
| Die Randfiguren begehren etwas Nebulöses. | Was hingegen die verbürgten Randfiguren der Wissenschaftsgeschichte begehren […], ist nebulöserer Natur […] | Nebulöses/nebulöserer Natur |
| Die Kinder verraten nicht, warum ihnen das Spaß macht. | Welche Unterhaltung das ihnen gewährt, bleibt ihr Geheimnis. | macht/ihr Geheimnis |
作例の1行目は「削ること」だけを動詞 streiche で言い、得意だという中身は入っていません。素材の文は、得意(am besten kann)と好み(am liebsten mache)の2つを was の節1つに入れ、その節を streichen と結びます。
2行目と3行目の作例は、人物たち(das Personal・die Randfiguren)を名詞のまま文の頭に立てています。素材の文は「人物が生き生きしていること」「脇役たちが求めるもの」という事柄を dass や was の節で1つにまとめ、定動詞のあとの短い句でその事柄を言い表す形です。
4行目の作例は、warum の節を verraten の目的語にした形です。素材の文は、問いの形の節を名詞の席に置き、bleibt ihr Geheimnis(彼らの秘密のままだ)と述べています。
日本語の訳では、の と こと が節と動詞を名詞にする
1文目を日本語にすると、「書くときにいちばんうまくできて、いちばん好きでしているのは、削ることです」という形です。日本語は「〜しているの」の の で前半を名詞にし、「削ること」の こと で動詞を名詞にしてから、「は…です」でつなぎます。
ドイツ語では、前半を名詞にするのは was の1語で、後半の streichen は動詞の不定詞の形のまま述語に入ります。日本語の こと に当たる語はなく、Das Streichen と名詞にして大文字で書くこともしていません。
日本語の の が「できて」と「好きでしている」の2つの述語をまとめるのと同じく、ドイツ語の was も kann と mache の2つをまとめています。名詞にする印が、日本語では前半の最後、ドイツ語では前半の最初に付く点が違います。
スペイン語で同じ中身を言う作例は、lo que で前半をまとめた Lo que mejor sé hacer al escribir es tachar です。スペイン語の関係詞 que が何を受けるかは、FCバルセロナの記事の一文を読んだ回で扱いました。
Welche の節は戯曲と同じ語 gewähren を使う
受賞スピーチの第2段落は、8月の夜に語り手の「私」がベルリンの環状線 Ringbahn に乗り、車内で『Leonce und Lena』を読む場面です。地の文の車内の様子と、斜体で引いた戯曲の一節が交互に並びます。
斜体の一節の最後は Es gewährt eine ganz eigene Unterhaltung(それはまったく独特の楽しみを与える)で、その数文あとの地の文が次の2文です。
Kinder lecken im ÖPNV manchmal ausdauernd an den Scheiben. Welche Unterhaltung das ihnen gewährt, bleibt ihr Geheimnis.
Christine Wunnicke(同上)2026年10月24日・授賞式の受賞スピーチ(第2段落)/出典: deutscheakademie.de
訳:電車やバスの中では、子どもがときどき窓ガラスを根気よくなめている。それが子どもたちにどんな楽しみを与えるのかは、本人たちだけの秘密だ。
戯曲の一節は Es を立てて「楽しみを与える」と言い切る文です。地の文は同じ2語を、Welche(どんな)を付けた問いの節に入れ、その節を名詞の席に置いています。
ÖPNV は öffentlicher Personennahverkehr(公共の近距離旅客交通)の略で、電車・バス・路面電車をまとめて言う語です。ベルリンの街の呼び名や言い回しは、ベルリンのスラングの記事にまとめています。
Laudatio の was 節は、3人の名をダッシュで挟む
Was hingegen die verbürgten Randfiguren der Wissenschaftsgeschichte begehren – […] –, ist nebulöserer Natur: die Ordnung und Enträtselung der Welt, der vierte Aggregatzustand oder etwas ganz und gar Unbenennbares.
Judith Schalansky(Laudatio の話し手)2026年10月24日・授賞式の Laudatio/出典: deutscheakademie.de
訳:これに対して、記録に名の残る科学史の脇役たち[…]が求めるものは、もっと霧に包まれた性質のものだ。世界の秩序と謎解き、物質の第4の状態、あるいはまったく名付けようのない何かである。
[…]の部分には、ダッシュで挟んで Carsten Niebuhr、William Crookes、Dr. Shimamura の3人が、それぞれ長い複合名詞の呼び名を付けて並びます。挿入は、was の節の名詞 Randfiguren(脇役たち)がだれを指すのかを、名前で言い直す働きです。
nebulöserer Natur は「より霧のような性質の」で、sein のあとに2格の名詞句を置いて性質を言う形です。コロンのあとの3つの名詞句が、was の節の「求めるもの」の中身を並べています。
Dass dieses Personal, die Lebenden wie die Untoten, so glaubhaft und lebendig ist, liegt an Wunnickes verwegenem Verfahren […]
Judith Schalansky(同上)2026年10月24日・授賞式の Laudatio/出典: deutscheakademie.de
訳:この登場人物たちが、生きている者も亡霊も、これほど本当らしく生き生きとしているのは、Wunnicke 氏の大胆な手法による[…]。
こちらは dass の節が名詞の席に立ち、定動詞 liegt と an のあとの名詞句で「〜による」を言います。dass の節の中の die Lebenden wie die Untoten(生きている者も亡霊も)は、dieses Personal(この登場人物たち)の中身を言い直す挿入です。
Laudatio の2つの例は、どちらも節の中の名詞を挿入で言い直しています。受賞スピーチの2つの例の節には、こうした挿入がありません。
Ringbahn の車内の文では、節や句、前つづりが文の後ろに回る
次の5文は、受賞スピーチの第2段落の車内の場面から取った文で、本文では引いていません。どの文も、名詞の中身を言う節や、目的語の節・句が定動詞より後ろに置かれています。
問1
Es ist schwer, seinen Kopf von oben zu fotografieren, weil man blind den Auslöser finden muss.
文頭の Es は、文の後ろのどの語句を先に受けていますか。文全体も訳してください。
答えと解説
答え:seinen Kopf von oben zu fotografieren(自分の頭を上から撮ること)です。訳は「見ないままシャッターを探さなければならないので、自分の頭を上から撮るのは難しい」です。
Es は形だけの語で、何が難しいのかは後ろの zu 不定詞句が言います。weil の節は、その難しさの理由です。
問2
Ich habe keine Ahnung, wo wir inzwischen sind.
wo の節は、前の文のどの名詞の中身を言っていますか。文も訳してください。
答えと解説
答え:Ahnung(見当)の中身です。訳は「いま私たちがどこにいるのか、まるで見当がつかない」です。
wo はここでは「どこに」を問う語で、keine Ahnung haben(見当がつかない)の「何の見当か」を、間接疑問の節が後ろから言っています。
問3
Der Essensfahrer singt leise mit dem mit, was er im Kopfhörer hört, glaube ich.
2つの mit は、それぞれ何の働きをしていますか。
答えと解説
答え:1つ目の mit は dem と組む前置詞、2つ目の mit は分離動詞 mitsingen(一緒に歌う)の前つづりです。
mitsingen の前つづりが文の最後に回り、そのあとの was の節が dem(それ)の中身を言っています。訳は「配達員は、ヘッドホンで聞いているものに合わせて小声で歌っている、と思う」です。
問4
Ich weiß nicht mehr, warum ich aufgestanden bin.
warum の節は、weiß に対してどんな働きをしていますか。文も訳してください。
答えと解説
答え:weiß の目的語で、「何を覚えていないのか」の中身です。訳は「なぜ立ち上がったのか、もう覚えていない」です。
節の中の aufgestanden bin は aufstehen(立ち上がる)の完了形で、体の位置が変わることを言う動詞なので sein を使います。
問5
Ich frage mich, ob er sein Gemälde selber gemalt hat, und ob er es wohl verkaufen will […]
2つの ob の節は、frage mich に対してどんな働きをしていますか。ob の訳し方も答えてください。
答えと解説
答え:2つとも sich fragen(自問する)の中身で、ob は「〜かどうか」と訳します。訳は「彼はあの絵を自分で描いたのだろうか、そしてもしかして売るつもりなのだろうか、と私は考える」です。
2つ目の節の wohl は「たぶん、もしかして」の推量を足す語です。素材では、この文のあとに値段と、自分がその絵を欲しいかどうかを考える節が続きます。
受賞スピーチの話し手は、Ringbahn を1周すれば『Leonce und Lena』を読み終えるはずだと考えて、真夜中の電車に乗り込みます。

