ケルンのカーニバルは、11月11日に新しいシーズン(Session)に入り、翌年の Aschermittwoch(灰の水曜日)まで続きます。2027年のシーズンの標語は、ケルン方言の文 Morje es, wat do drus mähs! に決まりました。
標語のほかに、子どもを言う Pänz や行列を言う Zoch のような方言の名詞が、今年の発表文でも標準ドイツ語の文の中で使われています。こうした語の一部に標準語の訳を添えているのが、カーニバルの団体のサイトの用語集です。
ケルン方言の6つの名詞は、たいてい1語のまま文に入る
ケルンのカーニバルを取りまとめる Festkomitee Kölner Karneval は、koelnerkarneval.de の「Presse」の欄に Pressemitteilung(報道向けの発表文)を載せています。2026年の22本(1月5日〜10月28日)は、17ページある一覧の1ページ目に15本、2ページ目に7本並びます。
数える範囲は次の規則で決めました。題と、題の下の1行の引き出し、本文の頭の箇条書き23行は本文の要約なので外し、箇条書きにある Kamelle と Zoch の1回ずつも数に入れていません。
本文の段落は改行で行に分け、URL を除いて12語以上の行はすべて残しました。12語未満の行は、6語以上で、行末が . ! ? : のどれかか、行の中に . ! ? と空白の切れ目があり、URL やメールを含まないものだけを残しています。
時刻だけの行の次に来る催しの題の行も、一覧として外しました。これで小見出し・催しの一覧・住所・口座・URL の行が外れ、114行・8,205語になります。
語数は、ä・ö・ü・ß やアクセント付きのラテン文字とアポストロフィを含む文字の並びで数えました。行を残すかどうかを決める語数は、ä・ö・ü・ß を含むラテン文字の並びで数えています。
方言の名詞は、同じサイトの用語集「Karneval von A-Z」が標準語の訳を添えている6つに絞りました。用語集は Pänz に Kinder、Fastelovend に Karneval、Hätz に Herz を当て、Kamelle と Strüßjer を Bonbons と (Blumen-)Sträußchen、D’r Zoch kütt を Der Zug kommt と書いています。
発表文に1語で5回出て、複合語の部品にもなる Veedel(地区)は、用語集に標準語の訳が無いので、数の外に置きました。
| 方言の名詞 | 用語集の標準語 | 22本での回数(1語・複合語の前半・後半) |
|---|---|---|
| Pänz | Kinder(子ども) | 12(7・5・0) |
| Fastelovend | Karneval(カーニバル) | 10(8・2・0) |
| Zoch | Zug(行列) | 11(10・0・1) |
| Kamelle | Bonbons(投げる菓子) | 5(2・3・0) |
| Strüßjer | Sträußchen(小さな花束) | 1(1・0・0) |
| Hätz | Herz(心) | 1(1・0・0) |
6つの名詞は22本のうち13本に計40回出て、29回は複合語に入らず1語で立っています。1語の数には Fastelovends のような格や数の語尾が付いた形を含め、Kinder- und Jugendkarneval の Kinder- のように補いのハイフンで切った形は複合語の前半に入れました。
40回のうち26回は発表文の地の文、11回は引用符の中の人の言葉です。残りの3回は D’r Zoch kütt の標識の名前(2回)と、幼稚園・学校向けの企画「Pänz großen Pause」の名前の中にあります。
複合語に入った方言の名詞は、ほぼ前半に置かれる
方言の名詞が複合語の部品になったのは11回で、そのうち10回は語の前半です。Pänz は4つの語の前半に立ち、Kamelle と Fastelovend にもそれぞれ前半に置いた語があります。
| 発表文の語 | 前半+後半 | 意味(前半の訳+後半の訳) |
|---|---|---|
| Pänzbox(2回) | Pänz + box | 子ども+箱(学校向けの教材の箱) |
| Pänzseite | Pänz + seite | 子ども+ページ(新しいサイトの中の子ども向けの区画) |
| Pänzrechte | Pänz + rechte | 子ども+権利(複数形) |
| Pänz-Version | Pänz + Version | 子ども+版(マフラーの子ども用) |
| Kamellespende(2回)・Kamellespenden | Kamelle + spende(n) | 投げる菓子+寄付 |
| Fastelovendssession | Fastelovend + s + session | カーニバル+つなぎの s +シーズン |
| Fastelovends-Fründe | Fastelovend + s + Fründe | カーニバル+つなぎの s +仲間たち |
| Rosenmontagszoch | Rosenmontag + s + zoch | バラの月曜日+つなぎの s +行列 |
前半に方言を置いた10回では、後半の部品は Fründe の1回を除いて標準ドイツ語の名詞です。Box・Version・Session は英語やラテン語から入った語ですが、標準ドイツ語の名詞として使われています。
Fastelovend のあとには、標準語の Karnevalsgesellschaft の s と同じつなぎの s が入ります。方言の語にも、標準語の複合語と同じ組み立てがそのまま当てはめられた形でした。
6つの名詞が後半に来る1回は、当時の副会長 Lutz Schade 氏の言葉の中にありました。Ford とケルンのカーニバルの75年の結びつきを述べた引用で、同じ文には Kamelle も入っています。
Die Dreigestirne und der Festkomitee-Vorstand sind ebenso mit Ford-Fahrzeugen unterwegs wie die Kamelle im Rosenmontagszoch
Lutz Schade(Vizepräsident Festkomitee Kölner Karneval)の言葉・Festkomitee Kölner Karneval の Pressemitteilung「Volle Ladung Alaaf: Ford setzt das Dreigestirn und Rosenmontagszug unter Strom」2026年1月14日/出典: koelnerkarneval.de
訳:Dreigestirn(三人組)の各組も Festkomitee の役員も、Rosenmontag の行列の投げ菓子と同じように Ford の車で動いています。
この文の Rosenmontagszoch は、発表文が地の文で書く Rosenmontagszug と後半だけが違う形です。前半に Fastelovend を置いた Fastelovends-Fründe も、後半が方言の Fründe(標準語の Freunde)で、前後とも方言の部品です。
方言の4語が出る発表文は、どれも標準語の訳語も使う
Pänz・Zoch・Fastelovend・Hätz の4つは、方言の語が出る発表文すべてに、用語集の訳語を含む語も出ています。Kamelle と Strüßjer の訳語は、22本のどこにもありません。
| 方言の名詞 | 出てくる発表文 | 同じ発表文に出る訳語 |
|---|---|---|
| Pänz | 4本 | 4本とも Kinder を含む語がある |
| Fastelovend | 6本 | 6本とも Karneval を含む語がある |
| Zoch | 5本 | 5本とも Zug を含む語がある |
| Hätz | 1本 | Herzensangelegenheit などの Herz がある |
Rosenmontag の行列を支えるバッジの発表文(2月11日)は、1つの文の中に標準語の Rosenmontagszug と方言の Zoch を並べています。2文あとの同じ行列の先頭は、zu Beginn des Zuges と標準語の Zug でした。
Der Kölner Rosenmontagszug ist für alle da – und auch 2026 können alle Jecken für den Zoch da sein!
Festkomitee Kölner Karneval の Pressemitteilung「Die Rosenmontagzug-Spange 2026: Tragen, was den Zoch bewegt」2026年2月11日/出典: koelnerkarneval.de
訳:ケルンの Rosenmontag の行列はみんなのためにあります。そして2026年も、カーニバルを祝う人はみんな行列のために力を貸せます!
10月16日の発表文は、子どものカーニバルの新しいサイトを Kinderseite と呼び、その中の2つの区画のうち子ども向けのほうを Pänzseite と書きました。同じ段落の Kinder と junge Jecke(若いカーニバル好き)も、方言の Pänz と並んで子どもたちを指しています。
人の言葉の中でも、同じ並びが見られます。REWE Region West の Lars Klein 氏は、標準語の Herz を含む Herzensangelegenheit のすぐ次の文で、方言の Hätz を使いました。
Für die REWE Region West mit starken Wurzeln in Köln ist Zusammenhalt eine echte Herzensangelegenheit. Unser Hätz schlägt für die Stadt und die Menschen, die sie ausmachen.
Lars Klein(Vorsitzender der Geschäftsleitung der REWE Region West)の言葉・Festkomitee Kölner Karneval の Pressemitteilung「REWE und Festkomitee unterstützen den Veedelskarneval」2026年1月27日/出典: koelnerkarneval.de
訳:ケルンに深く根を張る REWE Region West にとって、結びつきは心から大切にしていることです。私たちの心は、この街と、街をつくる人々のために打っています。
2月25日の発表文に載った副会長 Christine Flock 氏の言葉も、1つの引用の中で「Kinder sind die Zukunft unseres Karnevals」と標準語で始め、2文あとで子どもたちを die Pänz と呼んでいます。
地の文は、行列をたいてい標準語で書く
Rosenmontagszug・Rosenmontagszuges・Rosenmontagszügen の3つの形は計17回出て、16回が地の文、1回が引用符の中です。方言で後半を Zoch にした Rosenmontagszoch は、引用符の中の1回でした。
訳語の側では、Zug を含む語が22本のうち12本に49回出て、22回が語の後半です。
ほかに Karnevalszug・Karnevalszügen が2回、Veedelszug・Veedelszügen が3回あり、Rosenmontagszug-Spange のように3つの部品の真ん中に入る形も8回あります。方言の Zoch は11回のうち10回が1語で立ち、地の文に出るのは5回です。
Karneval の内訳は、1語で100回、前半で26回、後半で12回でした。Kinder を含む語は37回のうち30回が前半で、Kinderdreigestirn の9回を筆頭に、後半に来る形は1つもありません。
Herz を含む語は7回で、そのうち5回は引用符の中の人の言葉です。数え方の規則で外した語は、小文字で始まる語(kindgerecht・karnevalsinteressiert・herzlich・sicherzustellen など)、Karnevalist などの派生語、Umzug の形、Bezug・Wertschätzung などの別の語です。
Morje と Hätz の綴りは、標準語の g と er の所で替わる
2027年のシーズンの標語は、標準語にすると Morgen ist, was du daraus machst にあたります。「明日は、あなたがそこから作るもの」とも、「未来は、あなたがそこから何を作るか次第」とも読めます。
2月16日の発表文では、当時の会長 Christoph Kuckelkorn 氏の言葉が「wie das Morgen aussehen wird」と、標準語の das Morgen を「これから先」の意味で使いました。2月25日の発表文の地の文は、同じ意味の名詞を方言の Morje のまま引用符に入れています。
Gemeinsam mit den Erwachsenen gestalten die Kinder schon heute das „Morje“ des Fastelovends.
Festkomitee Kölner Karneval の Pressemitteilung「Castings für das Kölner Kinderdreigestirn 2027 starten」2026年2月25日/出典: koelnerkarneval.de
訳:子どもたちは大人と一緒に、カーニバルの「明日」をもう今日から形づくっています。
| 方言の綴り | 標準語の綴り | 字の替わり方 |
|---|---|---|
| Morje | Morgen | r のあとの g が j に替わり、語末の n がない |
| Hätz | Herz | er が ä に、語末の z が tz に替わる |
| Zoch | Zug | u が o に、語末の g が ch に替わる |
| D’r | Der | e の字を省いてアポストロフィを置く |
| Kölle | Köln | 語末の n が le に替わる |
この表と、このあとの j・ch の音の説明は、素材の外の一般的な知識によるものです。Morje の j は、日本語のヤ行の子音に近い音です。
カーニバル開幕の案内ページの et jeht widder los(es geht wieder los、また始まる)でも、geht の g の位置に j が来ています。
Zoch の ch は、o のあとなので口の奥でこすって出す音です。標準語の Zug の語末は無声の k に近い音なので、綴りでも音でも別の語に聞こえます。
Pänz と Kinder、Fastelovend と Karneval は、字の対応がない別の語です。この2組は、綴りを見比べても標準語の意味にたどり着けません。
ケルンの地ビールの Kölsch は、方言の名前と同じ語です(ドイツのビールと食べ物のスラングの記事)。ケルンの若者が方言と若者ことばを混ぜる話は、ドイツの若者ことばの記事で触れています。
作例では、方言の名詞の席に Kinder や Umzug を入れる
発表文の方言の名詞を標準語の名詞に替え、素材に無い作例の文にしたのが下の表です。
| 替えた名詞 | 素材に無い作例と訳 | もとの発表文の句 |
|---|---|---|
| Fastelovend → Karneval | Die Kinder feiern jedes Jahr gern Karneval.(子どもたちは毎年カーニバルを祝うのが好きだ) | Spaß am Fastelovend haben |
| Pänz → Kinder | Für Kinder kostet der Schal weniger.(子どもには、マフラーが安くなる) | 14,99 Euro für Pänz |
| Kamelle → Süßigkeiten | Die Firma stellt den Vereinen Süßigkeiten zur Verfügung.(その会社は団体に菓子を提供する) | eine großzügige Kamellespende |
| Zoch → Umzug | Viele Helfer arbeiten beim Umzug am Rosenmontag mit.(大勢の手伝いが Rosenmontag の行列で働く) | für den Zoch da sein |
4行目の Umzug は、Zug に前つづり um- が付いた標準語の名詞で、町を練り歩く行列を言います。発表文の Zoch は、方言の語でその行列を指します。
REWE の Kamellespende は、ウエハース2,020箱だった
用語集は Kamelle に Bonbons を当てますが、22本の本文に Bonbon の語は出てきません。投げ菓子は方言の Kamelle のほか、品名の Schokowaffeln や、まとめて言う Wurfmaterial で書かれています。
[…] stellt das Unternehmen eine großzügige Kamellespende zur Verfügung: 32 Paletten mit insgesamt 2.020 Kartons Schokowaffeln […]
Festkomitee Kölner Karneval の Pressemitteilung「REWE und Festkomitee unterstützen den Veedelskarneval」2026年1月27日/出典: koelnerkarneval.de
訳:[…]この会社は気前のよい投げ菓子の寄付を提供します。パレット32台、計2,020箱のチョコレートウエハースです[…]
寄付の中身はチョコレートのウエハースです。用語集の Kamelle の項は、Bonbons の訳を添えたあとにこう書いています。
Mit Kamelle werden auch Waffeln, Weingummis, Schokolade, Pralinen und Ähnliches umschrieben.
Festkomitee Kölner Karneval の用語集「Karneval von A-Z」の項目「Kamelle, Strüßjer」(2026年11月4日に表示を確認)/出典: koelnerkarneval.de
訳:Kamelle は、ウエハースやグミ、チョコレート、プラリネなども指して言います。
標準語の名詞では、Ford の発表文(1月14日)が投げる品を Wurfmaterial とまとめて書きました。同じ発表文は、車から配るものを bunte Kamelle und Strüßjer と方言で並べています。
カーニバルの Alaaf の掛け声や旅先でのあいさつは、ドイツ旅行の会話の記事にまとめています。
Veedelsgruppe などの複合語に、冠詞を付けて答える
次の5つの語に、1格の定冠詞 der・die・das のどれかを付けてください。
問1と問2の語は今年の発表文にあり(問2は数から外した催しの題の行)、問3〜問5は素材に無い作例です。どの語も前半は方言の名詞で、Veedel は「地区」を言います。
| 問 | 語 | 日本語 |
|---|---|---|
| 1 | ( ) Veedelsgruppe | 地区のグループ |
| 2 | ( ) Fastelovendsmusik | カーニバルの音楽 |
| 3 | ( ) Veedelsfest | 地区の祭り |
| 4 | ( ) Kamellewagen | 投げ菓子を積んだ車 |
| 5 | ( ) Pänzlied | 子どもたちの歌 |
問1〜問3の答えと解説
問1の答えは die Veedelsgruppe。最後の部品の Gruppe が女性名詞なので、前半の方言の Veedel とつなぎの s に関係なく die になります。
2月16日の発表文には mit einer Veedelsgruppe という3格の形で出ています。
問2は die Fastelovendsmusik です。Musik が女性名詞なので die になり、10月14日の発表文の催しの題では der kölschen Fastelovendsmusik と2格で出ています。
問3の答えは das Veedelsfest。Fest(祭り)が中性名詞なので、前半の Veedel とつなぎの s のあとでも das です。
問4・問5の答えと解説
問4は der Kamellewagen です。Wagen(車)が男性名詞なので、前半が方言の Kamelle でも der になります。
問5は das Pänzlied です。Lied(歌)が中性名詞なので、前半が複数を言う Pänz でも冠詞は das になります。
2026年の Rosenmontag の行列には、74のグループに分かれた11,500人が加わりました。


